
【就活生必見】二輪車・バイクの業界研究|事業構造・将来性・働き方など徹底解説
自動車メーカーと同等の人気を誇るのが二輪車・バイク業界です。日本を代表する基幹産業である二輪車業界には毎年多くの学生が志望します。人気の割には採用人数が多くないので、自然と倍率は高くなってしまいます。
したがって、内定を獲得するためには二輪車業界のビジネスモデルや今後の展望、そして自分がその中でどのような活躍ができるのかを明確に伝えることが必要です。
この記事では二輪車・バイク業界の業界研究を有価証券報告書やシンクタンクのレポートをもとに、詳しくわかりやすく説明しています。この記事を読めば、二輪車・バイク業界の業界研究は完了するでしょう。
ぜひ最後まで読んで、二輪車・バイク業界の就活に挑みましょう。
二輪車・バイク業界とは
この記事は専門家による詳細な調査記事になっています。
この章では二輪車・バイク業界の
- 業界構造
- 将来性
- 業界分類
- 最新トレンド
について解説していきます。
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業界構造
二輪車・バイクの製造・販売
二輪車・バイクの完成車メーカーのビジネスモデルはBtoBビジネスです。
エンドユーザーは主に一般消費者ですが、二輪車・バイクの完成車メーカーが直接エンドユーザーに販売するわけではなく、販売会社に販売されます。二輪車・バイクの完成車メーカーが製造を担い、販売会社は販売に特化しています。したがって、販売会社は二輪車やバイクを製造するのではなく、完成車メーカーからバイクを仕入れて、自社の店舗でエンドユーザーに販売します。
エンドユーザーが二輪車・バイクを購入する際に支払う対価が最終的な利益となります。エンドユーザーである一般消費者の存在が不可欠であるビジネスモデルですので、常にエンドユーザーのニーズや要望を収集・分析し、顧客目線の二輪車やバイクを開発・設計する必要があります。
二輪車やバイクの業界は完成車及び部品の開発・設計・生産・整備に関連した非常に幅広い業界を指します。二輪車やバイクの種類によって異なりますが、600個から1,500個の部品が使われています。
非常に多くの部品が必要であり、大手の上場企業から中小企業、小規模の零細企業まで幅広い企業やいくるかの階層のサプライヤーが存在します。
これらの階層には二輪車・バイクの完成車メーカー、車体やパーツの組立をする企業、製造過程を経て生産された完成車を販売するディーラー、自動車の金融会社、二輪車の部品の製造・販売、修理会社、車検会社、陸運を行う流通会社など幅広い企業が二輪車・バイクの業界を構成しています。
二輪車・バイクの輸出
二輪車やバイクは多くが海外に輸出されています。海外に輸出される二輪車やバイクは年間に40万台を超えています。
二輪車やバイクは完成車メーカーにとってもメインビジネスになりつつあります。日本政策投資銀行の「北米における日本の自動車メーカーの動向」によれば、日本の自動車メーカーの輸出比率は40~50%で推移しており、二輪車やバイクの輸出も含まれています。
国内での完成車の販売の場合にはディーラーと呼ばれる販売会社を介して、エンドユーザーである一般消費者に販売されますが、輸出の場合は異なります。
完成車メーカーが海外に子会社を持っていたり、専業の輸入・販売代理店が海外に設置されています。これらに完成車が卸売され、海外の一般消費者に販売されます。完成車メーカーは完成車の卸売をした時点で中間利益を上げています。
市場規模・将来性
市場規模
業界動向リサーチによれば、2020年-2021年の二輪車・バイク業界の市場規模規模(主要対象企業4社の売上高の合計)は3兆2,767億円となっています。
一般社団法人日本自動車工業会によれば、国内におけるバイクの保有台数は約1,053万台、高市場価値車輌である原付二種以上は約543万台となっています。また、新車販売台数は約33万台、高市場価値車輌は約21万台となっています。
全国軽自動車協会連合会(全軽自協)によれば、2020年の原動機付き自転車を除く二輪販売台数は前年比14%増の約14万2千台と2年連続で前年超えとなりました。特に中型バイクの販売が好調であり、12年ぶりに14万台を超えました。要因としては新型コロナウイルスの感染拡大で電車やバスなどを避け二輪を選ぶ人が増えたほか、キャンプなどレジャー向けのバイクの人気も市場を押し上げています。
2020年の排気量126cc以上の二輪販売台数は前年比14%増の14万1,771台でした。二輪市場はリーマン・ショック以降落ち込んでいましたが、2020年は2008年以来12年ぶりに年間販売が14万台を超えるなど、回復傾向が鮮明になっています。二輪車の運転免許証交付件数も伸びており、警察庁によると2020年は大型二輪と普通二輪合計で24万4,200件と前年比で9.8%増えています。
続いて、世界の二輪車市場の市場規模を見てみましょう。
2019年の世界販売台数は前年比7%減の5,336万台でした。ヤマハ発動機の推計では2019年の世界需要の国別順はインドが前年比14%減の1,854万台とトップでした。
次いで中国で5.2%減の654万台、インドネシアが3.4%減の559万台と続きました。景気の停滞などで需要が落ち込んだことによって、これまで年に200万台増えるぺースで拡大してきた世界最大のインド市場が急減速しました。
このように新興国を中心に主要市場は軒並みマイナスとなり、各メーカーが影響を受けました。
足元では新型コロナの感染拡大により、新興国を中心に二輪需要に大きな影響が出ています。2020年の世界の二輪車市場は、販売台数ベースで前年比15.2%減の5,557万台となりました。
新型コロナウイルスの影響で各国の消費マインドが冷え込み、同43.6%減となったインドネシアを筆頭にインド、ベトナム、フィリピン、タイなど主要国の市場で前年比2桁マイナスを記録しました。特にインドやインドネシアなど規模の大きい市場で、景気の悪化から低価格帯モデルの販売が低迷しています。
