ワークライフバランスとは｜意味やメリット、例文・使い方、取り組み事例をわかりやすく解説

ワークライフバランスという言葉の意味・定義とは

近年、働き方改革という言葉の広がりと同時に、様々な生活シーンにおいて「ワークライフバランス」という言葉も使われるようになっています。

ですが実際の意味や定義を誤解して理解してしまっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ワークライフバランスは日本語に訳すと「生活と仕事の調和」ということになりますが、それ以外にも様々な解釈ができます。

たとえば、仕事と生活の調和を揃えるということや、女性支援を目的とした施策とも思われてしまうでしょう。

ですが、本来のワークライフバランスは、年齢や性別を問わず、すべての働く人間に関係する考え方なのです。

ワークライフバランスの定義は、全ての働く人々が、仕事と育児や介護、趣味、学習、休養、地域活動などの仕事以外の生活との調和を取ることです。

仕事と仕事以外の生活の両方を充実させる働き方や生き方です。

就労による経済的自立が可能で、健康で豊かな生活のための時間が確保できる、多様な働き方や生き方が選択できる社会を示しているのです。

政府が定めるワークライフバランスの考え方とは

仕事と生活の両立支援（ファミリーフレンドリー）

少し前までであれば、「ファミリーフレンドリー」という施策がよく聞かれていたのですが、これは「家族を支援する」ということに重点が置かれており、子育ての支援が中心とされた概念でした。

ですが最近、ファミリーフレンドリーではなく「ワークライフバランス」という言葉が多く使われるようになっています。

その理由は、仕事と仕事以外の生活のバランスは、家庭生活にだけ限定されるものではなく、性別や年齢に関係なく、家族への支援が必要である人もそうでない人も対象となるような施策が必要だという考え方が広がったからです。

女性や高齢者の積極的な就業参加

かつての日本の一般的な働き方は、夫が外で働き、妻が専業主婦をして家庭や地域活動を行う、というものでした。

ですが昨今、女性の社会参加がどんどん進んでおり、勤労者世帯の過半数が共働き世帯になっており、人々の生き方が多様化しているのです。

その一方で、働き方や子育て支援などの社会的基盤においては、このような変化に柔軟に対応できておらず、まだ職場や家庭、地域においても男女の固定的な役割分担意識が残ってしまっています。

このような社会では、人々の結婚や子育てに対する希望が実現しにくい上、家族との時間や地域で過ごす時間を持つことが難しくなっているのです。

このような問題こそ、少子化の大きな要因となっており、人口減少にも繋がっていると考えられます。

だからこそ、このような時代では社会全体として、女性や高齢者の積極的な就業参加が求められてきています。

ですが現実は、働き方や生き方の選択肢が限られている現状では、多様な人材を活かすことができなくなってしまっているのです。

ワークライフバランスの目的とは？何が目標？

仕事と生活の両立ができ、調和が取れた社会の実現

仕事というものは、人々の暮らしを支えるだけでなく、生きがいや喜びをもたらします。

また、家事や育児、地域との付き合いなどの生活も暮らしには欠かすことができないものです。

この両方が充実してこそ、人生の生きがいを十分に感じることができ、喜びも倍増するのです。

ですが現実社会では、仕事と生活の間で問題を抱える人も多いです。

ワークライフバランスの目標としては、国民一人一人がやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすことです。

またそれに加えて、家庭や地域社会においても、人生の各段階に応じて多様な生き方を選択することができる、そのような社会を実現することです。

多様な働き方が選択でき、変わらない労働スタイルに変化を促す

仕事と生活が両立しない現実問題の背景としては、長期的な経済の低迷、企業間競争の激化、産業構造の変化などが大きく影響いることでしょう。

さらに利益の低迷や生産性を向上させることが難しいという理由で、働き方改革に取り組むことが難しい企業もあるのです。

人々の生き方が大きく変化しているからこそ、多様な働き方が構築されています。

様々な職業経験を通じて積極的に自らの職業能力を向上させている人や、仕事と生活双方の充実を求めている人、地域活動への参加を最重視する人なども増えています。

ですので、ワークライフバランスの考えが広がると共に、働き甲斐のある人間らしい仕事の実現や、雇用の質の向上が求められているのです。

ワークライフバランスが重要視される理由とは

少子化問題に対する育児支援が不足している現状がある

働き方改革では、従来の働き方の問題点が浮き彫りになっています。

特に女性の場合、結婚や出産、子育ての機会によりキャリアが失われてしまうので、働く女性が結婚や出産に対して消極的であり、また子育てに関しても仕事と両立が難しい現状があるのです。

