
【採用を取り消しにする場合】取り消せる条件や事例をご紹介
採用の取り消しは基本的には不可能で、違法となります。しかし、応募者に採用通知を出した後、さまざまな理由で採用の取り消しを行いたい場合は、どのようにしたら採用取り消しが出来るのでしょうか。この記事では、採用取り消しが可能な5つのパターン・採用取り消しの事例などを紹介します。採用取り消しの判断に迷っている方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
採用の取り消しは基本的にできない
採用内定時で労働契約は成立
採用内定は、この時点では労働契約が成立している(解雇権留保付労働契約)とされます。
採用試験を入社の申込みとし、採用内定通知は入社の申込みに対する承諾という認識です。採用内定の通知を返送などすることで、内定の承諾となります。
つまり、内定した時点で企業と内定者の雇用契約が成立しているということです。内定後の採用取り消しは、解雇と同義となります。
内定取り消しは違法
内定=労働契約の締結です。内定取り消しは、解雇とみなされます。法律により、解雇するには一定の制限があり「妥当な理由」がなければできません。
つまり、労働契約成立後にもかかわらず、会社都合で内定を取り消すことは基本的にはできません。企業は理由無きくして一方的な内定取り消しを行う場合、「違法解雇」となります。
採用内定の取り消しに合理的な理由がない場合は、就労に対する期待権侵害として慰謝料の問題が生じる可能性もあります。
採用取り消しが可能な5つのパターン
内定の取り消しは、違法であることが分かりました。
ただし、例外もあります。以下で説明する5つの条件のいずれかに当てはまる場合、採用取り消しは正当であると言えます。
大学などを卒業できなかった
たとえば、大学卒業が採用条件である企業の内定が決まっているのにもかかわらず、大学を卒業できなかった場合、企業の提示する採用条件を満たしていないこととなります。
条件として提示したものに対して、その条件が達成されていない場合は、採用を取り消しをしても違法にはなりません。
採用条件に当てはまらずに内定鳥気比になるケースは、大学の卒業だけではありません。たとえば、応募・採用条件に必須としていた資格が取得できなかったときも、採用取り消しが可能です。
学歴・経歴や資格の詐称
学歴や経歴、資格を詐称されたときは、採用の取り消しが可能です。
企業が採用をする際、学歴・経歴・資格などを判断要素とする場合があります。学歴などを判断要素として内定が決まったが、内定後に虚偽であることが発覚した場合、採用が取り消しされる場合があります。
病気になってしまった
病気やケガは予期せぬ事態です。内定後に病気やケガが発覚し、業務ができなくなってしまった場合、企業は採用取り消しができます。
また、業務に支障の出る病気や障害を患っているにも関わらず、その事情を隠していた場合も、採用取り消しができます。
一方で、すべてのケガや病気が対象ではありません。業務上で支障のない病気の場合は採用取り消しはできません。また、病気が分かっていた上で採用した場合も、取り消しは難しいです。
素行に問題がある
就活生の行動に問題があると判明したとき、採用の取り消しができます。
問題のある素行とは、窃盗やわいせつ罪など前科がつくような行為することです。SNSで不適切な投稿をしていた場合なども当てはまります。
このような反社会的行為をしているのであれば、採用の取り消しは問題ないとされています。
業績悪化による整理解雇の要件を満たしている
不況や業績悪化などの理由により、下記の4つの要件全てを満たしている場合は、採用取り消しができます。
人員削減の必要性 | 人員削減措置の実施が不況、経営不振などによる企業経営上の十分な必要性に基づいていること |
解雇回避の努力 | 配置転換、希望退職者の募集など他の手段によって解雇回避のために努力したこと |
人選の合理性 | 整理解雇の対象者を決める基準が客観的、合理的で、その運用も公正であること |
解雇手続の妥当性 | 労働組合または労働者に対して、解雇の必要性とその時期、規模・方法について納得を得るために説明を行うこと |
参考:厚生労働省 労働契約の終了に関するルール
整理解雇は、会社都合で採用取り消しが可能な方法です。
しかし、厚生労働省の決まり(労働省発職第134号)により、企業は採用取り消しの対象となった方の新たな就職先の確保など、最大限の努力を行う必要があります。
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採用を取り消した事例
実際にあった内定取り消しの事例を紹介します。
内定取り消しの事例
ある大学生が、ツイッターで暴力的な行為の容認をほのめかした発言をしました。
これが炎上を引き起こし大騒動に発展、その後この大学生の名前が特定され、就職内定先に電話やメールで内定取り消しを求める呼びかけが起こりました。
ブランドイメージを侵害された内定先の企業は、この大学生に対し、内定取り消しをしました。
この内定取り消しには、正当な理由があるとみなされました。
これは、「素行に問題がある」に当てはまり、採用取り消しが可能となります。
ここで、JobQに寄せられた採用取り消しに関するQ&Aを見ていきましょう。
就活時の内定取り消しはどういう状態で起こるんですか?
内定取り消しはどういう状態で起こるのですか?嘘などはついていませんが、不安です。
社に相応しくないと思われたら起こるのではないでしょうか。
近年で言えばツイッター、FBで…続きを見る
内定取り消しって解雇と同じ扱いなので、会社の業績が著しく悪化したとかでないとあまりやらないし…続きを見る
回答より、採用の取り消しはよほどのことを起こさない限り発生しないようです。
ただ、前述した取り消しが可能なパターンに当てはまると、採用が取り消しされるかもしれません。
内定を取り消す時にすること
内定取り消しを行う際、注意して行わなければいけないことがあります。
ここでは、内定を取り消すときにすることを紹介します。
30日前に内定者に連絡する
正当な採用取り消しだとしても、労働基準法第20条を守って連絡をする必要があります。
労働基準法第20条では、以下の記載があります。
使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。
三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。
30日前には内定者に採用取り消しの連絡をしましょう。
新卒の場合は公共職業安定所に通知する
新卒採用者を採用取り消しにする場合、公共職業安定所に通知する必要があります。
整理解雇でも記載したように、採用内定取消しの対象となった学生・生徒の就職先の確保について最大限の努力を行う必要もあります。
また、採用内定取消し又は入職時期繰下げを受けた学生・生徒から補償等の要求には誠意を持って対応することも義務付けられているため、しっかり対応していきましょう。
参考:厚生労働省 採用内定について
ヘッドハンティングの内定取り消しは慎重に
他社の優秀な人を引き抜き、自社に迎え入れる採用手法を「ヘッドハンティング」といいます。
ヘッドハンティングによる採用内定が行われたものの、急な経営悪化などの理由により人員を削減する場合もあるでしょう。近年だと、新型コロナウイルスによる業績悪化により、社員の整理解雇が行われたことも記憶に新しいでしょう。
しかし、ヘッドハンティング採用の取り消しをすると、候補者は職を失ってしまいます。
ヘッドハンティングで転職する人が採用内定後に、勤務先に退職の意思を届け出ていた場合、現職も転職先も在籍できなくなってしまいます。有職から無職へと変わることは、本人の生活に大きな影響を及ぼすため、配慮が必要です。
採用の取り消しまとめ
今回は、採用の取り消しについて紹介しました。
条件に見合っていない場合、採用の取り消しは違法となります。
また、採用取り消しを行った後もしっかり対応する必要があるため、緊張感を持って取り組むことをおすすめします。
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