search
ログイン質問する
dehaze
プラント業界

【就活生必見】プラントの業界研究|事業構造・将来性・働き方など徹底解説

日本のものづくりを支えているのがプラント業界です。顧客には石油メジャーや中東の国営企業が多く、安定性も抜群です。したがって、就活の人気も高く、都内の有名私立大学や旧帝国大学の学生の多くが志望します。したがって、就活の対策をするためにはプラント業界のビジネスモデルや業界のトレンド、業界を代表する各社の立ち位置を理解し、自分の強みやスキルを面接官にアピールすることが必要です。この記事では業界を代表する企業の有価証券報告書や公的機関のレポート、報道内容などをもとにプラント業界について解説しています。ぜひ最後まで読んで、プラント業界の就活に挑戦しましょう。

プラント業界とは

この章ではプラント業界の
 

  • 業界構造
  • 将来性
  • 業界分類
  • 最新トレンド
     

について解説していきます。
 

業界構造

プラントの設計・製造

プラントとは一連の機械や装置、ワンセットの工場、つまりは工場設備一式を指します。プラントの種類も多様であり、製鉄プラント、化学プラント、石油・天然ガスプラント、原子力・エネルギープラント、環境プラントなどがあります。

例えば、ゴミ焼却場の場合、計測器、クレーン、ボイラー、焼却炉などその他多くの工場設備から構成されています。それら全体をプラントと呼びます。これら各種プラントの設計、建設、据付、操業保全などを行っています。

プラント産業は伝統的に醸造業や化学工業などの重工業の装置や工場の建設及びメンテナンスを行ってきました。戦後は日本経済の重化学工業化とともに、増大してきたエネルギー関連事業、製鉄、石油精製等に関する装置、工場建設が、プラント工業の主要市場となってきました。ビジネスモデルとしてはBtoBビジネスであり、様々な産業設備の設計から製作、建設、メンテナンスまでのトータルソリューションを提供しています。

プラント、つまり工場は各産業において長期的に使用されることを前提に設計されています。一般消費者向けの消耗品ではないため、同種の製品を大量に生産して、カタログに記載し、顧客がカタログにから機械を選んで購入するというビジネスではありません。ユーザーの産業やビジネスに合わせて、ユーザーの要求水準を満たす機械・工場をオーダーメイドで設計・製造し、テストを繰り返します。最終的には各産業の現場に納品・設置するものの、その後もメンテンナンスやシステムの更新等の関係が続いていきます。
 

プラント産業はトータルソリューション

一般消費財のようにトレンドに左右されることはほとんどなく、自前の技術や経験、ノウハウを蓄積していってユーザーにソリューションを提供し、その後も長い関係を構築してメンテナンスサービスでも収益を稼いでいくという特徴があります。
 

プラントのメンテナンス

プラントのメンテナンス

プラントは各産業のビジネスの根幹を支えると同時に長期的に使用することを前提としていますので、定期的なメンテナンスが不可欠です。そのため、プラントメーカーが納品する際には単にプラントを設計・生産するのみならず、メンテナンスを含めたトータルソリューションを提供しています。定期的な整備・補修・交換を行い、設備・機器のトラブル時には顧客と一体となって原因を調査し、対策を検討し、対応します。

メンテナンスにはセルフメンテナンスと有償メンテナンスがあります。セルフメンテナンスとはプラントメーカーが作成したマニュアルをプラントの納品とともに顧客に納品し、顧客が自社で定期的なメンテナンスを行います。有償メンテナンスとはトラブルの発生時にプラントメーカーから顧客の工場に従業員を派遣し、トラブル対応をします。

また、プラントメーカーの従業員が常時顧客の工場に常駐し、定期的なメンテナンス及びトラブル発生時の修理を行います。これらのメンテナンスは有償で行われ、メンテナンスサービス代がメーカーの収益となります。
 

プラント輸出

プラント輸出

プラント輸出とは生産設備・装置一式・大型機械など工場をまるごと海外に設置し、運転できる状態まで設計することを指します。「輸出」と言う場合は技術指導を含むこともあります。輸出されるプラントの種類も多様であり、製鉄プラント、発電プラント、化学プラント、通信プラント、石油・天然ガスプラント、繊維プラントなど多種多様なプラントが輸出されています。