このような、少子化問題に対する育児支援が不足しているからこそ、ワークライフバランスが重視されています。

育休期間の延長や、男性育児の参加などにより、子育てと仕事の両立が推奨されているのです。

超高齢社会を迎える中、介護問題への対策が必須

日本は今、世界に先駆けて超高齢化社会に突入しており、介護問題や生産年齢人口の減少などの社会課題は深刻化しています。

それでも家庭における高齢者介護の担い手は、変わらず女性であるという現状があるのです。

また、介護が始まると仕事を継続することが難しくなってしまい、介護離職も現状の大きな問題になっているのです。

だからこそ、ワークライフバランスの広がりの影響により、介護における相談機能の強化や、介護休業が取りやすい職場が求められているのです。

ライフワークバランスの意味とは？違いはなに？

ワークライフバランスという言葉とよく似た言葉に、「ライフワークバランス」という言葉があります。

ライフワークバランスは、文字の通り「LIFE（命、人生、活動）」と「WORK（仕事）」という二つの単語から出来ています。

ワークライフバランスは「仕事と生活を調和させる」ということで、やりがいを持って働く環境があり、プライベートも充実して自分の時間を持てる、ということです。

それに対し、ライフワークバランスは「自分らしく生き、自己表現をする」ということを意味します。

具体的なライフワークの要点は、「自分が楽しんでいる」「あっという間に時間が過ぎる」「他の人に貢献している」「自分らしさがある」「充実感ややりがいを感じる」「お金が稼げている」ということです。

