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海運 将来性

【就活生必見!】海運業界の業界研究|事業構造・将来性・働き方など徹底解説します

海運業界は大企業が多く、有名私大・旧帝大など難関大学の学生から根強い人気を誇ります。また、グローバルに事業を展開しており、豊富なキャリアが広がっているので、文系・理系を問わず多くの就活生から人気があります。採用人数が少ないので、就活の難易度は高いと言えます。なので大切なことは、海運業界についてどれだけ正しく理解し、その上で自分の強みや頑張ったことを、海運業界でどう活かせるかを具体的にイメージし面接官に伝えることが重要です。この記事では海運業界の業界研究を有価証券報告書やシンクタンクのレポートをもとに、詳しくわかりやすく説明しております。この記事を読めば、海運業界の業界研究は完了するでしょう。ぜひ最後まで読んで、海運業界の就活に挑みましょう。

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海運業界とは

この章では海運業界について、以下の4点から解説していきます。

  • 業界構造
  • 将来性
  • 業界分類
  • 最新トレンドについて

業界構造

物資の運搬

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物資の運搬は海運業界のメインビジネスです。

天然資源に恵まれない、かつ島国であり、大陸と陸続きでない日本にとって天然資源の輸入は必要不可欠です。

天然資源など物資の輸入・運搬を担っているのが海運業です。

海運業は船舶に輸入物資を積載し、海を渡って日本に物資を運搬しています。

日本の貿易では統計によると、重量ベースで99%以上を海運業が担っています。

物資の運搬というと航空機を利用した「空輸」を思い浮かべる人が多いかもしれませんが、空輸は海上輸送に比較して、単価がが高いので、食品や精密品のように緊急性のある物資以外は基本的に海上輸送に依存しているのが日本の現状です。

海運業の利益構造としては物資を海上輸送する対価として荷主から運賃を得ています。

海上輸送の場合はタンカーなどで大量の物資を輸送するため、一隻あたりの積載量が多いほど利益が大きくなります。

逆に船舶内に空きスペースがあると空気を輸送しているのと変わらないので、海運会社は船舶に物資をできるだけ積載して輸送します。

海運業の主要なビジネスである物資の運搬ですが、このビジネスは大きく分けると以下の2つに分けることができます。それは「定期船」と「不定期船」です。

定期船とは例えるならば、バスや電車などの公共交通機関のようなものであり、あらかじめ決められた航路を公表されたスケジュール通りに定期的に往復します。

不特定多数の依頼主から物資の海上輸送の依頼を受け、一定の期間ごとに物資を海上輸送します。

定期的に物資を輸送するニーズのある企業から依頼を受ける場合が多く、例えば、海外の工場で製造した製品や原材料を日本国内に輸送する必要がある場合に海運会社の定期船を利用して、一定期間ごとに運搬しています。

一方で不定期船とは例えるならばタクシーや貸し切りバスのようなものであり、依頼者の要望に応じて、一度に大量の貨物を運搬したいときや「鉄鉱石や石炭・穀物であればバルク船」というように専用の船舶を利用しないと運搬できない物資を輸送する際に利用されることが多いのが特徴です。

顧客ニーズに応じてその都度運搬するひつようがあるので、参入が自由な自由競争市場ですが、世界のエネルギーの需給関係や農作物の収穫高、鉄鋼の生産高など市況によって需要が大きく変動するため売上は安定しません。

実際に過去にもオイルショックやリーマンショック、米中貿易摩擦などによって海運業界のマーケット動向は大きく変動しており、時期によって変動の激しい市況を読めるかどうかが海運会社の収益に影響を与えます。

また、定期船・不定期船ともに市場にある海運業者の船舶の需給にも影響を受けます。

物資の輸送ニーズに対して、船舶の数が足りない場合には単価が上がりますが、物資の運搬需要に対して船舶の供給が過剰に成ると運賃価格が暴落して、利益が激減します。

タンカー船などの建造には数年以上掛かるので、数年先のマーケット動向を予測する必要があります。


船舶の売買及び賃借

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海運業のメインビジネスは物資の運搬ですが、もう一つのビジネスは船舶の売買と賃借です。

