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女性管理職 理想 ライフワークバランス

女性管理職になりたい人が少ないのはなぜ?理想のライフワークバランスとは

Job総研は社会人の男女585人を対象に「2023年 女性管理職実態調査」を実施しました。

近年、女性活躍推進法の施行などにより、数値目標を掲げ女性管理職輩出に取り組む企業が増えています。一方で「管理職になりたいという女性が少ない」といった理由から女性管理職の割合が増えないと悩んでいる企業も少なくありません。本記事では本調査をもとに、管理職経験者と未経験者の意識調査や働く女性が望むライフワークバランスを考察していきます。

はじめに【調査概要】

女性の活躍推進のため、政府は「管理職への女性登用」を企業に求めています。
しかし、日本は世界と比較すると女性管理職の割合が低い水準にとどまっているのが現状です。

女性が活躍するにはどのような社会の意識が求められているのでしょうか。
女性の役員比率を上げたい企業の方や、これから女性の部下を持つ方に本記事が参考になれば幸いです。

調査概要|女性管理職実態調査

調査対象者  :全国 / 男女 / 社会人

 JobQ(ジョブキュー)サービス登録者

調査条件  :全国 / 男女 / 20~50代

調査期間   :2023年8月9日~8月14日

有効回答数  :585人(男性6/女性4)

調査方法   :インターネット調査

管理職の定義

本調査での「管理職」の定義は1名以上の部下がいる方としています。

調査結果

【TOPICS】
・希望して管理職に就いた女性は58.7% 内訳は「既婚・子持ち」が38.5%と最多
・希望した理由は「仕事の幅の増加」が59.3%と最多 「収入アップ」や「地位のアップ」も上位
・78.2%が管理職に「満足」「継続意欲あり」と回答 継続理由は「仕事の幅の増加」が1位
・未経験女性の63.7%が管理職へ「希望なし」と回答 一方希望理由は「収入アップ」が最多
・全体の44.8%の女性活躍イメージは「雇用形態に関係なく裁量権ある仕事が任される」が1位

近年の女性活躍推進の背景

「Global Gender Gap Report」(世界男女格差報告書)の2023年版によると、日本は過去最低の125位に後退しました。
ジェンダー平等先進国といわれる北欧諸国と比べて、女性を支える社会構造に課題があるのかもしれません。

日本政府はジェンダーギャップを解決すべく「女性版骨太の方針2023」を作成し、女性が活躍できる社会構造の構築を目指しています。

「女性が活躍する」とはどのような社会なのでしょうか。
「女性版骨太の方針2023」から政策を一部ご紹介します。

【女性活躍と経済成長の好循環の実現に向けた取り組みの推進】

  • 企業における女性登用の加速化
  • 上場企業を対象とした女性役員比率に係る数値目標の設定
  • 女性起業家の育成・支援
  • 地方・中小企業における女性活躍の推進

【女性の所得向上・経済的自立に向けた取り組みの強化】

  • 男女がともにライフイベントとキャリア形成を両立する上での諸課題の解消
  • 男女間賃金格差の開示に伴う更なる対応
  • 女性デジタル人材の育成など
  • ひとり親家庭支援など

【女性が尊厳と誇りを持って生きられる社会の実現】

  • ハラスメント防止対策
  • 困難な問題を抱える女性への支援
  • 生涯にわたる健康への支援など

「プライム市場」に上場する企業を対象とした女性役員比率に係る数値目標を設定し、2030年までに女性役員の比率を30%以上とすることを目指しています。
またライフイベントとキャリア形成の両立支援や、女性が安心して生きられる社会の実現に向けた重点方針も掲げられています。

日本政府による女性活躍社会が推進される一方、実際に働いている女性で、管理職を希望している人はどのくらいいるのでしょうか。

参考資料
男女共同参画に関する国際的な指数|内閣府男女共同参画局
女性版骨太の方針|内閣府男女共同参画局

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女性管理職の希望して就いた人の実態

管理職を希望して就いた人は58.7%

現在管理職の女性に、「希望して管理職に就いたか」聞くと、「希望してなった」と答えた人が58.7%と半数を超える結果となりました。

同質問の婚姻状態及び子供の有無別の回答では、「既婚・子なし女性」が66.7%と最多になり、次に「既婚・子持ち」が61.5%という結果になりました。
既婚女性ほど、希望して管理職になった割合が高いことが読み取れます。

希望して管理職になった女性に理由を聞くと、「仕事の幅を広げたいから」が59.3%で最多回答でした。次いで多かったのが「収入を上げたいから」で、48.1%です。
「マネジメント業務に挑戦したいから」という回答は、22.2%で、仕事内容よりも自身のスキルアップやキャリアアップに興味があるようです。

