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農業機械 将来性

【就活生必見】農業機械の業界研究について!業界内の事業構造・将来性などについてご紹介します。

農業をものづくりの側面から支えているのが農業機械業界です。意外とニッチな業界ですが、世界を代表する技術力を持つ企業が多く属しています。ものづくりに興味のある学生が多く志望し、内定者の多くが都内の有名私立大学や旧帝国大学の学生です。農業機械業界に入って、日本のものづくりを支えるためには高い倍率を勝ち抜く必要があります。そのためにもビジネスモデルや業界トレンドを理解し、自分が活躍できることを説得力を持って説明することが重要です。ぜひ最後まで読んで、農業機械業界の就活に挑みましょう。

visibility7289 |

農業機械業界とは

この章では農業機械業界

  • 業界構造
  • 将来性
  • 業界分類
  • 最新トレンドについて

解説していきます。

業界構造

農業機械の製造・販売

農業機械とはトラクター、田植え機、コンバインなどの農業で利用する大型機械を指します。

農業機械メーカーの基本的なビジネスモデルはBtoBビジネスです。

商流としては農業機械メーカーが農業機械を製造し、約3割が全農(全国農業協同組合連合会)に販売されます。

全農から農協や農業者によって組織された協同組合である農協に販売されます。

農協に納品された農業機械は農業事業者に販売・レンタルされます。

また、農協は直接農業事業者に対して販売・レンタルするだけではなく、リース会社に販売し、リース会社が農業事業者に対してレンタルをします。

一方で残りの7割は農業機械の販売会社(卸売業者)に販売されます。

販売会社からさらに農協、販売会社の営業所、一般農具の販売店、ホームセンターなどに販売されます。

農業事業者はこれらから農業機械を購入・またはレンタルします。

13222_業界研究_農業機械_ビジネスモデル_1

農業機械は一般消費財と異なり、農業において長期にわたり使用されることを想定しています。

したがって、単にカタログ通りに農業機械を製造し、顧客がカタログから農業機械を選択し、納品するという形でビジネスが完結するわけではありません。

農業事業者にはそれぞれ固有のニーズや使用目的があり、そのニーズを満たすために農業機械をオーダーメイドで開発・設計します。

試作された農業機械は顧客の要求水準を満たしているかどうかをテストされ、最終的には農業の現場に納品・稼働します。

このように農業機械は一般消費者向けの工業製品ではありませんので、個別の顧客のニーズに対して一つ一つ真摯に対応することが必要です。

一部の機械を除いて全く同じ機械を大量生産するビジネスではありません。

農業のソリューション提案

農業機械メーカーは農業機械の製造・販売をメインビジネスとしてきましたが、近年では、農作物の生産から加工、消費などに至る各段階をトータルでサポートする農業ソリューションを提供しています。

また、農業に関する社会問題の解決に農業機械を用いて取り組んでおり、食糧不足、農業就業人口の減少、就農者の高齢化など日本のみならず世界的に深刻化する課題に対して、ロボット技術やICT技術を活用して取り組んでいます。

13222_業界研究_農業機械‗製造‗2

このほかにもAI技術やIoTと農業と融合させて、農業の省力化や高品質化、効率化、高付加価値の提供などスマート農業を推進しています。

このようにテクノロジーと農業を融合させたソリューション提案の市場は今後も拡大すると考えられています。

13222_業界研究_農業機械_技術_3

農業機械のメンテナンス

農業機械メーカーのビジネスは農業機械を製造・販売したら完結するわけではありません。

納品後に農業機械をメンテナンス・修理する事業もビジネスの一部です。

農業機械を購入した農業事業者やレンタルを行っている会社は農業機械を長期的に保有・稼働するつもりでしますので、定期的なメンテナンスは必須となります。

メンテナンスの方法にはセルフメンテナンスと有償メンテナンスの2種類があります。

セルフメンテナンスとは農業機械メーカーが作成したマニュアルに沿って顧客企業がメンテナンスする方法で広く一般的に利用されています。

一方で、有償メンテナンスは機械に不具合が起きた場合や故障があった場合に農業機械メーカーから専門家を派遣して、修理する方法や、農業機械の専門家がゼネコンや建設会社に常駐して、日頃からメンテナンスを行う手法です。

一般的に機械の販売から一定期間は保証期間が設けられており、その間は無償でメンテナンスを行い、保証期間が終了すると、メンテナンスが有償に切り替わり、メンテナンス費用が収益となります。

