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デベロッパー 業界研究

【就活生必見】デベロッパーの業界研究|事業構造・将来性・働き方など徹底解説

理系・文系問わず、就活生に最も人気の職種の一つであるデベロッパー。旧帝大など、高学歴の多くの就活生が志望するまさに就活最難関業界です。そのため大切なことは、デベロッパーについてどれだけ正しく理解し、その上で自分の強みや頑張ったことを、デベロッパーでどう活かせるかを具体的にイメージし面接官に伝えることが重要です。この記事ではデベロッパーの業界研究を有価証券報告書やシンクタンクのレポートをもとに、詳しくわかりやすく説明しております。この記事を読めば、デベロッパーの業界研究は完了するでしょう。ぜひ最後まで読んで、デベロッパーの就活に挑みましょう。

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デベロッパー業界とは

この記事は専門家による詳細な調査記事になっています。

この章ではデベロッパー業界の

  • 業界構造
  • 将来性
  • 業界分類
  • 最新トレンド
     

について解説していきます。

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業界構造


13029_デベロッパー_売却_1


デベロッパーは土地を取得・開発し、保有する物件を売却することで収益を得ています。わかりやすく言えば、マンションやアパートを建てて、部屋を売却しています。

最初に行うのは土地の取得です。土地の周囲の環境や周辺に住む人々のニーズ、相場の妥当性などを調査して、土地を取得します。

土地の取得のためには費用がかかりますが、費用だけではなく、土地の所有者との信頼関係が重要です。

デベロッパーが購入を検討する土地は他の不動産会社も狙っていることが多いので、単にお金を出せば土地を取得できるわけではないからです。

用地を取得したら、どのようなマンションやショッピングモールを建設するのかを検討します。具体的にはデザインや設計、雰囲気などです。

企画書を作成したら、実際に建設を担うゼネコンに依頼をします。建築する物件の種類や周辺環境によっては地方自治体から行政許可を得る必要があります。

デベロッパーはゼネコンやその下請け会社などのまとめ役として、プロジェクトを先導します。ゼネコンはデベロッパーの企画書に沿って工事計画を策定し、ゼネコンの下請け会社に工事の依頼をします。

マンションやショッピングモールの建設には年単位の時間を要しますが、デベロッパーはスケジュール管理や収支の管理を行ないます。無事に建設が終わると完成したマンションなどはゼネコンの所有となり、デベロッパーに納品されます。

マンションやショッピングモールを建設しただけでは意味がありませんので、デベロッパーは不動産販売会社に売却します。分譲用住宅やマンションなどの場合は自社のチラシ広告や公式サイトなどで集客をしたり、不動産仲介会社に依頼したりして買主を探します。

 

不動産の賃貸

デベロッパーは不動産を取得し、開発した後に売却するだけではなく、物件の賃貸も行っています。
 

13029_デベロッパー_テナントの関係_2


例えば、マンションやアパートなどは不動産販売会社に売却されますが、ショッピングモールやオフィスビル等はデベロッパーの管理の下で物件に企業を誘致します。その他にもホテルやリゾート施設などもあります。

テナントが入りたいと思える場所・雰囲気を作れるかどうかがデベロッパーとしての腕の見せどころです。

 

13029_デベロッパー_顧客と物件・テナント_3


物件の特性や企業との相性を考えて、物件やテナントを利用するニーズがありそうな企業に営業をかけて、賃貸してもらえるように依頼します。企業の誘致に成功したら、継続的に利用料を得ることができます。
 

13029_デベロッパー_デベロッパーと顧客_4


また、企業をテナントや物件に誘致して終わりではなく、その後の管理や運用もデベロッパーが行うことになります。複合型施設や商業施設である場合はイベントの企画なども行います。イベントの企画などを通じて、物件の知名度を高め、魅力的な物件を作り、より多くの企業を誘致できるようにします。


賃貸の場合は不動産の売却と比べて、利益の回収に時間がかかります。
大型のオフィスビルやショッピングモールを建設する際には10億円〜20億円という大規模の事業費がかかりますが、賃貸収入で事業費を回収するには2~3年の時間が必要です。したがって、資金の回収効率は決して高くなく、デベロッパーにとっても回収リスクがあります。

