search
ログイン質問する
dehaze
ガラス 業界研究

【就活生必見】ガラスの業界研究|事業構造・将来性・働き方など徹底解説

ガラス業界とは ガラスと聞くと、多くの方は窓ガラスを思い浮かべるでしょう。日本の大手ガラスメーカーは世界的に大きなシェアを持っているため、​グローバルに活躍したい学生や研究分野を活かしたい理系学生から安定した人気​を誇ります。したがって、就活の難易度は決して低く有りません。内定をもらうためにはガラス業界についてどれだけ正しく理解し、その上で自分の強みや頑張ったことを、ガラス業界でどう活かせるかを具体的にイメージし面接官に伝えることが重要です。この記事ではガラス業界の業界研究を有価証券報告書やシンクタンクのレポートをもとに、詳しくわかりやすく説明しております。この記事を読めば、ガラス業界の業界研究は完了するでしょう。ぜひ最後まで読んで、ガラス業界の就活に挑みましょう。

visibility2110 |

ガラス業界とは

この章ではガラス業界

  • 業界構造
  • 将来性
  • 業界分類
  • 最新トレンドについて

解説していきます。

業界構造

12995_ガラス_将来性_ビジネスモデル_1.jpg


板ガラス

ガラス業界の最も代表的な製品は板ガラスです。板ガラスの主な原材料は珪砂という砂です。この砂は浜辺や公園の砂場にある砂と同じ成分で構成されています。日本でも珪砂は豊富に存在する他、オーストラリアやマレーシアに珪砂に産地があり、海外から珪砂を輸入して原材料を確保しています。

ガラスメーカーは珪砂をフロート法と呼ばれる製造方法で板ガラスに加工しています。これは珪砂を1,600度以上の高熱で加熱し、溶解(ドロドロに溶かすこと)します。この過程で珪砂が容易に溶解するように溶解温度を下げる働きを持つソーダ灰と水分によって溶解しないガラスにするために石灰を加えます。溶解した珪砂をフロートバスと呼ばれる炉の上に流し込み、板状に伸ばします。するとガラスは溶融錫の上に板状に浮かびながら広がり、そのまま徐冷窯で冷却することで板ガラスを製造します。

製造された板ガラスは商社や卸売業者に販売されます。商社からさらに建築業者や自動車メーカー、家具メーカーなどに販売されるBtoBビジネスが基本的なビジネスモデルです。板ガラスの大部分は建設業者や自動車メーカー向けですが、透視性を活かして家具などにも利用されています。


液晶パネル用ガラス

ガラスメーカーは液晶パネル用のガラスも製造・販売しています。液晶パネルの原材料となる液晶材料は液体と結晶の両方の性質をもった有機化合物であり、アジアを中心とする海外の向上で製造されています。海外の工場した液晶パネルを化学品の専門商社や卸売業者が輸入しています。

その後、家電メーカーや自動車メーカーなどに販売されるBtoBビジネスが基本的なビジネスモデルです。液晶パネルガラスの用途としてはテレビや携帯電話、ゲーム機、カーナビなど、幅広い製品です。

市場規模・将来性

12995_ガラス_将来性_市場規模_2.jpg


市場規模

「業界研究リサーチ」によれば、2019年から2020年のガラス業界の市場規模(主要対象企業12社の売上高の合計)は3兆3,125億円となっています。3兆3,125億円という市場規模は、菓子業界、パチンコ業界、太陽光発電システム業界と同程度の市場規模となっています。また、ガラス業界に従事する就業者は17,906人となっています。

さらに世界のガラス業界の市場規模について見てみましょう。調査会社グランドビューリサーチによれば2020年のガラス業界の市場規模のうち、板ガラスの市場規模は約2658億ドルと推計されています。さらに2020年から2028年の8年間に年平均で3.6%の市場規模の拡大を見込んでいます。特に自動車の窓ガラスやや太陽光パネル向けの板ガラスの需要が伸びており、これらの分野でのガラス業界の成長が期待されています。

また360マーケットリサーチによると2020年のガラス業界の市場規模のうち、液晶ガラスの市場規模は61億ドルとなっており、板ガラスの40分の1程度の規模となっています。

また、株式会社グローバルインフォメーションの市場調査レポート「建設用ガラスの世界市場 - 競合・予測・機会:2025年」 (TechSci Research ) によれば、板ガラスの主要な用途である建築用ガラスの市場規模は、2025年までに1500億米ドルに達すると予測されています。これは新興国を中心とするインフラ建設の拡大、インフラ設備への要求の高まり、中間層の人口増加、可処分所得の増加が市場牽引の要因となっています。

