
退職理由はパワハラだと面接で伝えていい?注意点や例文を紹介
「パワハラが原因で退職したけど、面接で言ってもいいのかな?」「転職理由がパワハラだと、イメージが悪いのではないか」と悩んでいる方は多いのではないでしょうか。面接でパワハラを受けていた事実を、面接で伝えても問題はありません。しかし、伝え方によってはネガティブな印象を与える場合があるので少し注意です。本記事では、退職理由がパワハラであった場合の伝え方、伝え方の注意点や3つの例文について紹介します。
そもそもパワハラとは?
パワハラとは、職務上の地位や立場などを利用して、人に精神的・身体的苦痛を与える言動や行動を指します。
厚生労働省のハラスメント対策サイト「あかるい職場応援団」に記載されている以下3つの項目をすべて満たす行為が、パワハラ(パワー・ハラスメント)に該当します。
- 職場の優越的な関係を背景とした言動や行動
- 業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動や行動
- 労働者の就業環境が害される言動や行動
これら以外にも「第三者から見てもパワハラと判断できるか」という点も、証言として重要となります。
しかし、自分が不快に感じた言動や行動が、すべてパワハラに該当するわけではありません。業務上で必要な適切な業務指示や、相応な範囲内で行われる指導に関してはパワハラとして扱われないケースもあります。
例えば、重大なミスを繰り返した結果、上司に厳しく指導されたことをパワハラと感じてしまう場合もあるでしょう。しかし、この場合はパワハラではなく、然るべき指導であると第三者に思われてしまうこともあります。
「言葉遣いで人格を否定する」「わざと嫌がらせをする」「暴力をふるう」など、業務上で必要なく適正な範囲を超えている場合は、パワハラに該当するのです。
面接で退職理由を聞かれたらパワハラと答えてもいい?
転職時の面接で退職理由を聞かれたら、パワハラがあった事実を面接官に伝えても問題ありません。
ただし、面接官によってはによっては「あなたにも問題があったのでは?」「入社してもすぐに辞めてしまうのでは?」というマイナスな印象になってしまう可能性があることを覚えておきましょう。
そのため、パワハラを受けていたことを積極的に話す必要はないでしょう。
パワハラの伝え方によっては落とされることもある
面接で退職理由について聞かれた際に、パワハラの伝え方によっては選考を落とされる可能性があります。
JobQにも、面接でパワハラがあったことについて面接で言うべきか迷っている方からの質問が投稿されていました。
こちらを確認してみましょう。
面接でパワハラが転職理由ということを伝えるのはやめた方がいい?
パワハラを転職理由に伝えるのはやめた方がいいのでしょうか?
新卒2年目を迎える頃、上司のパワハラが部内全体に広がっており、退職者も多く出ていました。そこで部署異動を別の上司にお願いしたところ、人数不足と私が仕事を一通り出来るようになったところだからもっと頑張ってほしいと言われました。
そこで転職を決意したのですが、面接で上記をお伝えしたところ落ちました。
他にも落とされる要素はあったと思うのですが、ここがネックになっていた気がします。
どう答えるべきだったでしょうか?
残念ながらとる側は、パワハラというフレーズを出す人は積極的には採用しません。
誰でもも知ってる電通や三菱電機で、問題の部署からなんですくらいだと、それは仕方ないねってなりますが。
パワハラを言い換えるしかないです。建設的な理由に…続きをみる
パワハラで実際にあったことをそのまま伝えるのではなく、建設的な言い方に変えるといいでしょう。
例えば「今の会社ではやりたいことが実現しにくい環境ではあったが、御社だとそれが叶えられる」など、別の角度から言い換えましょう。
またパワハラがあったことを、人事などに相談し改善を試みたなどのエピソードがあると「困難な環境でも改善しようとしていたんだな」と好印象に捉えられます。
採用担当者が退職理由を聞く理由3つ
採用担当者は退職理由を聞くことで、以下の3つを確認しています。
- すぐに退職してしまうのではないか?
- 退職した理由を他責にしていないか?
- 仕事に対する意欲はどれくらいあるのか?
すぐに退職してしまうのではないか?
もし前職の退職理由が「自社でも起こる可能性のあること」だった場合、面接官は応募者を採用するかどうか躊躇します。
仮に退職理由がパワハラだけの場合、入社後に同じ理由で「すぐに退職するのでは?」と不安に思う面接官もいるでしょう。
例えば、人間関係や待遇面に不満を感じて退職した場合「人や環境のせいにするのは他責思考なのではないか」というネガティブな印象を持たれる可能性もあります。
その場合「状況を改善するために努力したこと」など、問題解決能力や適応力を図る目的で、退職理由を深掘りされるでしょう。聞かれた場合の受け答えの対策をしておくのがベターです。
退職した理由を他責にしていないか?
「他責思考」とは、なんでも他人や環境のせいにし、自分の責任から逃れようとすることです。
面接官は、課題に直面したときにどのように乗り越えるのか、乗り越える力や根性はあるのかどうかを見極めています。
そのため、退職理由を伝えるときに他責思考で伝えてしまうと印象が悪くなる可能性が非常に高いです。
「上司のせいで」「部署のせいで」など、他人や環境を理由に退職したと伝えれば、採用担当者は「入社しても他責思考が原因でトラブルになるのでは?」と不安になるでしょう。
何事においても、言い訳を並べているだけでは成長できません。どのように困難を乗り越えるのかが重要なのです。
仕事に対する意欲・責任はどれくらいあるのか?