また、大型のショッピングモールなどを建設する場合などは地方自治体から許認可を受けたり、周辺住民への説明なども必要になります。近隣対策を怠ると建設工事が始まってからトラブルに発展する可能性があります。

 

市場規模・将来性

市場規模

2019年から2020年の不動産業界の市場規模(主要対象企業136社の売上高の合計)は15兆4,708億円となっています。

また、財務総合政策研究所によれば、不動産業界自体の市場規模は46兆5,363億円(2018年度)と非常に大きく、2014年の36兆9,811億円から5年で10兆円増と市場は大きく拡大しています。

不動産業界は日本国内で自動車、建設、医療の次に大きいと言われています。日本のGDPは約500兆円と言われていますので、不動産はGDPの10%弱を占めていることになります。
経済産業省の調査によれば、世界の商業用不動産市場規模において、日本は世界全体の約10%を占める巨大市場であり、アメリカに次いで世界第2位の市場規模となっています。

不動産業界に参入している事業者の数も非常に多いです。財務総合政策研究所によれば、日本のすべての産業を合わせると日本には277万の法人があると言われていますが、そのうち不動産業は32万あります。実に不動産業だけで全産業の11.6%を占めています。これらすべてがデベロッパーではありませんが、不動産業の事業者の数だけを見ても巨大産業であることがわかると思います。

2014年から2018年の5年間で10兆円拡大している不動産業界ですが、現在も市場は拡大傾向にあります。2020年に開催が予定されていた東京オリンピックによる各種施設の建設需要や東京都心部が国家戦略特区に指定されたことによるオフィスビル需要の影響によって、東京都心部を中心に商業施設やタワーマンションの建設が盛んに行われています。経済産業省の調査によれば、今後さらなる建設ラッシュが続き、市場規模はますます拡大することが予想されています。

また、最近の傾向として国内不動産の外資系法人による取得が進んでいます。2014年にリーマンショック後最大となり、 日本の不動産市場の取得金額全体に占める外資の割合は、近年、上昇基調にあります。主な投資元はアメリカやシンガポールですが、最近では香港や中国資本も増えています。

 

将来性

現状、不動産業界は順調に成長を続けていますが、将来的には厳しい見通しが立っています。背景には人口減少やオリンピック需要の反動があると考えられています。

日本では現在、新しいマンションやアパート、商業施設が次々と建設されていますが、将来的には歯止めがかかると予想されています。野村総合研究所の調査によれば、2040年にはマンションの40%近くが空室になると試算されています。つまり、3軒に1軒以上が空き家という家余りの時代ですので、マンションの価格が下落し、住宅建設が進まないことが予想されます。この背景には人口の減少があります。

日本では2004年に人口のピークを迎えて以降、人口が減少しており、厚生労働省によると現在の日本の人口は1億2,630万人ですが、30年後の2050年には日本の総人口は9,708万になると予想されています。また、高齢化も進み、2050年には全人口の約40%が65歳以上の高齢者という超高齢化社会が到来し、ここまで増加傾向にあった世帯数も減少することが予想されています。

国立社会保障・人口問題研究所によれば、一般世帯数は、2023年まで増加を続けたあとで減少傾向に切り替わるとみられており、世帯人員はその減少幅をゆるやかにしながら低下を続ける予想です。世帯数が減少すると、その分住宅の需要も減少します。住宅の需要が低下することで空き地や空き家が増加し、価格も下落する事態に陥ると予想されているのです。

また、東京オリンピックの誘致が成功してから、日本国内だけでなく海外の投資家からも日本の不動産市場は注目を集め、経済産業省の調査によれば、国内の不動産の外資の投資割合は毎年上昇傾向にあります。さらに、日本銀行の低金利政策も後押しして、不動産バブルと呼ばれるような状況になりました。

しかし、オリンピックによって不動産市場が活況を呈した反動で、オリンピックが終焉すると不動産価格が下落すると言われています。これは、海外投資家が手を引き建築ラッシュが終了することによる反動で、実際に選手村用に作られた巨大住居が、既に供給過多になのも事実です。

 

業界の分類


13029_デベロッパー_財閥_5


財閥系は安定的な事業基盤が強みであり、規模も大きく総合的な一貫体制を整備しています。実績と信頼があり、安定した収益を挙げています。例えば、三井不動産や三菱地所、住友不動産などが該当します。
 


