
長時間労働が起きてしまう原因とは【減らすにはどうしたらいいか考えよう】
長時間労働が原因で過労死が起きる等、日本では様々な問題が生じています。今回は長時間労働の原因と対策、長時間労働をへらすにはどうしたらいいか等をご紹介します。長時間労働が起きてしまう問題とその背景について確認していきましょう。
長時間労働が起きてしまう原因とは
「過労死」が英単語「Karoshi」として世界的に認識されるようになり、日本の長時間労働は大きな問題になっています。
今回は、日本における長時間労働の現状や原因・背景、考えられる改善策についてご紹介します。
日本の労働時間はどれくらいなのか
経済協力開発機構(OECD)の統計によると、日本における就業者1人あたりの年間実労働時間は1719時間で、1日6.9時間程度ということで、少なく感じます。
これは短時間労働者(パートタイム労働者)を含んだ数字で、フルタイムだけに限定すると2018時間になり大幅にランキングが上がります。
長時間労働の現状
近年では、さまざまな働き方が推奨されていますが、その結果として2000年以降、労働時間は二極化している状況だと、厚生労働省の調べで発表されています。
パートタイム労働者の平均労働時間は低下している一方、古タイム労働者の水準に変化がない、つまり恒常的な残業が存在しているということです。
作業効率も低さも指摘されており、労働時間だけが長くなっている傾向もあるのが現状です。
長時間労働の本当の理由とは
さまざまな分野での技術が向上し、生産性が上がるべきところが、実際の労働時間が短縮されないのには下記の理由が考えられます。
- 労働力不足
- 効率が悪い
- 長時間労働に対する誤った認識
まず労働力が不足していることから、ひとり当たりの仕事量が多く長時間労働が強いられているケースが多くあります。
一方で、優先順位の低い仕事に労働力が割かれていたり、無駄が多いことで生産性が落ちている場合や、成果ではなく勤務している、長時間会社にいることそのものが労働の証とする誤った認識も長時間労働の理由になっています。
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長時間労働が原因で起きる問題とは
長時間労働は、会社への貢献と捉えることはできますが、そのことで起こる問題もあります。
長時間労働でストレスに
長時間労働の最大の問題は、休息が十分に取れないことに起因するストレスです。
作業ボリュームも多く、それぞれの立場にある人間関係の問題など、仕事をする上で蓄積されるストレスが、長時間労働が原因で解消する場を失い、心身ともに以上をきたすことが多くみられます。
過労自殺・過労死
長時間労働によるストレスがもとになり、重篤なケースにまで発展するということが社会問題になっています。
それが、過労による自殺・過労死です。
大手広告代理店で20代の女性社員が家老が原因で自殺し、その後企業での残業時間管理や就業規則について大きく見直されるきっかけとなりました。
しかし、その後も過労による自殺・過労死に関する報道は絶えず、表面化していないものも多くあると考えられます。
今では、オックスフォード英語辞典に「Karoshi(過労死)」が単語として登録されており、英語だけでなく世界的に通じるようになっているという不名誉な現状があります。
長時間労働が起きる原因はあらゆる現場でありえる
長時間労働は業種・職種の特徴なのでしょうか。どのようなケースがあるのか確認してみましょう。
さまざまな職場での長時間労働
長時間労働が多くみられる職場として、下記の職種が挙げられます。
- 看護/介護業
- サービス業
- 建設業
- 各種営業
上記以外でも、人手不足が問題になっている職場では、1人に当たる作業量は必然的に増え、長時間労働が強いられています。
教員の長時間労働
最近では、教員はサービス業だ、ブルーカラーだ、という声をよく聞くようになりました。
実際、教員が授業や授業準備以外に担う業務は幅広く、負荷がかなりかかる職場です。
学校内はもちろん、地域や父兄との連携などストレスも多く、休日返上で業務をするというケースも多くみられます。
長時間労働をなくすには
長時間労働が社会問題として捉えられるようになったのは、つい最近というわけではありません。
年々深刻かする現状は、今後どのように変わっていくのでしょうか。
世界から見ても労働時間の長い日本
先進国の中でも、日本の労働時間は決して短いものではありません。
これは、先述の通り、パートタイムとフルタイムの二極化が進み、一部のフルタイム労働者に負荷がかかっているのが現状です。
また日本企業に多くみられる古い習慣・概念が「企業のために働く」ことへの美徳を生み、生産性を度外視した長時間労働を善とする文化が根強く残っています。
これは、世界的に「日本人は働きすぎ」というイメージに繋がっています。
長時間労働がなくならない理由
長時間労働がなくならない理由は大きく2つ挙げられます。
- 労働力不足が解消されない
- 悪しき習慣がなくならない
労働力不足の解消に向けて、企業だけではなく国としてさまざまな働き方に対する取り組みが進んでいます。
少子高齢化が進み、新しい労働環境を整備することで、今後の改善は見込めますが、現状としては労働時間の短縮には繋がっていません。
また、日本にある根強い「働く」ということに対する概念や習慣が残る企業も多く、新たな制度や環境が整備されても抜本的な改善がみられていないのが現状です。
長時間労働の対策
最近では、長時間労働を解消するための対策が、さまざまな場面で講じられています。
労働力不足対策として、女性の社会活躍を推進する女性活躍推進法が施行されるなど、国レベルでの取り組みが進んでいます。
長時間労働を減らすには
今後、少子高齢化が進む時代において、長時間労働を減らすためにどのような改善策が求められているのでしょうか。
長時間労働自体を把握
改善策を考える場合、まず必要なのが現状の把握です。
長時間労働そのものがどのような職場で、どの程度発生しているのか、あらゆるパターンを挙げて、そこからそれぞれの原因を探ることが改善に向けての第一歩になります。
「定時退社日」や「ノー残業デー」の徹底する
2017年に政府と経済界が提唱したキャンペーンのひとつ「プレミアムフライデー」は、経済活動の活性はもちろん、労働時間短縮や働き方改革の一環として話題になりました。
しかし、実際は月末の金曜日は業務量が多くなることも多く、活用されていない企業がほとんどです。
企業によっては「定時退社日」や「ノー残業デー」を設定していることもありますが、いかに実践し徹底するかが重要です。
新しい制度を導入するのではなく、そのように長時間労働を解消する対策を実行・徹底できるかを検討することに注力できるかが、今後の改善の鍵になるでしょう。
まとめ
世界的に深刻な社会問題となっている「日本人の働きすぎ・長時間労働」問題。
実態をそれぞれの職場で認識し、改善できるポイントがあるのかを社会全体として取り組むことが大切です。
社会全体の生産性をあげるためにも、早急に長時間労働対策を実行に移していく必要があります。
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約90%の質問に回答が寄せられています。
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