
【SNEPとは】意味や年齢の違いについてご紹介
皆さん、SNEPという言葉をご存知でしょうか?SNEP(スネップ)とは、ニート(NEET)研究で知られる東京大学社会科学研究所教授の玄田有史氏が提唱した言葉です。「Solitary Non-Employed Persons」という和製英語の頭文字をとった言葉で「孤立した無職の人たち」を意味しています。今回は、SNEPとNEETの違いなど詳しくご紹介いたします。
SNEPってなに?
近年は、働き方改革といった言葉が話題になり、さまざまな働き方が生まれています。
その一方で、今までにはなかった事案が社会問題として取りざたされるようになりました。
今回は、まだ概念としては比較的新しい「SNEP」という言葉についてご紹介します。
SNEPの意味について解説
SNEP(スネップ)とは、2012年にニート(NEET)研究で知られる東京大学社会科学研究所教授の玄田有史氏が提唱した言葉です。
「Solitary Non-Employed Persons」という和製英語のフレーズの頭文字をとった言葉で、「孤立した無職の人たち」を意味しています。
日本語では、「孤立無業者」と表現され、20歳〜59歳のうちで、学生を除く、未婚で無職、かつ普段から一人もしくは肉親以外との接点をもたない人たちのことを指しています。
なかでも、肉親と同居しているタイプの家族型孤立無業者と、ずっと一人で生活するタイプの一人型孤立無業者と分類され、その傾向は若干異なります。
SNEPは日本にどれくらいいるの?
SNEPの提唱者である玄田教授が2013年に実施した調査によると、
日本におけるSNEPの数は、2000年代から急激に増え始め、2011年の段階で162万人を超えるとされています。
その後も、増加の一途を進んでいると考えると、数百万人規模にのぼる可能性もあります。
SNEPとNEETの違いは?
SNEPという言葉が誕生した背景にあるのがニート(NEET)という言葉です。
NEETはSNEPと比較すると、一般的な定着率が高く、年齢層を問わず幅広く認知されているといえるでしょう。
NEETとは、「Not in Education, Employment or Training」の頭文字をとった言葉で、イギリスで生まれました。
「通学や就職をしておらず、家業を手伝ったりするわけでもなく、就職活動もしていない」という状態を指します。
ここでは、概念としてとてもよく似ているNEETとSNEPの違いについて確認してみましょう。
年齢の違いについて
SNEPとNEETの最も明確な違いは、年齢層にあります。
NEETは、年齢15〜34歳までに限定されており、SNEPの指す20〜59歳に比べると若年層のみを指していることがわかります。
友人や恋人の有無について
SNEPの特徴のひとつが、「Solitary」つまり「孤独」ということです。
肉親のみ、もしくは完全に一人で生活している人を指していますが、NEETには友人・恋人の有無は関係なく、むしろ多くの場合はそのような人間関係が充実しているというケースが多くみられます。
SNEPは元々は仕事に就いていた?
SNEPは、NEETと比較して高い年齢層を含むことから、SNEPの中には元々は仕事をしていて、何かしらの理由があって退職し、その後SNEPになった、というパターンが多くみられます。
NEETは34歳までの若年層ということもあり、仕事の経験が全くないという場合もあります。
SNEPが増えたらどうなる?
社会問題として取り上げられるようになったSNEPは、社会的にどのような影響を与えているのでしょうか。
ここでは、SNEPが増加している現状がもたらす問題について確認してみましょう。
孤独死やホームレス増加による社会不安定化につながる
SNEPは、59歳までという高い年齢層も含んでおり、高齢になってから無職になり孤立した場合、そこから新たに再就職をしたり、新たな人間関係を構築することが困難なケースがほとんどです。
その結果として、孤独死やホームレスの予備軍につながり、その数が増えるということは、社会的にも決して健全な状況とはいえなくなります。
生活保護受給者増加による財政圧迫につながる
高齢層のSNEPは、何かしらの問題があって職を追われたという場合も多く、勤労意欲そのものが著しく低いということが多くみられます。
生活を支援してくれる肉親がおらず、孤立し、生活保護に頼るしかない、という事例が今後増えていく可能性があります。
これは、少子高齢化が進む日本では、財政圧迫の要因にもなりかねない深刻な問題につながるのです。
SNEPを脱却するには?
若年層で、人間関係的な孤立がないNEETと比較すると、SNEPはさまざまな要因により社会復帰するのが困難なケースが多くみられます。
そのなかで、SNEPからどのように脱却すればいいのか、その解決策について確認してみましょう。
趣味などを通して友人を作る
SNEPの特徴である「孤立状態」を解消することに取り組む必要があります。
やみくもに動いて、友人ができるわけでもなく、やり方によっては、状況を悪化させる場合もあるので、まずは自分が没頭できる趣味をもつところから始めることをおすすめします。
人との関わり合いを軸にするのではなく、自分の趣味・自分の好きなことに集中する自分自身を軸にすることで、抵抗を最小限にした状態で、同じものに興味をもつ「他人」に知り合うことができます。
まずは、自分が心地よいと感じる環境に「誰か別の人」がいる状態を作り出すことを始めるといいでしょう。
ネットで仕事を始めてみる
どこか企業で勤務していて、SNEPになった人にとっては特に「仕事=人との関わり合い」という図式に凝り固まっているかもしれません。
しかし、ここ数年であらゆる働き方が提唱されるようになりました。
正社員で終身雇用が当然だった日本も、自由業・複業といったさまざまなキャリア・働き方のあり方が話題になっています。
そのなかでも、自宅にいながらにして仕事をするスタイルが、あらゆる業界で取り入れられつつあります。
インターネットが普及し、パソコン1台とネット環境があれば、自分の好きな場所で、好きな時間に仕事をすることが可能なのです。
まずはオンライン上での「コミュニケーション」から始めることで、達成感や仕事に対する意欲が徐々に復活することが見込めます。
既存の考え方を捨て、まずは自分の居場所から社会との接点を作り出す方法を見つけることが、これからの時代は、より容易になっていくでしょう。
まとめ
NEETに比べて、克服が困難に思われるSNEPは、今後も社会的に対策を要する問題のひとつといえます。
今後、高齢化が進み、さらに「離婚率の上昇」など社会的孤立を生み出す要因が増えていくなか、SNEPの数は増えていくと予想されています。
社会全体として、SNEPが生まれる原因や背景をリアルタイムで早急に明確化し対策を講じること、そしてSNEPを社会復帰させる方法やそのサポート体制を構築することを、同時並行で進めていかなければ、深刻な状況に陥る可能性があります。
「コミュニティ」という概念を、幅広い年齢層で今一度考え直す必要に迫られています。
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