13222_業界研究_農業機械‗メンテナンス‗4

しかし、現在では、一部ではIoT技術を組み込んだシステムを構築しています。

13222_業界研究_農業機械_システム‗5

例えば機械を使った分だけ請求し、ユーザーは使った分(稼働時間分)だけ支払うサブスクリプション・モデルも可能になってきました。

農業機械の輸出

日本の農業機械は世界的にも高い評価を受けており、多くが海外に輸出されています。商流としては農業機械メーカーが農業機械を開発・製造し、国内の代理店に販売します。

代理店から海外の販売店に対して、卸売され、最終的に農業事業者に届けられます。

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また、近年では農業機械メーカーが輸出ビジネスを行うのではなく、輸出業者が事業の一環として中古の農業機械を海外に輸出するケースが増えています

統計によれば、日本の中古トラクターは2017年時点で127億4,800万円の輸出規模を誇ります。

地域別ではアジア向けが全体の54.1%となる68億9,300万円で最大であり、EU向けは32.5%に相当する41億4,800万円でした。

国別では、全体の約4割を占めるベトナム向けが圧倒的に多いものの、第2位リトアニア、第3位ロシア、第4位ブルガリア、第5位ポーランド、第6位フィリピン、第7位オランダ、第8位ドイツと、EU加盟国が上位に多く位置しています。

EUの取引先は、現地の大規模農家や農業機械ディーラーが中心でそのままEU内で利用されることもあれば、EUからさらにアフリカ諸国に対して輸出されることもあります。

13222_業界研究‗農業機械‗輸出‗7

最近では中・東欧地域最大の農業国であるポーランド向けも伸びています。

出典:まだまだ使える中古機械を輸出する旺方トレーディング | 欧州市場に挑む ―中堅・中小企業等の欧州ビジネス事例から - 特集 - 地域・分析レポート - 海外ビジネス情報 - ジェトロ

市場規模・将来性

市場規模

業界動向リサーチによれば、2020年-2021年の農業機械業界の市場規模(主要対象企業5社の売上高の合計)は2兆3,107億円となっています。

日本農業機械工業会によると、2020年の農機生産金額(作業機を除く)は3,904億1,700万円(前年比12.8%減)で、国内向けが2,180億5,100万円(同17.6%減)、輸出が1,723億6,600万円(同5.8%減)となっています

1割を超える減少の要因としては新型コロナウイルスの感染拡大による営業活動停止などが影響しています。

2021年も1~3月の国内向けは前年同期比4%減と苦戦が続いていますが、輸出が同20.2%増加し、全体では6.4%増と持ち直しています。

同じく日本農業機械工業会によれば、2020年の農業機械出荷額は前年比12.7%減の4,024億7,300万円と3年ぶりの減少しました。

内訳としてはトラクターは同18.0%減の2,238億2,000万円、コンバインが同10.2%減の660億1,100万円、田植え機が同4.5%減の354億8,300万円となっています。

農林水産省の「農業機械をめぐる情勢」によれば、農家数の減少に伴い、主要農業機械(トラクター、田植機、コンバイン)の国内向け農業機械の出荷台数は年々減少しています。
 

主要農業機械の国内向け出荷台数と販売農家戸数の推移(単位:台)

  平成7年 平成26年
トラクター 90,623 46,104(▲49%)
コンバイン 64,572 21,004(▲67%)
田植え機 81,729 27,756(▲66%)
3機種合計 236,924 94,864(▲60%)


農業機械の出荷額の推移(単位:億円)

  平成7年 平成26年
国内出荷額 5,092 3,041(▲40%)
輸出額 1,046 2,407(+130%)
出荷額合計 6,138 5,448(▲11%)

 

上述のように国内市場が縮小する一方で輸出額は増加しています。農業機械の輸出額のうちトラクタが大半を占めています。

新車・中古の輸出状況を見ると、最も輸出が多い米国への中古トラクターの輸出はほとんどなく、ベトナムへは 中古トラクターが輸出のほとんどを占めています。

なお、コンバイン、田植機については、稲作を中心とするアジア諸国に対する輸出がほとんどを占めています。

将来性

富士経済のレポート「先進テクノロジーが変える!!農林水産ビジネス最前線と将来展望2019」によると、畜産業を除いたスマート農業の市場規模は2018年の698億円から2030年の1074億円へ53.9%拡大し、同じ12年間にロボット農機の市場規模は1.3億円から67億円へ、実に51.5倍の急成長を遂げると予測されています

続いて世界の農業機械の市場について見ていきましょう。

(株)グローバルインフォメーションの市場調査レポート「農業機械の世界市場 - 2025年までの予測:耕起・耕作、播種・植付」 (MarketsandMarkets) によれば、農業機械の市場規模は、2020年の922億米ドルから2025年までに1130億米ドルに達し、CAGR(年平均成長率)は4.2%で成長すると予測しています。

