
【就活生必見】航空業界の業界研究|事業構造・将来性・働き方など徹底解説
航空業界は総合商社やデベロッパーなどと並んで学生からの就活ランキングでは常に上位にランキングしています。客室乗務員はもちろんのことパイロットや地上勤務職なども学生から圧倒的な人気を誇っています。内定している学生も有名私大・旧帝大などの難関大学出身者が大半を占めており、まさに就活最難関業界です。なので大切なことは、航空業界についてどれだけ正しく理解し、その上で自分の強みや頑張ったことを、航空業界でどう活かせるかを具体的にイメージし面接官に伝えることが重要です。この記事では航空業界の業界研究を有価証券報告書やシンクタンクのレポートをもとに、詳しくわかりやすく説明しています。この記事を読めば、航空業界の業界研究は完了するでしょう。ぜひ最後まで読んで、航空業界の就活に挑みましょう。
航空業界とは
この記事は専門家による詳細な調査記事になっています。
この章では航空業界
- 業界構造
- 将来性
- 業界分類
- 最新トレンドについて
解説していきます。
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業界構造
旅客輸送事業
旅客輸送事業は航空会社の最も基本的な事業です。旅客輸送事業の収益は以下の式で表すことができます。
収益=乗客数(機体座席数×運行便数×座席利用率)×1人あたりの単価
なお1人あたりの単価は乗客の移動距離が長いほど、大きくなる仕組みです。
このように分解して考えると、航空会社の収益を上げるには多くの座席数を有数巨大な航空機を揃え、運行している便数を増やし、1機あたりの座席利用率を高くする(空席を少なくする)ことが重要です。特に空席を少なくすることは損益を大きく左右し、座席に空きが多い場合には莫大なコストをかけて空気を輸送しているのと変わりません。
また、1人あたりの単価をあげるためにエコノミークラスのみならず、単価の高いファーストクラスやビジネスクラスなどのグレードの高い座席を備え、より多くの人に利用してもらえるように座席の販売促進をすることが必要です。
一方で、航空機を運用する際には多くのコストもかかります。
具体的には機体の整備コスト、乗り入れの際に空港に支払う空港使用料、搭乗員の人件費などです。これらのコストが運行する便数や飛行距離が多いほど増大します。
貨物事業
航空会社の主な収益源は旅客輸送事業ですが、全日空や日本航空の場合の貨物事業は全体の収入の1割を占めています。また、日本貨物航空雨のように貨物事業を専業としている航空会社もあります。一方で、航空機の利用回転を上げて、機体の稼働時間を増やすことで低価格を実現させているLCCは貨物事業には消極的です。
貨物事業の収益は以下の式で表すことができます。
収益=1便あたりの貨物積載量×便数-1便あたりの費用
たまに「貨物事業は旅客輸送事業の副産物である」と言われています。なぜなら旅客輸送事業を行う際に機体の余剰スペースを活用して貨物事業を運営しているからです。したがって、旅客需要に合わせた路線や航空機、便数を活用して貨物事業を実施しています。一方で全日空や日本航空は貨物事業を運営する専用の航空機を保有しており、社内に貨物事業の専業部門や子会社を設立して運営しています。
航空関連事業
航空関連事業とは旅客輸送事業に関連する幅広い事業を指します。各社によって事業の正式名称は異なりますが、例えば、港地上支援、航空機整備、車両整備、貨物・物流、ケータリング、コンタクトセンター、他社受託事業、パイロット訓練事業や航空機整備事業(MRO)などです。
旅行事業
日本全国そして世界を行き来する航空会社は旅行事業との親和性が高く、各社とも旅行事業に積極的です。JALPAKやANAセールスといった企業が代表的ですが、それぞれ目的別に複数の旅行事業会社を持ち、自社とともに各旅行会社にツアーを販売しています。
具体的には自社便利用を前提としたパッケージツアーの仕入・企画・販売などです。航空運賃を抑えることによって、個人が航空機やホテル、現地での観光ツアーを個別に手配するよりも、パッケージツアーの価格が安くなるように設定されています。個人としては旅行費の節約になりますし、航空会社にとっても座席利用率を上げ、空席を減らす効果が期待できます。
また、自社でパッケージツアーを販売する以外にも旅行会社のパッケージツアーに航空券を手配することによってマージンやコミッションを得ています。
