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製粉 将来性

【就活生必見】製粉の業界研究|事業構造・将来性・働き方など徹底解説

製粉業界は小麦などの粉を生産しており、私達の生活にとても身近な存在です。生活必需品を生産することから業績が安定しており、食品業界を志望する学生のなかでも安定を求める学生が多く志望するのが製粉業界です。製粉業界は採用人数が他の業界と比べて多くはないので、就活の倍率は高くなりがちです。したがって、激しい競争を勝ち抜いて内定を獲得することが求められます。内定を獲得するためには製粉業界のビジネスモデルや各社のビジネスの違いを明確にした上で徹底したES対策・面接対策をすることが必要です。自分の強みなどを面接官にアピールしましょう。この記事では製粉業界の業界研究を有価証券報告書やシンクタンクのレポートをもとに、詳しくわかりやすく説明しております。この記事を読めば、製粉業界の業界研究は完了するでしょう。ぜひ最後まで読んで、製粉業界の就活に挑みましょう。

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製粉業界とは

この章では製粉業界

  • 業界構造
  • 将来性
  • 業界分類
  • 最新トレンドについて

解説していきます。

業界構造

製粉事業

製粉とは精穀は米や麦などの穀物を、外皮などを除去して精白加工して粉を製造することです。特に穀物、それも小麦を粉砕して粉にすることを指す場合が多いようです。

製粉業界は他の食品業界と同様に基本的にはBtoBビジネスです。原材料を仕入れて、自社の工場で製造・加工した粉を食品卸売業者に販売することで利益を上げています。原材料は商社や食品卸売業者を通じて、国内外の原材料を仕入れています。加工した粉を食品卸売業者はスーパーやコンビニエンスストアなどの小売店、レストランなどの外食業者、小麦粉などを必要とする企業や工場(パンやうどんなど)に販売します。

製粉業界1

したがって、基本的な商流は商社や食品卸売業者→製粉メーカー→食品卸売業者などの流通業者→小売店、外食業者、その他の企業という流れになります。流通の段階で中間マージンを省くために食品卸売業者を介さない場合もあります。しかし、その場合は製粉メーカーが個別の小売店に多品種少量且つ頻繁な納品を行うになってしまい非効率になるので、食品卸売業者を介するのです。

製粉の最も代表的な原材料である小麦は日本では12%の食料自給率しかありません。したがって、大半の小麦は輸入に依存しています。日本では年間に約600万トンもの小麦が製粉されていると言われています。原材料である小麦を海外から輸入し、国内の工場で製造・加工しています。小麦の輸入は自社の調達部門で行うこともありますが、食品商社や卸売業者から仕入れることもあります。

小麦の価格は世界の需要動向や為替動向の影響を受けます。また、最近では中国を中心とするアジア諸国の購買力が向上しているため、小麦の需要が世界的に増加しており、必要な供給量を画するためにコストが増加してしまいます。食料品は工業製品と比べて単価が安いので、製品によって多少の違いはあっても、消費者は価格の動向に敏感になっています。

原材料のコスト増を販売価格に転嫁すると消費者の心境に悪影響を与え、競合他社との価格差が開くことによって販売数量の減少に直結します。したがって、原材料である小麦の調達コストが上がって、製造原価が高くなったとしても、販売価格に反映することが難しいという特徴があります。

小麦を輸入すると製粉工場で粉を加工・製造することになりますが、小麦の大半が輸入によってまかなっていることを反映して、工場はすべて港に立地してえることが多いです。このような工場は海工場と呼ばれ、輸入した小麦を直接工場に搬入し、加工・製造しています。

小麦粉の輸入・販売

製粉メーカーは自社工場での小麦粉の製粉のほかに海外から小麦粉を輸入し、販売しています。これら輸入製品は専門商社や食品卸売業が海外から仕入れ、外食業者や小売店、給食業者に販売しています。

近年、国内製粉市場ではTPP11協定や日欧EPA協定、さらには日米貿易協定の発効により、小麦関連製品の関税について削減・撤廃が進行しており、小麦粉の輸入価格は下落しております。製粉メーカーにとっては追い風と成っています。

市場規模・将来性

市場規模

業界動向リサーチによれば、2020年-2021年の製粉業界の市場規模(主要対象企業6社の売上高の合計)は1兆3,881億円となっています。

経済産業省の工業統計によると、精穀・製粉業の2019年6月時点の事業所は645カ所で、2018年の出荷額は1兆4,427億円となっています。精米・精麦業の事業所は346カ所、出荷額は8,857億円となっています。小麦粉製造業の製造所は74カ所、出荷額は4,345億円となっています。

農林水産省の食品産業動態調査によると、製粉・穀粉の2020年の生産量は45万2,048トンであり、うちプレミックス(調製粉)は36万972トン、米穀粉は9万1,076トンでした。
製粉業界2


小麦粉のうち、86%はパンや麺、菓子などの加工食品の材料となり、残りは家庭用や工業用としてそのまま販売されます。また、国民1人当たりの小麦粉の年間消費量は31.7Kgになります。

世界の製粉市場について見ていきましょう。調査会社のテックサイエンスリサーチによれば2019年の世界の製粉業界の規模を748億ドル、製粉のトン数ベースの規模を3.9億トンと推計しています。また北米市場の規模は約25%です。

