
ホワイトカラーの意味とは?職種例もわかりやすくまとめ
ホワイトカラーとは、どのような職種を指すのでしょうか?ホワイトカラーの特徴や、ブルーカラー・グレーカラーとの違いについて、社会問題についても紹介します。
【簡単】ホワイトカラーの意味とは?わかりやすくまとめ
ホワイトカラーの意味とは|事務系の職種一般に従事する労働者層
ホワイトカラーとは事務系の職種に就いて従事する労働者の総称です。
ホワイトカラーにはさまざまな業務が含まれています。
- 事務的業務
- 企画業務
- 管理業務
- 技術的業務
- 販売業務 など
技術的、あるいは知的労働に充実していれば、ホワイトカラーとみなせます。
オフィスや事務所などの室内環境で、頭脳労働が多く、比較的安全な環境で業務ができるのが特徴です。
ホワイトカラーの語源・英語表記とは
ホワイトカラーのカラーとは襟(collar)のことです。
白い襟のあるシャツを着用している労働者を指す言葉として、「ホワイトカラー」という言葉が生まれました。
英語では「white collar workers」と呼ばれます。日本でサラリーマンと呼ばれている人たちを指す言葉として、英語圏では「white collar workers」が使われます。
ただし、アメリカやイギリスで仕事を聞かれたときには、「white collr workers」ではなく、きちんと具体的な職種名を伝えるのが一般的です。
ホワイトカラーの歴史とは
20世紀半ばに高度産業化が世界中で進んだことにより、先進国でホワイトカラーの職種が増えました。
会社組織の規模が大きくなり、官僚制化が進んで管理部門のスタッフが急増しました。多様な仕事が生まれたことで、ホワイトカラーがブルーカラーの数を上回ったのです。
また、大量消費社会になり、販売や流通、広告宣伝などの仕事が増えたのも要因です。
さらに、情報技術が進化したことで近年は第三次産業が急速に発展しており、労働者の大部分がホワイトカラーになりました。
ホワイトカラーの職種例とは
ホワイトカラーに該当する職種は非常にたくさんあります。
たとえば、以下の職種はホワイトカラーの具体例です。
【ホワイトカラーの職種例】
- 事務職
- 企画職
- 営業職
- 販売職
オフィスで仕事をしている人たちはホワイトカラーと呼ばれるケースが多いです。
ただし、ホワイトカラーの定義には曖昧な部分があります。
たとえば、研究開発職は知的労働を行っていますが、作業着で仕事をしているケースもあります。ホワイトカラーとみなせるかどうか、断言できない職種も存在します。
ホワイトカラーの業務とは?普段、どのような仕事をしている?
ホワイトカラーの職種は、基本的にオフィス内で仕事をしています。生産には直接関係がなく、デスクワークで処理できる仕事に取り組んでいます。あるいは、事務系や販売系、管理業務もホワイトカラーの業務です。
ホワイトカラーは精神労働と呼ばれており、身体的な被害を受けるリスクが小さいことから、労働災害の発生が少ないとされています。
とはいえ、ホワイトカラーであっても過労死や精神疾患の事例があることから、必ずしも安全な仕事ばかりとはいえません。
ホワイトカラーの特徴とは
ホワイトカラーには、どんな特徴があるのか整理していきます。
知的労働、精神労働を行う
ホワイトカラーの仕事の特徴は知的労働、精神労働に従事する点です。
ビジネススキルを活用して仕事を行い、常に知識やスキルのアップデートを繰り返す必要があります。勉強が必要な点も大きな特徴です。
専門的な知識が必要な仕事もありますが、大学で学んだ知識を仕事でそのまま活用するのではありません。就職してから企業内で能力形成をするケースが多いです。知識を習得して徐々に仕事範囲を拡大していき、最終的に専門性の高い仕事に従事するイメージです。
屋内で身体的な被害を受けにくく安全な状態で働く
ホワイトカラーの仕事は基本的にオフィスや事務所など、室内で行う業務が多いです。デスクワークを中心としていて、業務内での怪我のリスクはほとんどありません。身体的な被害による労働災害は少ない傾向にあります。
ただし、ホワイトカラーの仕事であっても、精神的な被害を受けるケースは多いです。
悪質な労働環境による精神疾患や過労死のリスクはあるため、必ずしもホワイトカラーが安全な仕事と言い切れません。
賃金水準が比較的高額
ホワイトカラーの仕事は、学歴が求められる傾向があります。
社員は大学卒・大学院卒の割合が高く、中卒や高卒の仕事と比較すると高い賃金を得やすい傾向にあります。また、専門的な知識やスキルが要求される仕事は、特に賃金水準が高いです。
ただし、ホワイトカラーの中にも低賃金で働く人は少なくありません。賃金は会社や職種・業種による違いが大きいです。
