
【ナレッジマネジメントのメリット】定着させ業務効率改善につなげる
皆さんは「ナレッジマネジメント」をご存知ですか?ITの発達に伴って、今まで効率化できなかった部分にまで効率化の波が押し寄せています。この記事では、ナレッジマネジメントのメリットデメリットを解説します。導入するか否かの判断指標として使っていただければ幸いに思います。
ナレッジマネジメントとは
ナレッジマネジメントの意味
ナレッジマネジメントとは、社員やある特定のチームなどが業務を通して習得した知識や知恵を集約・管理し、生産性の向上や新規事業などに活用する経営手法の一つです。
ベテラン社員が保有している経験やカンなどに基づいた言語化が難しい「暗黙知」を、文章や数式などで説明できる「形式知」に変換し社内で活用します。その結果、個人の能力の育成、組織全体の生産性の向上、業務効率の改善、イノベーションなど様々な効果が期待できます。
より一層のスピードと、他社との差別化が求められる現代において、その手法が注目されることが多くなりました。
ナレッジマネジメントを推進するには
ナレッジマネジメントは導入したら終わりではなく、ナレッジを提供する社員とそのナレッジの共有を求める社員の声を常に検証し改善していく必要があります。
ナレッジは集まったがその情報を誰も活用していない、もしくは活用したくても複雑で活用できない、ということはよく聞かれます。
ナレッジマネジメントを個人で活用するには
また、最近は「Personal Knowledge Management」=パーソナルナレッジマネジメントという言葉も注目されるようになりました。
各個人が所有している膨大なデジタルデータやネットショッピング、SNS上だけの交流など、私たちの生活において急速に進んでいるIT化に伴う情報もナレッジマネジメントという考え方で管理をすることができるようになります。
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ナレッジマネジメントのメリットとは
ナレッジマネジメントのメリットについて
以前の日本社会では、ベテランの暗黙知が、長い時間をかけながら口頭で次世代に受け継がれていく企業文化がありました。
しかし現代は終身雇用制が崩れ、優秀な人材を確保するために人の流動化が激しくなっています。
ナレッジマネジメントを導入することで、口頭で引き継がれていた知識を、経験年数に関わらず共有することができるようになります。
組織全体のレベル向上はもちろん、社内でのイノベーションも生まれやすくなるというメリットがあります。
ナレッジマネジメントの成功例
事例として、ブランドを軸にマーケティング・経営課題を解決する戦略コンサルティングファームである「株式会社博報堂ブランドコンサルティング」を取り上げます。この会社は、社内情報の検索システムであるエンタープライズサーチシステムを導入し、ナレッジマネジメントを成功させている企業の一つです。
同社では、以前から資料の共有が行われていましたが、資料が保存されている共有フォルダの数は4万5千ともいわれ、自分に必要な情報を検索するのに膨大な時間がかかっていました。
そこで、エンタープライズサーチを活用し社内資料を検索しやすくした結果、業務効率が大幅に改善されました。そのうえ、資料や知識を「見える化」したことで、ナレッジは社内全体で共有、活用するものであるという意識が強まったということです。
ナレッジマネジメントを活用した例
また、OA機器やPCサプライ品の販売、システムインテグレーション事業、保守サービス、教育支援などの事業を展開している「株式会社 大塚商会」を取り上げます。
同社では、商品やキャンペーン情報検索、受発注管理ができるWebサイト「BP PLATINUM」を2000年より展開しています。
2008年に検索制度の高い検索エンジンシステムを導入することにより、従来かかっていた検索時間が大幅に短縮され、受注数の増加につながったそうです。顧客に対して、セールス管理や支援をするナレッジマネジメントを活用した例といえます。
ナレッジマネジメントのメリットを高めるには
ナレッジマネジメントを定着させるには
ナレッジマネジメントを定着させるためにツールを導入しても、活用されなければ意味を成しません。
定着させるためには、導入目的の明確化、そのためにどのようなナレッジをマネジメントする必要があるのか、そして、具体的な運用方法を示す必要があります。
また、社員が自発的にナレッジを共有していきたくなるようなインセンティブを与えることも必要です。ナレッジマネジメントを成功させている企業では、ナレッジの公開をした社員が賞賛される仕組みなどが取り入れられています。
ナレッジマネジメントの手法とツール
具体的な手法としては、以下のステップを進みます。
