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特許庁 業界研究

特許庁の業界研究|就活に役立つ事業構造・将来性・働き方など徹底解説します

特許庁は知的財産行政の面から日本経済の発展を支えています。経済産業省や財務省と比べると知名度は劣りますが、知的財産活動がグローバル化する中で特許庁の任務の重要性は増しています。国家公務員を志望する学生からの注目も高まっており、志望者は増えています。この記事では特許庁の採用ホームページ、特許庁が公表している白書、関係法令、政府ホームページなどをもとにして特許庁の任務、特許庁職員の仕事内容について解説しています。また、特許庁の官庁訪問対策についてもまとめていますので、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。

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特許庁とは

特許庁は知的財産権に係る事務を所管する経済産業省の外局です。
1884年に商標条例が公布され、当時の農商務省工務局に商標登録所が設置されたことに起源があります。
ちなみにこの商標登録所の初代所長には高橋是清が就任しています。
それ以来、大正、昭和、平成と時代が移り変わる中で一貫して、知的財産の側面から日本の経済発展を支援しています。
特許庁が所管している知的財産権とは知的創造活動によって生み出されたものを財産として保護する権利です。
知的財産には著作権や育成者権など様々な権利が含まれています。

特許庁の任務については経済産業省設置法第二二条に以下のように規定されています。

特許庁は、発明、実用新案、意匠及び商標に関する事務を行うことを通じて、経済及び産業の発展を図ることを任務とする。

具体的には特許庁は①産業財産権の適切な付与、②産業財産権施策の企画・立案、③国際的な制度調和と途上国協力の推進、④産業財産権制度の見直し、⑤中小企業・大学等に対する支援、⑥産業財産権情報提供の拡充など日本の産業の発展に向けた取組を行っています。
テレワークやデジタルトランスフォーメーションなど職場環境も大きく変革を迎えている中で知的財産行政を担う特許庁への期待も高まっています。
技術的な知識と制度ユーザーである出願人や代理人と丁寧な意思疎通を図ること、さらに知的財産活動がグローバル化する中で各国特許庁と連携できる国際的な素養が職員に求められています。

特許庁の役割

知的財産権の付与及び企画立案

特許庁は著作権や育成者権などの知的財産権を所管しており、世界各国から受け付けた特許出願などの出願について、技術的観点、法律的観点などから厳正に審査し、独占的な権利を付与するか否かを判断します。
また、特許庁が下した審査結果に対する不服については、地方裁判所に代わって第一審としての機能を有する審判部が、民事訴訟法に準じた厳格な手続で審理します。

政府は「未来を切り拓く『知的財産立国』の実現」を掲げており、①迅速・的確な権利付与、②企業のグローバルな活動を円滑化する知財インフラの提供、③中小企業・大学などによる知財活用の促進、④地域ブランドなどの確立、⑤模倣品対策など、産業財産権施策の企画立案を積極的に推進しています。

中小企業・大学等に対する支援

中小企業・大学など裾野の広い産業財産権活用を図るため、手数料の負担軽減、知財活用の支援、知財管理体制の強化支援、産学官連携の推進など様々な取組を行っています。
例えば、制度ユーザーの多様化に対応するために、イノベーションの担い手であるベンチャー企業に対する支援策として特許審査に際して、出願人にベンチャー関連施策、知的財産活用の実例を紹介するなどの施策を講じています。

国際的な制度調和と途上国協力の推進

企業のグローバル展開が進む中で海外でも知的財産権を取得し、保護や活用がされる環境を整備する必要性が高まっています。
特許庁では国際調和を目指した産業財産権制度の環境を整備し、あわせて、日本の出願人の海外での円滑な権利取得や権利活用を支援するため、日・米・欧先進国間協力や中国・韓国を含めた五庁協力、途上国協力(審査協力、人材育成など)、特許審査ハイウェイ(PPH)の推進、模倣品・海賊版対策の強化など、積極的な国際活動に取り組んでいます。
特に新興国の知的財産権関連省庁では知的財産権に関する知識や経験が不足していることから、研修やセミナーを通じた知識及び経験の共有や諸外国の知的財産に関する統計データの収集・提供などを実施しています。

