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石油 将来性

【就活生必見】石油の業界研究|事業構造・将来性・働き方など徹底解説

意外と知られていませんが、学生からの人気が高いのが石油業界です。資源関連の業界であり、比較的安定しており、かつ給与水準も高いことが魅力です。内定者の多くが都内の有名私立大学や旧帝国大学の学生であり、就活難易度は高めです。激しい競争を勝ち抜いて、内定を獲得するためには石油業界のビジネスモデルや業界のトレンド、仕事内容についてしっかり理解し、自分の過去の経験やスキルをどのように活かせるのかを丁寧に伝えることが重要です。この記事では石油業界の業界研究を有価証券報告書やシンクタンクのレポートをもとに、詳しくわかりやすく説明しております。この記事を読めば、石油業界の業界研究は完了するでしょう。ぜひ最後まで読んで、石油業界の就活に挑みましょう。

 

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石油業界とは

この章では石油業界

  • 業界構造
  • 将来性
  • 業界分類
  • 最新トレンドについて

解説していきます。

業界構造

石油・天然ガスの開発・生産及び大型タンカーによる輸送

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石油業界のビジネスは川の流れのように上流・中流・下流のビジネスに分けられます。上流は石油や天然ガスの開発や生産を担い、中流は生産した石油を大型タンカーなどで日本国内に輸入します。日本は原油がほとんど産出されず、ほとんどを海外からの輸入に頼っているので、原油価格の動向に左右されます。原油価格は産出量やOPECの方針、国際的な政治経済情勢など様々な外的要因に左右されます。石油産業は大型産業ですが、利益幅の予想が難しいという特徴があります。

上流のビジネスでは石油会社と産油国が石油の開発に関する契約を締結し、油田開発の権益の一部を獲得します。石油会社と産油国が締結する契約の形態として以下の3つがあります。

  • コンセッション契約
  • 生産分与契約
  • サービス契約

コンセッション契約とは石油会社に対して産油国の政府や産油国の国営石油会社から鉱業権が認可される契約です。石油会社は採掘した石油や天然ガスの処分権を持ちますが、売上の一部をロイヤルティという形で産油国の政府や産油国の国営石油会社へ支払います。産油国が先進国の場合に一般的な形態です。

生産分与契約とは石油会社が石油・天然ガスの採掘のための事業コストを負担し、コスト回収分及び報酬を生産物(原油・天然ガス)を産油国の政府や産油国の国営石油会社から受け取る契約です。

サービス契約とは石油会社が 探鉱・開発作業を請負い、一定の報酬を受取り、産油国の政府や産油国の国営石油会社が事業リスクを負担する契約です。こちらも産油国が先進国の場合に一般的な形態です。

石油会社は人工衛星やスーパーコンピューターを活用して、原油が存在する可能性のある地質帯を特定することから始めます。地質帯を特定したら、磁力や人工地震による探査を行い、さらにエリアを絞ります。採掘の可能性が高いと思われる地表面で試掘を行います。1つの井戸を掘るためには平均して数億円~数十億円のコストがかかると言われており、石油産業は初期費用の高い産業だと言えます。また、このコストは陸上採掘よりも海上採掘の場合がより高くなります。

石油・天然ガスの開発や生産は事業リスクが高く、初期費用が莫大になります。事業リスクとして以下のものが考えられます。

  • 探鉱・開発・生産の成否
  • 埋蔵量の予測値からのずれ
  • 災害・事故等のリスク
  • オペレーターとなった場合のマネージメントリスク
  • 価格変動リスク
  • 為替リスク
  • 金利リスク
  • カントリーリスク
  • 他のパートナーの義務不履行リスク

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したがって、1つの石油会社が単体で採掘プロジェクトを行うのではなく、複数の石油会社が共同してパートナーシップを組成し、共同開発をします。これによって事業リスクと初期費用を分散します。採掘の協働プロジェクトではパートナーシップのうち、1つの石油会社がオペレーターとして他の石油会社の指揮監督を行います。オペレーターが採掘開発計画を立案し、操業の責任を負い、他の石油会社は出資割合に応じた役割を担います。

採掘された石油や天然ガスは船舶・コンテナ・タンクローリー・ドラム等によって産油国から日本国内に輸送されます。この輸送の役割を担うのが石油ビジネスの中流の部分になります。

 

日本国内での精製と製品販売

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石油の精製は石油業界では下流に位置するビジネスです。原油を精製してナフサ、ガソリン、灯油、ジェット燃料、軽油、重油、潤滑油、アスファルト、硫黄、燃料油、石油化学製品など多種多様な製品を製造する工業プロセスのことです。

鉱物性油の原材料は原油です。原油は国内外から穀物専用船、船舶・コンテナ・タンクローリー・ドラム等によって運ばれてきます。納入された原油は精油メーカーの保管タンクに貯蔵されます。