プラント輸出には「ターン・キー契約」と「フル・ターン・キー契約」があります。「ターン・キー契約」とはプラントの設計から運転までが契約の内容となっており、「フル・ターン・キー契約」とはプラント及び付帯設備の設計・運転及び技術指導までを契約としている点で異なります。「フル・ターン・キー契約」の場合には輸出先に技術者を派遣し、現地での陸揚・通関・内陸輸送・荷捌、及び在庫管理などのスーパーバイザーとして貨物の安全かつ円滑な輸送を含んでいます。

従来のプラント輸出ではプラント設備の全てを日本で設計・製造し、船舶で輸出先に運搬し、現地で組立をしていましたが近年では現地の調達率は50%程度まで上昇しており、日本から運搬する設備は半分程度となっています。
 

市場規模・将来性

市場規模

業界動向リサーチによれば、2020年-2021年のプラント業界の市場規模(主要対象企業13社の売上高の合計)は1兆9,895億円となっています。日経テレコンによれば、2019年度のプラントの受注額は国内外合わせて8.6%減の17兆4,000億円となりました。近年、原油価格の下落によってプラント建設の発注は減少傾向にありましたが、2018年以降は受注が回復しました。

海外の大型顧客である産油国の国営石油会社や欧米の石油大手は、多くの投資計画を持っており、今後の拡大が期待されます。しかし、新型コロナウイルスによる石油需要の減少を受け、欧米の石油大手は設備投資を抑制しており、各社はプラント市況の回復には1~2年かかると予測しています。

一般社団法人エンジニアリング協会のエンジニアリング白書2018年度「エンジニアリング産業の実態と動向」によれば、2018 年度(2019 年 3 月期)の受注見通しは国内13.9 兆円(前年度比 0.7%減)、海外4.8 兆円(前年度比 71.9%増) となりました。業種別で見ると、エンジニアリング専業が、前年度比で 25.3%増と大きく受注を伸ばしました。

前年度は横ばいだった電機・通信・計装の受注も、国内海外とも好調で、全体で10.4%の伸びとなりました。総合建設は海外受注が前年度比 156.0%増と大幅に増加したものの、比重の大きい国内受注が一服し、全体では前年度比で横ばいとなりました。造船重機・鉄鋼・産業機械の受注高は、前年度比 10.7%減となり、2 年連続での減少となりました。 

プラント・施設別では、引き続き、都市開発・地域開発、電力プラント、交通インフラの3 分野のウェイトが大きく、全受注高の63.4%を占めました。本年度は大きく受注を増加させたプラント・施設が増え、産業施設(前年度比 31.8%増)、化学プラント(同 25.5%増)、環境衛生(同 23.7%増)、石油・ガスエネルギープラント(同 22.2%増)等が好調でした。

本年度の海外受注は3 年ぶりの増加となり、地域別に見るとシェア 29.3%の東南アジアが 3 年連続で1 位、北アフリカが 14.5%を占め、前年度の 4 位 から 2 位に浮上、次いで南アジア(12.5%)、大洋州(11.5%)の順となりました。
 

将来性

日本では高度経済成長時代からバブル崩壊直前にかけて、重工業の発達によってプラントの建設需要が旺盛でした。しかし、バブル崩壊以降はプラントの需要が減退しているほか、国土面積が狭いことからプラント建設事業は成熟産業になっていると言えます。したがって、プラントの建設の需要は旺盛ではありませんが、高度経済成長時代に建設されたプラントが寿命を迎えていることからプラントのメンテナンスや改修のニーズが高まっています。

一方で、日本国外に目を向けると海外ではプラント建設の需要は未だ旺盛です。例えば、経済成長によってインフラの建設需要が高まっている東南アジアや南米、石油資源が豊富であり石油・天然ガスプラントの需要が見込める中東ではプラント建設需要が高く、これらの地域におけるプラント建設プロジェクトの受注が増えています。
 

