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ガス業界 業界研究

【就活生必見】ガス業界の業界研究|事業構造・将来性・働き方など徹底解説

ガス業界=安定しているという印象を持つ学生も多いのではないでしょうか?ホワイトな職場環境、グローバルな事業内容、安定性を求めて多くの学生を魅了しているのがガス業界です。内定者の多くは難関大学出身ですので、競争も激しいです。なので大切なことは、ガス業界についてどれだけ正しく理解し、その上で自分の強みや頑張ったことを、ガス業界でどう活かせるかを具体的にイメージし面接官に伝えることが重要です。この記事ではガス業界の業界研究を有価証券報告書やシンクタンクのレポートをもとに、詳しくわかりやすく説明しております。この記事を読めば、ガス業界の業界研究は完了するでしょう。ぜひ最後まで読んで、ガス業界の就活に挑みましょう。

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ガス業界とは

この章ではガス業界

  • 業界構造
  • 将来性
  • 業界分類
  • 最新トレンドについて

解説していきます。

業界構造


ガスの製造・供給

ガス会社はエネルギーの一つであるガスを製造し、ガス備蓄装置に貯蔵します。

そして、そのガスを主に都市部に広く敷設されたガス導管によって安全・安心な方法で各家庭や法人企業、工場などに供給することで収益を上げています

ビジネスモデルとしてガスの原材料を輸入して、ガスとして製品化して、各家庭や企業などの需要者に届けます。

そして、ガスの基本料金と利用分に応じた使用料を徴収するというシンプルなものです。

ガス会社の利益構造は出来るだけ多くの家庭や企業と契約を結ぶことによって多くの利益が上がるという単純な仕組みです。

ガスは固定費であり、一度契約すれば、解約せずに契約を継続している限り手数料が継続的に入るストック収入です。

また供給区域内の独占供給が認められている一方で供給できる価格も決められているので、利益が安定しています。

したがって、多くのガス会社の利益は安定していると言われています。

ガス業界のビジネスモデル

ガスの原材料は主に天然ガスです。日本は天然資源に恵まれた国土を持たないので、天然資源にの大半を海外からの輸入に頼っています。

海外から輸入する際にはメタンを主な成分に持つ天然ガスとプロパン・プタンを主な成分に持つ液化天然ガス(LNG)として輸入されています。

これらの天然ガスは「燃える気体」であり、燃やすことによってガスを発生させるという特性があります。

原材料の大半を輸入に頼っているため、日本のガス導管設備はガス需要の高い地域の湾岸地区にある液化天然ガスの受け入れ基地を起点として、扇形に整備されています。製造されたガスはガスの導管網を通じて日本全国に運ばれれます。

したがって、ガスの事業者と導管網は全国の各地域の都市部を中心に偏在しており、その普及エリアの合計は、国土面積の約6%にも及びます。

また、ガス業界の特徴として、天候に消費量が左右される面があります。

同じくエネルギー関連である電力は景気の動向に大きく左右されるという特徴があるのに対して、ガスは経済活動と密接に関わっているというよりは人々の暮らしに必要不可欠なものであり、天候の変動に影響を受けます。

例えば、気温の低い日が続くと、多くの家庭が暖房を使用するので、ガスの使用量は増えます。逆に気温の高い日が続くと、暖房の需要はありませんので、ガスの使用量は減少するという仕組みです。


都市ガスとプロパンガス

ガス会社のビジネスモデルは上述のとおりですが、ガス会社が供給している商品には大きく分けて都市ガスとプロパンガスがあります。

都市ガスはメタンを中心とした液化天然ガスを原材料とし、地下に地下に埋められたガス導管を通って、日本全国に広域的に供給・販売しています。

これらのガス導管は主に都市部の地下に設置されており、日本国内で供給されている都市ガスには13A・12A・6A・5C・L1・L2・L3の7種類が存在します。

一方で、プロパンガスはプロパン・プタンなどの液化石油ガスが原材料となっています。

英語名ではliquefied petroleum gasであり、LPガスもしくはLPGと呼ばれます。都市ガスが日本全国に張り巡らされたガス導管を通ってガスを供給しているのに対して、プロパンガスはガスの充填されたガスボンベを各家庭に配送し、配置することで供給しています。