小売・サービス販売事業
小売・サービス販売事業で最も代表的なものは機内販売です。
各航空会社は客室乗務員が販売員を兼務し、機内で食べ物や飲料、バッグなどの高級品、化粧品、時計、アクセサリー、香水、小物など多種多様な商品を取り扱っています。
最近では、格安航空会社や外資系航空会社の参入が相次ぎ、航空会社業界の競争が激化しているため、各社とも収益向上策として機内販売に力を入れています。
航空会社のオリジナル商品も取り扱っているほか、機内販売限定商品も。また、国際線では、酒類やタバコなどの免税品の販売も行われています。
また、従来の航空会社では軽食等の付帯サービスが運賃に含まれていました。
LCCなどの格安航空会社では航空運賃を低価格に設定する代わりに、酒類やソフトドリンク、軽食を付帯サービスとして有料で提供しています。
有償の付帯サービスは各社によってさまざまですが、電話予約、荷物の持ち込みと預け入れ、食事・飲み物、機内音楽・エンターテーメント、WiFi サービス、座席指定、足元の広い座席や前方・通路側の座席の選択などがあります。
市場規模・将来性
市場規模
2019年の航空業界の市場規模(主要対象企業5社の売上高の合計)は3兆5,131億円となっており、2010年以降一貫して増加傾向にあります。国内旅行の需要が高く、円安を背景とした訪日外国人観光客の増加によって、旅客輸送事業の需要は国内線・国際線ともに堅調に推移しています。
国土交通省が公表している「航空輸送統計」によれば、2019年の国内定期航空輸送の旅客数は9,720万人(前年比+1.4%増)、国際航空輸送の旅客数は2,050万人(前年比+12.3%)です。
「航空輸送統計」は国内線・国際線ともに旅客数が5年連続のプラスとなっていることを示しています。
また、航空業界の需要予測として中国やインドの経済発展や世界の中間層人口の拡大によって、今後数十年は世界の航空需要は増加し続けると予想されています。
航空需要の推移については様々な予測がありますが、世界の中間層の増加によって、これまで航空機を利用した観光ができなかった人々が活発に観光することによって航空需要は将来的に約3倍以上になると予想。
このような前向きな予想が立てられていた中で起きたのが新型コロナウイルスの感染拡大です。
新型コロナウイルスによって各国とも入国規制を発表し、世界の観光需要は一気に消滅していまいました。
国連世界観光機関(UNWTO)によれば、2019年の1月から6月にかけて海外旅行にいった人の総計は前年同期比△4億4,000万人となりました。観光客の激減によって、世界の観光業の損失は約48兆6000億円に上ります。
これはリーマンショック時の損失の約5倍という大きな損失です。国連世界観光機関(UNWTO)の予想では世界の観光需要の回復には少なくとも2年程度、長引けば4年以上かかると言われており、今後の航空需要の推移は依然として不透明なままです。
新型コロナウイルスの影響と将来性
新型コロナウイルス以前は世界の航空需要は旺盛に推移しました。国内の航空会社も旺盛な需要を享受し、右肩上がりで増え続けるインバウンド需要とビジネス出張の需要によって業績が堅調に推移していました。
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大によって航空会社を取り巻く環境は一変しました。上述の通り、世界の観光需要が衰える中で2020年11月に国内の格安航空会社であるエアアジア・ジャパンが経営破綻したことは象徴的な出来事です。
新型コロナが世界に広がるにしたがって、世界各国が水際対策として入国制限措置をとり、世界中の航空会社が進行な打撃を受けています。
IATA(国際航空運送協会)が2020年に公表した調査によれば、有償旅客キロ(RPK: Revenue Passenger-Kilometers(有償旅客数×輸送 距離))で見た場合の世界の航空需要は2020年4月が前年同期比△94.3%、2020年5が前年同期比△91.3%となりました。
いずれも9割以上の需要が喪失しており、世界各国での航空会社の経営が苦境に立たされています。人員削減や経営破綻などに追い込まれた企業や、各国政府による資金支援を受け立て直しを図る企業も報道されています。
新型コロナウイルスが収束した後の航空需要はどのように推移するのでしょうか。