また、ブルーカラーは学歴を重視しないで就職できる職場も多いです。とはいえ、ホワイトカラーよりも稼いでいるブルーカラーの労働者も大勢います。ホワイトカラーであれば高収入を得られるという先入観は避けるようにしましょう。
ホワイトカラーとブルーカラーの違いとは
ホワイトカラーに似ている言葉に、ブルーカラーがあります。ホワイトカラーとの違いについて項目ごとに見ていきましょう。
ブルーカラーの意味・職種例とは
ブルーカラーとは主に肉体労働に従事している労働者のことです。青い襟の作業着を着ていることからブルーカラーと呼ばれるようになりました。
代表的な例として、建設業・製造業が挙げられます。農業・林業・水産業の農林水産業もブルーカラーといわれます。
自動車整備工やタクシードライバー、警備員などもブルーカラーに含まれます。
ブルーカラーの方が初任給は高い傾向にある
ブルーカラーはホワイトカラーより初任給が高い傾向にあります。
「令和元年賃金構造基本統計調査(初任給)の概況」の事務系(ホワイトカラー)、技術系(ブルーカラー)の初任給(大卒)は以下の通りです。
男性 | 女性 | 男女 | |
事務系(ホワイトカラー) | 208,900円 | 212,800円 | 205,000円 |
技術系(ブルーカラー) | 213,100円 | 212,900円 | 213,700円 |
ただし、上記の技術系にはシステム開発や研究開発なども含まれています。
厳密にホワイトカラーとブルーカラーの初任給を比較できるデータではないため注意してください。
ホワイトカラーの方が平均賃金は高い
平均賃金を比較するとブルーカラーよりもホワイトカラーの方が収入は高いです。
「令和3年賃金構造基本統計調査」を参照してホワイトカラーとブルーカラーの平均賃金を以下にまとめました。
産業種別 | 平均賃金 |
学術研究、専門・技術サービス業(ホワイトカラー) | 386,900円 |
金融業・保険業(ホワイトカラー) | 383,500円 |
情報通信業(ホワイトカラー) | 373,500円 |
建設業(ブルーカラー) | 333,200円 |
鉱業、採石業、砂利採取業(ブルーカラー) | 323,300円 |
製造業(ブルーカラー) | 294,900円 |
ただし、上記はすべての年齢を含めたものです。
年齢別のデータではない点は留意してください。
ホワイトカラーの方が賃金の伸び率は高い
賃金の伸び率はホワイトカラーの方がブルーカラーよりも高いです。
「令和3年賃金構造基本統計調査」にもとづいて、ホワイトカラーとブルーカラーの賃金の伸び率を以下にまとめました。
産業種別 | 20~24歳の賃金(A) | 50~54歳の賃金(B) | 賃金の伸び率(B-A)/A |
金融業・保険業(ホワイトカラー) | 223,500円 | 484,300円 | 117% |
情報通信業(ホワイトカラー) | 232,000円 | 492,900円 | 113% |
建設業(ブルーカラー) | 221,500円 | 409,400円 | 85% |
製造業(ブルーカラー) | 199,000円 | 359,800円 | 81% |
20代の頃と比較すると、50代になったときの賃金にホワイトカラーとブルーカラーでは大きな差があります。
ホワイトカラーの方が一般的には賃金の伸び率が高い傾向にあるのです。
ブルーカラーは転職しやすいとされている
ブルーカラーは現場仕事がメインであり、本人の有する技術や経験が重視されます。
また、同じ現場仕事であれば、他社に移っても仕事のやり方に大きな違いがないことから、ブルーカラーの方が転職しやすいとされています。
ホワイトカラーは職場内でルールや仕事のやり方が異なる傾向にあり、培ってきたスキルや知識が他社で通用しないケースが多いです。
そのため、転職活動をしても自社の経験が評価されず転職先の確保が難しい傾向にあります。
また、ブルーカラーは慢性的に人手不足の状態です。人が足りないため外国人労働者の受け入れも急速に進められています。
ホワイトカラーの類語の意味とは?具体的な職種例もまとめ
ホワイトカラーやブルーカラーの類語について見ていきましょう。
グレーカラーの意味・職種例とは
グレーカラーとは、ホワイトカラーとブルーカラーの中間に位置する労働者を指す名称です。頭脳労働や肉体労働を明確に区別できない場合にグレーカラーと呼びます。
たとえば、工場で管理職として働くひとはグレーカラーの一例です。工場で現場仕事をしていても、ホワイトカラーの業務に従事するケースはあります。
そのため、ホワイトカラーとブルーカラーの両方に重なり合う仕事をしている人たちを指す言葉としてグレーカラーが誕生したのです。