また収入を上げる方法の一つとして、管理職が希望されています。

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管理職経験者と未経験者のギャップ

本調査の結果から、管理職経験者と未経験者では「管理職」へのイメージが異なるようです。

管理職に就いた後の満足度は78.2%

管理職経験のある女性のうち継続意欲があった人に理由を聞くと、「仕事の幅が広がったから」が43.5%で最多でした。

次いで「収入が上がったから」が41.3%、「社会的/社内的地位が上がったから」が34.8%でした。
管理職を経験することで、自身のキャリアに対してポジティブな影響があったと考えられます。

未経験者が管理職につきたくない理由

同調査より、管理職に就きたくないと考えている女性の理由は「管理職に興味がない」が47.4%で最多回答でした。

次いで「ワークライフバランスが崩れそう」が31.6%、「責任が重い仕事をしたくないから」が31.6%と上位3つの回答になりました。
管理職経験のある女性と比較すると、管理職に対して、マイナスなイメージを持っている人が多いようです。

マイナスイメージを持つ理由として、ライフイベントとキャリア形成を両立する上での課題が挙げられます。

総務省の令和3年度「社会生活基本調査」によると、6歳未満の子供がいる世帯の男性の家事関連に充てる時間は1時間54分でしたが、女性の場合は男性の3.9倍の7時間28分でした。
家事・育児・介護といったケア労働の長さから、「管理職に興味がない」「ワークライフバランスが崩れそう」といった管理職へのマイナスイメージを持っていると考えられます。

参考資料:令和3年社会生活基本調査の結果(総務省統計局)

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女性が働きやすい環境とは何か?

本調査の回答者全体に女性が活躍している環境のイメージを聞くと、「雇用形態に関係なく裁量権ある仕事を任される」が44.8%で最多回答になりました。

次いで「意思決定の場に多くの女性がいる」が40.0%、「ライフイベントの有無に関係なく仕事を任される」が37.8%で上位3つの回答となりました。

管理職という"役職"よりも、地位に関係なく"本人の能力"に合わせて仕事ができている状態を期待している人が多いようです。

そのためワークライフバランスが整う政策や制度を増やしたり、ロールモデルとなるような女性管理職を増やしたりすることで、自信を持って管理職に挑戦する女性が増えるのではないでしょうか。

世間が注目する「女性活躍」の政策は?

本調査の「女性活躍に必要な施策」に対する回答は、「女性が柔軟な働き方ができるような制度」が47.5%と最多でした。
「女性が意思決定の場にいる機会を増やす」が40.5%、「男性が柔軟な働き方ができるような制度」が35.1%と続いています。

例えば、女性の柔軟な働き方を支援するには以下のような制度が挙げられます。

  • リモートワーク・時短勤務・フレックスタイム制の導入
  • 生理休暇の導入
  • 子育て支援制度の拡充
  • 男性育休の取得推進
  • 資格取得制度・管理者研修

ライフイベントとキャリアを両立するための制度を充実させることが、柔軟な働き方の鍵になるようです。

しかし制度を用意しても、利用しにくい職場の雰囲気や、周囲の理解がない状況では効果はありません。
制度を用意しつつ、しっかり活用できる環境を整える必要があります。

あわせて企業側には、女性管理職の育成や社内の雰囲気作りなど以下のようなソフト面の支援が求められています。

  • ワークライフバランスのサポート
  • ロールモデルとなる人材の育成
  • キャリアアップ制度の充実
  • 既存の管理職や経営層の意識変革

実際に女性の管理職に関する自由記述コメントをご紹介します。
 

「女性の数にこだわらず管理職になりたい人を登用していけばいいと思いました」
「数値目標ではなく男性も含めた支援や平等な環境の外部アピールが重要」
「テレワークや育児支援、メンタルサポートなどの理解ある取り組みがあると活躍の幅も広がる」
「育休明けに復職しやすい環境や雰囲気作りをしておくと男女ともに活躍できると思います」
「政府は女性の本音や実態を正確に理解してほしい。非効果的な制度ばかりに注力している気がする」


企業が女性社員のライフワークバランスを理解した上で、女性が管理職へ興味を持ったり、挑戦したりできるような環境の構築が必要になるのではないでしょうか。

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まとめ

本調査より、管理職経験者・管理職未経験者では役職に対してのイメージにギャップがあることがわかりました。

管理職経験者がポジティブなイメージを抱いている一方で、未経験者は管理職へのマイナスイメージを持っています。
マイナスイメージを払しょくするには、女性のライフワークバランスを支援するような環境整備をさらに充実させる必要があるでしょう。

例えば女性のケア労働時間を短縮させる制度を充実させたり、リモートワークの拡充を図ったりすることで、今後の女性活躍推進の浸透度は大きく変わると思います。


本調査で女性活躍推進は今後浸透していくと思うかを聞いたところ、77.7%が“浸透していく”と回答しました。
このことからも女性活躍推進に期待する声が多いといえます。

女性施策は女性だけのものではありません。
女性活躍推進制度を充実させることで、ジェンダー平等がより広がり、女性に限らず全ての人が活躍する社会を実現できるのではないでしょうか。

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