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観光庁 業界研究

観光庁の業界研究|就活に役立つ事業構造・将来性・働き方など徹底解説します

日本政府は観光産業を重要な成長産業と位置づけており、観光庁はその推進役を担っています。インバウンド需要が増加し、観光産業が成長するなかで国家公務員を志望する学生の間でも知名度が高まっています。この記事では観光庁のホームページや観光白書、関係法令、観光立国推進基本法などを参考にして、観光庁の任務や観光庁職員の仕事内容について解説しています。また、それらを踏まえて上で観光庁へ入庁するための必要なプロセスについても解説していますので、ぜひ参考にしてください。

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観光庁とは

観光庁は日本の「観光立国」の実現に向けて、魅力ある観光地の形成、国際観光の振興その他の観光に関する事務を所管する国土交通省の外局であり、平成20年10月1日に設立されました。
観光庁は中央省庁の観光関連業務の縦割りを廃し、政府をあげての取組みを強化しするとともに諸外国に対して、観光庁が日本政府を代表し、対外的な発信力を強化することになっています。
観光庁の任務については所管する省庁である国土交通省設置法第四三条にて以下のように規定されています。

観光庁は、観光立国の実現に向けて、魅力ある観光地の形成、国際観光の振興その他の観光に関する事務を行うことを任務とする。

日本政府は観光産業について日本の力強い経済を取り戻すための重要な成長分野であると位置づけて、観光立国推進基本計画を策定しています。
観光庁は同計画に定められた施策を実行する上での実務を担っています。
観光業は経済波及効果が大きく、特に急速に成長するアジアをはじめとする世界の観光需要を取り込むことにより、地域活性化、雇用機会の増大などの効果を期待できます。
さらに、世界中の人々が日本の魅力を発見し、伝播することによる諸外国との相互理解の増進も同時に期待できます。
外国人観光客の誘致に加えて、国内旅行の振興も重要です。
そのために地域が一丸となって個性あふれる観光地域を作り上げ、その魅力を自ら積極的に発信していくことで、広く観光客を呼び込み、地域の経済を潤し、ひいては住民にとって誇りと愛着の持てる、活気にあふれた地域社会を築いていくことが観光立国には不可欠です。
観光庁は「観光立国」の実現に向けて様々な施策を遂行しています。
 

観光庁の役割

国際観光の振興

世界の国際観光需要を取り込み、国内外との交流人口の増大や旅行消費によって地域経済を維持し、発展させることで日本の力強い経済を取り戻す。
また日本に親しみを持つ人を増やし、国際社会における日本のソフトパワーを高めるために観光業の意義や影響力は絶大です。
観光庁は日本の魅力を諸外国に発信し、外国人観光客を誘致するために国際観光の振興を担っています。
2007年1月には観光立国推進基本法が施行され、同法の規定によってインバウンド需要拡大の方向性が示されました。
具体的には日本の伝統や文化を活かした海外での観光宣伝活動の効果的な実施、訪日した外国人向けに日本国内における交通や宿泊に要する情報の提供、国際会議や観光関連の行事における誘致の促進、国人観光旅客の出入国に関する措置の改善、通訳案内のサービスの向上その他の外国人観光旅客の受入れの体制の確保などです。

また、インバウンド需要拡大の施策の一環として観光庁は「訪日旅行促進事業」(ビジット・ジャパン事業)に協力しています。
ビジット・ジャパン事業(VJ)は、訪日外国人旅行者の増加を目的とした訪日プロモーション事業です。
現在では観光庁のほかにも国際観光振興機構や民間の旅行会社などが参加しています。
 

観光政策の企画・立案

観光庁は観光立国実現のために観光立国推進基本法にしたがって、観光旅行の円滑化及び容易化を図っています。
観光立国推進基本法第二〇条には「国は、観光旅行者に対する接遇の向上を図るため、接遇に関する教育の機会の提供、旅行関連施設の整備、我が国の伝統のある優れた食文化その他の生活文化、産業等の紹介の強化、我が国又は地域の特色を生かした魅力ある商品の開発等に必要な施策を講ずるものとする。」と規定されており、これに伴う実務は観光庁が担うことになっています。