海運業を事業として行う場合には必ず物資を海上輸送するための船舶が必要になります。

しかし、どれだけ多くの船舶を用意できるかどうかは海運業を営む企業の規模や能力と関係してきます。

船舶の保有数は重要な競争指標であり、多くの船舶を保有している方が当然、企業としての競争力も高くなりますが、多くの船舶を保有できない海運事業者も存在します。

逆に多くの船舶を自社で保有している海運会社はそのような事業者に一時的に船舶を賃借したり、売買することで利益を上げています。

これは船舶のリースのようなもので、船舶の売買及び賃借を行っている海運業者は収益が安定します。

船舶を賃借する事業者は海運の需要が増加した際に一時的に保有する船舶の数を増やすことで、より多くの物資を輸送できるようになります。

また、なかには海上輸送事業は行っていないものの船舶の賃借や販売に特化した海運業者も存在します。

 

市場規模・将来性

市場規模

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2019年〜2020年の海運業界の市場規模は主要対象企業16社の売上高の合計で4兆0,641億円となっています。

また、世界の海運業界の市場規模は約55兆円という巨大マーケットです。

海運業界の最近のマーケット動向を見てみると、2005年頃から堅調に利益を上げ、2007年には海運業界全体で過去最高の水準に達しました。

しかし、2008年のリーマンショックによる世界的な金融危機によって業績は悪化し、一時的に大幅なマイナスを記録しています。

その後は世界的な好景気に支えられて、業績が回復し、2014年には再び業界の最高水準まで達しますが、2014年以降は再び業績が悪化してしまいます。

この背景には原油価格の変動があります。

海運業界ではタンカーなどの巨大な船舶で物資を運搬するので、原油価格の変動に影響を受けます。したがって、海運業界は原油価格次第で業績が変動する不安定な業界だと言えます。

しかし、その後は業績が再び回復し、2020年までは業界全体として増減を繰り返しています。

このように海運業界は業績の波が激しく、好調なときと不調なときの差が激しいのが特徴です。

上述のように海運業界は原油価格の変動の影響を受けるほか、海外を含む世界の景気動向に大きく左右されます。

最近ではアジアを中心とする新興国の経済成長によって海運業界は盛り上がりを見せ始めていますが、需要と供給のバランスによって利益の増減が決まるほか、米中貿易摩擦や新型コロナウイルスの影響は未知数であり、今後もさまざまな要因による影響を受ける可能性があるため、油断はできない状態といえます。

国内の業界規模は約4兆円ですが、寡占化が進んでいます。

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売上高が最も大きいのが日本郵便であり、売上高2兆2,372億円と全体の約38%を占めています。

続いて、商船三井が1兆7,292憶円と業界シェアの29.3%を占め、業界第3位の川崎汽船の売上高は1兆2,241憶円となっています。

このように上位3社だけで海運業界全体の市場規模の87.9%を占めており、海運業界は寡占化が進んでいる業界であるといえます。


将来性

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海運業界にとって大きなプラス要素と考えられているのが、アメリカのシェールガス革命です。

シェールガスとは地中深い頁岩層から採掘できる天然ガスであり、アメリカで大量に発掘されています。シェールガス革命によってアメリカが資源大国となることから「革命」と呼ばれています。

この「革命」は海運業界にとっても影響が大きく、アメリカがシェールガスを海外に輸出することで世界的に海運の需要が生まれると考えられています。

実際にシェールガスを輸送する「LNG船」の需要増を見込み、各社とも輸送力の強化に乗り出しています。

また、東南アジアを中心に人口増加や経済成長によって、エネルギー需要が増加しており、シェールガスを含むエネルギーの輸送需要が高まると見られており、海運業界にとっては追い風です。

一方で、海運業界には不透明な要素もいくつかあります。1つ目は人材不足です。

少子高齢化や人口減少の影響を受けて、航海士や機関士などの船員の不足や高齢化が問題となっています。

どの海運業者も人材不足が深刻であり、求人を出しても定員が埋まらない状況が続いています。人材の不足によって現場の労働者の負荷が増大し、それがひいいては物流の停滞
や安全性の低下などにつながるのではないかと懸念されています。

