
【売り手市場の意味】買い手市場との違いやおすすめの業界について
就職活動をしていると「売り手市場」という言葉をよく聞くと思います。言葉通りに受け取って適当に就職活動をしていると売り手市場にも関わらず、どこからも内定が出ないという状況に陥ってしまうかもしれません。この記事では「売り手市場」と「買い手市場」の本当の意味とこの売り手市場の中どのように就職活動をしていくべきか、またおすすめの業種や職種も合わせてご紹介いたします。
売り手市場の意味を誤解してはいけない
「売り手市場」と聞くと「あぁ、就職活動を少しすれば簡単に内定がもらえるに違いない」と思うかもしれませんが、それは完全なる誤解といっていいかもしれません。「売り手市場と聞いていたのに内定がなかなかもらえない」と、なかなか内定に繋がらずつらい想いをしている人もいるようで、売り手市場=すぐ内定がもらえるということではないようです。
では、売り手市場とはいったいどのような状態をいうのでしょうか。
売り手市場の“売り手”とは何か
売り手市場といわれていますが、「売り手」とはだれのことを指しているのでしょうか。基本的に、売り手=就職を希望して求人に応募している人のことを指しています。「売り手」の対義語は「買い手」で、買い手=求人を出して人を募集している企業のことを指しています。
売り手市場はいつから始まった?
1999年から2009年までは徐々に回復していた就職市場ですが、2008年におこったリーマンショックにより、2010~2012年には求人倍率は下落しています。
2016年ごろには2009年と同程度に回復し、オリンピック開催が決まったこともあり2017年18年と建設業・流通業での求人倍率が急上昇しています。
また団塊の世代が集団退職し社会的に「少子高齢化」した影響もあり、2017年ごろから「売り手市場」という言葉が聞かれるようになりました。
売り手市場が起きる構造的理由
売り手市場といわれているのは「有効求人倍数」が一定以上になったためです。
2019年現在の売り手市場は2020年のオリンピック開催と東日本大震災の更なる復興を中心に労働力を必要としている「建設業」「流通業」において求人数が増えており、この数が近年の売り手市場の起爆剤となっているようです。
2019年の売り手市場はどうなるのか?
2019年現在の売り手市場は、今後どのように変わっていくのでしょうか?2018年の売り手市場を振り返りつつ、売り手市場が学生に与える影響について考察していきます。
売り手市場が学生に与える影響
売り手市場においては学生はより積極的に、自発的に就職活動を進めることができると予想されます。
買い手市場の場合には「気乗りしないけどここしか行くところがない」という理由で臨まない就職をする傾向が見られました。合わない企業に無理やり入って、体調を崩して退職する人もいたようです。
しかし売り手市場の現在、学生は余裕をもって就職活動をしていますから、3年以内の早期退職率も下がってくる可能性があります。
2018年の売り手市場を振り返る
2018年は就職を希望している学生の内定率は9割を超えています。売り手市場とはいえ、やはり中小企業の求人数は多いのですが、大企業の求人数は全体の4割程度と少ないのが現状です。
大企業を狙いすぎて「売り手市場なのに内定がもらえない」という現象も起こっています。
「売り手市場」という言葉に惑わされず、堅実に大企業だけでなく中小・零細企業にも目を向けながら就職先選びを行いたいものです。
買い手市場の本当の意味を知っておこう
ここまで「売り手市場」という状態についてご紹介してきましたが、「買い手市場」の意味をご紹介しておきたいと思います。
買い手市場の定義とは?
労働力の買い手である企業側が人手不足で、労働力の売り手である求職者(転職希望者や新卒での就職希望者)1人に対して平均して複数の求人がある状態を「売り手市場」、一方働き手が多いために求人数が就職・転職希望者に対して少なく労働力の需要がない状態を「買い手市場」といいます。
「売り手市場」では求職者が働き先を選びやすく、「買い手市場」では企業側が選考などで求職者を選びやすい状態です。
買い手と売り手の違いをおさえよう
「売り手市場」「買い手市場」というときには、「労働力」の売り買いをしていると考えてよいのでしょう。「売り手=労働力の売り手=求職者」、「買い手=労働力を必要としている人=企業や雇側」ということになります。
売り手市場と買い手市場の実例とデータ
売り手市場と買い手市場について、過去のデータを見ながら実際の内定・採用例を紹介していきます。
売り手市場における内定・採用例
最大の売り手市場といわれた時代はバブルの時代(1990年がピーク)です。この時代の新卒求人倍率は2017年と同程度の1.46倍です。
就職で内定がもらえない人はほとんどいないという状態で、一人の人が複数の内定をもらっていました。
さらに内定をもらえってからも企業間での採用者の奪い合いが激しく、内定式に交通費を付けたり、OBとの交流会や食事会を開催して内定者の囲い込みを行っていました。
買い手市場における内定・採用例
一般的に「就職氷河期」等と呼ばれている就職が難しい時期では、たとえ大卒といえども内定をもらっている人は少なく、企業側が内定者の囲い込みをしなくても内定出せばほとんどの内定者が入社する傾向にありました。
少々気に食わないような企業であっても「内定が出たから」という理由で就職せざるを得ないのが「買い手市場」です。
2000年度卒業者が就職した時代の新卒内定率は0.99。皆が皆内定をもらえる時代ではありませんでした。
企業側の経済状況も厳しく内定式への交通費もカットになる、内定をもらっても経済状況が厳しすぎて内定を取り消されるなど、企業側・求職者共に厳しいケースもあったようです。
おすすめの売り手市場の業界・職種
では、現在の売り手市場の中でお勧めの業界や職種はどこでしょうか。求人数が伸びている業界・職種をご紹介します。
求人数が伸びている業界・職種
先に述べた「流通業」「建築業」のほかに、「介護分野」においても求人が伸びてきています。高齢化が進み求人数が増えたのと併せて、介護分野に進む人が少なく常に人手不足の状態でもあります。
さらに一時は落ちかけていた「製造業」での求人数も持ち直しています。
一方金融業界などの景気に左右されにくい分野においては、伸びもなく一定に落ち着いています。
中小企業の人手不足が売り手市場を生むのか?
大企業では求人倍率が0.4倍ほどです。一方中小企業では求人倍率が6倍を超えています。新卒就活の場合、ネームバリューに惹かれて有名企業や大企業への応募が多くなりがちです。
「新卒なのに内定がない」という人の中には大企業ばかり狙いすぎているという人すらいるくらいです。
中小企業にも隠れた優良企業はたくさんあります。そのため、新卒者や転職希望者が中小企業にも目を向けていくと、失業者の削減や売り手市場の緩和につながる可能性があります。
まとめ
特に新卒の場合、就職活動をする時期をずらすということは不可能です。そのため、売り手市場か買い手市場かなど関係なく、就職活動をせざるを得なくなっています。
そのような場合にも、しっかりと周りを見ながら早期に情報収集を始める「情報力のある人」は就職活動を有利に進めることができます。どのような経済・就職状況でもぜひ、先手を打って就職情報を収集してみましょう。きっと道は開けてくるはずです。
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約90%の質問に回答が寄せられています。
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