
【就活生必見】レジャー施設業界の業界研究|事業構造・将来性・働き方など徹底解説
レジャー施設は消費者として利用した経験がある学生が多く、趣味を仕事にできる業界として文理問わず多くの学生から人気があります。様々なレジャー施設を経営している大手企業が多く、比較的安定していることから安定志向の学生からも人気があります。確実に内定を取りに行くためにもレジャー施設のビジネスモデルや各社の動向などを理解した上で自分の強みをどう活かすか面接官に伝えることが大切です。この記事ではレジャー施設各社の有価証券報告書やシンクタンク、公的機関のレポートをもとにレジャー施設の業界研究について詳しく解説しています。最後まで読んで就活対策を完璧にしましょう。
レジャー施設業界とは
この記事の文字数は11534文字です。この記事は約28分で読むことができます。
この章ではレジャー施設業界
- 業界構造
- 将来性
- 業界分類
- 最新トレンドについて
解説していきます。
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業界構造(Tier1・2や商流やメインビジネス(稼ぎ方)など)
レジャー施設とは
レジャー施設とは人々が趣味の時間に行う娯楽や消費活動として行う娯楽を指します。この記事ではレジャー施設について映画館、フィットネスクラブ、ゴルフ運営場などのリゾート施設、遊園地などのテーマパークなどと定義します。レジャー施設のビジネスモデルは典型的なBtoCビジネスです。
映画館
映画館の収益源は大きく分けて以下の3つです。
- 入場料収入
- 物販収入
- 広告収入
入場料収入とは映画会社が制作した映画を上映し、入場者からチケット料金を徴収することで得られる収入です。一般的に興行収入と呼ばれるのは映画館の入場料収入を指します。
しかし、入場料収入は映画館の収入源の一つに過ぎません。映画は映画の制作会社、配給会社など様々な問屋を挟んで映画館に提供されるので、利益率が低いビジネスです。したがって、入場料収入以外の物販収入や広告収入が大きな収益源となります。
物販とは入場者が鑑賞中に食べるポップコーンやドリンク、また、映画館のグッズ販売のことです。これらは食料卸や玩具メーカーから仕入れて、販売されています。物販の収入は「映画館を支える」と言われるほど大きな収益源です。
広告収入とは映画の上映前に流れるCMです。テレビCMと同様にCMを流すことによってスポンサーからスポンサー料をもらっています。
フィットネスクラブ
フィットネスクラブとは運動やエクササイズをするためのマシンを設置し、プログラムを提供する施設を指します。ジム・スタジオ・プールは「フィットネスクラブの三種の神器」と言われ、これらすべてを備えたフィットネスクラブを総合フィットネスクラブと呼びます。また、最近ではジムのみ、ジムとスタジオ、スタジオのみなど多様な形態のフィットネスクラブが登場しています。それぞれ顧客ターゲットが異なるので、フィットネスクラブのコンセプトに応じて、適した立地を確保できるかどうかがポイントです。
フィットネスクラブの主な収入源はジム会員の会員費であり、これが全体の7割以上を占めます。形態によって料金は異なりますが、3,000円から30,000円に収束する場合がほとんどです。フィットネスクラブによってはパーソナルトレーニングやスタジオの利用料金を別途徴収する場合があります。
また、会員費のほかにもプロテインなどの飲食物やトレーニングやグッズなどの物販を行っている場合があり、収入の2〜3割程度を占めます。
リゾート施設
リゾート施設の代表格としてゴルフ場が挙げられます。かつてバブル期に全国各地にゴルフ場が乱立しました。当時は高額の会員権を販売することで利益を上げていましたが、現在ではブームは沈静化しています。
ゴルフ場のビジネスモデルはメンバーシップコースと言われる会員権にあります。日本のゴルフ場の9割がこのビジネスモデルを採用しています。以前は会員ではないゴルフ場でプレーするためには会員の推薦などが必要でしたが、近年はゴルフ人口が減少したことで会員以外のプレイヤーも受け入れています。
ゴルフ場は遊休地などを購入して建設され、会員権で投資回収を行っていますが、ゴルフ場利用税など様々な税金が課されるため利益率は低めです。したがって、会員権の販売だけではなく、ボールの販売も行っています。ボールの販売は現金で行われるので、ゴルフ場のキャッシュの安定化につながります。
テーマパーク
テーマパークとは特定のテーマに沿って乗り物などのアトラクションを設置したり、エンターテインメントショーを提供したりする娯楽施設を指します。オリエンタルランドが運営する東京ディズニーランドやユニバーサル・スタジオ・ジャパンハウステンボスなどが代表的です。主な収益源は以下の4つに大別されます。
- 入場料(チケット代)
- グッズ販売収入
- 広告収入
- 飲食代
テーマパークの最も代表的な収益源は入場料です。テーマパークに入園するためにチケットを購入してもらいます。入場料は入場者数×客単価に分解でき、入場者を増やしたり、入場料が減らない程度に適正なチケット代に設定することがポイントです。
テーマパーク内ではテーマパークにちなんだグッズも販売されています。例えば、ディズニーランドではディズニーキャラクターの人形やお菓子、アクセサリーなど様々なグッズが販売されています。これらグッズの販売収入も貴重な収益源であり、期間限定の商品や新商品を発売することで入園者数を増やすことにも寄与します。
広告収入とは企業のスポンサー料です。テーマパークのアトラクションには提供元企業名が記載されています。例えば、ディズニーランドの入園者数は年間3,000万人と言われており、大きな宣伝効果が期待できます。
テーマパーク内にレストランが設置されている場合やテーマパークに併設していることがあります。これらレストランでの飲食代もテーマパークの収益となります。
市場規模・将来性(シンクタンクのレポートなどを)
