
【徹底解説】取締役会の招集通知はいつまでに出せばいい?
取締役会の招集通知はいつまでにすればいいのでしょうか。また、招集手続きに瑕疵があった場合の決議や招集通知の議題についての問題点をご紹介します。取締役会に関する情報に興味のある方はぜひ本記事を参考にしてみてください。
取締役会の招集通知はいつまでにする?
会社の経営方針を決める上で非常に重要な役割のある取締役会ですが、そのルールは会社法で決められており難解な法律用語に頭を痛めている人も多いと思います。
そこで、取締役会を開催するために欠かせない招集通知について、簡単に解説していきます。
取締役会の招集通知の原則は
取締役会を開くためには、会社の経営を決める大切な機会にできるだけ多くの取締役が出席できるように、事前に招集通知を発する必要があります。
招集通知をするリミットは法律で決められていて原則的には取締役会の最低1週間前までです。
通常は代表取締役が取締役会の招集を行いますが、定款や取締役会で別の取締役に招集権を与えることもできます。
取締役会の招集通知の例外
取締役会の招集通知をするリミットは法的には1週間前までですが、これにはもちろん例外もあります。
例外となるのは、会社の定款で取締役会の3日前など、1週間より短い期限が定められている場合です。
また、招集権のない取締役が取締役会の招集を請求することもでき、その場合、招集通知の期限は、取締役会の招集請求をした日から5日以内になります。
招集通知は省略できる
取締役会の招集通知は、必ずしも必要ではありません。
各取締役と監査役の全員からの同意がある場合は、招集通知を発することなく取締役を開催することもでき、招集通知は省略できます。
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招集手続きに瑕疵があった場合の決議
取締役会は会社を経営する上で欠かせない重要なものですので、招集通知もルールに基づいて慎重に行わなければなりません。
しかし万が一、取締役会の招集手続きに瑕疵があった場合はどうなるのでしょうか。
瑕疵について簡単に説明
『瑕疵』という言葉を日常で耳にする機会はあまりないと思いますが、これは民法では欠かすことのできない用語の一つです。
瑕疵の一般的な意味は『傷や欠点、欠陥』を指し、法律で決められたことに対して、不足や違い、何らかの欠陥がある場合を指します。
一部の取締役の招集通知が欠けたとき
取締役会の招集段階での瑕疵として、一番多いケースが一部の取締役の招集が欠けるケースです。
中には、株主総会の決議を自分の有利に進めるために、わざと一部の取締役に招集通知を発さないケースもあるでしょう。
この場合は明らかに悪質ですが、単純に一部の取締役や監査役に招集通知をするのを忘れてしまうといった人為的なミスであってもそれは瑕疵に該当します。
原則は無効だが有効な場合もある
取締役会の招集通知に瑕疵があったことが発覚した場合は、基本的に違法招集とみなされ、当然その取締役会での決議は無効です。
有効になる特別なケースも一部ありますが、やはり瑕疵のないよう慎重に招集手続きをすることが求められます。
招集手続きに瑕疵があった場合の対処
招集の瑕疵があると、せっかくの取締役会が台無しになってしまうため、ミスはあってはならないものです。
しかし、ミスが許されないとは分かっていても、そこは人間ですから上手くいかない場合もあるでしょう。
そこで、手続きに瑕疵があった場合の対処のポイントについて紹介していきます。
瑕疵があっても有効な場合の具体例
取締役会の招集通知に瑕疵があった場合も、特別なケースでは有効になると会社法で定められています。
その具体的な例としては、招集通知が漏れていた取締役が、もしもその取締役会に出席したとしても、決議に影響がないケースです。
また、招集通知が漏れていた取締役が、異議を述べずに総会に出席した場合も、その決議は有効になります。
瑕疵があれば決議を無効として訴訟できる
招集手続きの瑕疵があっても、そのケースや瑕疵の程度によっては決議が有効になると言え、あくまで無効になるのが原則です。
取締役会で決議がなされた後、しばらくたってから瑕疵が発覚した場合であっても、いつでも誰でも瑕疵について異議申し立てをして、決議を無効にすることができます。
招集通知の議題についての問題点
取締役会の招集通知をする際には通常、その取締役会でどんな話をするのかを提起することが一般的です。
しかし、定例会などで特に話し合う内容が決まっていない場合や、当日になって新たな発議があった場合はどうなるのでしょうか。
招集通知に記載された議題は拘束されるか
取締役会の招集通知にどんな内容を記載するかについては、実は会社法では特別な定めはありません。
しかし、会社によっては定款や取締役会規則で、取締役会の招集通知の記載内容についてのルールを作っているケースもあります。
その場合は、事前に何を話し合うか決めておき、招集通知に記載しなければなりません。
だからといって、実際の取締役会では、100%招集通知に記載した通りに話し合うことは難しいはずです。
それについては、会社法において招集通知に記載された議題に拘束されず、取締役会ではどんな議題でも自由に話し合って良いことになっています。
代表取締役の解任が議題になったことも
取締役会の議題が、招集通知の記載内容に拘束されないという事は、当日になって急に代表取締役の解任が議題になることも許されているのです。
実際のケースとしては三越事件が有名で、取締役会の終盤に突然、代表取締役の解任が発議され、その場で解任されており、これは映画にもなっています。
取締役会の招集通知の書き方や豆知識
最後に、実際に取締役会を開催するにあたって、招集に必要な情報をまとめました。
これを参考にして、自分の会社のフォーマットにアレンジしてみてください。
取締役会の招集通知の雛形
取締役会の招集通知については、フォーマットも通知方法についても法のルールがありません。
極端な話、口頭で伝えても問題はありませんし、現在はメールを使用している会社もあります。
しかし、メールでの通知が瑕疵とされたケースもあるので、メールの場合は開封の要求をするなど、細心の注意を払ってミスがないよう気をつけましょう。
本文例:取締役会招集通知書
拝啓、時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
さて、次回の取締役会を下記の通り開催いたしますので、ご出席の程お願い致します。
記
1.日時:○年○月○日○曜日○時~○時(誤認がないように、かならず曜日で入れ、24時間法で記載します)
2.場所:本社3F 第一会議室
3.議案:第1議案 ○○の報告
第2議案 ○○の件
以上
なお、ご出席いただける場合は、お手数ですが来る○月○日までに弊社○○までご連絡お願いいたします。
取締役会の招集通知を英語でいうと?
グローバル化により外国人取締役がいる会社も多く、英語で招集通知をするケースもあるでしょう。
外国在住の場合は、飛行機の手配などもあるので、1週間と言わずできるだけ早め早めで動くようにする必要があります。
また、取締役会は英語で『Board of Directors’ Meeting』と訳され、『BOD Meeting』と略して使われることが一般的です。
通知を意味するNoticeと合わせて『Notice of the BOD meeting』で取締役会の招集通知という意味になります。
まとめ
取締役会を開催するには、原則的に開催の1週間前までに各取締役と監査役に向けて招集通知を出さなければいけないと会社法で決められています。
招集通知の詳しい内容は法での定めはないため、議題が決まっていなくても問題ありませんし、自由な内容を話し合うことが可能です。
ただ招集通知に瑕疵があった場合は、決議が無効になりせっかくの取締役会が無駄になってしまうので、細心の注意を払わなければなりません。
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