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駐車場 業界研究

駐車場業界の業界研究|就活に役立つ事業構造・将来性・働き方など徹底解説します

駐車場業界は比較的ニッチな業界ですが、自動車業界を志望する学生を中心に人気があります。また、ビジネスモデルが不動産賃貸業に似ていることから不動産業界に関心のある学生の中にも併願する人が多数います。駐車場業界で内定を獲得するためには独特のビジネスモデルや業界のトレンドについて正しく理解し、その上で自分の強みや頑張ったことを、入社後にどう活かせるかを具体的にイメージし面接官に伝えることが重要です。 この記事では駐車場業界について各社の有価証券報告書や民間団体、公的機関のレポートをもとに業界研究を行っています。ぜひ最後まで読んで業界研究を万全にしてください。

visibility5323 |

駐車場業界とは

この章では駐車場業界の

  • 業界構造 
  • 将来性 
  • 業界分類 
  • 最新トレンドについて 

解説していきます。 

業界構造

駐車場の経営形態

駐車場経営には大きく分けて3つの経営形態があります。それは「サブリース方式」「管理委託方式」「予約専用駐車場」の3つです。それぞれの経営形態によってお金の流れや駐車場の所有者・運営者が異なります。 

サブリース方式で登場するのは土地・施設の所有者、駐車場経営会社、ドライバー(利用者)の3者のプレイヤーです。この方式では駐車場の経営会社は駐車場を所有せずに土地・施設の所有者と土地の賃貸借契約を締結し、所有者から土地を一括で借り上げ、駐車場を管理・運営します。駐車場を開設する際に必要な機器、看板等は全て駐車場の経営会社にて負担し、土地の所有者が負担するコストは特にありません。ドライバーが駐車場に対して、支払うサービス利用料金は駐車場の経営会社に帰属しますが、土地の所有者には売上高から毎月定額の賃料が支払われます。土地の所有者にとっては初期費用が不要になりますが、後述する管理委託方式と比べて、収益性は劣ります。 

管理委託方式で登場するのも土地・施設の所有者、駐車場経営会社、ドライバー(利用者)の3者のプレイヤーです。この方式では駐車場の経営会社は駐車場の管理業務のみを行います。土地・施設の所有者と駐車場の経営会社の間には賃貸借契約は存在しません。駐車場の運営主は所有者となり、駐車場を開設する際に必要な機器、看板等は、所有者にて負担します。所有者がドライバーに対して、駐車場サービスを提供し、利用料金を受け取ります。駐車場の売上は所 有者に帰属しますが、駐車場を管理している経営会社に対して管理委託料金を支払います。土地の所有者にとっては初期費用として駐車機器の購入が必要になりますが、収益性は高くなります。

予約専用専用駐車場という方式は近年登場した経営形態です。この方式では土地・施設の所有者、駐車場経営会社、ドライバー(利用者)の3者のプレイヤーが登場しますが、駐車場経営会社が行うのは土地所有者とドライバーをつなぐプラットフォームを提供することだけです。いわばマッチングサイトのようなものであり、プラットフォームを通じて需要と供給のマッチングが行われています。所有者は、空きスペースを駐車場の経営会社が運営するシステムに登録し駐車場として貸し出しますが、管理委託方式のように駐車機器を設置する必要がなく、貸し出し期間は所有者自身で自由に設定可能です。ドライバーが空きスペースを駐車場として利用すると利用料金はプラットフォームを提供している経営会社に支払われます。ドライバーから支払われる利用料金の一定割合が「提供料」として所有者に支払われます。 

参考:駐車場のビジネスモデル|パーク24株式会社

月極駐車場とコインパーキング

駐車場のビジネスモデルはサービスの利用料金の徴収方法によって「月極駐車場」と「コインパーキング」に分類されます。 

月極駐車場はドライバー(利用者)と月額支払いで利用契約を締結し、毎月の賃料を受け取る方法です。月極駐車場のビジネスモデルはアパート経営と似ており、収益性を向上させるためには空きスペースがないように利用者を確保すること、多くの利用者が利用できるように大きいスペースを用意することが大切になります。月極駐車場では駐車機器を設置する必要がなく、敷地の整備や舗装も必ずしも必要ではないので、気軽に始めやすく新規参入のハードルは低いと言えます。実際に月極駐車場を運営する場合には駐車場の経営会社や不動産会社と契約して、利用者の募集や駐車場の管理を委託することが一般的なようです。この場合は毎月の賃料収入から管理委託費用と固定資産税を差し引いた金額が利益となります。 