OECD(経済協力開発機構)の予測では2021年までに世界の経済は以前の水準に回復する見通しですが、今の所航空需要の回復は見られません。
各国ともワクチンの接種が普及していない現状では入国制限措置を緩和する方針はなく、国境をまたいだ移動は著しく制限されています。また、仮に各国の出入国規制が解除された場合に以前と同様の水準に戻るのかは疑問です。
なぜなら、コロナ禍においてビジネスでは現地に出向かずにオンライン会議を開催するようになり、国外への出張頻度が減っており、既に常態化しつつあるからです。
人々がコロナ禍での生活様式に慣れた場合にはコロナが収束したとしたも以前のように航空機を利用するとは言えません。
世界的な投資家であるウォーレン・バフェット氏は2020年2月にデルタ航空を含むアメリカの大手4社の航空会社の株式をすべて売却したと明らかにしています。
彼は投資の神様とも呼ばれ、数々の株式の上下予測を的中してきましたが、航空需要については「外出制限が人々の行動に与える影響は分からない。3~4年後に、昨年までのように飛行機に乗るようになるのか見通せない」と悲観的な見方を示しています。
業界の分類
大手航空会社
大手航空会社はレガシーキャリア、フルサービスキャリアとも呼ばれ、「フルサービスを提供する既存の大手航空会社」を指します。
LCCが登場する以前から存在し、信頼性の高さや機内サービスの充実度などが魅力です。大手航空会社といえば、国内では日本航空(JAL)と全日空空輸(ANA)を指します。
格安航空会社
格安航空会社はLCC”Low Cost Carrier”とも呼ばれ、効率化によって航空券を安くし、サービスを簡素化しています。既存の大手航空会社に比べてサービスでは劣りますが、圧倒的に割安な航空運賃を実現しています。
例として、ピーチ・アビエーション、ジェットスター・ジャパン、バニラエア春秋航空日本などがあります。
最新のトレンド
訪日観光客で航空需要は堅調なるもコロナの影響で激減
観光需要が好調なことによって航空需要も堅調に推移しています。
2007年から2010年にかけて、旅客者数は減少しましたが、2010年以降は企業の出張増によるビジネス渡航や訪日外国人観光客の増加によって一貫して層化しています。
国土交通省が公表している「航空輸送統計」によれば、2019年の国内定期航空輸送の旅客数は9,720万人(前年比+1.4%増)、国際航空輸送の旅客数は2,050万人(前年比+12.3%)です。
「航空輸送統計」は国内線・国際線ともに旅客数が5年連続のプラスとなっていることを示しています。
日本政府観光局が公表している観光者数推移統計によれば、2013年に日本を訪れた訪日外国人観光客は1,000万人を突破、2018年には3,199万人と初めて3,000万人を突破しました。
政府は好調な観光需要を背景に成長戦略の一環として観光政策を推進しており、2020年に4,000万人、2030年に6,000万人の訪日外国人観光客を迎えるという目標を掲げていました。これは国内の航空会社各社にとっても追い風であり、各社とも国際線の発着を増やしていました。
しかし、新型コロナウイルスの拡大によって、航空会社を取り巻く環境は激変しました。政府が予想していた観光需要も低迷を続け、世界各国の入国制限によって観光需要は消滅しました。
国内では020年11月に国内の格安航空会社であるエアアジア・ジャパンが経営破綻、LCCのジェットスターが一部路線を運休するなど厳しい状況が続いています。さらに2021年の東京オリンピックは海外からの観光客を受け入れない方針が決定され、航空会社各社が期待していた観光需要も消滅しました。
LCCの動向
LCCは従来の航空会社と比べてかなり低価格で国内の地方都市を結ぶ役割を果たしました。低価格で飛行できるLOCは消費者の需要も旺盛で、最近では巨大市場に成長しつつあります。実は航空需要が堅調に推移している背景にはこのLCCの参入があります。
特に中国を中心に経済成長が見込めるアジアでは航空需要も盛んで、今後は中距離路線の航空需要の増加が見込めます。LCC各社はこのような状況で中距離路線への参入を検討しています。
ここ10年間でLCCの需要は著しく伸びています。
国土交通省によると2019年時点で日本のLCCの利用率は国内線シェア10.2%、国際線シェア26.1%と国際線が多く利用されています。国内線はここ数年ほぼ横ばい続きですが、