大きな違いはないのですが、東京都などではライフワークバランスという表記がされていることも多いので、覚えておきましょう。

ワ一クライフインテグレーションの意味とは

ワークライフインテグレーションは、仕事とプライベートを総合的に考え、両方を充実させていくという考え方です。

会社での働き方と個人の生活を柔軟に、そして高い次元で統合し、両方を流動的に運営することで、相乗効果を発揮します。

また生産性の向上の実現と共に、生活の質を向上させ、充実感を得ることを目指すものです。

ワークライフバランスもワークライフインテグレーションは、どちらも仕事とプライベートの両立を目指す考え方ですが、定義が異なります。

ワークライフバランスは仕事とプライベートを切り離して扱うことです。

それに対し、ワークライフインテグレーションは、仕事とプライベートを統合して考え、両方の間に壁を作らず、相乗効果で人生を充実させていくものです。

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ワークファミリーバランスの意味とは

ワークライフバランスに対し、「ワークファミリーバランス」は、仕事と家庭の両立を目指すものです。

分かりやすいイメージとしては、ワークライフバランスは1人で目指すことができるものに対し、ワークファミリーバランスは複数人で目指すものであるということです。

特に中高年者の場合は、仕事と親の介護、そして子育てすべて同時に行わなければならないことがありますので、ワークファミリーバランスは非常に重要になるでしょう。

ワークファミリーバランスを保つためには、労働時間の柔軟性と、延長保育の利用しやすさが大切な条件になります。

特に女性の場合は、家庭での母親としての役割を果たすために、仕事を制限しなければならないことがありますので、葛藤を感じることが多いのです。

ワークファミリーバランスを保つためにも、このような条件を満たすことが求められているのです。

女性社員が定着し、女性リーダーの育成と成長に期待できる

ワークライフバランスにより、出産や育児についての適切な支援や柔軟な働き方を提案することで、女性社員が企業に定着することが期待できます。

政府によって、出産や介護に関する法整備が行われているのですが、約6割もの女性社員は第一子出産前後に退職してしまうというデータもあります。

もちろん、自分が家庭に入り、子育てに集中したいという意見は別ですが、社会復帰をしたくても保育園の入園が難しくなっています。

そうなると今の働き方では復職できなかったり、復職したとしても育児支援は頼りにならないなどという理由から、仕事を続けることが出来ない女性も多く居ます。

だからこそ、ワークライフバランスの導入と考え方の強化により、女性が長く働くことが出来る環境を整えることが大切なのです。

それにより、女性社員が定着し、さらに女性リーダーの育成や成長に期待できるのです。

優秀な人材を定着させ、人材育成コストを回収できる

今の日本社会では、終身雇用制度が過去のものになってしまっており、新卒採用や中途採用が売り手市場としての傾向が強まっています。

また、企業の求職者や学生に対するアピール競争が激化し、企業が優秀な人材を得ることが非常に難しくなっているのです。

だからこそ、ワークライフバランスを強化することで、従業員を大切にする会社であり、柔軟な働き方を実現する先進企業、というイメージを作ることができます。

これは人材の獲得には非常に大きなポイントとなるでしょう。

ワークライフバランスにより、獲得した優秀な人材が長く活躍できる環境を提供することで、その人材が定着し、人材育成や研修コストの回収も行うことができます。

社員のモチベーションが向上する

ワークライフバランスは、企業全体、そして社員全員のモチベーションにも好影響を与えます。

ワークライフバランスが取れている場合、仕事への意欲が高まる傾向にあり、特に男性の場合は、プライベートが充実していることが、仕事のモチベーションに繋がるのです。

企業全体のモチベーションが向上すると、人材育成の活発化や職場コミュニケーションの向上、労働生産性の向上などが期待できるでしょう。

企業としては、特にリーダー社員がワークライフバランスを活用することが良いでしょう。

そのリーダーを見た周りの社員が、もっと成長したい、この企業で活躍したいという意欲を刺激することができます。

長時間労働を改善し労働生産性が向上する

先進国の中でも、日本は労働生産性が低いと言われています。

長時間労働が常態化してしまっている、企業風土が定着していることが理由となっているでしょう。

ですがワークライフバランスにより、多様な働き方に対応し、仕事以外の生活も充実させる仕組みを作ることで、長時間労働を改善し、生産性向上に期待することができます。

自分で時間をコントロールすることで、心身の健康を維持することができますし、仕事以外の時間で資格獲得等などのスキルアップのための時間を確保することができます。

このように自分自身をリフレッシュさせる時間や、スキルアップの時間を作ることで、さらに仕事に対する意欲が高まり、労働生産性が向上するのです。

優良企業のイメージが育つ

昨今、日本の企業経営においては、自社のみの成長だけでなく、自社が社会にどれだけ貢献するか、という企業の社会的責任が重視されるようになっています。

そんな中でワークライフバランスを実現することで、優良企業のイメージを育てることができます。社員を大切にする企業であること、社員が自社サービスの恩恵を受けられていること、離職率が低く社員が安心して働ける企業であること、などが良いイメージとして定着します。

企業イメージの向上は非常に大きなメリットでしょう。

休業制度

育児休業・介護休業

ワークライフバランスを実現するために、まず企業としては「休業制度」を重視しましょう。

休業制度の中でも、特に取り組まれることが多いものが「育児休業」と「介護休業」です。

これらを聞くと、女性を対象とするものが多いですが、このポイントは女性社員のニーズだけではなく、男性社員が育児休業や介護休業を活用しやすい常態にするということです。

男性社員の休業取得促進こそ、女性の活躍という働き方改革の実現に繋がります。

休職者の復職支援

現場経験やスキルを持ちながらも、休職する方に対する復職支援も重要です。

企業の離職理由の多くは、結婚や妊娠、出産、育児などによるライフスタイルの変化によるものです。

ワークライフバランスにより仕事と家事、育児などを両立させ、復職の際にブランクがあったとしても支援制度がうまく機能していれば、休職者でも復職しやすいのです。

休暇制度

看護休暇

大手企業では、介護休暇制度の整備は進んでいるのですが、中小企業では未整備の企業が多いことも現状です。

また、整備されていたとしても社員に周知されておらず、なかなか利用が進んでいないこともあるでしょう。

ワークライフバランスによる介護休暇制度は、家族介護を行う労働者の福祉に関する法律に規定されており、整備の有無にかかわらず社員は利用することができます。

病院への付き添いや、介護サービスを受けるための必要な手続きなどが該当します。

対象となる家族を直接介護するだけではなく、家事や買い物などの対象家族の世話として認められるものも該当します。

しっかりとワークライフバランスの制度を整え、社員に周知することで、社員が働きやすい環境を整えることができるでしょう。

配偶者の出産休暇

配偶者の出産休暇は、ワークライフバランスとして男性向けに制定します。

配偶者の出産に際し、2日間の特別有給休暇を取得することができるというものであり、出産の立ち会いや届け出などの手続きを行うことを想定されています。

男性が育児のために休暇を取りやすくすることで、ワークライフバランスを保つため、女性の社会進出を促すことができるでしょう。

年次有給休暇

年次有給休暇とは、家族と過ごす時間や、趣味、旅行などに利用することができ、心身をリフレッシュすることを目的としています。

また、ワークライフバランスの目的として、心身を十分にリフレッシュすることで、労働意欲の維持を図るためにも大きな意義があるのです。

実際に、年次有給休暇を取得することにためらいを感じている人も多いことが現状ですので、ワークライフバランスの考え方を推進し、経営のトップが年次有給休暇の取得促進を徹底することなどの取り組みが重要です。