観光庁は地域における創意工夫を生かした主体的な取組みを尊重しつつ、国際競争力の高い魅力ある観光地の形成、観光産業の国際競争力の強化及び観光の振興に寄与する人材の育成、国際観光の振興、 観光旅行の促進のための環境の整備に必要な施策を講ずることとしています。
 

観光資源の有効活用

観光産業は経済波及効果が大きく、地域経済の活性化や雇用の創出が期待できます。
そのためにも外国人観光客を中心に地域固有の自然や文化を味わい、日本を何度も訪れるリピーターになってもらうことが重要です。

観光庁は地域の魅力的なコンテンツの開発や宿泊施設の高付加価値化などに取り組んでいます。
 

観光庁の仕事内容

ワーケーションの普及

従来の日本における旅行のスタイルには、特定の時期に集中し、宿泊日数が短いという特徴があります。
そのため、旅行需要が集中し、混雑が生じやすく、また、国内旅行消費額の伸び悩みも課題となっています。
観光庁ではより多くの旅行機会の創出と旅行需要の平準化を図るため昨今の働き方の多様化を踏まえ、仕事と休暇を組み合わせた旅行スタイルの普及に取り組んでいます。

例えば、テレワーク等を活用し、職場とは異なる場所で余暇を楽しみつつ仕事を行う「ワーケーション」、出張などの機会に、滞在を延長して余暇を楽しむ「ブレジャー」などです。
「ワーケーション」では、企業が滞在先の地域と連携して、地域の課題解決に取り組んでいる事例もあります。
地方創生につながるだけでなく、企業側にとっても、職員の帰属意識を向上させるなどのメリットがあります。
現時点ではまだ実施している企業は多くはありませんが、地域と企業のマッチングを行うモデル事業の実施や情報発信などを通じて、旅行者、地域、企業のそれぞれにとって「三方よし」の「ワーケーション」の取組みを進めています。
 

正確な情報発信

観光庁では観光庁の取組みや観光に関する情報について、一般の方々やメディアに最適かつ有効な形で発信できるよう検討しています。
同時に、月1回、外国人観光客数や観光庁作成の各種統計結果などの発表を行う観光庁長官会見を開催しています。

「観光」とは宿泊・旅行のみならず、飲食、交通、土産など地域にとって裾野の広い産業であり、今や日本経済に大きな影響をもたらす一大産業にまで成長しています。
観光行政を進める上で大切なことは現場の本音や地域の実態をしっかり把握し、必要な支援や情報発信を正確に実行していくことです。
 

観光戦略の策定

観光庁では中・長期の観光戦略の策定に取り組んでいます。
観光は非常に裾野が広い産業であり、旅行会社やホテル事業者、IT関係のスタートアップ企業、そして、環境省や農林水産省、文化庁など複数の省庁にまたがる戦略を練る必要があります。

観光庁はその旗振り役として、日々、多方面の関係者と情報交換を行い、幅広い施策を検討しています。そのためには常にアンテナを高く張り、どんな情報も貪欲に吸収し、幅広い官民の方と議論を行うことです。
 

最新のトレンド

新型コロナウイルスの影響と対策

新型コロナウイルス感染症は全ての産業に深刻な影響をもたらしましたが、観光業については2020年(令和2年)4、5月には緊急事態宣言の影響でほぼ皆減となりました。
国内旅行はその後 2020年(令和2年)後半にかけて持ち直しをみせたものの再度の緊急事態宣言の発出等を受けて再び大きく落ち込みました。
足元では2015年(平成27年)の約6割の水準となっています。