国際線のLCC利用は右肩上がりで、2015年に成田空港にLCC専用ターミナルが開設されて以降、大きな伸びを見せています。
こうした動向を受け、ANAは2019年11月に傘下の『ピーチ・アビエーション』と『バニラ・エア』の統合を完了し、ブランドを『peach』に集約しました。2018年にJALもLCCの新会社『ジップエア・トーキョー』を設立、座席にゆとりがある中型機を採用し他社との差別化を図ります。
航空業界の主要会社を比較
ここでは航空業界の中から
- 日本航空
- 全日本空輸
- AIRDO
を取り上げて解説していきます。それぞれの企業の強みなどが明確にわかるため、それぞれの企業での面接アピールポイントの参考にしてみてください。
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日本航空
日本航空はJAL(Japan Airlines)の略称で知られ、全日本空輸と並んで日本の主要航空会社です。日本航空と全日本空輸はフルサービスキャリアと呼ばれています。
日本航空は第二次世界大戦後にGHQが官民問わず航空会社による運行禁止期間を設けていたのが、開場された1951年に設立された日本航空創立準備事務所に起源を持ちます。それ以来、国内線・国際線ともに最も長い歴史を持ち、イギリスのスカイトラックスによる航空会社の格付けでは最高の評価である、「ザ・ワールド・ファイブ・スター・エアラインズ」の評価を受けました。
「世界で一番お客さまに選ばれ、愛される会社」が会社の目標であり、コーポレートスローガンは「明日の空へ、日本の翼」です。現在、国際線689 路線、国内線145 路線を運航しています。国際線は羽田空港、成田空港、関西国際空港を拠点として欧米やアジア、オセアニア地域に路線網を有します。世界的な航空連合である「ワンワールド」にも加盟しています。
ポジショニング/強み/特徴
JALといえば2010年に経営破綻され、京セラの稲盛和夫氏が会長に就任し、経営再建を果たしたことで知られています。経営破綻の原因は高い給与制度と無理のある国際線の拡充でした。
この反省を活かして、現在では顧客サービスの「質」で勝負をかけています。
効率化に努め、稼働率を上げる取り組みを実施した結果として、2018年の営業利益率は11.8%を誇っています。
一方で、これまで「国際線と言えばJAL」と言われていましたが、運行実績では全日本空輸の後塵を拝しています。
羽田空港の国内航空会社向け国際線発着枠16枠のうち、国土交通省がANAに11枠、JALに5枠を配分する決定を下している点が影響です。
収益の柱
2020年3月有価証券報告書によれば、当社グループは、当社、子会社81社および関連会社55社により構成され、「航空運送事業」および「その他」を営んでおり、その事業内容と各事業に係る位置づけおよび事業の種類別セグメントとの関連は、次のとおりです。
- 航空輸送事業
- 空港旅客サービス
- グランドハンドリング
- 整備
- 貨物
- 旅客販売
- 空港周辺事業他
- その他
航空輸送事業
当社、子会社の日本トランスオーシャン航空株式会社、日本エアコミューター株式会社、株式会社ジェイエア、株式会社ZIPAIR Tokyo、株式会社北海道エアシステム、琉球エアーコミューター株式会社および関連会社が航空運送事業を行っています。
空港旅客サービス
航空旅客の搭乗手続きおよび案内業務に加えて、運航補助業務、搭載コントロール業務を株式会社JALスカイ等の子会社が行っています。
グランドハンドリング
手荷物および貨物の搭載、航空機の誘導、客室や機体外部のクリーニング等、空港内地上サービス業務を株式会社JALグランドサービス等の子会社が行っています。
整備
航空機、エンジンおよび航空部品の整備等を株式会社JALエンジニアリング等の子会社が行っています。
貨物
貨物・郵便の取扱い業務、上屋(貨物取扱施設)業務等を株式会社JALカーゴサービス等の子会社および関連会社が行っています。
旅客販売
貨物・郵便の取扱い業務、上屋(貨物取扱施設)業務等を株式会社JALカーゴサービス等の子会社および関連会社が行っています。
旅客販売
電話による予約受付・案内等を株式会社JALナビア等の子会社が行っています。
空港周辺事業他
機内食調製等をジャルロイヤルケータリング株式会社等の子会社および関連会社が行っています。
その他
