
【労働時間の計算方法】知らなきゃ損する!法律上正しい知識とは
皆さんは、労働時間の正確な計算方法を知っていますか?労働時間の計算は労働基準法によって厳密に定められています。この記事では、所定労働時間の計算方法や、法定労働時間の計算方法について紹介します。知らないままだと損をする可能性もある大切な知識です。ぜひ参考にしてください。
労働時間の計算について
労働時間の計算方法について詳しく解説していきます。
所定労働時間の計算方法について
所定労働時間とは労働者が働くことになっている時間のことです。雇用契約を結ぶ際に決められます。
雇用契約時に定められた労働時間に関する条件が「始業が10時、終業が19時で休憩時間が1時間」となっていた場合、所定労働時間は8時間です。
総労働時間の計算について
総労働時間とは、雇用者の指揮命令下に入る時間のうち休憩時間を除いた時間です。簡単に言うと、休憩時間を除いた仕事をしている時間のことを指します。
例えば、始業が10時で終業が20時、休憩が1時間の場合で20日働いたときの総労働時間は「{20(就業時間)-10(始業時間)-1(休憩時間)}×20=180時間」と計算できます。
法定労働時間の計算方法について
労働基準法で定められている法定労働時間は、1日8時間・1週40時間です。
1日1週あたりの法定労働時間は労働基準法であらかじめ定められているため計算する必要はありませんが、年間法定労働時間を計算するとなると以下のようになります。
52.14(1年間の週数)×40(1週あたりの法定労働時間)=2085時間
関連記事:【労働に対する休憩時間はどのくらい】計算方法や法律について徹底解説
企業の1日の平均労働時間は何時間くらいなのでしょうか?
会社員として働き始めて8ヶ月経ちました。
毎日労働時間が10時間あります。休憩は1時間ほどあるため、実質9時間の労働です。
他の友達の話を聞くと、労働時間は7時間だそうです。それぞれ企業によって労働時間は違うのでしょうか?
労働基準法などに全然詳しくないため、お詳しい方がいましたら回答お願いしたいです。
一日8時間が労基法では基本となっています。
この時間を超えた場合、36協定などで残業することを労働者の代表者と結び、書類を提出する必要があります。(ブラック企業はここを守らずに独自の方法で残業代を支払わないケースが多いです)
基本的に8時間の労働を超えた場合、…続きを見る
労働時間の計算をエクセルで行うと簡単です
つづいては労働時間を簡単に計算するためエクセルで計算する方法を紹介していきます。
エクセルでの労働時間の計算式とは
エクセルで労働時間を計算するには以下の情報が必要です。
- 出勤時刻
- 休憩開始時刻
- 休憩終了時刻
- 退勤時刻
これらの情報があるとエクセルで計算式を作成できます。
仮にこれらの情報を出勤時刻から順番にA1~A4に入れたとすると、エクセルでの計算式は以下のようになります。
=(A4-A1)-(A3-A2)
この計算式で出た数値が、休憩時間を考慮した1日の労働時間です。
エクセルで労働時間を計算する時の休憩とは
労働時間には休憩時間を含めないのが原則であるため、「休憩終了時刻-休憩開始時刻」を労働時間から差し引く必要があります。
関連記事:【労働時間で休憩が変わる】法律や計算方法についてご紹介
労働時間を計算するエクセルのテンプレートについて
労働時間を簡単に計算できるエクセルのテンプレートは無料で公開されています。
使い勝手が非常に優れたテンプレートだと有料の場合もありますが、深夜勤務と深夜残業を考慮したテンプレートも存在するため、そのテンプレートを使えばエクセルに詳しくない人も Excelで労働時間を管理することができるようになります。
労働時間計算の月平均について
労働時間の一か月平均を計算する場合以下の計算式になります。
{365(日)−1年間の休日合計日数}×1日の労働時間数÷12か月
月平均所定労働時間が毎年変わる場合について
月平均所定労働時間は先ほどの計算式で求められますが、所定労働時間が毎年変わる場合は、その都度上記の計算式で計算するようにしましょう。