ゴールドカラーの意味・職種例とは
ゴールドカラーとは、ロバート・E・ケリー氏が「The Gold-Collar Worker」という著書の中で定義した新しい言葉です。
組織に依存や従属せず高い能力を活用するキャリア形成を図る知的労働者、と定義されています。
たとえば、企業と雇用関係を結んでいたとしても、高い専門性を発揮して自身の能力を主体的に活かしている労働者はゴールドカラーです。
マネジメント層や研究開発のスペシャリスト、起業家、各種コンサルタントなどが当てはまります。
メタルカラーの意味・職種例とは
ソフトバンクグループの孫正義社長が提唱したのがメタルカラーです。2018年度ソフトバンク株式会社の入社式で、孫社長は「30年後にはブルーカラーの仕事が、メタルカラーに置き換えられる」と予想しました。
メタルカラーとはAIを搭載したスマートロボットのことです。ブルーカラーの仕事は、今後メタルカラーに代替できると孫氏は唱えました。
世界中でAI分野の開発競争が行われており、単純労働をAI搭載のロボットに任せる動きが加速しています。
技術の発展により、一部の仕事はメタルカラーが担う時代が来るかもしれません。
参照:「ブルーカラーの仕事はメタルカラーに」「ホワイトカラーはAIに」 ソフトバンク入社式で孫正義氏が語ったこと - ロボスタ
グリーンカラーの意味・職種例とは
グリーンカラーとは環境を重視した働き方をする労働者のことです。
たとえば、太陽光発電や風力発電などの建設やリサイクル、水質保全などに携わる人達をグリーンカラーと呼びます。地球環境保護の必要性が叫ばれている時代だからこそ生まれた、新しい概念といえるでしょう。
しかし言葉が存在するとはいえ、グリーンカラーの定義は曖昧です。たとえば、環境関係の研究開発をするホワイトカラーもグリーンカラーと呼ぶケースがあります。
基本的には環境関連の仕事に従事する肉体労働者をグリーンカラーと呼ぶことが多いです。
ピンクカラーの意味・職種例とは
ピンクカラーとは看護師や保育士、家事代行サービスなどの仕事を指す言葉です。女性の労働者が多い職種で使われます。
1970年代のアメリカで、専門性を必要としない低賃金の職業に就く女性労働者を指す言葉として使われました。現代でも、ピンクカラーの仕事は、待遇面などが原因で人手不足な傾向があります。
また、現在は、働く女性全般のことをピンクカラーという言葉で表すケースもあります。
シルバーカラーの意味・職種例とは
シルバーカラーとは、シルバー世代向けの福祉サービスの提供に従事している人たちです。
老人ホームだけではなく、高齢者向けの医療サービスや宅配サービスなども含みます。
日本は少子高齢化が進んでいるため、今後はシルバーカラーの需要が高まっていき、シルバーカラーの職種の需要が高まっています。
ブラックカラーの意味・職種例とは
ブラックカラーは、あまり一般的な言葉で貼りません。
もともと非合法や裏社会といった意味がありました。
現在ではブラック企業が社会問題化していて、ブラックカラーはブラック企業の労働者を指すことが多いです。
オレンジーカラーの意味・職種例とは
オレンジカラーとは一般的に、仕事を趣味とみなして働いている労働者のことで、楽しく仕事をしている人たちを好意的に表現している言葉です。
仕事内容ではなく、仕事に対する姿勢や意識を指しています。
ただし、場合によっては、営業や販売など接客業の仕事をオレンジカラーと表現するケースもあり、明確に定義された言葉ではありません。
基本的に企業が労働環境の良さをアピールするために使う言葉です。
ホワイトカラーに関する社会問題とは
過重労働や過労死
ホワイトカラーに関わらず、過重労働や過労死は社会問題となっています。
厚生労働省は平成18年に「過重労働による健康障害防止のための総合対策」を策定して、労働時間の削減や労働者の健康管理を推進しています。
令和3年労働安全衛生調査(実態調査)では全労働者のうち「仕事の量」に強いストレスを感じたと回答している人が全体の43.2%います。
労働者がストレスに感じる項目で最も多いのが「仕事の量」という結果だったのです。
過重労働や過労死の問題は社会問題といえます。
メンタルヘルスの問題
令和3年労働安全衛生調査(実態調査)によれば、メンタルヘルスにより1カ月以上休業した労働者または退職した労働者がいた事業所は全体の10.1%でした。
産業別では、「情報通信業」が29.6%、「金融業・保険業」が17.1%、「学術研究、専門・技術サービス業」が17.7%とホワイトカラーの産業で高い割合が目立ちます。