将来性
矢野経済研究所は「世界の二輪車市場に関する調査を実施(2021年)」を発表しました。このレポートによれば、二輪車の世界市場の2030年の市場規模は2020年比18.3%増の6576万台に拡大すると予測しました。電動化の比率は最大約20%までの成長を予測しています。
(単位:千台)
2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2025年 | 2030年 | |
二輪車全体台数 | 65,507 | 55,507 | 58,876 | 62,792 | 65,306 | 65,489 | 65,763 |
電動化予測 MAX min |
2,338 |
2,663 |
3,170 2,740 |
3,880 3,020 |
5,020 3,550 |
7,400 5,170 |
13,050 7,510 |
日本や欧州でも排ガス規制の厳格化や、環境配慮型の都市計画によって電動二輪車の販売台数規模は増加する見通しです。
しかし分母となるもともとの二輪車市場規模の大きさから、主要市場とはならないと予測されています。今後、中国、インド、ASEANの3極が中心となって電動二輪車市場を形成していく見通しです。
中国では、2019年に電動二輪車に関する定義が変更され、台数が大幅に増加したことで、二輪車全体における電動化比率は5%程度を占める規模となり、Ather、GOGORO、NIUなど有力スタートアップが登場しました。
また、2022年にインドで導入される予定のCAFE(Corporate Average Fuel Economy:企業別平均燃費基準)規制、国策として電動二輪車産業へ注力を表明する国々の動き、車両と電池の分離販売の実現、CSRとバッテリーSWAPシステムの相性などが追い風となり、世界の電動二輪車市場は2025年頃には成長期に突入する見込みです。
なお、電動化予測(MAX)は、電動二輪車の導入を妨げる諸問題(電池価格や充電インフラ等)が解決され、量産規模の拡大等によって車両価格も既存のICE(内燃機関)二輪車と同等、競合できる水準となると仮定しており、電動化予測(MIN)では、充電インフラの整備、車両価格のICE二輪車並みへの下落、趣味領域との迎合など各種課題解決にある程度の時間を要することになると仮定しています。
- インド :1,854万台(前年比14%減)
- 中国 :654万台(前年比5.2%減)
-
インドネシア :559万台(前年比3.4%減)
業界の分類
大手4社
日本国内の二輪車・バイクの大手はホンダ、ヤマハ、スズキ、川崎の4社です。このうち、ホンダは世界首位、ヤマハは世界2位の業績を誇り、スズキ、川崎も高い販売台数を記録し、日本の4社で世界シェアの約4割を占める状況です。
海外メーカー
有名な海外メーカーとしてはアメリカのHarley-Davidson、Buell、Indian Motorcycle、イタリアのDUCATI、MV AGUSTA、aprilia、ドイツのBMWなどがあります。
最新のトレンド
二輪車市場は2年連続で減少
二輪車・バイク業界の市場規模の過去の推移を見てみましょう。経済産業省の生産動態統計によると、2011年から2018年まで毎年増減を繰り返していましたが、2018-2019年、2019-2020年の2年連続で市場が縮小しています。
2011年の二輪車の販売台数が91.1万台、販売金額が3,298億円、2014年の販売台数が88.3万台、販売金額が3,898億円、2018年の販売台数が82.6万台、販売金額が4,151億円と増減を繰り返していました。
しかし2020年の二輪車の販売台数は、前年比11.9%減の67.4万台、販売金額は14.8%減の3,220億円となりました。
自動車の最大の市場は中国ですが、二輪車・バイクの市場はインドが最大の市場を誇ります。2018年はインドにおける販売が堅調に推移し、インド市場単体で2,000万台を突破しました。
なお2019年に入ると一転して減少に転じて、前年比14%減の1,854万台となりました。これは景気の停滞などで需要が落ち込んだことが要因です。ただし、依然としてインドは市場規模ではトップであり、世界の二輪車市場をけん引しています。
2020年に入ると、世界的に新型コロナウイルスの感染拡大が進み、工場の閉鎖や稼働停止によって、生産台数が減少しています。
一方で、日本国内では新型コロナウイルスの感染予防対策として電車やバスなどを避け二輪を選ぶ人が増えたほか、キャンプなどレジャー向けのバイクの人気も市場を押し上げており、今後の需要に期待が高まります。
メーカー別の販売台数をみると、ホンダは世界首位、ヤマハは世界2位の業績を誇り、スズキ、川崎も高い販売台数を記録し、日本の4社で世界シェアの約4割を占める状況です。こうした世界的に高いシェアを武器に、新興国需要をうまく捉え、二輪車・バイク業界は拡大を続けてきました。
GDPと販売台数の相関関係
一般的に一人当たり GDP と二輪車・バイクの普及率の間には正の相関が見られています。1人当たりのGDPが1,000ドルを超えると二輪車・バイクの普及が進み、1人当たりのGDPが3,000ドルを超えると自動車の普及が進むと言われています。
国民の給与水準が低く、贅沢品である自動車を購入する余裕がありませんが、自動車よりも安価な小型バイクやスクーターは市民の移動手段として重宝されます。しかし、さらに所得水準が向上すると、自動車を購入する経済的余裕が生まれ、人々の移動手段として自動車が普及します。
しがって、二輪車・バイクが急速に拡大するボリュームゾーンは、1人あたりGDPが1,000ドル~3,000ドルの間の新興国となります。
世界最大の二輪車・バイクの市場はインドであり、インドネシア、ベトナム、フィリピン、タイ、ラオス、パキスタン、バングラデシュ、ミャンマー、カンボジアなどがこれに続きますが、各国の所得水準はこの水準に位置します。