①企業理念や経営ビジョンの明確化
企業がどこに向かってどのようなビジョンを実現させようとしているのかを明確にします。
②企業理念やビジョン達成に必要なナレッジの明確化
ビジョン達成のためにどのような課題を解決する必要があるのか、また、どのようなナレッジの管理が必要なのかなど、ナレッジマネジメントの目的を明確にします。
③ナレッジを共有しやすいツールを導入
管理・共有するナレッジに適したツールを導入し、社員が主体的にナレッジを共有したくなるインセンティブを与えていきます。
ナレッジマネジメントのツールは大きく3種類あります。
①エンタープライズサーチ
社内の情報や資料などの検索システムです。
②SFA・CRM
SFAはセールス管理や支援をするために使用するシステム、CRMは、顧客管理のためのシステムです。
③グループウエア
社内SNSや情報共有などのような社内コミュニケーションのためのツールです。
ナレッジマネジメントを使用したコミュニケーション
グループウエアを使用すれば、国内外にいる自社メンバーとコミュニケーションがとりやすくなります。
お互いの顔や名前を知らなくても、同じ組織に所属する社員どうしが支店での出来事や情報を共有することができるようになることで、課題解決までのスピード化やイノベーションがより一層期待できるようになります。
ナレッジマネジメントのビジネス手法とは
医療業界でのナレッジマネジメントとは
長年に渡って、医療行為は医療従事者が成功体験や失敗体験で習得した知識(暗黙知)で成り立っていました。
各医療機関では、教育やカンファレンス等を持ち情報の共有は行われていましたが、口頭伝授が中心で形式化されていないものが多くあります。
現代の医療機関では、ナレッジマネジメントを導入し、医療従事者が持つ暗黙知を形式化し共有することで医療業界全体の向上を図っていこうという取り組みが進んでいます。
AIを使用したナレッジマネジメントとは
今はAIを使用したナレッジマネジメントも数多く登場しています。
例えば、株式会社図研プリサイトが展開するAI(人工知能)機能を搭載したナレッジ共有ソリューション「Knowledge Explorer(ナレッジエクスプローラー)」です。
これは、熟練設計者が製品設計時に過去の製品情報やトラブル情報などを参照するノウハウをシステム化したものです。また、複数の情報源を参照し、知識を必要とする設計者に対して必要なタイミングでプッシュ型通知を行うというものです。
これによって、経験年数が短い社員も熟練技術者と同等の作業効率を実現できるようになることが期待されています。
エクセルでナレッジマネジメントが実現できる?
エクセルを使っても、ナレッジマネジメントは実現できます。顧客情報や製品情報などデータベース化できるものをエクセルで管理し、共有することが可能です。
入力の権限や閲覧の権限などを用途に応じて設定することもできます。
ナレッジマネジメントにデメリットはあるか
ナレッジマネジメントの失敗例
ナレッジマネジメントが失敗している多くの場合は、経営層と社員の意識のズレがあります。
ナレッジマネジメントのためのツールはあくまでもツールであって、主体となってナレッジ共有を行うのはあくまでも社員です。また、そのナレッジを事業拡大のために活用するのも社員です。
ナレッジマネジメント導入の目的やメリットを社員が十分に理解し活用をしていかなければ失敗に終わります。
ナレッジマネジメントのリスク
ナレッジマネジメントが社内に定着するまでには、いくつかのリスクがあります。例えば、ツール導入のコストがかかる、社員の時間・労力の負担が増えるなどです。
成果主義の会社であれば、社員が自分の知識やノウハウを積極的に共有することを嫌がるケースもあります。この場合、コストをかけてツール導入をしてもうまく定着できないというリスクも存在します。
ナレッジマネジメントのデメリットを許容する
ナレッジマネジメントのデメリットを許容するためには、一部の部署やメンバーを対象とした導入テストを行うことが良いでしょう。メリット・デメリットの検証、改善を繰り返しながら社内全体に広げていくと、良い結果を生みやすくなります。
まとめ
ナレッジマネジメントに期待できる効果は大きなものですが、その導入に当たっては十分な準備期間が必要です。
高額なITツールに安易に飛びつくのではなく、現場でのヒアリング、導入テスト、検証を繰り返しながら、忍耐強く定着を目指して頂きたいです。
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約90%の質問に回答が寄せられています。
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