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大学 業界研究

大学業界の業界研究|就活に役立つ事業構造・将来性・働き方など徹底解説します

安定・ホワイト・比較的高給という要素を持ち、学生から根強い人気を誇るのが大学の職員職で す。出身大学への愛着から志望する人も多いですが、採用人数が多くはないので、激しい競争 になる傾向があります。 内定を獲得するためには大学職員の業務内容や日本の教育の動向などを把握しておく必要が あります。その上で大学職員として自分の強みや頑張ったことをどう活かせるかを具体的にイ メージし面接官に伝えることが重要です。 この記事では各大学が発行している事業報告書や民間団体のレポートを参考にして、大学業界 のビジネスモデルや事業内容について詳しく解説しています。 ぜひ最後まで読んで、大学業界の就活対策を万全にしてください。

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大学業界とは

この章では大学業界の 

  • 業界構造 
  • 将来性 
  • 業界分類 
  • 最新トレンドについて 

解説していきます。

業界構造(Tier1・2や商流やメインビジネス(稼ぎ方)など)

学納金

学納金とは学生やその保護者が支払う授業料や入学金です。
国立大学では入学金や授業料は 1割程度を占める一方で私立大学では入学金や授業料が半分以上を占めます。
学生や保護者は卒業後、変化の激しい社会の中で生き抜く力を養成する教育に期待しています。
したがって、学納金は学生が保護者が大学での教育や「大卒」という資格を得るために期待して支払う将来 への投資といえます。
一方で大学の主な支出は教授や事務系の職員に対して支払う人件費や 教育研究費、施設の運営管理費です。
したがって、単純に利益の追求を求めるならば、大学は 入学する学生の数を増やして、教授の数を減らせばよいことになります。
しかし、教授の数が減 少することで、教授一人あたりの学生数が増加し、負担が大きくなります。
その結果、授業の質 が低下しますので、企業としてのサービスの改悪につながります。

また、教授には大学で学生に講義をするという仕事のほかに研究開発という仕事があります。
教授が研究開発に割ける時間 が減少すれば、論文の質や量の低下につながり、外部資金の獲得が困難になります。
したがっ て、学生の数と教授の数を常にバランスをとることが不可欠となります。 

多くの学生は大学で学ぶこと以外にも「大卒」という資格を得ることを重視しています。以前ほど ではないにしても学歴社会は未だ残っており、高卒の生涯年収は約2億円、大卒の生涯年収は2 億4,000万円ですので、大卒と高卒では4,000万円の差が生じます。
さらに国立大学や有名私大 であるほど就職活動において有利となりますので、自然と有名大学には学生の応募が殺到します。
したがって、有名大学の場合は大きな広告宣伝費を費やさずに学生を集客することができます。
一方で「高学歴」ではない大学の場合は「大卒」という資格プラスアルファの価値を提供する ことが必要です。
例えば、グローバル人材の育成に特化して、英語技能を重視した入試制度と留学プログラムを用意する。
学生の就職を支援する就職課の機能を拡充して、「就職に強い大学」 であることを学生にアピールするなどの工夫が必要になります。 

一方で、少子化によって18歳の人口は減少が続いているほか、 定員管理の厳格化により学納金の増収は見込みにくい状況となっています。
これは入学金や授業料が半分以上を占める私立 大学にとっては大きな痛手です。
学納金に依存しないビジネスモデルを構築する必要があります。

補助金

補助金とは大学が社会に必要な取組をすることに期待して、政府から支給されるものです。
私立 大学の場合は補助金の割合は1割程度ですが、国立大学の場合は国からの交付金が収入全体 の3~4割を占めます。
私立大学にも補助金は支給されています。
国立・私立ともに補助金の金 額は学生数、教員の数、経営状況などによって異なり、一般的には規模が大きい大学が上位にくる傾向があります。
大学によっては収入に占める補助金の割合にバラツキがあり、規模に比例 して補助金の額が決まっているわけではありません。
しかし、学生数が少なく、学納金が十分で はない大学にとっては補助金の確保は死活問題となっています。 

従来は補助金は「一律交付」が原則となっていましたが、近年では改革に取り組む大学には多 く、消極的な大学には少なくという「メリハリのある交付」に移行しています。
日本私立学校振興・ 共済事業団が毎年発表している「私立大学等経常費補助金交付状況の概要」によれば、補助金には、各学校における教職員数や学生数等に所定の単価を乗じて得た基準額を 教育研究条件の状況に応じ傾斜配分する「一般補助」と、教育研究に関する特色ある取組に 応じ配分する「特別補助」があります。
特別補助の区分としては以下のようなものがあります。

  • 成長力強化に貢献する質の高い教育 
  • 社会人の組織的な受入れ 
  • 大学等の国際交流の基盤整備 
  • 大学院等の機能の高度化 
  • 経営強化等支援 
  • 東日本大震災からの復興支援 
  • 授業料減免及び学生の経済的支援体制の充実