特許庁の仕事内容

審査業務

特許庁の審査官は申請された特許の審査業務を行っています。
発明内容の正確な理解が審査業務の基本であり、出願書類をしっかり読み、発明のポイントや背景を理解します。
技術的な専門知識はもちろん、新しいアイデアなど技術の新しい切り口を見抜く目が求められます。
特許庁内外の検索システムを用いて特許文献や学術論文などのデータベースから過去に類似の技術がないか調査することも重要です。
外国の文献も対象となりますので、英語などの語学力も求められます。
研修・実務などを重ねながら検索スキルの向上に努めています。
特許審査官は出願された発明と発見された先行技術文献との対比を行って、特許性の判断を行います。
そして、特許性があると判断した場合は特許査定を、特許性がないと判断した場合は拒絶理由通知を行います。
通常は特許性のデータベースを基に審査を行いますが、出願人・代理人と審査官との間でコミュニケーションを取って意思疎通を円滑化するために書面ではなく、直接対話を行う「面接審査」も実施されています。
特許審査官の拒絶の判断に対して、出願人は意見・補正等を行い、これに対して、再度特許審査官は審査を行い、最終的に特許査定、または拒絶査定を行います。
出願人・第三者の双方が納得する審査を行うためには技術・法律の専門的な知識に加えて、高度な論理的思考が必要とされます。また、拒絶理由通知は書面で行われるため、論述能力も必要とされます。

時代に即した法整備

日本の産業を支える柱の一つが特許法・特許制度をはじめとした産業財産権法・制度です。
これらの制度や審査基準は時代のニーズに応じて改正や見直しが必要とされます。
特に進歩性の判断手法に関する最高裁判所判例については判示事項や雑誌等に掲載されている解説の内容を精査して、審査基準の考え方との関係について検討します。
また、審査基準は審査における判断基準としてだけではなく、出願人による特許管理等の指標として広く利用されています。
したがって、特許庁が審査基準の改定を検討する際には産業界の有識者や実務家などで構成される産業構造審議会知的財産分科会、制度ユーザーなどから意見を収集し、必要な制度の改正を行います。

国際ルール作りに向けた国際交渉

企業活動がグローバル化するにしたがって、日本のみならず海外での円滑な特許取得へのニーズが高まっています。
特許審査官は日本企業のグローバルな事業展開に対応するために日本で特許権を付与された発明が海外でも安定した権利として円滑に保護されるように国際ルールにも携わります。
国際的な特許制度の調和を目指して、国連の専門機関である世界知的所有権機関や世界貿易機関における多国間交渉、五大特許庁(日米欧中韓)会合、アジア太平洋経済協力の知的財産権専門家会合、アメリカなどとの二国間交渉に特許庁から特許審査官が参加し、厳しい交渉を行っています。

最新のトレンド  

特許出願・審査請求等の推移及び特許審査の現状

特許庁への特許出願件数は減少傾向が続いており、これまで30万件を超える水準で推移してきたものの、2020年は288,472件となりました。
一方で特許庁を受理官庁とした特許協力条約に基づく国際出願(PCT国際出願)の件数は、2019年まで増加傾向を示しており、 2020年は49,314件と前年に比べ4.5%減少したものの、依然として高い水準を維持していまます。

【PCT国際出願件数の推移】

2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
37,974 42,787 43,075 41,292 43,097 44,495 47,425 48,630 51,652 49,314


国内における特許出願件数は減少傾向が続いている一方で、国際出願が増加している背景には研究開発や企業活動のグローバル化が大きく進展し、国内のみならず国外での知財戦略の重要性も一層増していることなどがあります。
国際出願の増加に対応するために特許庁では一次審査通知までの期間に加え、権利化までの期間の短縮化を目指しています。
具体的には2014年に10年目標として、2023年度までに特許の「権利化までの期間」(標準審査期間) と「一次審査通知までの期間」をそれぞれ、平均14か月以内、平均10か月以内とするという目標を設定し、現在は着実に進んでいます。 

各国特許庁との連携・協力

企業の経済活動のグローバル化の進展に伴い、欧米のみならず中国や韓国、さらにはASEANや中南米、インドを始めとする新興国での知的財産権の確保が急務となっています。
これらの国々で予見性を持って円滑に権利を取得し得るよう、制度・運用の調和と審査協力の重要性が増しています。
特許庁はこれまでも特許審査ハイウェイ(PPH)の提唱や五庁会合等での制度調和の議論の提起等、国際的にも主導的な役割を担ってきました。

また、諸外国との審査協力を一層推進する観点から、PPHの拡充を進めるとともに、米国特許商標庁との間では日米協働調査試行プログラムを、五庁間ではPCT協働調査試行プログラムをそれぞれ実施しています。
さらに日本の世界最先端の審査手法を普及させるため、国際審査協力等の取組を実施しています。
国際的な特許制度の調和に向けた取組の一環として、国際研修指導教官による研修が実施されています。
2000年4月から2021年3月末までの累積で、特許庁は国際審査協力を33の知財庁・組織と行っています。
2020年度は新型コロナウイルス感染症により派遣・受入が困難な中で、全ての審査官協議及び研修をオンラインにて実施し、日本の特許庁の審査官計21名が審査官協議に参加しています。

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