過去のガラス業界の市場規模の推移について見てみましょう。「業界動向.SEARCH.COM」によれば、2005年から2007年にかけては世界経済が順調に推移し、自動車や薄型テレビの需要が拡大したことから、ガラス業界の市場規模は順調に拡大を続けていました。しかし、2008年にはリーマンショックが起こり、世界的な金融恐慌が起こります。主要な供給先である自動車メーカーや建設業などのガラスの需要が落ち込んだことも有り、市場規模は大幅に落ち込みます。

2008年から2009年にかけてはリーマンショックの影響でガラス業界の市場規模は縮小時期に入ります。その後、2010年に入るとリーマンショックから経済が立ち直り、自動車の販売数が回復し、自動車ガラスの需要が拡大したことでガラス業界も回復します。

しかし、2011年以降は東日本大震災の影響もあり、再びガラス業界の市場規模は縮小時期に入ります。その後、2013年以降はスマホが普及したことによって、液晶ガラスの需要が拡大し、ガラス業界も回復傾向にありますが、液晶ガラスの市場規模は板ガラスに比べて、小さな市場規模ですので、ガラス業界への恩恵は一部にとどまっています。


将来性

日本のガラス業界は厳しい状況が続くと予想されています。国内は少子高齢化や人口減少により、ガラスそのものの需要が低下するため、市場は縮小傾向に入っています。

また、中国を中心とする安価な輸入ガラスに日本製のガラスが押されており、厳しい局面にあります。中国の大手ガラスメーカーである福耀集団は現在、世界で第6位の売上規模を誇っていますが、中国国内の堅調な自動車向けガスの需要を背景として着実に売上を伸ばしており、日本のガラスメーカーを急速に追い上げています。

直近では米中貿易摩擦や新型コロナウイルスの影響が出始めています。米中貿易摩擦によって世界のサプライチェーンが混乱しており、設備投資が抑制され、ガラスメーカーの主要な供給先である自動車やスマホの生産台数が減少している影響で、ガラスの需要も低下していました。

そこにさらに新型コロナウイルスの感染拡大によって世界経済が悪化し、自動車の生産台数が落ち込んでいます。ガラス業界は自動車の生産台数と業績が連動する傾向にあり、実際に2021年3月期の決算では国内のガラスメーカーは厳しい決算内容となりました。現在は、自動車の生産台数は回復傾向にありますが、ガラスの需要がどの程度回復するのかは不透明です。

日本のガラス業界にとって最も懸念されるのが過剰供給問題です。2015年6月に経済産業省は旭硝子、日本板硝子、セントラル硝子など国内の大手ガラスメーカー3社に対して、過剰設備の統廃合を求める報告書を公表しました。特定の業界に生産設備の削減などを促す「産業競争力強化法」に基づく措置で、石油精製、石油化学に次ぐ3例目となっています。

経済産業省によれば、国内の板ガラス出荷額は住宅着工や自動車販売の減少を背景に1990年をピークに減少し続けています。2014年度の出荷額は1990年度と比べ、ガラスの出荷額が約40%も減少しました。過剰生産によって生産量と生産能力のギャップも開き続けており、2014年度のギャップは約26万トンとなっています。

生産ギャップは今後も拡大する見通しであり、2030年には2014年と比較してで最大2.7倍に拡大すると推定され、この時期に現有能力の40%程度は余剰になると見られています。ガラスの過剰供給は日本に限定した話ではなく、中国などの新興国にも共通しています。今後、世界的なガラスの過剰生産によって、ガラスの価格が崩壊することが懸念されています。

一方でガラス業界にとって明るい可能性もあります。アジアを中心とした新興国ではインフラ設備の需要や建設需要が旺盛と成っており、経済成長に伴ってガラスの需要が高まっています。日本のガラスメーカーのガラスは高品質であり、海外からも定評があるので、技術力を活かして海外需要をうまく取り込むことができれば、利益を上げることができます。実際にガラス業界では海外でのM&Aや製造拠点を海外に移すなどグローバル展開を進めています。

また、これまで板ガラスの主要な供給先であった自動車や建設業に代わって液晶ガラスのスマホ向けの供給が伸びています。スマホ向けのガラスは製品の印象を左右するため、デザイン性も重視されており、高品質のガラスを供給する日本のガラスメーカーにとっては有利です。