市場の拡大の主要因は政府の支援であり、械化を推進するためのローン免除・融資・補助融資など様々施策によって農業事業者が支援されています。

例えば、米国政府は、生産者へ直接支払う160億米ドルを含む190億米ドルの農業従事者向け救済プログラムを発表しました。

13222‗業界研究‗農業機械‗市場規模‗8

2020年の農業機械市場は、新型コロナウイルスの影響や農業従事者の高額な高性能農機具購入への消極的な姿勢などから、若干の落ち込みが予想されますが、製造施設の再開、国際的な国境の開放、赤道地域の良好なモンスーン条件、政府による農業支援などにより、年末までに勢いが回復する見込みです。

業界の分類

農業機械業界は日本農業機械工業会の会員企業68社のうち、クボタ、ヤンマー、井関農機、三菱マヒンドラ農機の大手4社の出荷額が全体の約8割を占める寡占化が進んでいます。

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最新のトレンド

進むテクノロジーの活用

日本の農業は離農や人材の不足、後継者不足による就農者の高齢化が深刻化しています。

このような農業の課題に対して注目されているのが、「スマート農業」です。

従来は農業は重労働かつ熟練者でないとできない作業が多かったのですが、記念ではロボット技術や情報通信技術(ICT)を活用して、省人化・省力化・高品質生産が試みられています。スマート農業の一環として挙げられるものには以下のようなものがあります。

  • 遠隔操作や無人で走行するロボットトラクター
  • スマホで管理する水管理システム
  • 無線操縦装置草刈り機
  • 農薬散布ドローン
  • センシングデータ活用による生育・病害管理
  • 自動収穫機

各社の取り組む状況を見てみましょう。

農業機械の分野で業界最大手のクボタは2017年より自動運転トラクター「アグリロボトラクタ」を展開しています。

また、自動車のEV化の流れに合わせて、電動トラクターの試作機も開発しています。

2020年には米半導体大手エヌビディアと農機の自動運転で提携を発表し、GPU(画像処理半導体)と人工知能(AI)を搭載し、カメラなどで取得したデータを瞬時に分析できる技術を開発しています。

ヤンマーは高機能・低燃費・低コストを実現した「ベストマッチモデル」というトラクターを開発しました。

また、遠隔操作が可能で、レーザーや超音波で障害物を回避したり、自動運転が可能な自動運転トラクターを開発しています。

井関農機は完全無人のトラクター、コンバイン、田植機を開発しています。

また、つくばみらい市と提携協定を結び、つくば市と協力して、マート農業を実践実証し、生産技術の向上やコスト削減、高品質な農産物の栽培方法を確立・普及させることで持続的な農業の実現をめざしています。

具体的には、つくばみらい市内にある協力農家のほ場で、水田センサなど水管理システム、人工衛星などセンシングによる生育分析、井関農機のスマート農機である収量コンバイン、可変施肥田植機などの先端技術の実証を行う予定です。

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このようにロボット技術やICTの導入は、農作業の軽減や効率化の他、農作物の品質向上にも必要な技術農作業の軽減や効率化の他、農作物の品質向上にも必要な技術です。

大手の農業機械会社からIT企業までと、市場参加者は増加傾向にあります。

農林水産省もスマート農業の普及に向けプロジェクトを開始、農業のスマート化を推進しています。

こうしたことから、国内でも今後、ITを活用した農業機械の利用が進むことが予想されています。

海外進出の進展

国内の農業機械の市場規模が縮小する中で各社は海外市場に活路を見出しています。

海外では人口増加による食糧不足、気候変動による不作など農業関連のニーズは高く、こうした状況が各社の進出を後押ししています。

農業機械の最大手のクボタは海外市場においては北米においてのコンパクトトラクタ、乗用芝刈機の活躍に加えて、中国・タイなどアジアへも展開し、効率的な農業・安定した食糧供給を実現するため、グローバルな展開に取り組んでいます。

2020年にはインドのEscorts Limitedともに設立した合弁会社でトラクタの量産を開始しました。

世界最大規模のインド トラクタ市場で現地仕様の製品投入を通じて、事業展開を加速していく方針です。

また、オランダのスタートアップ企業「Aurea Imaging」との1年間の戦略的提携を結び、Aurea社の技術を組み合わせた果樹栽培システムの自動化の実現性について、実証実験を進めていく方針です。

井関農機は欧州のフランス・ベルギー・ドイツ、北米の米国、アジアでは中国・インドネシア・タイなどに事業を展開しています。

2018年にはインドで市場シェア2位のインド農機大手のトラクターズアンドファームエクイップメント(TAFE)と技術・業務提携を結んだと発表し、中型トラクターの製造及び販売を強化する方針です。

ヤンマーHDは、米国、オランダ、中国、韓国、タイ、インドネシアなどの東南アジアに進出。ベトナムでは合弁会社を設立し、現地での農業ビジネスの展開を開始しました。

インドではトラクター製造大手「International Tractors Limited」の株式を追加取得しました。

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