
【裁量労働制とフレックス制の違い】併用は可能なのかなど解説します
裁量労働制とフレックス制に共通している事は、どちらも時間管理がある程度自分で決められることです。しかし、その内容や適用される人には大きな違いがあります。そこで今回は裁量労働制とフレックスせいの大きな違いやメリットデメリットなどについてご紹介しますので是非参考にしてみてください。
裁量労働制とフレックス制の大きな違いを比較する
裁量労働制とフレックス制に共通している事は、どちらも時間管理がある程度自分で決められることです。
しかし、その内容や適用される人には大きな違いがあります。そこで、裁量労働制とフレックスの違いを見ていきましょう。
フレックス制は誰でも適用ができる制度である
フレックス制は、その会社の就業規則にフレックス性が規定されていれば、誰でも適用される制度です。
コアタイムと呼ばれる必ず出勤しなければいけない時間やフレキシブルタイムを守れば、出勤や退勤の時間を自由に決められます。
一番大きな違いは時間の自由さ
これに対し労働裁量制は「みなし労働時間制」の一種であり、あらかじめ労働時間を決めるものです。
そのため、出勤する時間も退勤する時間も制約はありません。実際の労働時間が長くても短くても、決められた時間がその人の労働時間となります。
どちらも時間の自由はありますが、フレックス制は必ず決められた時間は出社しなければいけませんが、裁量労働制はそうした制約もなく、自由に自分で出社の時間を決める事が出来ます。
裁量労働制は出社が必須でもなくなる
裁量労働制が適用された場合は、実務労働時間は関係なく、残業や時間外労働というものがありません。
あくまでも決められた時間でも契約となりますので、労働時間の管理も個人に任されています。
そのため、出社が必須ではありません。
裁量労働制とフレックス制の併用は可能なのか?
裁量労働制とフレックス制の併用は可能なのでしょうか?
裁量労働制とフレックス制の違いから、併用できるかを見ていきましょう。
裁量労働制とフレックス制は併用は不可能である
裁量労働制は誰にでも適用されるわけではなく、業務が特定されています。
あらかじめ労使協定に定められた時間を労働時間とみなして給与の計算がなされる制度です。
これに対しフレックス制は誰でも適用され、コアタイム以外の時間を自由に設定できる制度ですので、時間の設定は全く違います。
そのため、契約自体が違うため、併用は不可能です。
裁量労働制とフレックス制を併用できない理由とは?
労働基準法では、変形労働制については「1カ月単位」「1年単位」「1週間単位」「フレックスタイム」の4つのパターンが定められています。
裁量労働制もフレックス制もこの中の変形労働制にあたりますので、両者を併用することはできません。
裁量労働制とフレックス制を併用している会社はおかしい
裁量労働制とフレックス制は、労働基準法で見ても違う制度ですので、これを併用している会社はおかしいと言えるでしょう。
裁量労働制からフレックス制に変更するメリットとは?
裁量労働制とフレックス制の併用はできませんが、裁量労働制からフレックス制への変更は出来ます。
フレックス制への移行の際に注意する点とメリットはどのようなものがあるのか、調べてみました。
フレックス制に移行する際に注意するべきこととは?
フレックス制に移行する際には、労使協定で裁量労働制の廃止とフレックス制を定める事で変更は出来ます。
その際、コアタイムの制定やみなし残業時間をどれくらいで計算するのかなど、労働者にとって不利益変更にならないよう注意しなければなりません。
両制度の企業側からのメリットとは?
フレックス制にする事で、社員の労働時間が繁忙期や閑散期などで調整できるため、全体を通してみると、企業側にとっては残業を減らす事が出来、人件費の無駄を減らすことが出来ます。
両制度の働く側のメリットとは?
裁量労働制はみなし労働時間ですので、実態の労働時間が多い人にとってはフレックス制に移行した場合は、時間外労働には残業代が付きますので、働いた分の給与を支払ってもらえることが大きなメリットです。
裁量労働制からフレックス制導入の注意点とデメリットは
裁量労働制からフレックス制に移行した場合のメリットは見てきましたが、デメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
企業側から見たデメリットと労働者側から見たデメリットを見てみましょう。
両制度の企業側からのデメリットとは?
裁量労働制はあらかじめみなし労働時間が決まっているため、給与など人件費の算出が出来ますが、フレックス制に移行した場合、残業時間代などの算出が必要となり、その分の人件費の算出が煩雑になります。
両制度の働く側のデメリットとは?
裁量労働制は自分で出社が必須ではありませんが、フレックス制はコアタイムがあるため必ず出社しなければなりません。
職種によっては連続して作業を行いたいときには、時間の管理やスケジューリングは自分の都合だけでは決められないため、業務の進行に支障が出る事も考えられます。
また、フレックス制に移行した事で賃金が減る事もあります。
残業をしないとこれまでの給与を保てない場合もありますので、そこもデメリットの一つです。
裁量労働制とフレックス制の残業代の考え方の違いとは?
裁量労働制とフレックス制では、残業代はどのような違いがあるのでしょうか。
この章では、それぞれの残業代についての規定を比べてみました。
裁量労働制とフレックス制の残業代の考え方の違いとは
裁量労働制とフレックス制はそもそも労働時間制度が違うため、給与の算出法や時間外労働に対する計算法も違います。
どちらも残業手当はありますので、その違いを見てみましょう。
裁量労働制の残業代の支払方法とは?
裁量労働制はみなし労働に一種ですので、あらかじめ残業代も含めた賃金となっています。
そのため、一般的には労働時間以上に働いたからといって、その分が残業代としてプラスされることはありません。
ただし、労働基準法により、1日8時間を超えるみなし労働時間が設定されている場合は、その超過分や深夜労働などがあった場合は、その手当は付きます。
フレックス制の残業代の支払方法とは?
フレックス制はみなし労働ではありませんので、労働基準法により週40時間を超えた時間外労働は残業代となり、支払われます。
ただし、1日単位での計算ではなく、清算期間単位での計算です。
裁量労働制とフレックスのまとめ
裁量労働制とフレックス制は、労働時間を選べるという点では、労働者にとっては多様な働き方が出来る制度と言えます。
しかし、その内容は大きく違いますし、どちらも時間の自己管理が必要となってきますので、自分にあったものを選ぶことが大事です。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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