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新聞業界 将来性

【就活生必見】新聞の業界研究|事業構造・将来性・働き方など徹底解説

ジャーナリズムや執筆活動に関心のある学生から圧倒的な人気を誇るのが新聞業界です。ジャーナリストを志す都内の有名私立大学や旧帝国大学の学生が選考に挑むので就活難易度は高めです。SNSやスマートフォンの普及によって新聞業界は激変の真っ只中にあります。新聞業界の業界研究を徹底して行い、新聞業界の将来や課題について考えることは就活に挑む上で不可欠です。新聞業界各社の決算や公的機関のレポートをもとに新聞業界のビジネスモデルや業界のトレンドについて理解し、その上で面接で自分が将来活躍できる人材であることをアピールしましょう。

visibility1589 |

新聞業界とは

この章では新聞業界

  • 業界構造
  • 将来性
  • 業界分類
  • 最新トレンドについて

解説していきます。

業界構造

新聞の販売

業界研究 新聞 販売新聞はビジネスマンや政治・経済のエリートのほとんどが購読しています。新聞には政治、経済、国際情勢、文化やスポーツを含めた世の中の動き全体が掲載されており、新聞は昔から社会を知るための最も基本かつ最良のツールです。

新聞社の利益の8割を占めるのが新聞の販売収入と広告収入です。近年ではネットニュースの台頭によって、新聞社のビジネスモデルは変わりつつありますが、主な収益モデルが販売及び広告であることに変わりはありません。民放テレビは広告収入のみに依存していますので、販売と広告の2つの収入源があるのは新聞の強みです。

新聞紙の販売による収入はBtoCビジネスです。新聞記者の取材によって収集された情報を基に新聞紙が作成され、コンピュータでレイアウトされます。情報と広告がドッキングされた上で印刷工程に進み、梱包された新聞が新聞社の販売店に届けられます。販売店から新聞を購読している各世帯に新聞が配達されます。このように日本では毎日決まった時間に新聞が届く「戸別配達制度」が確立しています。

この戸別配達制度のおかげで、定期購読の消費者が多くいて、新聞社の安定的な経営に寄与していました。近年、動画配信サービスを中心にサブスクリプション型のビジネスモデルが普及していますが、新聞業界では昔から普及しています。

サブスクリプション型のビジネスモデルはその都度商品を購入する従来のビジネスモデルと異なり、決められた期間一定の金額が支払われるため、売上の見通しを立てることが容易となり、収益が安定します。利益は従来の価格×販売数で計算されるわけではなく、利用料金×顧客数で計算されます。

広告ビジネス

新聞の販売収入に次いで、新聞社の収益源となっているのが広告ビジネスです。販売ビジネスがBtoCビジネスなのに対して、広告ビジネスはBtoBビジネスです。企業が新聞に広告を出稿し、新聞社に対して、掲載料金を支払います。新聞は紙面の保存が容易であり、他の媒体やメディアに比べて信頼感が高く、ブランド力がありますので、新聞広告に掲載されるだけで消費者に信頼感を与える効果があります。

広告を掲載する目的な自社の商品やサービス、企業自体の宣伝などがあります。新聞広告の掲載料金は他の媒体に比べて割高であり、広告を掲載するページや広告自体のサイズによって掲載料金が異なります。紙面の小さいスペースに自社や自社製品の名前だけを掲載する場合や特定の紙面に全面広告を打つ場合もあります。全面広告はそれ自体が他のメディアで取り上げられるという宣伝効果があります。
業界研究 新聞
テレビ局のCMや雑誌の広告の場合は掲載料金が前払いとなっていますが、新聞広告の場合は掲載料金が後払いという商慣習の違いがあります。これは新聞の場合、突発的な大事故やスキャンダルが起きた場合には特別紙面を組むために掲載予定だった広告を外しそこに記事を載せるといったことを行う場合があり、そのような際のクライアントとのトラブル発生を防ぐ目的があります。業界研究 新聞 後払い