労働時間の見直し

フレックスタイム制の導入

最近ではワークライフバランスとして、フレックスタイム制度は比較的浸透しており、取り組む企業も多くなっています。

1ヵ月以内の期間で総労働時間を規定し、その枠内であれば始業や終業を自由に決定することができる、という仕組みです。

勤務時間は変わりませんので、給与の調整や、昇給、昇格に伴う問題が起こりにくく、比較的取り組みやすい施策として考えられています。

ワークライフバランスを目的として、フルフレックスタイム制度を導入している企業もあるのですが、フレックスタイム制を導入し、企業としての生産性を損なわないためには、「1日のうちで必ず勤務するコアタイム」を指定すると良いでしょう。

フレックスタイム制を導入する注意点としては、社員が揃う時間が限られてしまうため、業務の設計を工夫しなければならないことです。

短時間勤務制度の導入

短時間勤務制度は、働き方改革でも多くみられるワークライフバランスの取り組みです。

育児や介護に携わる社員を対象とし、勤務時間を2～3時間に設定する、もしくは30分単位で短縮する、という仕組みです。

現在では、育児休暇から復職した女性社員を対象とすることが多いのですが、今後のワークライフバランスとしては、出産だけでなく、介護を目的とした男性社員や管理職社員の利用も視野に入れて取り組むと良いでしょう。

短時間勤務制度を導入する際は、短時間勤務を固定化してしまうと十分に浸透せず、活用されません。

ワークライフバランスを実現するためには、社員の生活や働き方に応じて勤務時間にいくつかのバリエーションを持たせることがポイントです。

時間短縮パターンを複数設定すること、総労働時間を増やさないよう1日あたりの勤務時間を大幅に減らし、勤務時間を増やすことが良いでしょう。

また、希望日の勤務時間を短縮することができること、1週間あたりの勤務日数を減らす選択ができること、などが良いでしょう。

ワークライフバランスは、「社員の自由意志で選択することができる制度」であることが重要です。

労働時間自体の削減

ワークライフバランスを実現するには、労働時間自体の削減も非常に有効です。

労働時間を削減するためには、定型作業を廃止すること、残業や休日出勤を禁止することが重要です。

また残業する場合は事前申請すること、残業恒常化の要因分析と対策を行うこと、全ての業務フローを見直すことなども適切でしょう。

労働時間を削減するためには、ただ残業を禁止したり制限するだけでは、社員が仕事に仕事を持って帰るなどのことがありますので、改善されないことが問題です。

ワークライフバランスを保つためにも、まずは業務フローを見直し、定型作業を廃止することから始めましょう。

労働場所の見直し

ITを利用し、場所と時間に捉われない働き方として、労働場所を見直す働き方改革も、ワークライフバランスとして注目を集めています。

特に最近話題になっているのは、テレワーク（在宅勤務）でしょう。

企業はテレワークを推奨することで、通勤交通費の削減、休業からのスムーズな復帰支援、障がい者雇用などのメリットがあります。

ワークライフバランスを意識し、テレワークを導入する上では、「リスク管理」と「コミュニケーションの確保」「勤怠の管理」を重視しましょう。

在宅環境の中であるからこそ、勤怠管理を適切に行い、情報漏洩のリスクを理解し、防止対策を徹底しなければなりません。

その他の取り組み

ワークライフバランスを行う上では、休業制度はもちろんですが、福利厚生サービスを導入し、充実させることも大切です。

たとえば、レジャーや宿泊施設の利用、フィットネスや事務の利用、資格取得支援などのように、社員がサービスを利用する際の補助となるものです。

ワークライフバランスは、仕事以外での生活により、仕事の成果を挙げるためのきっかけを得ることが大切です。

それにより仕事での成果が上がり、さらに生活も充実する、という好循環を生みます。

また、福利厚生サービスが充実し、社員に対して利用推奨することで、社員が活気を持って働くだけでなく、社員を大切にする会社であり福利厚生サービスが優れた会社だというイメージがつきます。

