
リストラ時の退職金の相場や税金を解説【上乗せ交渉術も紹介】
リストラを受けたときの退職金の相場や退職金にかかる税金、リストラを受けたときの上乗せ交渉術に関しては気になる方が多いのではないでしょうか。今回はリストラされたときの退職金に関する情報をご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
リストラを受けた場合の退職金の相場
「リストラ」という言葉は、会社に雇用されている身であれば、できれば耳にしたくない言葉です。
リストラは正式には「リストラクチャリング」と言い、”再構築”という意味になります。
企業が、環境の変化に対応して、自社も柔軟に体制を見直し再構築していく過程を表しています。
その様な動きの中では、どうしても人員整理・見直しというものは必要となってきます。
頭では理解していたとしても、実際に我が身に降りかかってきた時は、かなり動揺するものです。
そして、現実問題として、真っ先に頭に浮かぶのは退職金のことではないでしょうか?
今回は、リストラされた場合の退職金について、まとめました。
リストラを受けたときの退職金は無しなのか
法律の上では、退職金を義務付けているものはありません。
退職金はあくまで、企業者(雇用主)と労働者(従業員)との契約上の問題となります。
雇用契約もしくは就業規則に、退職金支払いに関しての記載が無いのであれば、企業者(雇用主)側に退職金を支払う義務はありません。
ですので、リストラを受けた際の退職金有無に関しては、再度、雇用契約内容を見返して頂くことをおすすめ致します。
リストラを受けたときの退職金の平均
退職金は、その人の年齢、また企業に勤務していた勤務歴によって大きく変わるようです。
下記は、東京都産業労働局が発表した2018年度の会社都合による退職金平均です。
勤続年数 高卒/高専・短大卒/大卒 [単位:千円]
※()内は退職時年齢
10年 1164(28)/1174(30)/1410(32)
15年 2168(33)/2178(35)/2591(37)
20年 3452(38)/3524(40)/4172(40)
25年 5014(43)/5026(45)/5850(47)
30年 6818(48)/6785(50)/7691(52)
以上のように、勤続年数が多いほど、退職金の金額は上がります。
リストラを受けた場合の退職金の税金
退職金制度を設けている企業であれば、一般的には、自己退社都合よりも会社都合での退職時のほうが、退職金が多く支給されます。
多く支給されるなら・・・と思い、早期退職に踏み切るまえに、退職金に掛かる税金についても、しっかりと頭に入れた上で考えて行きましょう。
リストラを受けた場合の税金はかからないのか
リストラを受けて得た退職一時金、できれば少しでも多く手元に残しておきたいものです。
ですが、退職金も”退職所得”として、所得税および住民税の対象となります。
支給金額および勤続年数によって、徴収される税金も変わってきます。
まず、退職所得の金額ですが、以下の計算式にて算出していただくことが可能です
(退職一時金の額 - 退職所得控除額)×1/2
なお、退職所得控除額は下記にて算出してください。
勤続年数 20年未満:40万円×勤続年数(※最低80万円)
勤続年数 20年以上:800万円+70万円×(勤続年数-20年)
【退職所得の計算例】勤続年数25年のAさん、退職一時金は1300万円
800万円+70万円×5年=1150万円 ・・・退職所得控除額
(1300万円-1150万円)×1/2=150万円x1/2=75万円が退職所得
この退職所得の金額から、所得税を算出します。
所得税は、下記計算式になります。
課税所得税額(今は退職所得)× 税率 - 控除額
今回例に上げたAさんの場合、75万円の退職所得税率は5%となり、控除額は0です。
そのため、75万円x5%-0円=3.75万円となります。
【課税所得税額/税率/控除額】
195万円以下/5%/-
195万円超330万円以下/10%/9.75万円
330万円超695万円以下/20%/42.75万円
695万円超900万円以下/23%/63.60万円
900万円超1800万円以下/33%/153.60万円
1800万円超/40%/279.60万円
こちらに、現在は復興特別所得税の2.1%がプラスされます。
Aさんの例ですと、3.75万円に約1.6万円が加算されることになります。
※復興特別所得税は2013年から2037年の25年の間加算される、復興支援を目的とした特別税です。
そして、住民税は一律10%になります。
リストラを受けたときは退職金の上乗せができるのか
自分の都合ではなく、あくまで雇用主側の都合による退社は、退職金も自己都合よりも高くなると言われています。
実際にはどうなのでしょうか?
リストラを受けたときは退職金の上乗せができるのか
退職金の上乗せを条件に、早期退職者を募るかたちでのリストラもあります。
東京都労働局が発表した、平成29年度の中小企業における退職金を調べてみました。
下記に一部抜粋しますが、下記のとおりとなります。
勤続年数20年(高卒・退職時38歳)・・・自己都合2982/会社都合3617
勤続年数20年(短大卒・退職時40歳)・・・自己都合3130/会社都合3762
勤続年数20年(大卒・退職時42歳)・・・自己都合3905/会社都合4377
※単位・千円
以上の数値を見ても分かる通り、自己都合よりも会社都合(リストラ)時のほうが、退職金が高いことが分かります。
リストラを受けたときは退職金をどのくらい上乗せできるのか
早期退職者を募るかたちでのリストラの場合、事前にその割増分が記載されていることが多く、この様な場合には1個人のみの退職金を増額することは、ほぼありません。
ですが、個別交渉による退職であれば、こちらから条件を提示し、退職金の増額を測ることも可能です。
先にご紹介した、自己都合と会社都合による退職金を見ると、約400~600万円ほど上乗せされているのが分かります。
この事から、500万円前後の上乗せが期待できるものと予想されます
リストラを受けたときの退職金の上乗せ交渉術
リストラを受け退職するのであれば、なるべく良い条件で退職したいものです。
その為の交渉術について、記していきたいと思います。
リストラを受けたときの退職金の上乗せ交渉術とは
リストラを宣告され、その後個人面談を行う場面も増えてくると思います。
その際の注意点として、下記にポイントを絞ってご紹介します。
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面談の内容を記録に残すようにしましょう。
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退職時期を早めることでの退職金の上乗せ交渉
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有給休暇が残っている場合には、有給休暇の買い上げを交渉
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未払いの残業代がある場合には、その残業代を請求しないことを条件に退職金の上乗せを交渉
内容の記録に際しては、日時や場所も含め、具体的に記録に残すようにして下さい。
万が一、後に不当解雇などの問題に発展したさいには重要な証拠ともなり得ます。
また、交渉時には、時期を早めることや有給休暇の買い上げ、もしくは残業代の未払いなどがあればその分を請求しない代わりに退職金の上乗せを交渉することで、退職金の増額が望めます。
リストラ退職金のまとめ
リストラ時の退職金についてまとめました。
リストラは、誰しもができれば我が身に起こって欲しくないことだとは思いますが、万が一の場合には、自分の請求権はハッキリと主張しておくことが大事です。
その万が一に備え、こちらの記事がお役に立てれば幸いです。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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