ガスボンベを配送する必要があるので、定期的にガスボンベの交換が必要となります。

このように都市ガスとプロパンガスでは原材料や供給方法に大きな違いがあります

ガスの供給方法の違い

市場規模・将来性


市場規模

2019年のガス業界の市場規模(主要対象企業17社の売上高の合計)は約9兆円となっています。

日本のGDPは約500兆円であることを考えると、ガス業界だけで4%を占めていることになります。

ガスは人々の生活や経済活動を支える重要な社会インフラですので、大きな市場規模を誇っていると予想されます。

ちなみに約9兆円という市場規模はコンビニエンスストアやアパレル、製薬業界、携帯電話とほぼ同程度の市場規模です。

また、2017年にガスが全面自由化されたことによって生まれた小規模事業者の市場規模はガス業界全体の9兆円のうち約4分の1の約2.4兆円を占めています。

また、都市ガスとプロパンガスの割合はそれぞれ都市ガスが5兆円、プロパンガスが4兆円で合計9兆円となっています。

日本LPガス協会の調査によれば、ガスの需要がある家庭は約2,600万件、そのうち2,500万件が一般家庭、残りの100万件が小規模や事業所となっています。

さらに企業など大口も含めると全国に約3,000件のガスの需要家があります。

国内のLPガスの消費量は年間約1,429万トンであり、そのうち家庭業務用が596万トンと全体の41%を占め、一般工業用が320万トンで22%、化学原料用が300万トンと20%、都市ガス用が136万トンと9%、自動車用が77万トンで5%を占めています。

LPガスの需要と消費量

今後、LPガス業界全体としては需要が減少傾向にあることが予測されており、2017年の国内需要が合計1450万5千トンでしたが、2020年には1440万9千トン、2023年には1419万7千トンにまで減少することが見込まれています。


将来性

ガス業界の将来性について考察してみましょう。

短期的にはガス業界は成長産業であると言われています。その要因として原子力発電所の稼働停止があります。

原子力発電所に代わって日本の主な電力源は火力発電となっています。

ガス業界は火力発電に必要な原材料を提供していますので、現在のところは非常に好景気です。

一方で、ガス業界の将来性については不確定要素も多くあります。

例えば、少子高齢化と人口減少です。ガスは社会インフラであり、人々の生活を支える必要不可欠なエネルギーですが、日本の人口が減少すれば、それに比例してガスの需要も減少します。

また、地球温暖化の影響を受けて、日本では暖冬が増えて起きており、暖房を利用する機会が減少しています。

それによって家庭でのガスの需要も減少しており、今後地球温暖化がさらに進行することを考慮するとガスの需要は減少する可能性があります。

上述したように原子力発電所の稼働停止によって火力発電など工業用のガス需要は増加しているのですが、家庭用のガスの需要は減少しているため、将来性として一般家庭向けのガスよりも企業向けのガスの需要が高まっていくと予想されます。

また、ガスの全面小売自由化もガス業界にとっては大きな出来事です。

2017年に都市ガスの小売が全面的に自由化され、異業種からの参入も進んでいます。これによって、消費者としては選択肢が増えるほか、企業間の競争によって商品やサービスの質の向上につながりますが、既存のガス会社としては顧客離れがすでに進行しています。

「ガス業界は社会インフラだから安定している」という神話が崩れつつあります。

一方で、ガス業界の異業種への進出も進んでいます。

2016年に電力の小売が完全に自由化され、電力業界に多くの異業種が参入しました。

ガス業界も例外ではなく、多くのガス会社が電力事業へ参入し、ガスと電力のセット販売を行ない、新しい顧客層の開拓を進めています。

消費者にとってもガスと電力をガス会社で契約することで全体の料金が低下するなどのメリットがあります。
 

業界の分類


大手ガス会社

大手ガス会社

大手ガス会社とは従来ガス供給を独占していた企業を指します。

一般的に大手ガス会社を指すときには東京ガス、大阪ガス、東邦ガス、西部ガスの4社を言います。


準大手ガス会社

準大手ガス会社

準大手ガス会社も大手ガス会社と同様にガスの全面自由化以前は地域でのガス供給を独占していました。

大手ガス会社と比べると供給地域の需要が低く、規模も小さい傾向にあります。

一般的に準大手ガス会社とは静岡ガス、北海道ガス、広島ガス、北陸ガス、京葉ガス、サーラエナジー、大多喜ガス、東日本ガスを指します。
 

最新のトレンド


工業用のガス需要の増加と家庭用の需要減少

国内のガスの消費量の推移を見てみると2009年から2014年までは増加、2014年から2018年までは一時的な減少はあったもののおおむね増加、それ以降は横ばいで推移しています。

ガス需要の大まかなトレンドは工業用のガスの需要が増加する一方で家庭用のガス需要が減少している点にあります。

都市ガスの主な消費量はもっぱら工業用のガス需要が牽引しており、家庭用のガス需要は低迷しています。

工業用のガス需要の増加の背景にあるのは原子力発電所の稼働停止です。

2011年の東日本大震災によって、全国の原子力発電所の稼働が停止しました。

それによって、それまで原子力発電によって賄っていたエネルギーをカバーする形で、エネルギー源を火力発電に依存するようになり、火力発電所の稼働率が大幅に上昇しました。