このような状況に対して、国や海運業界が若者へのPR活動に力を入れていますが、実際には成果が上がっていないようです。

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2つ目が環境規制の強化です。

世界的な地球温暖化防止や脱炭素化の流れの中で海運業界にも規制の影響が及んでいます。

船舶の燃料は重油や石油がメインですが、これらが排出する窒素や硫黄酸化物、温室効果ガスが地球温暖化や大気汚染の原因とされ、環境保護が義務付けられています。

国際海事機関(IMO)は2030年時点で海上輸送による温室効果ガスを2020年比で40%、2050年には50%以上削減することを目標にしており、これらの目標達成のために海運業界は燃料の変更や排ガス洗浄装置の設置、新規船舶の購入などが必要となっており、多くの旧型船舶を保有する海運会社にとっては大きな重荷となっています。

このような不透明な業界動向に対応するために海運業界では業界再編の動きが出ています。

実際に日本郵船・商船三井・川崎汽船の大手3社がコンテナ船部門において経営統合をして、「OCEAN NETWORK EXPRESS」社を設立しました。

各社ともコンテナ船の運賃低下や世界的なシェア獲得競争によってなんとか利益を出している状況であったため、生き残りをかけて経営統合を実施したようです。

業界の分類

海運大手

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日本では1963年に成立した海運再建法や近年の大手海運会社の合併によって、海運業界の寡占化が進み、日本郵船、商船三井・川崎汽船の大手3社が市場のシェア90%を握っています。

日本で海運会社と言う場合はたいていの場合この3社を指します。


小規模海運会社

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一般的には大手3社以外の海運会社はまとめて「それ以外の海運会社」と一括にされています。

比較的規模の大きい海運会社としては九州商船、山陽商船、日本海運などがあります。

最新のトレンド

SOxの規制強化

2016年10月に国際海事機関は船舶燃料に含まれる「硫黄化合物(SOx)」の規制強化を採択しました。

規制内容としては「硫黄化合物(SOx)」の濃度を従来の3.5%以下から0.5%に低下させることを義務付けるもので2020年1月より規制が実施されます。

世界的なトレンドとして地球温暖化防止や脱炭素化が提唱されるなかで硫黄化合物による環境への悪影響を減少させるのが今回の規制の目的です。

本規制に対する対応策としては低硫黄燃料などの規制適合燃料への切り替え、排ガス脱硫装置「スクラバー」の船舶の設置、LNGなど硫黄分を含まない代替燃料への切り替えなどがあ
ります。

しかし、低硫黄燃料などの規制適合燃料への切り替えは従来よりもコストがかかるとうデメリットが有り、スクラバーの搭載は搭載スペースの確保や設置・維持コストの負担が大きいため、いずれの選択肢も海運業界にとっては逆風となっています。

しかし、従来の硫黄分を多く含む燃料の仕様は一般海域での仕様が禁じられ、違反した場合は船舶の港湾抑留や罰金などが科せられます。

一方で、燃料の変更や装置の設置による増加分は運賃の値上げによって転嫁する必要があり、各社とも難しい対応を迫られています。


海運大手3社によるコンテナ部門の経営統合

2017年の7月7日に日本郵船、商船三井、川崎汽船は、共同出資によるコンテナ船事業「OCEN NETWORK EXPRESS社(ONE)」を設立することを発表しました。

持株会社の本社は東京に置き、欧米やアジアに地域統括拠点を設立しています。

コンテナ業界では近年、デンマークにある海運業界の最大手A・P・モラー・マースクや中国の大手海運会社によるM&Aが相次いだことでコンテナ業界のシェア争いが激化しています。

すでに欧州と中国の大手4社が海運業界のシェアの10%以上を握り、ONEは海外の海運会社を追いかける形となっています。

また、コンテナ船の運賃低下による収益の悪化により、各社とも経営統合によって、黒字を維持したいという思惑が一致しました。

2018年4月には、新会社ONE社によるサービスが開始され、初期には大幅な赤字を記録しましたが、2019年4~7月期にようやく黒字を達成しています。

今後も日本のみならず海外を含む海運業界の再編・統合の流れは続きそうです。

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