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総合電機 将来性

【就活生必見】総合電機の業界研究|事業構造・将来性・働き方など徹底解説

Made in Japanで日本のものづくりを支えているのが総合電機メーカーです。日本のものづくりの最前線で活躍したい多くの学生が志望する業界です。特に理系の学生から根強い人気を誇り、‌都‌内‌の‌有‌名‌私‌立‌大‌学‌や‌旧‌帝‌国‌大‌学‌の‌学‌生‌が‌一‌度‌は‌就‌活‌候‌補‌に‌入‌れます。したがって、内定を獲得するためには総合電機業界のビジネスモデルや業界動向を理解した上で、求められる人物像をイメージし、自分のスキルや経験をアピールすることが大切です。こ‌の‌記‌事‌で‌は‌総‌合‌商‌社‌の‌業界‌研‌究‌を‌有‌価‌証‌券‌報‌告‌書‌や‌公的機関のレポートに基づいて、解説しています。この記事さえ読めば、総合電機業界の業界研究が完成するようにしています。ぜ‌ひ‌最‌後‌ま‌で‌読‌ん‌で、‌総合電機‌の‌就‌活‌に‌挑‌み‌ま‌しょ‌う。

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総合電機業界とは

この章では総合電機‌業界

  • 業界構造
  • 将来性
  • 業界分類
  • 最新トレンドについて

解説していきます。

業界構造


重電機器及び軽電機器の製造・販売

総合電機メーカーによって取り扱っている商品やサービスは異なりますが、業務用製品である重電機器と一般的に消費者向けの製品である軽電機器を取り扱っています。重電機器の場合はBtoB、軽電機器はBtoCのビジネスモデルとなります。

重電機器とは工業施設や商業施設で利用される工業製品であり、発電所、送電機器、産業用の電気機械などがあり、軽電機器とは一般家庭や事業所で使用される家電製品や電池、電球などを指します。軽電機器はさらに冷蔵庫や洗濯機などの「白物家電」やTVやオーディオ製品などの「黒物家電」に分類されます。このように発電所から家電製品まで幅広い製品の製造・販売を行っており、取り扱う商品の幅広さから「総合」電機メーカーと呼ばれています。

重電機器は顧客となる企業の要望に基づいて、製品の開発・設計・製造・加工・組立・納品及びメンテナンスを含めたアフターサービスを行っており、軽電機器は一般の消費者向けに、消費者のライフスタイルや生活のニーズに応じて、家電製品などを大量生産しています。
 

商流

重電機器と軽電機器の販売ルート

重電機器は顧客企業の要望もしくはマーケティングに基づいて、製品の開発・設計を行います。一方で軽電機器は大量生産向けの製品ですので、市場のマーケティング調査に基づいて製品の開発や設計を行います。重電機器であっても軽電機器であっても必要となる部品や原材料を国内外から調達しますが、自社の調達部門が調達することもあれば、商社や卸売業者から仕入れることもあります。

販売ルートは重電機器と軽電機器によって異なります。重電機器の場合は直接もしくは流通業者(販売子会社や特約店、代理店、卸売業など)を通じて、顧客企業に納品されます。一方で、軽電機器の場合はエンドユーザーが一般消費者ですので、必ず流通業者を通じて販売を行います。流通業者から家電量販店やECサイト、ホームセンターなどに販売され、一般消費者のもとに届けられます。ただし、利益構造としては総合電機メーカーから流通業者に販売された段階で利益が計上されます。

総合電機の製造・組立

重電機器の場合は製造・組立のプロセスが国内で行われることが一般的ですが、軽電機器の場合は海外で最終組み立てまで行うEMS(電子機器受託生産)を導入することによってコストダウンを図っています。これはEMS企業が設計に基づいた部品調達と組み立てを行い、完成品まで仕上げる方式です。


電機製品の輸出

総合電機メーカーは重電機器及び軽電機器の輸出を行っています。

日本の重電機器の品質や技術は世界的にも高い評価を受けています。工業施設や商業施設で利用される工業製品が輸出されることもありますし、火力発電所などを現地生産という形で輸出することもあります。一般的な商流としては重電メーカーが工業製品を開発・製造して後に、国内もしくは海外の代理店に販売されます。この時点で重電メーカーの利益として計上されます。代理店に販売された機械は海外の販売手に販売され、最終的に現地の顧客企業に納品されます。

一般的な商流

軽電機器も同様に海外での現地生産及び日本からの輸出によって海外で販売しています。しかし、重電機器と比較すると軽電機器は海外で苦戦しています。高度経済成長時代は世界の市場を席巻するほどの競争力を持っており、国内生産を拡大させることによって輸出を拡大していました。しかし、1990年以降はバブル崩壊後の経済停滞から脱却できずにいる中で円高を背景とする価格競争力の低下や中国・韓国などの新興国企業の躍進、製品のコモディティ化が進み、日本の総合電機メーカーが得意としてきた高品質・高性能の優位性が崩れつつあります。