このような好イメージは、優秀な社員を集める会社の必要条件なのです。

ワークライフバランスの語源・由来・英語表記とは？

ワークライフバランスは、英語で「work-life-balance」と表記されます。

由来となったことは、昔アメリカでは働きながら子育てをすると、健康に悪い影響が出ることが頻繁であった社会背景から使われるようになりました。

ワークライフバランスの例文や言葉の使い方とは？

ワークライフバランスの例文をご紹介します。

「我が社は社員のワークライフバランスを実現させる」

「私が勤めている会社はワークライフバランスが改善され、子育てがしやすくなった」

「今の現代日本では、働き方改革と共にワークライフバランスが注目されている」

「ワークライフバランスの観点から労働時間規定を大きく改正する」

などというように、ワークライフバランスはビジネス用語になるので、社内での会話や業務関連の話の中で出ることが多いでしょう。

ワークライフバランスは古い？問題点とは？

現代におけるワークライフバランスの導入は、厚生労働省が積極的に働きかけるだけでなく、それぞれの企業も積極的に支援制度の支援に取り組んでいるのですが、もちろん問題点もあります。

まず一つ目は「男性の育休取得」です。

どうしても現状は、男性が育休を取得することに理解が進んでいる企業が少なくなっています。

もし産休育休制度を設けている企業であっても、「夫が長時間勤務であるからこそ育児の教育が得られない」「思うように夫の休暇が取れない」ということがあります。

このような理由から、出産を機に退職する女性社員は多いのです。

また、管理職層の意識改善にも必要性が感じられます。

企業がどれだけ制度を構築したとしても、実際現場にいる管理職が適切な人材マネジメントを行うことができなければ、全く意味のないものになってしまうのです。

ワークライフバランスを実現するためにも、人材マネジメントの徹底は必要不可欠なのです。

ワークライフバランス実現のために、国ではなく個人で取り組みできることはある？

ワークライフバランスは、個人でも取り組みできることがあります。

具体的には、「不要な業務の洗い出し」「業務スケジュールの管理」「資料整理」などです。

今現状、どの代業務にどれほどの時間がかかっているのか、ということを確認し、改善できるところを見つけ、時間短縮や作業手順の見直しができないかを考えましょう。

ワークライフバランスの現状とは？

実際のワークライフバランスの現状を見るには、「有給休暇取得率」「出産後の女性社員の就業継続率」「家族の介護を理由とした離職数」「30～40代社員の疲労」を見てみましょう。

有給休暇取得率は、全体的に徐々に増えて来つつあるものの、全体の6割弱にとどまっています。

従業員数が少ない企業のほうが、取得率が低い傾向にあり、まだまだ低い状況が続いていると考えられるでしょう。

出産後の女性社員の就業継続率は、正社員としては出産後も継続して勤務する割合が多くなっているのですが、全体的には約半数の女性が出産を機に仕事を辞めてしまっています。

パートや派遣社員と比較すると、正社員は継続して就業する割合が少ないのです。

家族の介護を理由とした離職数は、男女ともに年々増加傾向にあります。

これからの日本社会として考えても、確実に、そして急速に高齢化が進みますので、ますます深刻な問題になるでしょう。

30～40代社員の疲労は、週労働時間60時間の就業者は、30～40代の割合が高くなっています。

年々減少傾向にあるのですが、5人に1人の割合では週の労働時間が6時間を超えてしまっており、労働時間の問題が深刻化しています。

ワークライフバランスとはどのような考え方？何が大切？

ワークライフバランスの考え方は、仕事を控えてプライベートを充実させるということではありません。

労働時間や労働形態をしっかり見直し、仕事と生活の両方の充実を目指すものです。

つまり、プライベートを最優先しなければならないので、残業は一切しない、というわけでもなく、仕事の手を抜くという考え方ではないのです。

ワークライフバランスにおいて大切なことは、「完璧なワークライフバランスを目指さないこと」「仕事時間との境界線を設けること」「達成可能な目標を設定すること」「何においても健康第一であること」です

ワークライフバランスの対象者は？

ワークライフバランスは、出産、育児、子育てを踏まえた働き方を支援するものとして同じものと考えられることがあるのですが、対象となる人は女性だけではありません。

年齢や性別、役職関係なく、ワークライフバランスに取り組む企業に勤めている社員全員が対象となります。

ワークライフバランスが取れるメリットは、以下の通りです。

• 女性社員が定着し、女性リーダーの育成と成長に期待できる
• 優秀な人材を定着させ、人材育成コストを回収できる
• 社員のモチベーションが向上する
• 長時間労働を改善し労働生産性が向上する
• 優良企業のイメージが育つ

柔軟な働き方を提案により、女性社員が企業に定着することが期待できるのは大きなメリットです。