月極駐車場は新規参入のハードルが低い一方でトラブルがないわけではありません。アパート経営と異なるのは空きスペースを勝手に利用する不正駐車が起こりやすいことです。特に駐車機器を設置する必要もないため、不正駐車対策を実施することが難しく、契約者がおらず空いているスペースに勝手に駐車する人が一定数いるようです。 

コインパーキングとは不特定多数の利用者が利用できる時間制の駐車場です。月極駐車場のようにスペースの大きさや利用率ではなく、利用者の出入りの回数によって収益性が変動します。月極駐車場と異なり、コインパーキングの場合には監視カメラやゲート・ロック板と精算機を連動させて利用車両と料金徴収を管理するので、駐車機器の設置が必要になります。コインパーキングは月極駐車場のように固定の契約者がいないため、新規参入が容易なだけではなく、事業からの撤退も容易です。通常、土地の所有者は土地を更地のまま放置していても固定資産税が発生するため、土地の有効活用を考えますが、コインパーキングは最も手軽な投資手法と言えるでしょう。特に駅や繁華街、駐車場のない商業施設の近くなどにある土地ならば、仮にスペースが小さくても一定の収益が期待できます。 

駐車場経営の特徴

駐車場経営はアパート経営に例えられることがありますが、土地の所有者であれば、極端な話、更地でも駐車場を運営できるので初期費用は少なくて済みます。また、収益性を考慮しなければ、場所が制限されることも少なく、狭小地や変形地でも経営することが可能です。土地を保有していれば、固定資産税を支払うことになるので、収入があったほうがいいに決まっています。その場合でも駐車場経営は始めやすく、多くの新規参入者がいます。災害リスクが小さいことも特徴の一つです。アパート経営であれば、災害による建物の損壊の恐れがありますが、駐車場の場合は駐車機器くらいしかなく、アスファルト舗装やコンクリート舗装によって容易に経営の再開ができるので、リスクの少ない業界と言えます。

一方で駐車場経営にデメリットがないわけではありません。新規参入が容易で、管理コストも安く済む反面、収益性は高く有りません。アパートのように数階建ての構造ではないので、土地利用効率が悪いことが要因です。また、アパート経営のように固定資産税の現在対象にもならないので、税金の負担は比較的大きいです。土地の所有者が土地の有効活用の手段としてまず最初に思いつくのが駐車場経営ですが、税制の恩恵は受けられません。 

市場規模・将来性

市場規模

駐車場運営会社大手である5社(パーク24、日本駐車場開発、東京建物、パラカ、アズーム)の有価証券報告書によれば、2020年から2021にかけての各社の売上高の合計は3,268億円となっています。ただし、駐車場業界は初期投資を抑えて多数展開できるものであるため、ビジネスとして参入障壁が低い点が大きな特色であるため、大手以外にも全国に3,000以上の運営会社があり、これらを含めると市場規模はさらに大きくなると考えられます。業界最大手のパーク24の社長西川氏によれば、単純に駐車料金で合算すれば、駐車場の市場規模は全国で3兆5,000億円から5兆円になるそうです。 

駐車場業界は小規模事業者の割合が圧倒的に高いため正確な市場規模を測定することは困難です。そのため、新車保有台数や運転免許保有者数などを参考にして市場規模が予測されることが多いようです。自動車というと若者の自動車離れや国内市場の縮小などの影響を受けて、 業界全体が斜陽産業であるというイメージを持たれがちですが、自動車保有台数は順調に右肩上がりを続けています。警視庁が発表している「運転免許統計」によれば、運転免許保有者数は 日本で自動車が普及し始める高度経済成長期から一貫して増加しており、2017年の統計時点で全国8,225万5,195人となっています。また、一般財団法人自動車検査登録情報協会の調査によれば、自動車保有台数は統計開始の1961年以降一貫して増加を続けており、順調に増加しています。2006年には道路交通法が改正されたことで放置車両確認事務が民間法人に委託され、駐車違反の取り締まりが強化されたことにより、コインパーキングへの需要が高くなっています。 

日本経済新聞社の「第38回サービス業調査」によれば、2019年度の駐車の売上高は前年度比+3.7%で推移しています。これは新車保有台数の増加が寄与しているというよりはカーシェアリングやレンタカーの普及による影響が大きいと思われます。近年では土地所有者とドライバーをつなぐプラットフォームに登録する人が増えています。2020年の国土交通省の全国駐車場整備状況調査によれば、時間貸し駐車場や公共施設・商業施設の駐車場(月決め駐車場や住宅の車庫は含まず)の供給台数は2019年3月末時点で534万台(前年同期比+2.5%)となりました。 内訳は届出駐車場(一般向けで料金を徴収し500平方メートル以上)が187万台、一定規模以上の施設に設置が義務付けられる附置義務駐車場が334万台、都市計画駐車場11万台などとなっています。さらに駐車場運営会社大手であるパーク24の調査によれば、狭小なコインパーキングや月決め駐車場などを含めた総供給台数は、約700万台あると言われています。 