市場規模
日本映画製作者連盟(映連)の日本映画産業統計によると、2020年の邦画と洋画を合わせた国内興行収入は、1,432億8,500万円(前年比△45.1%)でした。
これは国内興行収入の統計開始以来、最低の水準です。2020年初頭より国内で新型コロナウイルス感染症が拡大し、外出自粛が進んだことや政府の休業要請に応じて、休館したことが影響しました。2020年の映画館入場者数は1億613万人(前年比△45.5%)であり、こちらは映連が設立された1955年以来で過去最低でした。
日本生産性本部の「レジャー白書2020」によれば、フィットネスクラブの市場規模は2012年から2019年まで8年連続で拡大を続けています。一方で、フィットネスクラブ会員の高齢化が進んでおり、若者の集客が鍵となりそうです。近年ではジム・スタジオ・プールをすべて備えた総合フィットネスクラブは減少し、ジムとスタジオだけといった小型店が増えています。24時間入場可能なジムも増えており、若者の人気を集めています。
経済産業省の「特定サービス産業動態統計調査」によると、2020年の遊園地・テーマパークの総売上高は2,638億円(前年比△63.3%)、入場者数は3,138万人(前年比△60.5%)とともに大幅に減少しました。背景にあるのは新型コロナウイルス感染症です。多くのテーマパークが緊急事態宣言によって休業しました。また、再開後も入場制限を課していることが業績に影響しています。また、インバウンドの消滅によって外国人観光客も入園も激減したことも一因となっています。
将来性
映画館の興行収入は毎年ほぼ横ばいで推移しています。現在はピーク時の1960年代の半分程度です。最近ではNetflixやHuluなどのサブスクリプション型の動画配信サービスが普及しており、消費者の映画館離れが続いています。好きな映画を好きな時間に鑑賞するライフスタイルが普及しており、今後もこの傾向は続くと考えられています。また、短期的には新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって、映画館は不振が続いており、事態が収束するまでは苦しい状況が続きそうです。
フィットネスクラブの市場規模は堅調に推移しており、新型コロナウイルス感染症のさなかでも市場規模を拡大しています。背景には東京オリンピックによる健康意識の高まりや介護予防の観点からのスポーツの奨励があります。特に金銭的に余裕があり、健康志向の高いシニア層でフィットネスクラブを利用する傾向が顕著になっており、今後も拡大が見込まれる業界であるといえます。
テーマパークは短期的には新型コロナウイルス感染症の影響は避けられません。入場者が多いほど、利益率が上がるビジネスモデルですので、外出自粛や入場制限によって入場者が減少すれば、利益率は下がります。また、長期的に見ても人口減少という問題があります。人口減少社会を迎えている日本では潜在的な入場者の数は減少を続けると見込まれており、国内市場は縮小を余儀なくされるでしょう。国内市場が縮小するならば、海外の観光客を呼び寄せるという考えもあります。インバウンド需要は長期的に見れば、拡大しますので、いかにうまく集客につなげるかが問われそうです。
レジャー業界にとってはカジノ産業の開始も追い風です。IR法案が可決したことで各地で誘致に名乗りを上げる自治体が増えています。カジノは日本人のみならず外国人観光客の集客も期待されています。カジノがレジャー業界に参入することで与えるインパクトは未知数ですが、市場が拡大することは確実と言えそうです。
業界の分類
業界の分類
業界の主要なプレイヤーとしてはTOHOシネマズ、イオンシネマ、MOVIX、ユナイテッド・シネマ、シネマサンシャインなどが挙げられます。
テーマパーク
オリエンタルランドが運営する東京ディズニーランドやユニバーサル・スタジオ・ジャパンハウステンボス、富士急ハイランドなどがあります。
フィットネスクラブ
日本経済新聞社が発表した「サービス業調査」によれば、2019年度の売上高の1位はコナミスポーツ。2位はセントラルスポーツ、3位はルネサンス、4位はコシダカホールディングス、5位はRIZAPとなりました。
最新のトレンド
新型コロナウイルス感染症の影響
2020年の初頭から始まった新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響はレジャー施設にも大きな影響を与えましたが、レジャー施設の種類によって明暗が分かれました。
まず売上が激減したのが映画業界です。日本映画製作者連盟(映連)の「2020年の全国映画概況」によれば、2020年の年間興収は1432億8500万円で、史上最高(2611億8000万円)を記録した前年比54.9%減となり、2000年の興収発表以降、最低の水準でした。これは緊急事態宣言による外出自粛や密回避のための休業要請によって休館し、売上が激減した為です。
また、テーマパークも大きな打撃を受けました。ディズニーランドやユニバーサルスタジオジャパン、ハウステンボスなどの大型テーマパークは休業によって業績が悪化。再開後も政府の要請を受けて、感染症対策のために人数制限を課しています。また、海外渡航者の入国規制も行われているためインバウンド需要が消滅し、各レジャー施設は厳しい状況に置かれています。
一方で好調に推移したのがフィットネスクラブです。経済産業省の「フィットネスクラブの動向」によれば、新型コロナウイルス感染症にもかかわらず、2021年6月の売上高は、21,107百万円で前年同月比+ 42.0%と4ヶ月連続の増加となりました。背景にはオリンピック開催による健康意識の高まりとシニア層の予防意識の高まりがあります。フィットネスクラブの市場規模は2012年から2019年まで8年連続で拡大を続けており、総合型やジム型など多様化も進んでいます。
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