輸出額

輸出額は年々減少しており、2012年の貿易黒字額は3.0兆円と、2007年の約6割の水準に留まっています。以前は日本で製造していた製品を輸出するという商流が一般的でしたが、現在では海外で生産し、現地販売を行っているほか、日本国内で販売している製品も海外で生産し、日本国内に逆輸入しているケースが多いです。2000年代中頃は輸出入が均衡していたものの、2008年以降は輸入超過の拡大が続いており、輸入超過が定着しています。

また、最近では最はヨーロッパを中心とする海外の家電メーカーが日本国内で販売を伸ばしています。
 

市場規模・将来性


市場規模

業界動向リサーチによれば、2019年-2020年の電気機器業界の市場規模(主要対象企業247社の売上高の合計)は78兆8,670億円となっています。

日経テレコンによれば、総合電機主要メーカー7社(日立製作所、東芝、三菱電機、NEC、シャープ、パナソニック、ソニーグループ)の売上高合計は2016年度の約37兆円から2018年度は約39兆6,700億円まで伸びたものの、2019年度は約37兆7,300億円と減少に転じました。

一般社団法人 日本電機工業会「2021年度 電気機器の見通し」によれば、重電分野では、中国、米国等の半導体、電子部品産業向けの設備投資は回復したものの、それ以外の産業分野の設備投資は国内、海外ともに低調であり、世界的なCO2排出抑制の動きに伴う石炭火力発電機器市場の縮小による影響もあり、重電機器の国内生産は、3兆576億円、前年度比91.7%と前年度を下回る見込みです。 

白物家電分野は、在宅時間の増加に伴い、巣ごもり需要に代表される調理家電製品や健康清潔意識の高まりから空気清浄機が大幅増となりました。また、特別定額給付金の支給による後押しもあり、 ルームエアコン等の大型製品も堅調に推移し、白物家電機器の国内出荷は、2兆5,240億円、前年度比 102.8%となる見込みです。2020年度の重電・白物家電機器を合わせた電気機器の国内生産は、4兆9,294億円、前年度比92.8%となる見込みです。

  2020年度市場規模
重電分野 30,576億円(前年比91.7%)
白物家電分野 18,718億円(前年比94.6%)
電気機器合計 49,294億円(前年比92.8%)


・電気機器の年度別国内生産額推移(単位:億円)

  2009 2010 2011 2012 2013 2014
重電機器 30,445 33,184 33,885 34,812 36,275 38,174
白物家電 16,027 18,446 16,369 15,854 17,890 16,884
合計 46,472 51,630 50,255 50,667 54,165 55,057
  2015 2016 2017 2018 2019 2020
重電機器 34,821 34,669 37,512 36,023 33,352 30,576
白物家電 18,428 18,876 19,163 20,613 19,779 18,718
合計 53,248 53,545 57,676 56,641 53,131 49,294


続いて世界の総合電機業界の市場規模について見てみましょう。サムスン社の「2021年のインベスタープレゼンテーション」によると2021年の市場規模は3370億ドルとなりました。2011年~2021年の年平均成長率は3%となりました。
 

・家電業界の世界シェアトップ16(2020年)

1位 2位 3位 4位
サムスン電子 LGエレクトロニクス ハイアール パナソニック
14.80% 10.90% 10.80% 7.30%
5位 6位 7位 8位
ワールプール 美的集団 B/S/H エレクトロラックス
6.20% 6.20% 5.70% 4.80%
9位 10位 11位 12位
シャープ SEBグループ ダイソン ハイセンス
3.80% 2.90% 2.60% 2.30%
13位 14位 15位 16位
フィリップス ミーレ・アンド・シー アルチェリク 日立
2.20% 1.90% 1.70% 1.50%


将来性

一般社団法人 日本電機工業会「2021年度 電気機器の見通し」によれば、重電分野では、前年度と同様に中国、米国等の半導体、電子部品産業向けの設備投資が期待され、その他の産業分野の設備投資も国内、海外ともに緩やかに回復に向かうと見ており、重電機器の国内生産は、3兆1,035億円、前年度比101.5%と前年度を上回る見通しです。 

白物家電分野は、特別定額給付金の支給による消費の下支えがあった昨年度程の勢いはないも の、在宅時間の増加による巣ごもり需要は続くことから、前年度をやや下回る程度と見通しており、 白物家電機器の国内出荷は、2兆4,793億円、前年度比98.2%となる見通しです。2021年度の重電・白物家電機器を合わせた電気機器の国内生産は、4兆9,231億円、前 年度比99.9%となる見通しです。 