不動産収入

業界研究 新聞 不動産収入新聞社の収益源は新聞の販売及び新聞広告が8割となっていますが、新聞社によっては不動産事業を展開しています。例えば、朝日新聞社は新聞社でありながら、不動産事業において安定的な収益を上げています。同社の2020年3月期決算によれば、売上高3,345億円に対して、不動産事業の売上高は385億円となっており、収益の1割強を占めています。

新聞各社の不動産事業の中心はオフィスビルの賃貸事業です。オフィスの賃貸ビジネスは賃料収入の変動が比較的少なく、長期安定ビジネスであり、メディア・コンテンツ事業の長期凋落に対して、不動産事業の安定利益が下支えしています。土地や建物などの不動産を取得する初期費用はコストが高くなるので、ローンを組んで、物件を取得し、長期間にわたって賃料収入を得て、初期費用を回収し、収益を確保するというのが基本的なビジネスモデルです。

不動産事業は入居率や賃料相場が下落しても、景気変動や株式相場の動きなどに比べると、かなり緩やかであり、売上が比較的安定しているので、収益の見通しが立てやすいというメリットがあります。

市場規模・将来性

市場規模

業界動向リサーチによれば、2019年-2020年の新聞業界の市場規模(主要対象企業6社の売上高の合計)は1兆4,836億円となっています。

日本新聞協会の調査によると、日本新聞協会会員のうち新聞社91社の総売上高(2018年度)は、1兆6,619億円(前年度比2.9%減)となりました。2005年度の2兆4,188億円をピークに13年連続の減少で、総売上高はほぼ3分の2まで縮小しました。

一世帯あたり購読部数は、2000年の1.13部から、2008年には0.98部と1部を下回り、2019年は0.66部まで減少しています。2019年10月現在の発行部数は3,781万部(前年同期比5.2%減)で、2004年から15年連続で減少、ピーク時の1997年の5,376万部がから1,500万部以上減少しています。このように国内の新聞発行部数は減少傾向が続いています。

日本新聞協会の調べでは、2020年10月末現在の発行部数は3,509万部(前年同期比7.1%減)で、16年連続で減少しました。種類別では一般紙が3,245万部(6.9%減)、スポーツ紙が203万部(10.2%減)となりました。駅頭などでの即売比率が高いスポーツ紙に、コロナ禍の影響がより強く出た結果となりました。発行部数や市場規模の減少の主な原因はインターネットの普及と考えられています。

日本新聞協会によれば、新聞業界の経営環境は以下のように推移しています。


社数

2004年 2005 2006 2007 2008 2,009 2010 2011
96 96 96 97 97 96 94 93
2012年 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019
93 92 91 92 92 92 91 91


総売上高(億円)

2004年 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011
23,797 24,188 23,323 22,490 21,387 20,024 19,375 19,534
2012年 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019
19,156 19,000 18,261 17,906 17,678 17,119 16,625 16,526


販売収入(億円)

2004年 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011
12,573 12,560 12,521 12,428 12,317 12,087 11,841 11,642
2012年 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019
11,519 11,309 10,762 10,466 10,209 9,897 9,502 9,180


広告収入(億円)

2004年 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011
7,550 7,438 7,082 6,646 5,674 4,785 4,505 4,405
2012年 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019
4,458 4,417 4,186 3,984 3,801 3,549 3,308 3,092


その他収入(億円)

2004年 2,005 2006 2007 2008 2009 2010 2011
3,674 4,191 3,720 3,416 3,396 3,152 3,029 3,487
2012年 2,013 2014 2015 2016 2017 2018 2019
3,178 3,274 3,313 3,455 3,668 3,673 3,815 4,253


新聞業界の苦戦は日本だけではありません。日本同様に新聞大国である米国でも経営環境は厳しくなっています。米新聞大手ガネットと同業ニューメディア・インベストメント・グループ(旧・ゲートハウス・メディア)が2019年11月、経営統合を発表しました。

傘下に613媒体、総発行部数849万部という全米最大の新聞社が誕生しました。一方、2018年までの14年間に約1,800の地方紙が廃刊しています。全米の2018年の発行部数は2,855万部と、2000年比で49%減少しています。