鉱物性油の生産・販売は基本的にBtoBビジネスです。原材料である原油は商社や資源の卸売業者によって輸入されます。精油メーカーはこれらの企業から原油を購入し、自社の保管タンクに貯蔵します。自社の工場で精製した製品は直接エンドユーザーに届けられるわけではなく、企業向けに販売されます。例えば、以下のとおりです。

  • ナフサ→衣料品メーカー
  • ガソリン→ガソリンスタンド
  • ジェット燃料→航空会社
  • 軽油→運送業
  • 重油→製造業
  • 潤滑油→製造業
  • アスファルト→建設業、ゼネコン

鉱物性油の原材料は原油ですが、日本は資源に恵まれないため、原油の99%以上を輸入に依存しています。したがって、精油メーカーは原油を海外から輸入し、自社の工場で精製し、鉱物性油を生産しています。原油の輸入は商社や資源の卸売業者から仕入れることもありますが、自前で調達することも少なくありません。

原油の価格は様々な要因によって影響を受けます。例としては以下のようなものがあります。

  • 世界全体のエネルギー需要
  • ドル、ユーロ、円の為替動向
  • 一次産業との競合
  • 機関投資家によるコモディティ投資の動向
  • 地域紛争やテロ
  • 中東地域の政治・宗教、民族問題

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したがって、原油価格は不安定であり、価格のリスクを抱えています。

 

市場規模・将来性(シンクタンクのレポートなどを)

市場規模

業界動向リサーチによれば、2020年-2021年の石油業界の市場規模(主要対象企業14社の売上高の合計)は16兆1,935億円となっています。

日経テレコンによれば、国内の石油製品市場は少子化による人口減少などで需要が年1~2%ずつ減少しています。また、激しい価格競争で元売り各社の低収益体質が続いていることから、経済産業省は2009年に石油精製や石油化学の効率化を進めるためエネルギー供給構造高度化法を制定しました。さらに2014年7月に改正告示した第2次高度化法では、2017年3月末までに元売り各社に原油処理能力を1割程度引き下げることを求めました。経産省はさらにエネ高度化法の運用を見直し、ナフサなど収益性の高い製品製造を義務づけ、企業連携の取り組みなどに補助金を出す方針です。

一方、中国などアジア市場では、経済成長で需要が増加しています。今後は中国やインド、韓国の大型製油所との競争も本格化する見込みです。製油所に隣接する化学工場とのコンビナート連携強化で、いかに国際競争力を高めるかが課題です。

石油連盟の調査によれば、2018年度の国内の最終エネルギー消費は、前年度比2.7%減の 13,124PJ(ペタジュール)(原油換算3億3,894万㎘)となりました。エネルギー源別に見ると、石油は前年度比4.1%減の6,232PJ(原油換算 1億6,095万㎘)となりました。また、電力は2.0%減の3,405PJ(原油 換算8,793万㎘)となりました。 また、一次エネルギーの国内供給合計は19,728PJ、原油換算で5億949万㎘と前年度比1.8%減となりました。その内、石油(LPG含む) は7,415PJ(原油換算1億9,149万㎘)で、前年度比5.4%減となっています。

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供給に占めるシェアでは、前年度と比べ石油(LPG含む)が 39.0%から37.6%、石炭が25.1%から変わらず、天然ガスが23.4% から22.9%へ減少した一方、原子力が1.4%から2.8%へ増加しました。 電源構成としては、東日本大震災以降、原子力発電の稼働が停止 した分を石油・天然ガス等の火力発電が補ってきましたが、一部原子 力の再稼働や再生可能エネルギーの増加などから、2015年度には 石油火力の割合は2010年度以来再び1割を下回り、その後も減少して います。


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また、2019年度の石油需要は燃料油合計で1億6,163万㎘、前年度比 3.6%減になりました。ジェット燃料油は前年度比3.5%増となりました が、ガソリンは前年度比3.0%減、ナフサは前年度比3.1%減、灯油は 前年度比6.3%減、軽油は前年度比0.4%減、A重油は前年度比8.2% 減となりました。特にB・C重油は大きく減少し、前年度比16.3%減と なりました。

IEA(国際エネルギー機関)が2020年8月に発表したレポートによ れば、2019年の世界の石油需要は100.0百万バレル/日となりました。2020年は新型コロナウイルスの感染拡大による世界経済への悪影響から91.9百万バレル/日と、前年の実績を約8.1%下回る見込みです。具体的には、OECD諸国で約9.6%の減少となる見込み で、非OECD諸国では、中国は約0.7%の減少、その他のアジア地域は 約9.8%減少し、非OECD全体としては約6.9%の減少となる見込みです。