一方で学生の募集の停止、管理運営に不適正が認められると補助金の支給は減額・停止されます。
国としては大学が補助金の申請を行うプロセスを通じて学内の意識統一を図り、教育の質の向上や独自性を打ち出すことを期待しています。 

ただし、補助金のみで大学の改革の費用すべてが賄われているわけではありません。
したがって、短期的な補助金獲得のみに依存していると継続的な改革にはつながらないため、補助金の獲得を目的となってはいけません。
また、国家財政の厳しさによって国立大、私立大ともに交付金や補助金が削減傾向にあり、少子化により今後、環境は一段と厳しさを増す見込みです。
大学としては学納金、補助金に代わる安定収益源を確保する重要性が高まっていると言えるでしょう。

寄付金

私立大学にとって収入の半分を占める入学金や授業料といった学納金が経営の柱となってきました。
しかし、少子化の影響によって、有名大学を除けば、学生の集客が困難になっているほか、定員の厳格化が文部科学省の政策として進められており、大学の収益基盤が揺らいでいます。
こうした中で大学が特に注力しているのが卒業生や在学生の保護者、大学関係者、企業などから募る寄付金です。
国からの支援拡大の見通しが立たない中で大学の財政基盤強化の方策として注目されています。

アメリカでは大学が毎年巨額の寄付金を獲得しています。
寄付金の金額は1980年代から徐々に増大し、1990年代から急激に増加しています。
この背景には株価の高騰という経済的要因と税制上の優遇という政策的要因がありました。
日本の大学では寄付金は現金で行われますが、アメリカでは株式形態での寄付金が税制上優遇されています。
一方で日本の大学では株式方式での寄付が一般的ではなく、
アメリカのように寄付金が集まりませんでした。
また、日本には寄付金の文化が根付いていないため、アメリカのように大学に寄付金が集まらないという課題もあります。 

大学が外部から寄付金を集めるためには、有力な寄付者である卒業生や企業などのステークホルダーと密接なコミュニケーションをとることや研究開発の成果を外部に提供することが求められます。

関連ビジネス

大学の収益の柱である学納金が低迷するなかで私立大学の中には収入確保を狙い、本業の教 育研究以外のビジネスに乗り出す大学もあります。
従来は研究受託などの事業収入や、資産運 用による収入が中心でしたが、最近では特産品を大学ブランドとして販売したり、専門技術を持つ卒業生の人材派遣を行ったりと、事業内容は様々です。
教育サービスの提供という大学の目的を失ってはいけませんが、継続的にサービスを提供するために関連ビジネスを開始することが期待されています。

市場規模・将来性(シンクタンクのレポートなどを)

市場規模

一般社団法人日本私立大学連盟が発表している「加盟大学財務状況の推移」によれば、日本私 立大学連盟に加盟している大学の収入の推移は以下の通りです。 

(単位:百万円)

  2010 2011 2012 2013 2014
学納金 1,314,950 1,328,914 1,324,882 1,327,625 1,331,076
補助金 255,944 243,259 252,382 248,823 249,963
寄付金 86,565 73,600 66,027 57,172 54,503
合計 2,889,266 2,896,044 2,937,667 2,870,240 2,959,744
  2015 2016 2017 2018 2019
学納金 1,345,278 1,383,367 1,400,982 1,417,248 1,431,818
補助金 240,807 237,842 233,350 233,921 236,619
寄付金 60,282 69,177 60,694 55,763 59,894
合計 2,925,706 2,936,181 2,965,673 2,996,860 3,068,469


収入の推移を見れば、わかるように私立大学の収入は微増傾向にあります。
大学は将来に対する投資ですので、経済状況に左右されずに、売上が安定しています。
ただし、学納金に依存している状況は否めず、新しい収益源として期待されている寄付金はほとんど横ばいで推移しています。

将来性

大学にとって最も大きな脅威は少子化です。
従来から、少子化による18歳人口の減少によって 大学、特に収入の半分を学納金に依存する私立大学の経営が難しくなることが指摘されていました。
しかし、実際には18歳の人口が減少しているものの、大学進学率の上昇が減少分を補い、 学生数はむしろ増えていました。
しかし、文部科学省は「2018年以降は18歳人口の減少に伴い、 大学進学率が上昇しても大学進学者数は減少局面に突入すると予測される。」と推定しており、 少子化が大学の経営に与える影響はこれからと言えそうです。
リクルート進学総研は「18歳人 口推移、大学・短大・専門学校進学率、地元残留率の動向2020年」を公表し、本レポートによれば、18歳人口は2020年の116.7万人から、2032年には102.4万人へ14.3万人減少すると予測しています。
大学の進学率の伸び幅が期待できない以上、18歳人口の減少によって学納金収入は減少が見込まれます。 