将来性

駐車場業界の最大の懸念要因は若者の自動車離れや人口減少による国内マーケットの縮小です。一般財団法人自動車検査登録情報協会によれば、乗用車に限定した自動車保有台数の推移の推移は以下のとおりです

1970年 1980年 1990年 2000年 2010年
727万台 2,275万台 3,293万台 5,122万台 5,790万台

2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
6,083万台 6,125万台 6,158万台 6,177万台 6,180万台


このように自動車の保有台数はこれまで順調に伸びてきました。しかし、今後は一転して縮小が見込まれており、東京都主税局によれば、乗用車の保有台数は2020年6,180万台から2050年5,554万台と減少(▲10.6%)、新車販売台数は2020年383万台から2050年302万台と減少(▲21.1%)すると予測されています。駐車場の需要は自動車の台数に比例するので、駐車場業界の顧客ターゲット層は少なくなります。 

また、駐車場業界は供給過多に陥っています。現在、最大手のパーク24を筆頭に駐車場運営会社は全国に3,000以上あると言われており、乱立状態です。ビジネスモデルとして土地さえあれば開始でき、初期投資が少ないので、参入障壁が低いことで、このように過剰供給となっています。駐車場の稼働率は既に低下しており、今後も駐車場の供給過剰が続けば、稼働率はさらに低下するでしょう。こうした現状を打破するために近年では稼働率向上のためにインターネットを通じて利用者にタイムリーに空き情報を提供したり、携帯電話からアクセスして最寄の駐車場状況を検索できるサービスが広まっています。 

このように長期的には厳しいと予想される駐車場業界ですが、ポジティブな材料がないわけではありません。現在では自動車を保有する代わりにレンタカーやシェアカーの需要は急速に伸びています。これに伴って、駐車場の需要は増加傾向に有り、株式会社富士経済の「自動車関連インフラシステム/パーキング&シェアサービスの市場予測2019」によると駐車場シェアリングサービ スの市場規模は、2030年には2017年比の68.4倍である1,094億円になると予測されています。 

業界の分類 

大手5社

駐車場業界は小規模事業者が乱立しています。売上高が大きい業界大手はパーク24、日本駐車場開発、東京建物、パラカ、アズームの5社です。 

最新のトレンド

市場規模は堅調に推移

駐車場業界は自動車保有台数や運転免許保有者の数に業況が左右されると言われています。 近年の動向としては多少の変動はあっても一貫して成長を続けています。要因として国内景気が好調に推移し、自動車業界が堅調に推移していることが挙げられます。 

2009年のアメリカ初のサブプライムローン問題やリーマンショックによる世界的な金融危機によって世界景気は後退しましたが、その後回復。2011年以降は東日本大震災の復興需要や公共投資の増加、住宅投資といった国内需要が底堅く推移しました。2012年以降は政権交代によって大規模や金融緩和や財政出動が実施され、円安が解消、国内の雇用情勢が改善したことで景気はさらに拡大。駐車場業界にとってはこれら国内景気の拡大が追い風になっているほか、都市部を中心とした不動産市場の活発化、企業の設備投資の増加基調のもと近年でも底堅さを維持しています。

パーク24が圧倒的存在感、今後は海外進出が鍵

駐車場業界では最大手のパーク24が2位の日本駐車場開発に10倍以上の売上高の差をつけて、圧倒的トップとなっています。パーク24は「タイムズ24」の名称で無人時間貸し駐車場を展開し、国内の駐車場運営台数は2021年4月末時点で75万台となっています。海外展開も進めており、韓国、台湾とあわせ7カ国・地域に進出しています。 

海外では東南アジアを中心に人口増加や高い経済成長が継続しており、新車販売台数や自動車保有台数が増加し続けています。増加する自動車の数に駐車場の数が追いつかずに、駐車場業界は深刻な供給不足に陥っています。日本国内では目下のところ自動車の保有台数は増えていますが、今後は減少に転じ、駐車場の需要も頭打ちを迎えると予想されます。一方、人口増やGDP増が著しい東南アジア諸国の駐車場需要は今後も伸びる可能性があり、多くのビジネスチャンスが眠っており、各社とも海外進出が今後の鍵となりそうです。 

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