2019年の世界の石油供給は100.6百万バレル/日、このうち 非OPEC諸国の石油供給は65.6百万バレル/日でしたが、2020年は OECD諸国で約3.1%の減少、非OECD諸国では約5.0%の減少となり、 非OPEC全体としては約4.3%減少の62.8百万バレル/日となる見込み となっています。また、同レポートの見通しによれば、2021年の需要は回復に転じると想定され、2020年に比べ約5.7%増加して、97.1百万バレル/日に なると見込まれています。供給面では、OECD諸国は引き続き減少するものの、非OECD諸国では約1.3%増加して、非OPEC全体としては 約1.0%増加の63.4百万バレル/日となる見込みとなっています。

将来性

まずは国内の石油市場は人口減少によって石油需要の減少が続いており、将来性は明るいとは言えません。しかし、経済成長が著しいアジアでは石油の需要が伸びています。実際に大手石油会社の出光はベトナムで小売事業に参画しています。今後の国際石油市場を中長期的に展望する上で、アジアや中東を中心とする発展途上国の需給動向が非常に重要な要素となっています。

IEAは、2019年版の「世界エネルギー見通しの公表政策シナリオ」において、2040年の世界の石油需要が、2018年の96.9百万バレル/ 日に比べ9.8%増の106.4百万バレル/日となる中で、中国は同24.0% 増の15.5百万バレル/日、インドが91.5%増の9.0百万バレル/日、 中東が36.0%増の10.2百万バレル/日となるとの見通しを発表しています。現在の世界最大の石油消費国は米国ですが、2040年には、 2位の中国が米国を追い抜く見通しとなっています。

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また、石油輸出国機構(OPEC)の年次報告書「世界石油見通し2040」によれば、中長期的な世界の石油需要見通しは以下の通りです。

  • 2022年の石油需要は2016年から約690万バレル/日増加し、1億230万バレル/日になる
  • 中国、欧州などで、これまでよりも高い消費が見込まれる
  • 2040年までに需要は1,580万バレル/日増加し、1億1,110万バレル/日に達する
  • 2040年までの間、先進国の需要は減少する一方、新興国は人口の増加に伴い2,380万バレル/日増加する
  • 長期的には、インドのエネルギー需要の伸び率が2019年に初めて中国を上回る見込み
  • 再生エネルギー技術の進展や電気自動車の普及が進めば、需要は標準シナリオに比べて下振れする可能性もある。

業界の分類

大手3社

国内の石油元売り会社は大手3社に集約されています。ENEOS(旧:JXTGエネルギー)・出光興産・コスモエネルギーグループによる市場の寡占化が進んでいます。
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石油大手

大手3社ほどではありませんが、石油大手として国際石油開発帝石、三菱商事エネルギー、三愛石油、太陽石油、富士石油、丸紅エネルギーなどが挙げられます。

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最新のトレンド

日本国内の石油需要は縮小

国内の石油業界の市場規模の推移を見てみましょう。近年の傾向を見てみると、2013年から2016年に市場が縮小しましたが、2017年以降は再び拡大しています。しかし、2019年以降、再び市場が縮小しています。長期的に見ると自動車の需要の減少、電気自動車の普及、人口減少、世界的な二酸化炭素削減の動きによって石油の需要が減少しています。


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経済産業省によれば、2019年の燃料油販売量は1億6,531万キロリットルでした。これは2018年と比較して△2.6%であり、7年連続で千円を下回る結果となっています。エネルギー庁の調査によれば、国内の給油所数は2万9,637カ所となりました。この数字はピーク時の約半分です。

給油所の減少の背景には石油の需要の減少もありますが、2010年に改正された消防法に起因しています。改正消防法によって設置後40年を過ぎた地下タンクの改修が義務化されることになりました。義務化によって莫大なコストがかかることになり、ガソリンスタンドの廃業が相次いでいます。石油の需要減少に拍車をかけ、給油所の減少が急速に進んでいます。

石油需要の減少をさらに進めたのが新型コロナウイルスの感染拡大です。緊急事態宣言が発令され、人々の外出が制限されたことでガソリンやジェット燃料の販売量が大幅に減少しています。政府の『GoToトラベルキャンペーン』によって需要の回復の兆しが見られましたが、キャンペーンの中止によって需要は再びしぼんでいます。こうした縮小傾向は今後も続くと見られており、2040年には燃料油の需要は半分になることが想定されています。

業界再編が加速

国内の石油市場の長期的な需要減少を見据えて国内石油会社の業界再編が加速しています。まず2017年4月にJXホールディングスが東燃ゼネラル石油を株式交換により完全子会社化しました。それと同時にJXエネルギーが東燃ゼネラル石油を吸収合併しました。これによってJXTGエネルギーホールディングスが誕生しました。同グループは石油市場の約半分を占める巨大グループとなりました。

2019年4月にはに出光興産と昭和シェル石油は経営統合し、出光昭和シェルが誕生しました。同社は石油販売シェア市場で約3割を占めています。

一連の再編によって、日本の石油元売企業はJXTGホールディングス、出光昭和シェル、コスモエネルギーHDの3社体制に移行しました。石油の元売りは寡占化が進んでいます。

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