ブルーカラーでは「電気・ガス・熱供給・水道業」が34.8%、「製造業」が15.9%と高い割合でした。
一方、ブルーカラーの中で「鉱業、採石業、砂利採取業」は3.1%、「建設業」は5.6%です。メンタルヘルスの問題が比較的少ない産業もあります。
AIに仕事を奪われるリスク
ホワイトカラーの仕事はAIに代替できると危惧されています。
データ分析・解析などは特にAIが得意としている分野です。ビッグデータを活用してAIに学習させることでホワイトカラーが担ってきた多くの業務が自動化される可能性があります。
その結果、ホワイトカラーの仕事がAIに奪われる未来が来ると予想されているのです。
今後は人間が得意とする創造性やコミュニケーション力などを磨かないと、ホワイトカラーがAIに対抗できない恐れがあります。
座りすぎのリスク
厚生労働省が作成しているリーフレット「座位行動」では、座りすぎによるリスクが報告されています。
座りすぎにより、以下のリスクが高まるのです。
- 寿命が短くなる
- 肥満度が高くなる
- 2型糖尿病疾患率や心臓病罹患率が高まる
普段運動していても座位時間が長ければ健康問題が発生すると報告されています。
特にホワイトカラーは座位で仕事をするケースが多く、立ち仕事と比較すると、座りすぎによる健康上のリスクが高いといえるでしょう。
ホワイトカラーについてよくある質問とは
ブルーカラーのホワイトカラー化とは?
ブルーカラーのホワイトカラー化とは、ブルーカラーの上位層がホワイトカラーに近い仕事を一部担当して、ホワイトカラーと同等の待遇を得ることです。
日本の経済学者である小池一夫が提唱しています。
ブルーカラーのホワイトカラー化が進展すれば、労働条件や待遇などがより良くなるだろうという仮説です。
ホワイトカラーと同様にブルーカラーがボーナスの支給や福利厚生の提供を受けられれば、ブルーカラーの定着率が高まり、人手不足も解消されると予想しています。
日本におけるホワイトカラー・ブルーカラーの割合とは?
独立行政法人の「高齢・障害・求職者雇用支援機構」による調査では、全労働者のうちホワイトカラーは54.7%、ブルーカラーは42%でした。
その他の3.2%には、農林漁業作業者や分類不能の職業が含まれています。
したがって、日本の労働者のうちホワイトカラーの方が割合は多いです。
上記の調査ではホワイトカラーの職業分類として以下の4つを採用しています。
【ホワイトカラーの職業分類】
- 専門的・技術的職業従事者
- 管理的職業従事者
- 事務従事者
- 販売従事者
一方、ブルーカラーの職業分類は以下の通りです。
【ブルーカラーの職業分類】
- 生産工程・労務作業従事者
- 保安作業従事者
- 運輸通信事業者
- サービス職業従事者
日本にはホワイトカラー・ブルーカラーの定義はないため、上記は米国の職業分類を参考にしたものです。
営業職はホワイトカラー?
営業職はあまり社内にはおらず、社外の取引先へ向かい仕事をするケースが多いです。
それでも、営業職はホワイトカラーに分類されています。
スーツを着て仕事を行い、主に頭脳労働に従事しているため、営業職もホワイトカラーとみなされるのです。
ただし、ホワイトカラーはグレーカラーに分類されるケースもあります。
ホワイトカラーが企画してブルーカラーが製造した製品を営業する営業職はホワイトカラーとブルーカラーの間に立つ職種とされるからです。
ホワイトカラーエグゼンプションの意味とは?
ホワイトカラーエグゼンプションとは頭脳労働者脱時間給制度のことです。
高度プロフェッショナル制度とも呼ばれます。
ホワイトカラーに対して労働法の規制緩和を適用できる制度です。
労働時間ではなく成果によって評価する制度であり、年収1,075万円以上で高度な専門知識などを有する労働者を対象とします。
ホワイトカラーエグゼンプションにより、長時間労働の改善が期待されているのです。
短い労働時間でも一定の成果を上げられる労働者を評価することで労働時間の短縮が見込まれます。
ホワイトカラーの意味・職種例まとめ
ホワイトカラーとは、事務系の職種に就いている労働者を指す言葉です。
ブルーカラーの違いとして、次のような点が挙げられます。
- ブルーカラーの方が初任給は高い傾向にある
- ホワイトカラーの方が平均賃金は高い
- ホワイトカラーの方が賃金の伸び率は高い
- ブルーカラーは転職しやすいとされている
ホワイトカラーには、グレーカラーなど似た言葉が多いので、どのような職種が該当するのか混同しないようにご注意ください。
あらゆる疑問を匿名で質問できます
約90%の質問に回答が寄せられています。
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