ステークホルダーの意味とは？簡単にわかりやすくまとめ

ステークホルダーの意味について、下記の通りまとめます。

• ステークホルダーの意味とは
• 「ステークホルダー」と「ストックホルダー」の意味の違いとは
• 「ステークホルダー」と「シェアホルダー」の意味の違いとは
• 「ステークホルダー」と「利害関係者」の意味の違いとは
• ステークホルダーの種類とは？それぞれの意味も解説

ステークホルダーの意味とは

ステークホルダーとは企業の活動において影響し合う関係機関のことです。
英語では「stakeholder」と記載され、掛け金や出資金を意味する「stake」と所有者や保有するものという意味をもつ「holder」から成り立ちます。
ビジネスシーンで広く用いられ、日本語では「利害関係者」と訳される言葉です。

ただし日本のビジネスシーンにおいては、関係機関の対象が場面によって使い分けられます。意図を理解して活用しましょう。

「ステークホルダー」と「ストックホルダー」の意味の違いとは

株主のことをとりわけ「ストックホルダー」といいます。
「ステークホルダー」とは企業の活動において影響し合う関係機関のこと。
株主の意味はもちろん、クライアントや顧客、従業員などもステークホルダーに含まれます。
意味の混同を避けるため、とくに株主を意味して「ステークホルダー」と使う場合には「ストックホルダー」を用いるとよいでしょう。

「ステークホルダー」と「シェアホルダー」の意味の違いとは

「ストックホルダー」と同じく株主を意味する言葉に「シェアホルダー」があります。
ただし「シェアホルダー」は株の保有割合が大きく、経営活動に影響が大きいステークホルダーのことです。

一方、「ステークホルダー」とは企業の活動において影響し合う関係機関全般のことをさします。
意味の混同を避けるため、とくに株主を意味して「ステークホルダー」と使う場合には「ストックホルダー」を、さらに企業活動の議決権を有する大株主をさす場合には「シェアホルダー」を使うとよいでしょう。

「ステークホルダー」と「利害関係者」の意味の違いとは

「利害関係者」は「ステークホルダー」と言い換えられることが多い言葉です。
「ステークホルダー」は株主や従業員、クライアントなど、使われる場面ごとに意味が異なります。

一方、「利害関係者」と意識的に使われる場合には金銭的なつながりが強くなります。
企業の活動において影響し合う関係機関全般をさす「ステークホルダー」より、「利害関係者」のほうが狭義に用いられる印象です。

ステークホルダーの種類とは？それぞれの意味も解説

直接的ステークホルダーの意味とは

直接的ステークホルダーとは企業が直接的に影響し合う関係機関をさします。
たとえば株価や配当金が変動する株主や、企業の業績によって給料が変動する従業員は企業に直接影響を受けているといえるでしょう。

さらに企業の活動に影響を与えるのも直接的ステークホルダーの特徴です。
たとえば融資を行う金融機関や商品・サービスを利用し売上を左右する消費者、クライアントは企業に大きな影響を与えます。

間接的ステークホルダーの意味とは

間接的ステークホルダーとは企業が一時的に影響を与えうる関係機関をさします。
直接的ステークホルダーと比較して、日常的な利害関係はないのが特徴です。
たとえば地域社会や地域住民の動向が雇用に影響したり、家族の存在が従業員の業務効率やモチベーションに関わったりして間接的に企業へ影響を与えます。

間接的ステークホルダーは直接、事業に関わったり影響を与えたりするわけではないことから、企業側が意識的に関係を築いたり動向を把握したりする必要があります。
円滑な企業活動のために、広い視野で環境をとらえ、ステークホルダーを意識しましょう。

ステークホルダーの定義・範囲は次の通りです。

• 株主｜出資によって企業を支え、さまざまな権利を有する
• クライアント｜取引先や仕入れ先、顧客など、企業活動や業績に影響
• 従業員｜作業効率やエンゲージメントが影響
• 地域社会｜経済・雇用動向が影響、地域貢献によって関係構築

株主｜出資によって企業を支え、さまざまな権利を有する

株主は直接的ステークホルダーです。
企業に出資して株式を保有する株主は、企業に対してさまざまな権利を有することから、企業活動に直接的な影響を及ぼします。
とくに株の保有割合が大きいシェアホルダーとの関係性には気を配らなければいけません。