航空運送を利用した旅行の企画販売、航空座席の販売、手荷物宅配、システム開発・運用、旅行業向け予約発券システムの提供、クレジットカード事業等を株式会社ジャルパック、株式会社ジャルセールス、株式会社JALインフォテック、株式会社アクセス国際ネットワーク、株式会社ジャルカード等の子会社52社および関連会社51社、合計103社が行っています。
主力事業である航空運送事業の実績については、営業収益は1兆2,848億円(前年同期比5.4%減少)、営業利益は859億円(前年同期比47.1%減少)となりました。
業績動向
2020年3月有価証券報告書によれば、当連結会計年度における営業収益は1兆4,112億円(前年同期比5.1%減少)、営業費用は1兆3,105億円(前年同期比0.0%減少)となり、営業利益は1,006億円(前年同期比42.9%減少)、経常利益は1,025億円(前年同期比38.0%減少)、親会社株主に帰属する当期純利益は534億円(前年同期比64.6%減少)となりました。
全日本空輸
全日本空輸はANA(All Nippon Airways)の略称で知られ、日本航空と並んで日本の主要航空会社です。日本航空と全日本空輸はフルサービスキャリアと呼ばれています。東証一部上場のANAホールディングス株式会社の子会社です。
1952年に設立され、以来、国内線・国際線ともに最も長い歴史を持ち、イギリスのスカイトラックスによる航空会社の格付けでは最高の評価である、「ザ・ワールド・ファイブ・スター・エアラインズ」の評価を受けました。
これは日本のエアラインで初めての快挙です。現在では国際線で1位、国内線で2位の実績を誇ります。
「国内線のANA」と呼ばれるように国内線で最大の路線網を有しています。また、国際線で運航実績では日本航空を抜き、第1位となっています。国際線は欧米やアジア、オセアニア地域に路線網を有しており、世界的な航空連合である「スターアライアンス」にも加盟しています。
ポジショニング/強み/特徴
全日本空輸の売上高のうち、国内線の旅客収入が約3割、国際線の旅客収入が約3割を占めています。
国内線は頭打ち状態であり、売上高は毎年横ばいに推移していますが、国際線は毎年約10%ベースで増加しており、成長が見込めることから国際線強化を打ち出しています。
特に経済成長が著しいアジア地域の囲い込みを進めており、アジアへの就航便を増やす計画です。
LCC事業においては、連結子会社であるピーチ・アビエーションが4月から沖縄=高雄線、8月から関西=釧路線を新規開設したほか、バニラ・エアが7月から成田=石垣線、沖縄=石垣線を新規開設し、10月から沖縄=台北線を増便するなど、国内線・国際線ともにネットワークの拡充を図っています。
収益の柱
2020年3月有価証券報告書によれば、当社グループは、グループ経営戦略策定等を行うANAホールディングス株式会社及び子会社128社、関連会社45社により構成されており、
- 航空事業
- 航空関連事業
- 旅行事業
- 商社事業
- その他
を営んでいます。
航空事業
事業内容
全日本空輸株式会社、ANAウイングス株式会社、株式会社エアージャパン、Peach・Aviation 株式会社が航空事業を行っています。 子会社6社及び関連会社4社が含まれており、うち子会社5社を連結、関連会社1社に持分法を 適用しています。
営業利益
495億円(前期比69.1%減)
航空関連事業
事業内容
ANA大阪空港株式会社、ANAエアポートサービス株式会社、ANAテレマート株式会社及び ANAベースメンテナンステクニクス株式会社他は、顧客に対する空港での各種サービス提供、電話による予約案内、航空事業で運航される航空機への整備作業の役務提供等を行っています。
空港 地上支援業務や整備作業等の役務は、持分法を適用する航空事業の会社や、当企業集団以外の国内 外の航空会社を顧客としても行っています。
営業利益
181億円(前期比37.7%増)
旅行事業
事業内容
ANAセールス株式会社が全日本空輸株式会社の航空券等を組み込んだ「ANAハローツアー」 及び「ANAスカイホリデー」ブランドのパッケージ旅行商品等の企画及び販売を行っています。 主に全日本空輸株式会社の航空券と宿泊等を素材とした商品開発及び販売が行われています。
海外ではANA Sales Americas他が、国内会社が販売したパッケージ商品の旅行者に対して到着地 での各種サービスの提供を行うとともに、航空券や旅行商品の販売等を行っています。 子会社5社及び関連会社3社が含まれており、うち子会社5社を連結、関連会社1社に持分法を 適用しています。