将来性

新聞業界の市場規模の推移を見ても分かるとおり、新聞業界の将来性は厳しいと言われており、しばしば衰退産業の例として挙げられることもあるようです。新聞業界が苦戦している要因としては新聞業界の収益の8割を占める新聞販売及び広告収入の減少にあります。

新聞販売の市場の縮小理由としては人口減少によってターゲット層が減少していることに加えて、消費者の新聞離れにあります。以前はビジネスマンのみならず人々の情報収集手段といえば新聞でしたが、最近ではインターネットやスマートフォンの普及によって情報の収集手段が多様化し、購読料を支払って、新聞を読まなくても情報の入手が容易になりました。新聞各社は新聞の電子化などによって生き残り策を講じていますが、高い購読料が足枷となって、収益力の改善にはつながっていません。

また、人々の生活形態や家族形態の変化も新聞の販売数が伸び悩んでいる要因です。従来、新聞の主な販促方法は訪問販売でした。実際に各家庭を訪問して、自社の新聞の購読に勧誘するという手法が新聞業界を象徴するビジネスモデルでした。しかし、現在では若年層は日中は働いており、女性の社会進出が進み、在宅の専業主婦が減少していることから訪問販売による勧誘は非効率になっています。このような社会の変化は今後も続き、訪問販売はさらに減少すると予想されます。

新聞の広告収入の減少も歯止めがかかっていません。広告収入の減少の要因は新聞広告の価値の減少にあります。従来は広告宣伝といえば、新聞広告やテレビCMが最もポピュラーな手法でした。しかし、新聞の購読者が減少し、人々の情報入手手段がインターネットが中心になりました。広告を掲載する企業側としても消費者に向けた宣伝を行う場合に新聞広告が有効な手段とは言えなくなりました。

インターネットの利用者が増えていることから、インターネット広告がより安価で有効な手段となりつつあり、新聞広告の価値が急速に低下しています。

業界の分類

全国紙

日本全体の消費者を対象に発刊されている新聞社です。現在、全国紙としては朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、産経新聞、日本経済新聞の5紙が挙げられます。

地方紙

地方に根拠を持ち、特定の地方の住民を対象に発刊される新聞です。地方紙には発行地域が複数の府県を含む広域にまたがり、発行部数の多い地方紙であるブロック紙、特定の県の住民を対象とする県紙、第二県紙などがあります。

最新のトレンド

縮小する発行部数

新聞業界の市場規模の推移について見てみましょう。日本新聞協会によれば、発行部数の推移は以下のとおりです。

新聞の発行部数(部)

2000 2001 2002 2003 2004 2005
53,708,831 53,680,753 53,198,444 52,874,959 53,021,564 52,568,032
2006 2007 2008 2009 2010 2011
52,310,478 52,028,671 51,491,409 50,352,831 49,321,840 48,345,304
2012 2013 2014 2015 2016 2017
47,777,913 46,999,468 45,362,672 44,246,688 43,276,147 42,128,189
2018 2019 2020      
39,901,576 37,811,248 35,091,944      


2020年の発行部数は3,509万部となり、2019年から271万部減少しました。新聞の発行部数の減少は歯止めがきかず、2000年から1,700万部以上減少し、2008年から毎年約100万部の減少が続いています。2018年以降は減少幅が200万部を突破しており、この減少傾向は今後も続くと見られています。

一方で個別の新聞社を見ると好調な新聞社もあります。例えば、日経新聞のデジタル版の購読者は増加しており、有料会員は76万人、無料版を含むと493万人まで増加しています。なかでも若者及び女性の利用が増加しており、必ずしも新聞社全体が衰退していると言うわけではなさそうです。

デジタル版の集客も苦戦

日本新聞協会によれば、新聞の広告収入は減少傾向にあります。

広告収入(億円)

2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011
7,550 7,438 7,082 6,646 5,674 4,785 4,505 4,405
2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019
4,458 4,417 4,186 3,984 3,801 3,549 3,308 3,092


新聞社にとっては購読料の減少に加えて、広告収入の減少が続き、厳しい経営環境が続きます。今後は新聞紙の広告収入の増加が見込めないため、電子版の収益確保が喫緊の課題ですが、広告収入が少ないという特徴があります。

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