一方でインバウンド需要は入国制限の影響で需要がほとんど消滅しました。
観光業の業況は極度に悪化しており、2020年(令和2年)の宿泊業の倒産2件数は118件(前年比57.3%増)となりました。
このうち新型コロナウイルス関連倒産は55件(全体の46.6%)と他業種よりも高い割合でした。
旅行業の倒産は26件(前年比4.0%増)、うち新型コロナウイルス関連倒産は7件(全体の26.9%)でした。

売上減少に伴い資金繰りが厳しい事業者に対しては実質無利子・無担保融資(当初3年間実質 無利子・最長5年間元本据置)や持続化給付金の交付、租税公課等の支払猶予等を実施するとともに従業員の雇用を維持する事業者に対しては、雇用調整助成金による休業手当等の助成や在籍型出向による雇用の維持に対する産業雇用安定助成金等の助成を行っています。
 

GoToトラベル事業と事業停止

政府は感染拡大防止策の徹底を図りつつ、失われた旅行需要の回復や旅行中における地域の観光関連消費の喚起を図るとともにウィズコロナの時代における「安全で安心な旅のスタイル」を普及・定着させることを目的としてGo To トラベル事業を開始しました。

しかし、GoToトラベル事業については開始した当初から観光業を特別扱いしているという批判や感染再拡大を助長するという懸念がありました。
実際のところ、Go To トラベル事業のこれまでの利用人泊数は少なくとも約8,781万人泊であり、2021年5月末時点で観光庁が報告を受けているところでは、Go To トラベル事業の利用者で新型コロナウイルス感染症の陽性が判明した方は411名にとどまっており、感染再拡大への影響は小さいという意見もあります。

しかし、政府は14日の新型コロナウイルス対策本部において新型コロナウイルス感染症の再拡大を踏まえて、2020年12月28日から2021年1月11日まで観光需要喚起策「Go To トラベル」を全国一斉に一時停止すると決めました。
さらに停止期間は再延長され、現在のところGoToトラベル再開の見通しは立っていません。
観光庁の試算によれば、GoToトラベル事業による1カ月の消費押し上げ効果は1809億円であり、全国的にトラベル事業を15日間停止した場合、893億円分の効果が失われるとみられています。

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観光庁の年収

観光庁を所管する国土交通省単体での職員の年収は非公表ですが、人事局が公表している「国家公務員の業務状況等の報告」を基にすると、国家総合職採用の職員は1年目で300~400万円程度、30代で600~700万円程度、40代から50代で1000万円を超えてくるイメージです。

また、国家一般職については国家公務員25万3132人のうち、一般職にあたる行政職は14万2236人であり、給与は全職員の平均給与は41万6203円で、行政職に限ると40万8868円となっています。

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観光庁で求められる人物像・スキル

観光庁はどのような人物を求めているのでしょうか?

詳しく解説していきます。
 

採用実績大学

観光庁を所管する国土交通省単体での職員の出身大学は非公表となっています。

しかし、人事局が公表している「採用昇任等基本方針に基づく任用の状況」によれば、国家公務員の出身大学は東京大学、京都大学、東京大学大学院、早稲田大学の順番になっています。
 

志向性やスキル

観光庁を所管する国土交通省ではローカルからグローバルまで、幅広いフィールドで活躍する人材として、幅広い分野への興味、広い視野、高いプロ意識を持って現場と向き合い、着実に日本を良くしていこうという志をもった方を求めています。

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観光庁のES・面接対策

最後に観光庁の就活対策を解説していきます。

ここが最も重要なところなので、ぜひ参考にしてみてください。
 

ES対策

志望動機

観光庁は観光庁を窓口とした採用を行っていません。
観光庁に配属になるためには観光庁を所管する国土交通省に入省する必要があります。
国土交通省は観光以外にも国土の開発・利用・保全、交通政策、気象業務、海上の安全の確保など多様な政策を企画・立案しています。

したがって、観光庁への熱意を前面に出した志望動機を作成すると他の部局や外局に配属になった場合に業務を遂行できるのか疑われてしまいます。
あくまでも国土交通省への志望動機を作成しましょう。
参考までに内定者の志望動機は以下のとおりです。