株主総会や事業戦略会議などの場面で使われる「ステークホルダー」は株主を意味することが多いでしょう。
また「ストックホルダー」や「シェアホルダー」と表現するとクライアントや金融機関といった、ステークホルダーが意味するそのほかの関係機関と差別化できます。

クライアント｜取引先や仕入れ先、顧客など、企業活動や業績に影響

クライアントは直接的ステークホルダーです。
取引先や仕入れ先、顧客などがクライアントに含まれます。
仕事を進めるうえでクライアントとの関係性が良好でなければ、企業活動や業績に影響を及ぼすでしょう。
仕事上のパートナーとしてお互いに配慮したり、自社製品やサービスの満足度をあげるために改善・サポートすることが大切です。

経営会議や事業報告などの場面で使われる「ステークホルダー」はクライアントを意味することが多いでしょう。
ただし取引先や顧客など、意味合いに幅があるので文脈やシチュエーションに応じて理解する必要があります。

従業員｜作業効率やエンゲージメントが影響

従業員は直接的ステークホルダーです。
従業員の作業効率やエンゲージメントなどが業績に影響します。
企業は外部のステークホルダーに対する配慮と同様に、内部を支える重要なステークホルダーとして、従業員との関係構築を重視しなければいけません。

経営陣が自社戦略や職場環境について話し合う際に用いられる「ステークホルダー」は従業員をさすことが多いでしょう。
近年では従業員との関係構築が見直され、ステークホルダーとしての重要性が高まっています。

地域社会｜経済・雇用動向が影響、地域貢献によって関係構築

地域社会は間接的ステークホルダーです。
地域社会があってこそ、企業が成り立ちます。
直接的な関わりはなくとも、地域の経済や雇用における動向は企業の経営に影響するでしょう。
地域社会から企業へアプローチする機会は少ないため、企業から積極的に関係を構築することが重要です。

社内会議で自社のあり方や地域貢献について話し合う際に用いられる「ステークホルダー」は地域社会をさすことが多いでしょう。
地域社会へ企業として参加したり、地域団体と協働する場を設けたりすることで地域社会での企業理解が深まります。

ステークホルダーの正しい使い方は、次の通りです。

• 【株主という意味合い】ステークホルダーの例文・使い方
• 【顧客・従業員という意味合い】ステークホルダーの例文・使い方
• 【取引先・地域社会という意味合い】ステークホルダーの例文・使い方
• 【広い意味でのステークホルダー】例文・使い方とは？

【株主という意味合い】ステークホルダーの例文・使い方

「ステークホルダー」が「株主」をさす場合、以下のように使われます。

　・来月の株主総会で配布するステークホルダー向けの資料を作成する

　・ステークホルダーに向けて、IR活動に注力する

IR活動とは企業が株主や投資家に、投資判断上必要な情報を提供する活動のこと。
文脈からステークホルダーが株主を表していることがわかります。株主の意味でステークホルダーを用いるなら、「ストックホルダー」や「シェアホルダー」を用いると混同を避けられるのでおすすめです。

【顧客・従業員という意味合い】ステークホルダーの例文・使い方

「ステークホルダー」が「顧客・従業員」をさす場合、以下のように使われます。

　・ステークホルダーを意識して商品を開発する

　・従業員もステークホルダーの一員として企業活動に参加するべきだ

経営会議や事業報告などで用いられる「ステークホルダー」は顧客としての意味合いが強いでしょう。
また近年では企業と従業員の関係構築が重視され、ステークホルダーとして従業員が意見を発信することで職場環境の改善や商品・サービスの改善が進められています。

【取引先・地域社会という意味合い】ステークホルダーの例文・使い方

「ステークホルダー」が「取引先・地域社会」をさす場合、以下のように使われます。

　・スムーズな業務進行のため、ステークホルダーとの関係性を意識する

　・地域貢献活動などを通してステークホルダーと関わる機会を設ける

経営会議や事業報告などの場面で使われる「ステークホルダー」は取引先や地域社会を意味することが多いでしょう。
取引先や地域社会との関係構築が、業務をスムーズに進行したり地域企業として確立したりする鍵になります。
とくに地域社会においては、企業からの積極的なアプローチが重要です。
業務とともに地域への貢献活動をミッションに掲げる企業も多くあります。