月平均所定労働時間の端数処理について
労働者にとって不利となる端数処理は独断で行うことはできません。
通常は労働時間を分単位で管理するため、独断で処理してよい端数は秒数のみです。
ただし、時間外労働のみ例外で以下のルールが適用されます。
- 一か月間の時間外労働時間合計に30分未満の端数があった場合は切り捨て
- 30分以上の端数があった場合は1時間で切り上げ
つまり、1ヶ月間の時間外労働が1時間29分だった場合は分数を切り捨てて1時間として計算することができ、1ヶ月間の時間外労働が1時間30分だった場合は、端数を切り上げて2時間として計算するようになります。
時間外労働に限ってはこのルールに則ることで労働基準法違反になりません。
労働時間の計算は分単位で行ったほうがいいのか
労働時間は本来分単位で行うべきです。分単位で計算しない場合は労働基準法違反となります。
労働基準法での1分単位で支払いされるのか
労働基準法にのっとって賃金を支払う場合は1分単位で支払われます。
時間外労働の例会は除き1分以上の端数切り捨てがあった場合は、合法的に未払い賃金として請求可能です。
残業の1分単位での計算について
残業は時間外労働として認められるため、少し前に紹介した例外が適用されます。
ただし、1日ごとの残業は1分単位で記録する必要があり、残業が25分の日と15分の1日の合計2日間あった場合の残業時間は40分となります。
これで一か月間の合計残業時間も40分だった場合は、30分以上の端数を切り上げるルールに則り、1時間の時間外労働として認められます。
タイムカードの15分単位での計算について
15分単位でのタイムカードは労働基準法通りに行くと法律違反となります。
そのため、労働基準監督署などを利用して切り捨てられた端数を未払賃金として請求することは合法的に可能です。
労働時間計算時の切り捨てについて
労働時間に秒数や分数などの端数が出てきた場合は、労働基準法で定められた規則に則って切り捨て切り上げを行う必要があります。
最後はこの端数について説明していきます。
所定労働時間の端数処理について
割増賃金の基礎賃金の計算に使われる「1ヶ月の所定労働時間」を計算する際に端数が生まれることがあります。
例えば、1ヶ月の所定労働時間を計算した結果「170.49時間」となった場合はの所定労働時間を170時間または170.4時間となり、端数は切り捨てられます。
端数処理は「労働者が不利にならないように」という原則があるためこの原則に従うと、所定労働時間の端数処理はすべて切り捨てとなります。
労働時間の切り捨ては違法なのか
労働時間を1分以上の単位(5分や15分など)で切り捨てることは違法となります。
労働時間は1分単位で計算されるべきと定められているため、独断で切り捨て単位を増やしてはいけません。
ただし、秒単位での労働時間の取り組みは特に存在しないため、法律上は秒数を切り捨てても違法ではありません。
労働時間の端数処理に関する厚生労働省の見解とは
厚生労働省はたとえ1分であっても労働時間であると見解しています。
また、30分未満の労働を30分として計算する場合など労働者が有利になる計算は一向に問題ないとも公表していますが、その逆に労働時間を切り捨てる行為は労働基準法第24条および第37条に違反するため認められないと明言しています。
ほかに一か月間における時間外労働の時間数に関することも、労働基準法に則った切り捨て・切り上げに関することを明言しています。
まとめ
労働時間には所定労働時間が法定労働時間、時間外労働時間などさまざまな種類の労働時間がありますが、どれも労働者が不利になるような計算をしてはなりません。
労働者が不利になる計算を行った場合は法律違反となりますので、雇用者は注意が必要です。
雇用される労働者がこれらのことを知っておけば、退職後に切り捨てられた時間分の未払い賃金を請求することは合法的にできますので覚えておきましょう。
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