学生時代に建築学を専攻し、インフラ整備に興味があり、日々の暮らしや経済を支えるインフラに関する政策の企画立案、そして実行することによって、この国を発展させ、豊かにしたいと思い、国土交通省を志望しました。

私は日本の美しい自然や町並みが好きなため、日本全国にある都市や地方のまちづくりに興味があり、国土交通省を志望しました。


このように国土交通省の所掌事務であるインフラや地方のまちづくりへの関心から国土交通省を志望する学生が多いようです。
観光庁への関心を前面に出した志望動機は見つかりませんでした。
 

最近の国土交通行政に関連する課題と、それに対するあなたの考える解決策

国土交通省のエントリーシートには「最近の国土交通行政に関連する課題と、それに対するあなたの考える解決策」という項目があり、400文字以内で記載します。
ここでは観光庁の所掌事務について記載することも可能ですが、国土交通省の業務の幅広さを考えると観光庁以外にも他の業務に関する関心も示したほうがいいでしょう。

国土交通省の説明会に参加したり、国土交通省が公表している白書などを研究し、興味のある政策分野における課題と解決策を考えましょう。
解決策は難しいですが、国土交通省が開催する職員座談会などに参加して、素朴な疑問を職員にぶつけることで解決策を考えましょう。
 

面接対策

グループディスカッション

国土交通省の1次、2次面接に合格するとグループディスカッションに参加する場合があります。
テーマは国土交通省所管の政策や国土交通行政に関連する社会問題です。
正しい回答を導くというよりは論理的思考能力や組織の合意形成能力、組織の中で役割を見つける力を採点されています。
 

職員面接

職員面接とは通称原課面接と言われるものです。
現場の職員と対面やブースで政策に関するディスカッションをしたり、政策について質問を行います。
グループディスカッション同様に政策については職員に勝る解決策を提示することは求められていません。
そうではなくて、論理的な思考能力や頭の回転の速さを見られています。

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よくある質問

観光庁では採用を行っていますか?

観光庁では観光庁を窓口とした採用は行っていません。

観光庁は国土交通省の外局であり、国土交通省に入省した場合に観光庁に配属になる可能性があります。
したがって、観光庁への入庁を目指す場合は国土交通省に入省する必要があります。
 

観光庁への配属を希望します。配属希望は通りますか?

国土交通省は国土の開発・利用・保全、交通政策、気象業務、海上の安全の確保などその業務は多様であるとともに、社会の動きに応じて日々変化しています。
したがって、配属や異動については、それまでに得てきた知識・経験、本人の希望・適性等を総合的に踏まえて決定されます。
必ずしも配属の希望が通るわけではなく、国土交通省の他の部局や同じく国土交通省の外局である運輸安全委員会、気象庁、海上保安庁、地方整備局・地方運輸局などの地方支分部局などに出向する可能性もあります。
 

観光庁所管の業務で海外に勤務する可能性はありますか?

国土交通省に入省すると世界各国の在外公館、OECD等の国際機関等に出向するチャンスがあります。
日本政府観光局は世界の主要な訪日旅行市場主要都市に海外事務所を設置しています。
国土交通省に入省すると観光局の海外事務所に出向になる可能性があります。

各事務所は訪日旅行の促進に係る日本の現地事務所として、旅行会社・メディアとの日常的な連携、現地市場のマーケティング情報の収集・分析等を行うとともに、現地消費者に対する情報発信も実施しています。

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まとめ

観光庁は観光立国に向けて政府の施策を総合的に推進している重要な省庁です。
学生からの知名度も年々高まっており、志望する学生も増えています。

まずは文部科学省に入省する必要がありますが、文部科学省を経由して、観光庁に入庁することも可能です。
ぜひ本記事を参考にして、まずは文部科学省への入省を目指しましょう。

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