
大企業の退職金の相場は?中小企業や国家公務員の退職金も紹介
本記事では、大企業の退職金はいくらか、大企業の退職金の内訳、大企業で支給される退職金の勤続年数による違い、大企業の退職金は中小企業と比べ高いか低いか、退職金を多くもらうためにはということをご紹介します。
大企業の退職金の相場
退職金には2種類ある
退職金の相場を知る前に簡単に退職金について知っておきましょう。
まず、退職金には「自己都合退職金」と「会社都合退職金」の2種類があります。
自己都合退職金とは、文字通り自分の都合で退職する際に支払われる退職金です。
会社都合退職金とは、会社の都合で退職する際に支払われる退職金です。
一般的に使用されている退職金は、会社都合退職金を指す場合が多いでしょう。
大企業の退職金の相場
では、実際に大企業の退職金の相場を見ていきましょう。
今回は、大企業の退職金の推定データをまとめましたのでご覧ください。
勤続年数 | 退職金の相場(万円) |
10年 | 458.4 |
15年 | 692.4 |
20年 | 1,183 |
25年 | 1,727.1 |
30年 | 2,407.3 |
※上記の金額は独自のアルゴリズムで計算された数値であり、会社都合退職金を表しています
いかがでしょうか。
上記の表からわかる通り、退職金は勤続年数が多いほど高くなる傾向があるようです。
部長の退職金は高いのか?
大企業に勤めていて、部長という役職に就いたまま定年を迎えた場合には、平社員の場合よりも高額の退職金を受け取る傾向にあります。
しかしながら、退職金の支給は法律で定められたものではないので、企業の「退職金規定」に記載している内容に準拠します。
そのため役職がついていても、そうでなくても金額は同じという企業もあります。
中小企業の退職金の相場
中小企業の退職金はどれくらいなのでしょうか。
今回は、産業労働局の最新データをもとにまとめてきたのでご覧ください。
勤続年数 | 自己都合退職(万円) | 会社都合退職(万円) |
10年 | 121.5 | 157.4 |
15年 | 229.8 | 283.6 |
20年 | 373.3 | 435.8 |
25年 | 569.7 | 636.3 |
30年 | 785.2 | 852.3 |
参考:東京都産業労働局 中小企業の退職金事情
いかがでしょうか。
大企業の退職金と比べると数値は大きく低下しています。
中小企業より大手企業の方が平均的に高い売上げを維持しているため、資金力差があるのが要因でしょう。
中小企業にお勤めの方は、退職金が大企業と比べると下がってしまうので資金運用に力を入れた方が良いでしょう。
国家公務員の退職金の相場
公務員の方の退職金はどれくらいなのでしょうか。
最新の政府の統計データをまとめてきましたのでご覧ください。
勤続年数 | 退職金の平均支給額(万円) |
10年 | 223.3 |
15年 | 474.3 |
20年 | 852.7 |
25年 | 1352.8 |
30年 | 1853.6 |
参考:政府統計データ 公務員の退職手当支給状況
いかがでしょうか。
国家公務員の退職金の平均支給額は高いと言えるでしょう。
大手企業と比べると少し低いですが、中小企業と比べると非常の高い数値だと言えます。
定年まで勤務すると退職金の支給額は2000万円を超えるようです。
退職金の種類と計算シミュレーション
退職金は法律に基づいて決まるものではなく、企業が独自に決めた規定に基づき支給されます。
そのため、企業は独自に退職金の規定を作成しているのでいくつか種類があるので解説していきます。
まず、退職金は以下のように4種類あります。
- 退職一時金制度
- 確定給付企業年金制度
- 退職金共済制度
- 確定拠出年金制度
それでは、ここからは上記の4種類の退職金制度と実際の計算シミュレーションを紹介します。
退職一時金制度
退職一時金制度は、退職する際に退職金が一括で支払われるシンプルな制度です。
しかし、企業は退職金の金額を独自の規定に基づき計算しています。
その計算制度は以下の3つです。
・定額制度
勤続年数が高いほど支給が高くなる制度です。
・給与比例制度
退職金×支給率 で支給額が決まる制度であり、支給率は勤続年数や年齢などによって変わる。
計算シミュレーション
退職金:2000万円
年齢:66歳
勤続年数:30年
支給率の定義:勤続年数 ÷ 年齢 × 1.3
条件が上記の場合は、退職金の計算は次の通りとなります。
2000万 ×(30÷66×1.3)= 1181.8万
・ポイント制度
ポイント制度は、勤続年数や実績、役職、保有資格によってポイントを算出されて、そのポイントに応じて支給額が大きく変わる制度です。
計算シミュレーション
退職金:2000万円
実績:売上げ2000万円に貢献(10ポイント)
勤続年数:30年(15ポイント)
資格:TOEIC850点(5ポイント)
役職:部長(10ポイント)
退職金の定義:退職金×ポイント÷50
条件が上記の場合は、退職金の計算は次の通りとなります。
2000万 × 40 ÷ 50 = 1600万
退職金共済制度
退職金共済制度は、事業者が共済組合と契約をして毎月掛け金を積み立てて、退職時に支給される制度です。
この制度の特徴は、勤務先の会社が倒産したとしても共済組合から退職金がもらえる点が挙げられます。
退職金については、一括で支払われるケースが多いです。
確定給付企業年金制度
確定給付企業年金制度は、外部に掛け金を拠出(積み立て)しておき、その拠出金が退職後に帰ってくる制度です。
支給される退職金の金額が決まっているのが特徴の1つです。
掛け金はもちろん企業側が負担をして、掛け金の運用も企業が行うので退職者には一切のリスクがありません。
年金制度なので、退職金は一括ではなく一定期間にわたって支給されます。
確定拠出年金制度
確定拠出年金制度は、外部に掛け金を拠出しておき、その拠出額が退職時に支給されます。
ここまでは確定給付企業年金制度と似ています。
しかし、確定拠出年金制度は拠出額の運用を退職者本人が行わなければなりません。
最終的な支給額も運用結果に委ねられるので、損をするリスクを伴うのが特徴です。
この制度も年金制度なので一括ではなく、一定期間にわたって支給されます。
業界別退職金ランキング
どの業界が退職金が最も高いのでしょうか?
また、公務員の方がもらえる退職金と差はあるのでしょうか。
まずは、気になる業界別ランキングTOP10から見ていきましょう。
業界ランキング | 退職金 |
1位 海運・倉庫 2位 新聞・放送 3位 窯業・土石製品 4位 造船 5位 保険 6位 石油 7位 ホテル 8位 百貨店・スーパー 9位 化学 10位 電気機器 |
3405万円 2402万円 2340万円 2136万円 2129万円 2056万円 2040万円 2017万円 2009万円 1989万円 |
参考:中央労働員会 退職金調査
いかがでしょうか。
海運・倉庫の業界が最も退職金が高い結果となりました。
このランキングは業界の平均の金額なので、中小企業がたくさんある業界ほど順位が下がってしまう傾向にあるでしょう。
大企業の退職金 まとめ
定年退職であれ自己都合退職であれ、退職を意識した瞬間から退職金がいくらもらえるのか、どのような形でもらえるのかということに関心を抱かずにはいられません。
しかしながら、退職金を管理運用する知識がないと、損をしてしまうかもしれません。
退職金がどのような形でいくらもらえるのかを確認したら、早速どのように管理運用していくのかを検討していましょう。
この記事の他、退職後の諸手続きや退職理由の上手な選び方や言い回し方は以下記事よりご覧いただけます。
あらゆる疑問を匿名で質問できます
約90%の質問に回答が寄せられています。