  2021年度市場規模見通し
重電分野 31,035億円(前年比101.5%)
白物家電分野 18,197億円(前年比97.2%)
電気機器合計 49,231億円(前年比99.9%)


海外市場の見通し

また、海外市場については国際機関や民間シンクタンクが見通しを出しており、最も有望とされる社会インフラ系の市場においては今後10~20年で世界の需要は30兆ドル、40兆ドルといった試算があります。30兆ドルならざっと3,400兆円の規模になります。


アジア中心に道路と鉄道、空港や港湾などの輸送基盤のほか、発電・変電設備や上下水道、通信など様々な分野で需要は加速するとの見通しです。
 

業界の分類

大手総合電機メーカー


大手5社

明確な定義はありませんが、一般的に総合電機メーカーで「大手」と言う場合には日立製作所、ソニー、パナソニック、三菱電機、富士通などを指します。


中堅

大手5社には劣りますが、比較的規模の大きい企業としてキャノン、東芝、NEC、シャープ、リコーなどがあります。

最新のトレンド


ほとんどすべての分野で市場規模は縮小

2015年から2019年の総合電機の市場規模(出荷額ベース)は増減を繰り返しつつもほぼ横ばいで推移しています。

2015 2016 2017 2018 2019
17兆3,655億円 16兆3,883億円 17兆2,593億円 18兆7,893億円 18兆1,969億円


直近の2018-2019年の総合電機業界の市場動向について見ていきましょう。

家電業界は共働き世帯や単身世帯といった家族構成の変化によって、時短ニーズや家事の負担を低減するニーズが強まったことを背景に、洗濯機や冷蔵庫の販売が好調となり、市場が拡大しました。また、近年の猛暑によってエアコンの販売も好調に推移しています。また、2020年に始まった新型コロナウイルスの影響でEC販売が好調に推移しています。一方で緊急事態宣言に伴う外出自粛によって家電量販店での販売は苦戦したようです。また、定額給付金を使った消費も堅調に推移するなど「コロナ特需」も確認されます。

重電業界は全体として横ばいで推移しています。2000年代は中国や東南アジアのインフラ整備需要に支えられて新興国への輸出が好調に推移しましたが、2009年のアメリカ初のサブプライムローン問題や金融危機により世界的にインフラ需要が減退しました。また、為替が円高に振れたことで輸出が伸び悩んでいます。しかし、2012年の政権交代を機として、国内経済の拡大や円高是正によって堅調に推移しています。

OA機器は微減傾向となっています。OA機器の技術力やブランド力は世界トップクラスであり、2007年まではアメリカや東南アジア、いわゆるBRICsと呼ばれる新興国への輸出が堅調でした。しかし、2009年のアメリカ初のサブプライムローン問題や金融危機によりオフィス向けのOA機器の需要が減退したほか、新興国メーカーとの低価格競争や円高圧力が強まり、各社とも苦戦しました。その後は若干の回復は見られたものの、中国市場の成長鈍化、欧州不況などの影響でオフィス機器への投資を控える傾向にあります。


軽電機器は洗濯機、冷蔵庫が好調な一方でテレビが苦戦

白物家電業界

経済産業省の生産動態統計によると、2020年の冷蔵庫の販売額は、前年比+4.7%の3,122億円、洗濯機は前年比-1.6%の1,762億円となりました。白物家電業界は全体としては縮小傾向にあります。要因としては国内経済の停滞や人口減少によって消費が低迷していることが挙げられます。しかし、単身世帯や共働き世帯の増加によって時短ニーズや家事の負担を軽減する簡便さが好まれ、「まとめ洗い」や「まとめ買い」に対応した大型・高価格帯の洗濯機や冷蔵庫の売れ行きが好調です。

テレビ需要の衰退

一方で苦戦しているのがテレビです。経済産業省の生産動態統計によると、2020年の薄型テレビの販売額は、前年比-46.2%の661億円となりました。テレビの販売の停滞の要因としては2020年の東京オリンピックの開催延期による需要の先延ばしの影響があります。しかし、本質的な課題としては消費者のテレビ離れが挙げられます。

特に消費者が旺盛な若者の間ではその傾向が顕著であり、NHK放送文化研究所の国民生活時間調査によれば、19歳以下の若者層でのテレビ接触率はほぼ50%ということになっており、「毎日テレビを見る人」は全体の8割を切っています。


背景としてはYoutubeやAmazonプライム等のインターネット動画の普及が挙げられます。テレビ局はユーチューブやTVer、そして各局が取り組んでいるHuluやFODなど、配信系を重視する方向に移行しており、テレビの需要減退は今後も続くと見られています。

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