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繊維 業界研究

【就活生必見】繊維の業界研究|事業構造・将来性・働き方など徹底解説

繊維業界は一見ニッチな業界ですが、就活生からの人気も高いため、選考を勝ち抜いていくためにも、繊維​商社についての理解を深めていきましょう。そのため、大切なことは、繊維業界についてどれだけ正しく理解し、その上で自分の強みや頑張ったことを、繊維業界でどう活かせるかを具体的にイメージし面接官に伝えることが重要です。この記事では繊維業界の業界研究を有価証券報告書やシンクタンクのレポートをもとに、詳しくわかりやすく説明しております。この記事を読めば、繊維業界の業界研究は完了するでしょう。ぜひ最後まで読んで、繊維業界の就活に挑みましょう。

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繊維業界とは

この章では繊維業界

  • 業界構造
  • 将来性
  • 業界分類
  • 最新トレンドについて

解説していきます。

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▶︎業界研究とは|目的や効果的なやり方、押さえておきたいポイントを研究例64選と共に解説

業界構造

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原糸生産

原糸とは綿糸、スフ糸、毛糸、化合繊糸などであり、材料は羊やヤギ、うさぎなどの動物性の繊維やワタ、アサなどの植物性繊維です。また、複数の素材を混合して糸を生産することもあります。

できあがった糸は一部はニット用の毛糸や縫い糸などそのままの状態で利用されます。多くは染色、テキスタイル化して加工されて、繊維商社に販売されます。繊維商社からさらにアパレルメーカーに納入されます。

アパレルメーカーでは原糸を用いて、レディースやメンズのアパレル、下着、靴下など様々な製品が生産されます。最終消費財となった原糸は再び繊維商社を通して、小売業に販売され、最終消費者のもとに届けられます。
 

生地生産

原糸を用いて生地に加工することで生地が生産されます。生地は商社を通してアパレルメーカーに販売されます。アパレルメーカーにおいてさらに加工され、洋服や家具、寝具、電車やバスの座面、合成皮革の裏地など様々な用途に姿を変えます。
 

天然繊維と化学繊維

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繊維には大きく分けて、天然繊維と化学繊維があります。天然繊維とは綿や麻、絹、羊毛のように動物性・植物性を問わず、天然に繊維として存在するもので、主に洋服などに使われることがあります。

一方で、化学繊維とは化学的プロセスにより製造される繊維のことであり、ポリステルといった洋服に使われるものからプロミックス、炭素繊維など自動車の部品や医療製品に使われることもあります。

製造された化学繊維や天然繊維は繊維商品として繊維メーカーから商社に販売されます。商社は繊維メーカーから糸や生地を仕入れて、アパレルメーカーに販売し、アパレルメーカーが糸や生地を衣服などに加工します。さらにそのアパレルメーカーから小売店に商品が販売され、最終消費者のもとに届きます。
 

市場規模・将来性

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市場規模

2019年から2020年の繊維業界の市場規模(主要対象企業44社の売上高の合計)は4兆0,176億円となっています。付加価値額ベースでは約3.4兆円となっています。

経済産業省の「繊維産業の現状と経済産業省の取組」によれば、繊維業界の雇用者は約68万人と製造業全体の7%を占めています。また、事業所数は製造業全体の5.7%を占めています。

国内市場は縮小傾向にあり、国内の繊維事業所数、製造品出荷額ともに1991年と比較して約1/4程度に減少しています。 出荷額については、足下横ばいで推移しています。一方で、繊維の供給量はバブル期の20億点から40億点程度へと、ほぼ倍増しており、これは輸入品の増加が背景にあります。国内アパレル市場における輸入浸透率は増加し続けており、2018年には97.7%まで増加しています。

日本の繊維メーカーの生地は技術力が高く、競争力がありますが、衣料品の輸出は先進国のなかでも極めて少なくなっています。しかし、これは、裏を返せば、国際競争力さえ有すれば、輸出に活路があることの証でもあります。