プラント業界の将来性

業界の分類

専業大手のプラントメーカー

専業大手

専業大手のプラントメーカーには日揮、千代田化工建設、東洋エンジニアリングなどがあります。専業大手は海外の売上高比率が8割を超えています。中東、アフリカ、東南アジアなどで石油・天然ガスプラントの建設プロジェクトを多く受注しており、日本企業の世界シェアは7割を超えています。顧客もShellなどのオイルメジャーや中東の産油国の国営企業が主要顧客であり、大きな利益が見込めます。一方で、これらの顧客は石油価格の動向や製品の需給バランスを見てプロジェクト実施を決定するので、石油価格がプラント受注量に影響してきます。
 

重電系

重電系のプラントメーカーには日立製作所、東芝プラントシステムなどが挙げられます。これらのメーカーは自社の事業の1つとしてプラント建設を行っています。
 

製鉄系

製鉄系のプラントメーカーには新日鉄住金エンジニアリング、JFEエンジニアリングなどが挙げられます。製鉄プラントの建設が主な事業内容です。
 

最新のトレンド

プラント市場は横ばい推移

プラントメーカーの市場規模の推移を見てみましょう。経済産業省の「特定サービス産業動態統計調査」によると、プラントの受注高の推移は以下のとおりです。
 

  2011 2012 2013 2014 2015
受注高(億円) 62,270 56,609 56,611 63,681 51,613
  2016 2017 2018 2019 2020
受注高(億円) 53,563 49,429 63,452 55,574 55,667


このようにプラントの受注高は増減を繰り返しながら、概ね横ばいで推移しています。施設別では電力プラント、化学プラント、通信プラント、製鉄プラントの順となっています。2007年頃までは世界的にエネルギー価格が高騰したことからエネルギー素材の需要が増加し、プラント業界は業績を伸ばしました。また、中東では石油・天然ガス、化学プラントの建設需要が増大し、各社の業績を支えました。

しかし、2008年以降は原油価格の下落によって、海外の大口顧客である中東の国営企業からの石油プラントの受注が減少しました。また、アメリカのサブプライムローン問題やリーマンショックによって中国な東南アジアでもプラントの建設需要が減退し、プラント業界は縮小します。

2020年以降は新型コロナウイルスの感染拡大によって世界的に景気後退局面に突入したことや原油価格が下落したことによってプラント建設需要が減退しています。各社ともプラント需要の回復には1~2年程度かかると見ています。
 

洋上プラントの受注増大

近年、液化天然ガス(LNG)の需要拡大によって洋上プラントが注目されています。液化天然ガスは石炭や石油に比べて二酸化炭素の排出量が少なく、かつ世界的に埋蔵量が豊富であることから新しいエネルギー源として注目されています。しかし、元来、液化天然ガスの多くが海底にあることから、中小規模の開発事業では採算性が見込めませんでした。

洋上プラントは液化天然ガスの貯蔵装置を持つ船舶の上に液化天然ガスの製造・出荷設備を保有し、これによって海底から産出される液化天然ガスを精製・液化・貯蔵・出荷まで一貫して行うことができます。洋上プラントの建設によって液化天然ガスの安定的な供給が期待されており、洋上プラントの建設需要が高まっています。
 

洋上プラントとは

三井海洋開発はアメリカの石油メジャーコノコフィリップスがオーストラリアで操業する洋上プラントの建設を2,000億円で受注しました。三井海洋開発による洋上プラントの建設として過去最大規模の生産能力となります。また、同社はイタリアの炭化水素公社からメキシコ沖合に設置する洋上プラントの建設を1,000億円で受注しており、洋上プラント業界での地位を固めたい考えです。

また、IHIや三井造船は水素を生成するプラントをヨーロッパで開発するプロジェクトを発表しています。これは洋上の風力発電の余剰電力を有効活用して、二酸化炭素を輩出しないグリーン水素をつくります。投資額は600億円程度で、2030年までの商用化を目指しています。

関連記事
▶︎【就活生必見】デベロッパーの業界研究|事業構造・将来性・働き方など徹底解説

レクタングルバナー
JobQ Townでは仕事にまつわる
あらゆる疑問を匿名で質問できます
Q&A16,000件 / 回答数35,000件
約90%の質問に回答が寄せられています。
googleGoogleで登録して質問する
lineLINEで登録して質問する
メールアドレス・別アカウントで登録