火力発電所では液化天然ガス(LNG)を消費することで電力を生産しています。

その結果、日本は年間で8,000万トン以上の液化天然ガスを輸入する世界最大のLNG輸入国となりました。

火力発電所の燃料となる液化天然ガスの供給の増加、また近年の経済の回復に伴う経済活動の成長や環境政策の推進によりエネルギー源の重油から液化天然ガスへのシフトによって工業用のガスの需要は大きく伸びています。

工業用のガスの需要と対照的なのが家庭用のガスの需要です。

近年は地球温暖化の影響もあり、暖冬が続いていることや省エネや新エネルギーの普及によって液化天然ガスを使用する家庭の世帯数は減少が続いています。

家庭用ガスの供給先は給油や暖房が主であるため、暖冬の影響を受けやすいという特徴があります。

2015年から2016年は特にガス業界の業績が悪化した年でしたが、これは暖冬であったことが大きく関係しています。

今後も工業用のガス需要が増加し、家庭用のガス需要が減少するという構図は続きそうです。

しかし、工業用の液化天然ガスの消費が増加することはいいことばかりではありません。

液化天然ガスは海外からの輸入に頼っているため、ガスの価格の高騰や為替の影響を受けるなど仕入れコストが安定しません。

また、最近では新型コロナウイルスの影響によって、経済活動は停滞し、電力の需要は減少しています。

電力の需要が減少することで火力発電の燃料源である液化天然ガスの需要も減少しており、ガス業界によっては逆風となっています。


都市ガスの全面自由化

2016年4月から電力の全面自由化が実施され、各家庭が自由に電力会社を選択できるようになりました。

さらにその1年後の2017年4月には都市ガスにおいても自由化が始まり、電力・ガスともに本格的な競争の時代となりました。

都市ガスの全面自由化とは一般消費者が料金やサービス内容などによって、自由にガス会社を選べるようにできる仕組みです。

従来は各地域で大手ガス会社が独占供給していましたが、1990年代の世界的なガス規制の緩和を受けて、日本のガスや電気料金の高さが問題視され、世界の標準レベルにすることを目的にガスの自由化が実施されました。

ガスの全面自由化は段階的に行われ、1995年にガスの需要が特に高い大規模工場などを対象に自由化が実施され、1999年、2004年、2007年、2017年と自由化を進めてきました。

ガス業界は保安業務を含むため、電力業界に比べて自由化が進まないのではないかという危惧がありましたが、参入企業は増えつつあります。

2020年9月時点でガ既存のガス会社から新規参入したガス会社に切り替えるいわゆるスイッチング件数は400万件を突破しており、これは日本全体の契約数の約10%に当たる契約数であり、順調に進んでいることがわかります。

電力の全面自由化の際には多くの都市ガスやLPガスが電力事業へ参入を進めましたが、ガスの全面自由化によって今度は電力会社鉄道会社、旅行会社、携帯会社、石油会社など様々な異業種がガス事業に参入しています。

特にガス会社と電力会社は双方の事業へ参入しており、シェアの奪い合いが激しくなっています。

現在は火力発電の稼働率の上昇により、LNGの販売が好調となり、ガス会社は利益を上げていますが、今後は新規事業者の参入によって、既存のガス会社がとってかわられる可能性もあります。

2020年4月には電力の送配電分離が開始したほか、2022年4月にはガスの小売り事業とガス導管事業の分離が予定されており、ガス小売市場の激化しそうです。


脱炭素化でエネファームが普及

近年では、地球温暖化防止が世界のトレンドとなっています。

日本では東日本大震災以降、原子力発電所の稼働が停止したこともあり、温室効果ガスの排出量は増加傾向にあります。

地球温暖化防止のため温室効果ガスの削減が求められており、太陽光や風力、地熱、バイオマス発電など温室効果ガスを排出しない再生可能エネルギーの導入が国内企業で進められています。

ガス会社もガスを供給すると共に、再生可能エネルギーの導入を進めています。

また、大手ガス会社は家庭用燃料電池エネファームの普及を推進しています。

エネファームとは都市ガスやLPガスから取り出した水素と空気中の酸素を化学反応させて、電気を生産します。このとき発生する熱でお湯を沸かし、給湯などに利用しているのです。

エネルギーを有効活用するので、省エネにも大きく貢献します。

エネファームの普及は2019年10月には30万台を突破し、政府はエネルギーの有効活用の雨、2030年までに530万台のエネファーム普及を目標としています。

これは日本全世帯の約10%に相当する普及率です。

これまでは戸建てを中心に普及していた「エネファーム」はマンションでも広がりつつあります。

今後、集合住宅やスマートシティなどでの普及拡大が期待されています。

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