このようにガラス業界には不安要素もありますが、今後、伸びる分野の需要をうまく取り込むことで成長も可能です。そもそもガラスは人々の生活になくてはならない生活必需品ですので、製品や業界そのものがなくなってしまうことはないでしょう。

業界の分類


3大ガラスメーカー

12995_ガラス_将来性_3大ガラスメーカー_3.jpg

3大ガラスメーカーとはAGC、日本板硝子、セントラル硝子の3社を指します。日本の板ガラス業界は、この3社によって国内市場が占められる寡占体制が確立されています。


大手ガラスメーカー

12995_ガラス_将来性_大手ガラスメーカー_4.jpg

3大ガラスメーカー以外の大手のガラスメーカーを指します。具体的にはHOYA、日本電気硝子、日本山村硝子、オハラ、倉元製作所などが該当します。

最新のトレンド


中国企業の脅威

日本のガラスメーカーは従来、ガラス業界において高いシェアを誇っていましたが、最近では安い外国製品、特に中国のガラス製品に押されて、苦戦しています。中国のガラスメーカーは品質では日本のガラスメーカーに劣りますが、価格競争力が強く、日本市場へも輸出を進めています。

中国のガラスメーカーの輸出攻勢によってガラス業界では価格競争が激しくなっています。以前は自動車用の板ガラスは高い品質や機能性が求められていたので、日本企業が独走している状態でしたが、中国企業が侵食してきており、中国最大級の自動車ガラスメーカーであるフーヤオは、トヨタやホンダにフロントガラスを納入するなど、中国企業の勢力拡大は日本企業にとって大変な脅威となっています。

また、高い技術力が要求され参入障壁が高いとされてきたスマホ向けの液晶ガラスにも中国企業が進出し、日本企業はシェアを奪われています。経済産業省の試算によれば、板ガラスの世界シェアは旭硝子が7.8%で首位、日本板硝子が6.6%で2位と日本企業は上位を独占していますが、中国のガラスメーカーは業界の市場規模の60.8%を占めるに至っています。


高付加価値ガラスの需要

従来の自動車用の板ガラスやスマホ向けの液晶用ガラスに代わって、次世代自動車向けの高付加価値ガラスの需要が増しています。

自動車業界ではCASEと呼ばれる新しいコンセプトが浸透しています。これはそれぞれ、Connected:共有化、Autonomous:自動運転化、Shared/Service:シェア/サービス化、Electric:電動化という意味であり、CASEが実用化されると高付加価値ガラスの使用範囲が増えると考えられています。したがって、自動車業界の進化とともにガラス業界も技術の進歩を要求され、期待に応えることで需要の拡大の可能性があります。

各社はこれまで自動車向けの板ガラスやスマホ向けの液晶用ガラスで培ってきたノウハウや技術力を活かして、ヘッドアップディスプレーや車載ディスプレー用などのガラス開発を進めています。

三菱グループであり、世界最大手のガラスメーカーであるAGCは他の企業に先駆けて次世代自動車CASEに対応した高機能ガラスの開発を進めています。AGCはフロントガラスに速度や運転情報が表示されるヘッドアップディスプレー用ガラス、複雑な形状や大型に対応した車載ディスプレー、5G対応のガラスアンテナなどを開発しています。

また、特殊ガラスメーカーの岡本硝子はCASEに対応する高機能硝子の開発を進めており、先進運転システム(ADAS)で使われる高機能センサー向けミラーや、自動で配光を制御するADBヘッドランプ向けガラス製光学部材などで業界最先端を行っています。


エコガラスの需要増加

次世代自動車向けの高機能硝子の開発とともに各社が進めるのがエコガラスの開発です。エコガラスは、板硝子協会の会員であるAGC、日本板硝子、セントラル硝子の3社が製造するLow-E複層ガラスの共通呼称です。 

Low-E複層ガラスというのは、複層ガラスの間に特殊な金属膜をコーティングしたガラスであり、断熱性や遮熱性に優れ、冷房効率が良くなり、CO2排出量の抑制、結露を防止する効果があり、最近では新築の戸建住宅での採用率は40%を超えています。

従来の板ガラス市場の成長が見込めない中で各社ともエコガラスなど付加価値を持つ商品の開発を進めています。

関連記事
▶︎【経験者が教える】インド自動車業界への転職事情について知ろう!

レクタングルバナー
JobQ Townでは仕事にまつわる
あらゆる疑問を匿名で質問できます
Q&A16,000件 / 回答数35,000件
約90%の質問に回答が寄せられています。
googleGoogleで登録して質問する
lineLINEで登録して質問する
メールアドレス・別アカウントで登録