続いて世界の繊維市場について見てみましょう。株式会社グローバルインフォメーションによれば、2016年の世界の繊維最終需要量は88百万トンとなり、1990年から約2.3倍まで増加しました。また、一人当たり需要量も約1.6倍に増えています。原料種類別に見ると、天然繊維はほぼ横ばいで推移していますが、化学繊維では過去20年間で年平均5.8%の伸び率で拡大しています。また、世界の繊維市場規模は、2020年に1兆3億米ドルと予測され、2021年から2028年にかけて年平均成長率(CAGR)4.4%で拡大すると予想されています。

ファッション業界からのアパレル需要の増加とEコマースプラットフォームの成長が、予測期間中の市場を牽引すると予想されます。世界のアパレル市場は、2025年までに年平均3.6%(実質ベース、名目ベースでは7.6%)で成長が予測されており、世界的には、繊維産業は引き続き成長産業となっています。

将来性

日本の繊維メーカーの繊維の生産量は減少傾向にあります。繊維業界の市場規模は約4兆円ですが、繊維の有力な供給先であるアパレル業界の市場規模が縮小しています。1980年代後半から1990年頃と比較するとアパレル業界の市場規模は15兆円から10兆円へと縮小している一方で供給量は約20億点から約40億点へとほとんど倍増しています。この背景にあるのは安価な輸入製品の流入です。

経済産業省のデータによれば、繊維の輸入は毎年拡大しており、特に中国が有力な輸入先となっています。中国の安価な労働力を背景とした繊維の大量生産により中国の繊維メーカーが世界シェアの約50%を占めています。中国の安価な繊維製品に国内の繊維メーカーは押されており、今後も国内の繊維市場は縮小すると見られています。

アパレル業界のみならず、国内の繊維の出荷額は減少傾向にあります。少子高齢化や経済の縮小によって、国内の繊維の需要は減少すると見られており、今後も国内の繊維メーカーは厳しい状況に立たされそうです。

このような状況の中で日本の繊維メーカーが活路を見出そうとしているのが海外市場です。国内市場は人口減少や安価な輸入品の大量流入により、今後も縮小することが予想されますので、各社ともグローバル展開を進めることで、海外市場を開拓し、事業を拡大しようとしています。

日本の繊維メーカーは高い技術力を背景に高機能の繊維を生産することができます。例えば、ユニクロのヒートテックには日本の繊維メーカーの繊維が使用されており、国際的に競争力を持っています。しかし、繊維の海外輸出は減少しており、1995年以前は50を超えていた海外輸出は現在では10分の1以下に下落しており、産業全体で見たときに繊維の輸出総額は大きいとは言えません。

世界の繊維の市場はアジアを中心とする新興国の需要拡大を背景に増え続けています。高度な技術力を要する日本の高機能繊維は世界市場でも強い競争力があり、世界からも高く評価されていますので、日本の繊維メーカーにとっても輸出拡大のチャンスがあります。

また、国内においても衣料用繊維の需要は縮小しているものの、産業用繊維の需要は増加傾向にあるとされています。

業界の分類


大手繊維メーカー

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一般的な定義はありませんが、日本で大手の繊維メーカーを指す場合は東レ株式会社、帝人株式会社、日清紡ホールディングス株式会社、東洋紡株式会社の4社を指すことが多いようです。
 

化学メーカー

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こちらも一般的な定義はありませんが、三菱ケミカルや旭化成は化学メーカーながら、炭素繊維の開発を行っています。炭素繊維の世界シェアは東レ、帝人、三菱ケミカルが大半を占めています。
 

最新のトレンド


産業用繊維の需要拡大

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繊維といえば衣服などのアパレル関連向けの繊維がイメージしやすいかもしれませんが、自動車部品などの産業用繊維の需要が拡大しています。日本化学繊維協会によれば、日本で加工される化学繊維や合成繊維のうち、衣料用はアジア、特に中国の安価な輸入品の大量流入によって国内生産が落ち込んでおり、現在では30%以下にまで落ち込んでいます。

この一方で産業用繊維は毎年、割合が増加しており、現在では衣料用繊維を上回る水準となっています。これは先進国に共通して見られる傾向であり、日本やアメリカの繊維市場は産業用の繊維の生産が全体の7割に達しています。ヨーロッパは日米ほどではありませんが、産業用繊維の生産は全体の約6割、衣料用の繊維の生産が全体の4割となっています。