営業利益
13億円(前期比129.9% 増)
商社事業
事業内容
全日空商事株式会社を中心とする子会社が、主に航空関連資材等の輸出入及び店舗・通信販売等 を行っています。これらの物品の販売は、当企業集団内の子会社・関連会社を顧客としても行われ ています。 子会社61社及び関連会社3社が含まれており、うち子会社8社を連結、関連会社1社に持分法を 適用しています。
営業利益
29億円(前期比21.5% 減)
その他
事業内容
ビル管理、人材派遣等の事業を行っています。子会社であるANAスカイビルサービス株式会社 はビルメンテナンスを、ANAビジネスソリューション株式会社は人材派遣等を行っています。 子会社8社及び関連会社30社が含まれており、うち子会社7社を連結、子会社1社及び関連会社 10社に持分法を適用しています。
営業利益
35億円(前期比55.0%増)
業績動向
2020年3月有価証券報告書によれば、当期における連結業績は、航空事業を中心に減収となったことから売上高は1兆9,742億円(前期比4.1%減) となり、急激な需要の落ち込みに合わせて運航規模を抑制し費用の削減を図ったものの、売上高の減少影響が非常に大きかったことから、営業利益は608億円(同63.2%減)、経常利益は593億円(同62.1%減)となりました。
特別損益において、航空機の受領遅延やエンジンの不具合に対する補償金を計上した一方、Peach・ Aviation㈱に係るのれんについて、将来キャッシュフローを算定した結果、収益性が低下したことから、のれんの減損を行ったこと等により、親会社株主に帰属する当期純利益は276億円(同75.0%減)となりました。
AIRDO
AIRDOは北海道を拠点とする航空会社であり、1996年に北海道国際航空会社として設立されました。名称を現在のAIRDOに変更したのは2012年のことです。
1998年に札幌・千歳空港ー東京・羽田空港間で運行を開始しましたが、2001年のアメリカ同時多発テロ事件により世界的な航空不況により、乗客が減少し、経営が圧迫されました。
経営再建のため北海道庁に支援を求めるも拒否され、2002年に経営破綻しています。
その後はANAの経営支援を受け、2005年に再建を果たします。名称のAIRDOのうちAIRは空、DOは北海道の道にちなんでいます。
ポジショニング/強み/特徴
AIRDOは北海道に特化した航空会社として北海道では抜群の知名度を誇ります。また、他の大手航空会社との差別化を図るために安価に利用可能な「値段以上」のサービスを実現しています。低価格ながら、JALやANAなどの大手航空会社と同等の機内サービスの提供を行っています。
収益の柱
2020年3月有価証券報告書によれば、当社グループは、当社のみで構成され、航空運送事業を主な事業としています。当社は、航空運送事業の単一セグメントです。
中間会計期間としては旅客数が過去最多となる等、2020年3月期業績予想の上方修正を行い堅調に推移していましたが、年度末にかけて新型コロナウイルス感染症の影響による航空需要の低下を受け、当社においても業績予想を下回る結果となりました。
当事業年度における当社の運航実績は、就航率は99.1%(前年同期98.2%)、定時出発率は93.1%(前年同期90.8%)、提供座席数は2,969千席(前年同期比4.7%増)となり、旅客数は2,037千人(前年同期比4.3%減)となりました。座席利用率は、路線の平均で68.7%(前年同期75.1%)となりました。
業績動向
営業収入は、運航便数の増加に伴いコードシェアによる座席販売分を含め、45,545百万円(前年同期比1.5%増)となりました。
事業費については、整備費の増加、原油価格の上昇等を主因とした航空燃油費の増加により、38,988百万円(前年同期比4.4%増)となりました。販売費及び一般管理費は、消耗品費の減少等により4,281百万円(前年同期比4.4%減)となったことで、営業費用は43,269百万円(前年同期比3.4%増)となりました。
この結果、営業利益は2,275百万円(前年同期比25.3%減)となりました。
営業外損益において、営業外費用が増加したこと等により、経常利益は1,629百万円(前年同期比31.5%減)となり、当期純利益は424百万円(前年同期比61.4%減)となりました。