調査会社のIBIS Worldによれば、2020年の米国の製粉業界の規模は187億ドルです。調査会社のモードーインテリジェンスによれば2018年の小麦の生産量は7.32億トンであり、2025年にかけて年平均1.3%の成長を見込みます。

調査会社のアイマークによれば2019年の小麦の消費量は3.91億トンです。米国農務省穀物等需給報告では、2020/21年度の世界の小麦生産量は7.7億tと消費量の7.5億tを上回り、史上最高となる見通しです。豪州やカナダでは天候に恵まれ、生産量は前年度を超えると見られています。また、世界の消費量も中国などの増加から史上最高水準に達する見込みです。

将来性

製粉業界にはいくつかの将来的なリスクがあります。国内の人口減少による需要の低下、世界的な人口増加や異常気象による穀物の収穫減少に伴う世界の穀物相場の高騰と食料確保のリスク、若者を中心とした米離れや単身世帯や共働き世帯の増加リスクです。

しかし、これらのリスクが存在する中でも、近年の小麦需要はフラットで推移しているのが現状です。小麦は日常に欠かせない食料であり、景気や価格変動に関わらず一定の需要があります。また、製粉業界は差別化が難しい業界です。大量生産の仕組みや設備の産業化、寡占化が進んでおり、業界の利益は安定しています。また、原料である小麦の9割が輸入に依存しており、政府が売買価格を統制しています。


製粉業界3
そのため、今後もある程度安定した業績が見込める業界と言えます。一方で、世界情勢の変化により価格の高騰、競争激化による業界再編などが起こる可能性も残ります。

業界の分類

明確な定義はありませんが、大手の製粉メーカーとして日清製粉、日本製粉、昭和産業、日東富士製粉などが挙げられます。製粉業界は、食品業界のなかで数少ない寡占業態として知られており、大手製粉メーカーで生産量全体の約78%を占めています。

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最新のトレンド

小麦の消費量は横ばいで推移

製粉業界の過去の推移を見てみましょう。2008年から15年は増加や減少を繰り返していましたが、近年は横ばいで推移しています。

近年、主食となる米の消費量は減少する一方、パンやうどん、ホットケーキミックスの原料である小麦の消費量は堅調な推移を見せています。

農林水産省の食糧需給によると、2018年度の小麦の消費仕向量(国内で小麦粉に使用される小麦の量)は、前年度比1.0%減の651万トンとなりました。前年度から横ばいを維持しています。

小麦粉の需要が堅調を維持している背景には、食生活の欧米化に伴う若年層を中心とした米離れ、朝食のパンの浸透が挙げられます。さらに食事に時短・簡便を求める単身世帯や共働き世帯の増加も、小麦粉の消費を上げる要因となっています。

進む海外進出

大手製粉企業は海外展開を重要な成長戦略の一環と位置づけ、海外での製粉会社の買収や新工場建設を進めています。

業界首位の日清製粉グループ本社は、すでに海外での小麦粉生産能力が国内の1.5倍に相当し、全体の60%を占めています。2012年の米国進出を皮切りに、ニュージーランドやタイの製粉事業を買収し、2018年には豪州最大手の製粉企業である「アライド・ピナクル」を買収して豪州市場に本格参入しました。


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業界2位の日本製粉は、ASEAN地域でのプレミックス需要の増加を受け、中国とタイに新たなプレミックス工場を設立し、海外での生産能力を拡大しています。さらに米国やインドネシアにも進出し、今後も海外での事業比率を増やす計画です。

同3位の昭和産業もASEAN地域でのプレミックス製造を強化し、2018年にはベトナムに新会社を立ち上げました。2019年11月には台湾の「大成集団」との合弁事業を発表し、事業領域を拡大しています。


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国内市場は少子高齢化に伴う需要の減少が見込まれており、これにより製粉業界の大手3社はASEAN地域や消費が拡大する海外市場での事業拡大を積極的に推進しています。

不安定な小麦相場

製粉業界は、主要な原材料である小麦の価格変動に大きく左右される部分があります。日本国内で消費される小麦の約9割は海外からの輸入に依存しています。政府による「政府売渡制度」では、政府が一括で小麦を購入し、国内の製粉会社がそれを買い取る形をとっており、輸入小麦の価格は政府によって管理されています。

小麦価格は、関税や為替レートの変動、天候不順、輸送コスト、新興国での食生活の変化など、多岐にわたる要因によって影響を受けます。このため、小麦粉の価格は不安定な相場を繰り返し、時には上昇し、時には下落する傾向があります。こうした市況の変動は、製粉会社の業績に大きな影響を及ぼす要因となっています。


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2018年の「TPP11協定」や2019年の「日EU・EPA協定」、そして日米貿易協定の発効により、小麦や小麦粉を含む二次加工製品の関税引き下げが進んでいます。

このような状況下で、製粉業界では貿易協定がリスク要因の一つと見なされています。関税引き下げによって輸入される二次加工製品(パスタやクッキーなど)の需要が拡大し、それが国内の小麦粉需要減退につながり、結果として製粉業界全体の規模が縮小する恐れがあると懸念されています。

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