また、18歳人口が減少する一方で、大学の新設は増え続け、2007年には大学志願者総数と大 学が受け入れる入学者総数が67 万5千人で同一となりました。
学生は大学を選ばなければ「大卒」という資格を得られるようになりましたが、大学数が増えたことで私立大学の約4割が定員割れとなっています。
最近では「定員割れの大学は、淘汰されてもやむをえない」という主張も多く目にするようになりました。

さらに2016年には文部科学省によって、私立大学の入学定員の厳格化が始まりました。
これは 定員を超えて入学させることを容認されてきた私立大学の入学定員管理を厳格化するというもので、大都市圏(首都圏・関西圏など)への学生の流入抑止及び地方創生につなげることを目的としています。
これによって東京に集中する大学の中には学生の在籍数が減少し、学納金が減少することが予想されます。

このように大学の将来性を考えると、収入の柱である学納金が減少することは避けられそうにありません。
しかし、日本ではまだまだが学歴主義が残っており、「大卒」の資格を得るために大学に入学する生徒は確実にいます。
大学はそのような生徒にとっては生活必需品であり、18歳人 口が減少するなかでも一定の需要が見込めます。
また、社会人学生や留学生などは増加傾向にあります。
日本人学生の減少を補うほど、増加するかは不透明ですが、これまでのメインの ターゲットであった高校生から他の層に目を向けることで収益基盤の安定につながると期待されます。

関連記事
▶︎教育業界の現状と今後の将来性とは?少子化が進む教育業界の激化

業界の分類

旧帝国大学

「旧帝国大学」とは北海道大学・東北大学・東京大学・名古屋大学・京都大学・大阪大学・九州大学の7つの国立大学を指します。
偏差値が高く、学生の人気は根強いです。
学納金は収入の1割程度であり、補助金が3割程度を占めます。

有名私大

早稲田大学、慶應義塾大学、上智大学などの有名私大は地方からの人気も根強く、安定した学納金収入が期待されます。
18歳人口が減少する中でも存在感を維持するでしょう。

Fラン大学

Fラン大学とは、「Fランク大学」の略称です。
一般的には偏差値の低い大学を総称する言葉とし て使われています。
学力に関係なく、学費さえ払えば入学することができます。
しかし、18歳人口の減少や定員厳格化によって最も煽りを受けると言われています。

最新のトレンド

大学入試改革

2013年10月、政府の教育再生実行会議がセンター試験に代わる新テスト導入を当時の安倍首相に提言しました。
背景には大学進学率の上昇と18歳人口の減少によって実質的に大学全入時代となり、学生の学力低下が指摘されていたことがあります。
30年前と比較して、大学進学率 が25%から53%へ上昇する一方で18歳人口は200満員から117万に減少していました。
大学が質の高いサービスを提供するためには大学の研究開発や教員の育成も重要ですが、質の高い教育を理解し、成長できる優秀な学生が不可欠です。
この大学入試改革は学生の学力向上だけではなく、大学の経営上の問題でもありました。 

従来の「センター試験」では基礎的な知識や技能が中心でしたが、教育再生実行会議は知識だけでなく思考力や判断力を測る大学入試を導入し、多様な課題に対応できる人材育成を行う必要があると判断し、「大学入学共通テスト」では思考力・判断力・表現力が大きく問われることにな りました。
入試改革の目玉は大学入試センター試験の廃止と、民間の資格・検定試験の導入でした。
しかし、世論の批判を受けて、教育再生実行会議は2025年以降の語民間試験の活用と記述式問題の導入について、「実現は困難」と提言。
これによって文部科学省は2025年以降の大学 入学共通テストでの英語民間試験と記述式問題の導入を断念することを正式発表しました。
この 一連の出来事は入試対策を行ってきた生徒のみならず受け入れる側の大学をも混乱させました。

私立大学の定員割れ

2021年10月に河合塾が大学入試情報サイト「Kei-Net」に掲載したレポートによれば、私立大学 の定員割れ大学の割合が上昇しています。定員割れ大学の割合は、2017年度から下降を続け ていましたが、2021年度は46.4%まで上昇しました。
河合塾は定員割れ大学が増加している要 因として「定員超過のペナルティが厳格されたことで、都市部の大規模大を中心に定員超過が是正されたためで、その結果、他大学の入学者が増えていた」と指摘しています。

2021年はコロナ禍による感染拡大への懸念や家庭の経済状況悪化で出願校をしぼった受験生が例年以上に多く、志望者の減少幅が大きくなり、入学者の確保ができなかった大学が増加しました。
特に小規模大学や地方大学では定員割れが深刻化しており、18歳人口の減少により市場は縮小するなかで経営不振に陥る大学が増加すると見られています。

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