面接官はネガティブな退職理由に対して、応募者がどのように経験を活かすのか、経験を前向きに捉えられているかを確認しています。
また退職理由を聞かれたときに、最後までやりきらなかった旨を伝えると「責任感がない」「逃げ癖がある」と思われてしまうでしょう。
退職理由を聞いて、応募者が働くうえで重視していることや仕事に対する思いを知り、それを踏まえたうえで自社にマッチする人材であるかどうかを判断します。
【退職理由はパワハラ】面接で伝えるときの注意点
パワハラが原因で退職した理由を採用担当者に伝えるときの注意点として、以下の4つが挙げられます。
- 事実を簡潔に伝える
- パワハラ問題に向き合ったことを伝える
- ポジティブな退職理由を伝える
- 前職の退職理由を他責しない
事実を簡潔に伝える
面接でパワハラを退職理由として伝える際は、客観的な事実のみをできるだけ簡潔に伝えるのが大切です。不満や愚痴のように話してしまうと、ネガティブな印象を与えてしまいます。
実際に起こった端的な事実のみを話し、感情的にならないようにしましょう。
パワハラ問題に向き合ったことを伝える
パワハラを受けた際、状況を改善しようと努力したが、解決に至れなかった旨を説明しましょう。「パワハラを受けたから退職した」という事実を伝えるだけでは「トラブルに対して対応できない人」「状況を変えようと努力できない人」といったマイナスなイメージを持たれてしまいます。
問題にしっかりと向き合った結果、退職する決断をした旨を説明できるとベターです。
ここで、Jobに投稿されたパワハラが理由で退職された方の質問を見てみましょう。
仕事内容がつらくて辞めたことはありません。
4月から働き始めて慣れてきた職場でしたが、パワハラやモラハラで11月中旬に退職せざるを得なくなりました。 経歴だけ見られるとやる気のない人だと誤解されてしまうので悩みます。
個人的には、面接の中で正直にハラスメント原因の退職だと伝えて…続きをみる
ポジティブな退職理由を伝える
パワハラを受けた話しだけでなく、熱意や前向きな姿勢を示したポジティブな退職理由を伝えるのが大切です。
たとえば、将来を考えたポジティブな願望をアピールしましょう。知人に仕事に誘ってもらった、家業に専念することになったなどの理由であれば、次のキャリアに向けてのポジティブな印象を与えることができます。
事実でなくても構いません、時には嘘も方便となります。
面接で退職理由がパワハラと伝える例文
パワハラを受けて退職した場合、その事実を伝えるべきかどうか悩みますよね。
基本的にはパワハラの事実を伝えずに、前向きな転職理由を伝えましょう。
しかし、面接官に転職理由を深く追求された場合、どのように伝えるべきなのでしょうか。
ここからは、3つの例文とポイントについて紹介します。
- 改善しようと試みたことを伝える
- 簡潔に伝える
- 自分1人の問題ではないことを伝える
伝え方のポイントを押さえることで、相手に良い印象を与えられますので参考にしてみてください。
【例文①】改善しようと試みたことを伝える
私が退職を決意した理由は、チームワークを大切にしている職場で働きたいと思ったからです。
前職ではトラブルが起きた際、改善点を見出そうとせずに、トラブルを起こしてしまった人を徹底的に説教して追い詰める職場でした。
私は仕事上、トラブルが起きるのは仕方がないことだと思っており、それをどのように対策してどのように対応するのかが重要だと考えています。
何度も他の部署に相談して、トラブル発生時の対処方法を考えましたが、トラブルが起こった際に必要以上に説教するスタイルは改善されませんでした。
そこで、発生してしまったトラブルをみんなで解決して、チームワークを大切にしている職場で働きたいと思い、貴社への転職を決意しました。
パワハラを受けて辛かったという事実を長々と話してしまうと、ネガティブな印象を与えます。
そのため、パワハラ内容とそれを改善するためにどのように行動したのかを伝えましょう。
面接官に、納得してもらえる理由を話すことが大切です。
【例文②】簡潔に伝える
前職では、毎日2時間以上の残業をしていました。
それに加えて休日出勤もあり、休みが月に2〜3日ほどしかない状況でした。
私はこの状況を変えようと、上司に相談しましたが、若手の意見を取り入れてもらえる環境ではなく、否定されました。
今後は適した就業時間の中で業務効率化をはかり、貴社に貢献できるように精進してまいります。
前職の愚痴を伝えてしまうと、「前職と同じ状況になったらすぐに辞めてしまうのでは?」と思われてしまいます。
そのため、客観的にパワハラだと判断できるエピソードを話すと良いでしょう。
パワハラの事実をうまく話せない場合は、退職理由をポジティブに変換することをおすすめします。
【例文③】自分1人の問題ではないことを伝える
私が退職した理由は、前職で上司によるパワハラがあったからです。
上司は「仕事は1人でするものであり、チームワークなんて必要ない」という考え方でした。
そのため、他の社員やチームとの連携ができず仕事がスムーズな進まない状況でした。
社員が連携を取ろうとすると、怒鳴られることもあり、業務がままなりませんでした。
このようなことがあり、退職を決意しました。
上司から個人的にパワハラを受けていたのではなく、他の社員も受けており、業務遂行が困難になったことを主張しましょう。
もし自分1人だけがパワハラを受けていたと伝えると「あなた自身に問題があるのでは?」という印象を与える可能性が高いです。
退職理由がパワハラの時は建設的な理由に言い換えよう
この記事では、以下について紹介しました。
- パワハラの定義
- 面接官が退職理由を聞く理由
- パワハラを面接で伝えるときの注意点
- 退職理由の例文
パワハラが原因で会社を辞めてしまう人は非常に多くいます。
退職理由を尋ねられたら、正直に答えるべきかどうか悩む方は多くいるでしょう。
しかし、パワハラを受けていた事実をそのまま伝えてしまっては、マイナスな印象を持たれてしまう可能性があるため注意が必要です。
また、次の職場ではどのように貢献したいのかを伝えることも大切です。
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