13029_デベロッパー‗独立‗6


独立系のデベロッパーとは森ビル、イオンモール、タカラレーベン、コスモスイニシア、大和地所レジデンス、穴吹工務店などが該当します。森ビル、イオンモールは商業施設、それ以外は分譲マンションなどに強みがあります。
 


13029_デベロッパー_鉄道_7


鉄道系のデベロッパーは特定の営業基盤を有し、沿線上における住宅やマンション、商業施設などの土地開発を行っています。東急不動産、京王不動産、小田急不動産などが該当します。
 

最新のトレンド

新型コロナウイルスの影響

2020年に中国から新型コロナウイルスが拡大し、日本でも感染が拡大しました。非常事態宣言や外出自粛要請、在宅勤務の普及によって、オフィス戦略を見直す企業が増えています。IT企業を中心にテレワークへの移行をきっかけにオフィスの解約やオフィス不要論が唱えられるようになりました。

多くの企業はテレワークに移行しつつも本社のオフィスの解約や売却には踏み切りませんでしたが、人々の働き方に変化が出てきたことには間違いありません。しかし、2020年は不動産取引数、価格ともに大きな落ち込みは見られず、コロナの影響は限定的と言えます。とくに、不動産価格は2020年後半から上昇に転じており、2019年1月の水準を超えました。日銀による超金融緩和政策の影響が出ているとみられます。

しかし、現状のところ首都圏のオフィスの需要に大きな変化は見られませんが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で景気低迷が続けばオフィスの需要が減退する可能性はあります。

実際に東京商工リサーチ(東京都千代田区)が2021年4月に実施したアンケート調査によると、不動産業でコロナの影響を受けたのは220社中162社で、全体の73.6%に達していることが分かっています。2020年後半からオフィス賃貸の空室率が上昇し、警戒領域と言われる大台の5%を突破しました。オフィス賃貸は大手不動産の収益柱ですので、今後の不動産業界を占う試金石となります。

 

戸建・マンションは横ばいで推移

オフィス向け物件同様に新型コロナウイルスによって戸建てやマンションの需要は減少するのではないかと警戒されていました。しかし、2020年の推移を見ると、戸建、マンションともにほぼ横ばいで推移しています。それどころか住宅の価格や取引件数は一時的には下落したもののその後は持ち直し、今では新型コロナウイルス以前よりも伸びています。


13029_デベロッパー_生産緑地_8


今から約50年前に団塊の世代が都市部に移住してきたことで日本は極度の住宅不足に陥りました。そこで政府は東京、大阪、名古屋の住宅街では原則として農業をやめて住宅地にするという方針を打ち出し、住宅地で農業を続ける農家については固定資産税を宅地同様にして税負担を重くし、農地を住宅用地として売りに出すように促進しました。しかし、この政策によって1990年代には農地不足が深刻化して、食料自給率も低下しました。

その結果、政府は方針を転換し、1992年に生産緑地法が制定され、市街化区域内でも500㎡以上の農地であれば、固定資産税を農地並に低減する他、相続税の納税猶予制度が適用されるようになりました。

しかし、生産緑地に指定するにはいくつか条件があります。

 

  1. 固定資産税を安くする代わりに農業以外の用途に使ってはならない
  2. 農業を営む者がいなくなれば適用終了
  3. 制度制定から30年が経過すれば終了


この3つ目の条件である「制度制定から30年が経過すれば終了」という条件が問題になっています。生産緑地法が制定されたのが1992年なので2022年で30年を迎えます。

当然、1992年の制度の誕生とともに生産緑地指定した農家がほとんどですので、当時税金を抑えるために緑地指定した土地の税金が2022年になれば上昇することになります。

そこで、税金を苦にした地主が土地を大量に売りに出すのではないかというのが「2022年問題」です。これによって不動産価格が暴落し、不動産市場が混乱するのではないかと警戒されています。

生産緑地に指定された区域の殆どは首都圏・近畿圏・中京圏に集中しており、全国で約1万
4,247haある生産緑地のうち約8割が2022年問題に該当すると見られています。

実際に期限到来により、農地が大量に売りに出される可能性をハウスメーカーやマンションデベロッパーが期待しており、これら広大な土地が不動産会社に売却されると、結果的に需要と供給のバランスが崩れ、不動産価格や賃貸物件の賃料の下落につながる恐れがあります。

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