産業用の先には自動車や航空機の金属代替による軽量化、構造の強化材としての需要、耐熱・難燃素材、エネルギー関連での需要の高まりなどを背景に拡大傾向で推移しています。

特に自動車分野では、車体の軽量化・燃費の向上を図ることが可能となり、環境負荷低減の活動が追い風となる形で、今後更に高機能繊維の需要拡大が期待されています。産業用繊維が衣料用繊維やインテリアと異なるのは、ファッション・デザインよりも、強度・耐火・防水・耐薬品などの機能性が重視される点です。

交通機関の内装も、耐火・耐光・防臭・タバコ防融といった機能性が強く求められます。産業用の高機能の繊維は日本の繊維メーカーが得意とする領域であり、今後の成長が期待されています。世界的な経済の回復基調の追い風もあり、世界の産業用繊維の市場規模は2019年の1872億ドルから、2024年には2493億ドルに拡大すると予測されています。

このような状況を踏まえて、東レは2013年4月に童夢カーボンマジックを買収しました。同社は炭素繊維を使った自動車部品を製造しており、東レの産業用繊維の事業拡大に寄与すると見られています。他の繊維メーカー大手もM&Aに動き出しており、産業用繊維はこれまで衰退傾向にあった日本の繊維メーカーの切り札となる可能性を秘めています。

中国製繊維の流入

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中国において繊維産業は巨大産業と成っています。1990年頃には繊維産業の市場規模は生産額ベースで全産業の半分程度にまで成長しました。その後は、他の工業製品の発展により繊維産業のシェアは下落したものの、巨大な国内市場と安価な労働力を背景とした安い中国製繊維の大量輸出により生産額は増加の一途を辿っています。

2010年には中国の工業生産額の約3割を占め、GDPベースでは全体の10%以上のシェアを占める巨大産業です。日本の国内の繊維の市場規模は出荷額ベースで約8.7兆円ですが、中国は約37兆円と日本の4倍以上の規模を誇っています。

世界の繊維市場における中国の繊維の存在感も圧倒的です。世界の繊維生産量の半分以上は中国が産地となっています。なかでも代表的な化学繊維であるポリエステルとナイロンの生産の大半は中国で製造されています。繊維・アパレル製品の輸出額は、2000 年の530 億ドルから2010年には2120 億ドルと約4倍に拡大し、年率15%強の伸び率で成長を遂げており、今後も成長が期待されています。

この安価な中国製品は日本国内にも大量に流入しており、国内アパレル市場における輸入浸透率は2018年には97.7%まで増加しています。かつては衣料用繊維は日本の産業を牽引してきましたが、今では完全に中国にその座を奪われ、もはや追いつくことができないでいます。

日本の繊維の技術力は高く、品質は世界で高い評価を得ていますが、中国の安価な繊維製品に対抗できるまでになっていないのが現状です。また、日本の繊維メーカーの独壇場であった炭素繊維においても中国は価格面だけではなく、技術面で急速に追い上げており、日本のメーカーとしては技術的な優位性を保つためには研究開発を続けていく必要があります。

一方で、中国の繊維産業の成長にも歯止めがかかりつつあります。ベトナムやバングラデシュなど他のアジア諸国へ繊維メーカーが生産拠点を移管したことや中国の労働力が高騰したことにより、2011年以降は繊維の輸出額は低下傾向にあります。今後は中国以外のアジア諸国の繊維産業の急速な発展が予想され、世界の繊維産業の構図が変わりつつあります。

新型コロナウイルスの影響

新型コロナウイルス感染拡大の影響は繊維業界にも打撃を与えています。国際繊維製造者連名(ITMF)によれば、世界の繊維需要は新型コロナウイルス蔓延の影響で急減し、2020年5月4日~6月8日までの現在の世界の繊維受注は、全体では前年同期比42%の急減となりました。

また、日本の繊維メーカーが得意領域とする炭素繊維は自動車や航空機の産業用の需要の落ち込みによって打撃を受けています。特に炭素繊維の主力である航空機向けは航空機の原産の影響で苦戦を強いられています。

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