【広い意味でのステークホルダー】例文・使い方とは？

「ステークホルダー」は広い意味で使われる場合もあります。

　・ステークホルダーとともに事業を進める

　・ステークホルダーを重視した経営戦略

事業計画や経営戦略を練る場面では特定の関係機関をささず、広い意味で用いられることもあるでしょう。
この場合、株主やクライアント、取引先、顧客、従業員、金融機関、地域社会といった多くの関係先が想定できます。
事業運営の過程では、年数を経るごとに関係先が増えていくものです。
事業継続のためには広く分け隔てなく関係を構築し、それぞれの意見に耳を傾けることが求められます。

ステークホルダーとの違いやあわせて知りたい言葉は、次の通りです。

• ステークホルダーマネジメントの意味とは
• ステークホルダーエンゲージメントの意味とは
• コーポレートガバナンス ・CSRの意味とは

ステークホルダーマネジメントの意味とは

ステークホルダーマネジメントとは、プロジェクトを円滑に進めるため、利害関係者と良好な関係を構築することです。
この場合のステークホルダーは、プロジェクトに関係するクライアント一人ひとりをさします。
なかにはプロジェクトに否定的な人もいるかもしれません。
この場合、ステークホルダーマネジメントとして、いかに関係を改善するかがプロジェクトの成功を左右します。

ステークホルダーのなかでも発言力のある人や否定的な人を特定しておくのが有効です。
また積極的にコミュニケーションをとることで、活発な情報共有が行われ、プロジェクトもスムーズに進行するでしょう。

ステークホルダーエンゲージメントの意味とは

ステークホルダーエンゲージメントとは、複数のステークホルダーが発信する意見や期待、関心を把握して経営活動に反映させることです。
企業の成長やスムーズな業務進行には、ステークホルダーの意見が欠かせません。
株主や従業員、顧客、地域社会などとの対話が求められます。

ステークホルダーとの対話場面を設けたり、説明会や交流会、アンケートを実施したりするのもステークホルダーエンゲージメントの一貫です。
利害関係者の声から自社の課題を洗いだすことで企業の成長はもちろん、関係構築にも役立ちます。

コーポレートガバナンス ・CSRの意味とは

コーポレートガバナンスとは企業経営を監視するしくみのことです。
コーポレートガバナンスの取り組みは、ステークホルダーである株主をはじめ、企業を取り巻く利害関係者の利益を最大化するという考え方に基づいています。

企業で起こりうる組織ぐるみの不祥事を防ぎ、長期的に企業価値を向上させるため、社外に管理者を設けて経営体制を監視します。
具体的な取り組みとして、社外に取締役や監査役、監査委員会などを設置。
また取締役と執行役を分離したり、社内ルールを明確にしたりするのも効果的です。

ステークホルダーについてよくある質問は、次の通りです。

• ステークホルダーの語源・由来・英語表記とは？
• ステークホルダーを日本語に言い換えると？
• ステークホルダーの身近な例は？

ステークホルダーの語源・由来・英語表記とは？

ステークホルダー（stakeholder）とは、stake（出資金）とholder（保有者）の合成語です。
アメリカの哲学者であり、企業倫理の研究を行ったR.エドワード・フリーマンが1984年に著書で使用し、その後ビジネス用語として広く使われるようになりました。
企業の活動によって直接的・間接的に影響を受ける関係機関をさします。

ステークホルダーを日本語に言い換えると？

ステークホルダーの語源である「stakeholder」は日本語で「利害関係者」と訳されます。
ただし日本のビジネスシーンでは、使われる場面によって言い換え方がさまざまです。
株主やクライアント、従業員、地域社会といった企業活動において相互に影響を与える関係機関をさします。
状況に応じた言い換えや理解が必要です。

ステークホルダーの身近な例は？

ステークホルダーには以下のような関係機関があげられます。

• 株主
• クライアント
• 従業員
• 地域社会
• 金融機関
• 行政機関
• 政府

企業活動において相互に影響を与える関係機関がステークホルダーです。シチュエーションや状況に応じて使い分けましょう。 

ステークホルダーの意味は、以下の通りです。

• ステークホルダーは、企業の活動において影響し合う関係機関のこと
• ビジネスシーンで広く用いられ、日本語では「利害関係者」と訳される言葉

ステークホルダーには、直接的ステークホルダーと間接的ステークホルダーが存在します。
企業が直接的に影響し合う関係機関を直接的ステークホルダーといい、日常的な利害関係はないのが間接的ステークホルダーです。

ステークホルダーは、使い方によって具体的な関係機関を指す意味や、広い意味で使用することもできます。

シチュエーションや状況に応じて使い分けましょう。