
【年俸制での途中入社】給与の支払方法や注意すべきポイントなど解説
年俸制を取り入れている企業は多くありますが、年俸制での途中入社した場合の扱いはどのようになるのでしょうか。年俸制で途中入社した際の給与の支払方法や年俸制での途中入社の際に注意すべきポイントとはどのようなものなのでしょうか。今回は年俸制での途中入社について解説します。
年俸制で途中入社をした際の給与の計算はどうなるのか
賃金形態として、月給制ではなく年俸制を採用している会社が増えてきています。
年俸制とは、1年間の支給額を予め確定させる制度であり、一般には成果主義を目的に導入されている場合が多く、前年の成果や、本人の能力を元に年俸を決めます。
途中入社した場合には、前職での実績や能力を買われて入社されます。
しかし、当然ですが、その勤務先での前年の実績がありません。
また、年俸の評価期間と入社のタイミングがずれることもありますが、給与の計算はどうなるのでしょうか。
年俸制で途中入社をしたときの年俸制の対象期間について
年俸制の対象期間は、個々の会社の就業規則により、それぞれ設定されます。
例えば、その会社での年俸の評価期間が、4/1から3/31の期間の場合、中途入社の方の評価期間を、採用から1年とする場合もあれば、採用から3/31までの期間とする場合もあります。
年俸の成果評価は、絶対評価だけではなく、相対評価も含まれるのが通例です。
このため、対象期間を揃えて、一律横並びで相対評価を行うことの方が、人事評価や予算管理がしやすくなります。
そこで、会社側は、途中入社した場合でも、なるべく早く対象の全社員を同一対象期間で評価できるようにするようにしたいと考えます。
年俸制の途中入社のときの給与計算について
年俸査定のための評価の対象期間が短くなったり、従来からの成果も含んで評価されてしまうと、途中入社の方の評価が相対的に低くなる場合があります。
こうなると、入社しても、モチベーションを下げてしまったり、そもそも優秀な人材を採用することが難しくなります。
このため、一定の期間(数年程度)、途中入社者の相対評価を免除して絶対評価のみで評価する会社もあります。
但し、同じ会社でも職種やランクにより、評価制度が変わることがあり、注意が必要です。
年俸制で途中入社したときに入社日までの取り扱いとは
これも会社の就業規則によりますが、一般には、たとえ年俸制の場合でも在籍期間で計算され、入社日までの期間は、年俸の対象期間とはなりません。
入社日または入社月から、年俸対象の評価期間(例えば3/31)までの在籍期間をもとに、
で計算されるのが多いようです。
なお、給与月の期間で、入社前までの出勤日数を欠勤として扱うことは、合理性に欠けるとの見解があります。
年俸制で途中入社した際の賞与はどうなるのか
そもそも賞与制度のない会社があります。
この場合、必ずしも収入が低いわけではなく、年俸を単純に12ヶ月で割って、月ごとに支給されます。
それでは、年俸制の会社で賞与制度がある場合は、どうなるのでしょうか。
一般的な賞与の評定期間とはどのようになるのか
まず、会社や業績により、年間何回賞与が支給されるかという問題があります。
社会保険においては、賞与は「年間3回以下の支給」のものです。
賞与を年間4回以上支給される場合は、月給と同じ扱いになり社会保険料が下がり、お得になります。
国内で賞与制度のある典型的な会社の例では、夏と冬の2回支給(例えば6月と12月)であり、その評定期間は6月支給ならば12月から5月、12月支給ならば6月から11月となります。
年俸制だとそもそも賞与査定はないのか
年俸制では、賞与査定があるかどうかを認識できている方は少ないかもしれません。
実際には、年俸制の場合、通常、賞与査定はなく、年収での査定がベースとなります。
例えば年俸を14等分して、1等分ずつを年に2回、賞与として支給します。
年俸制でも賞与のみを別評価で決定するものもある
会社の業績に応じて支給される「決算賞与」を受け取ることがあります。
決算賞与は、会社の利益を臨時の賞与として支給するものであり、年俸制の評価とは別評価で支給されます。
年俸制で途中入社した際の評価制度はどうなるのか
年俸制は、成果給の導入を目的に適用されている場合が多く、前年の業績により評価が決められます。
ところが、中途で入社した場合は、当然ながら前年度の会社実績がありませんが、評価はどのように行われるのでしょうか。
年俸制で途中入社をすると評価査定はどうなるのか
通常、入社採用される時に、年俸は決められます。基本的には、同一価値労働同一賃金が原則になります。
前職でのキャリア、スキル、能力を考慮して、同一レベルの社員と不公平にならないように、評価査定されます。
入社初年度の評価は他の社員の平均になるのか
原則は、同一価値労働同一賃金であるため、同一レベルの社員と同等の評価となります。
会社によっては、「前職と据え置き」、「前職の年俸と同一レベル社員の中間」とする場合もあります。
翌年から評価査定対象になるのが一般的である
入社後、暫定期間を経過し、1年間の年俸評価期間を経た後は、他の社員と同じ、評価査定対象になるのが一般的です。
但し、業績を出すための期間が長い業種や、1年の評価だけでは年俸評価を決めない会社では、中途入社者は一定期間、絶対評価のみで、相対評価の開始を遅らせる場合もあります。
年俸制の企業で年度末ではない退職の場合はどうなるのか
転職前の現職の会社でも年俸制であったり、中途入社した年俸制の会社を退職する場合には、年俸の支給はどのようになるのでしょうか。
年俸制の途中退社の場合も一般の退社と変わりません
年俸制での途中退社でも一般の退社と扱いが変わらないことが多いようです。
年俸制であっても、労基法により毎月支払われることになっています。
このため、ほぼ月給者と同じ計算方法により報酬が計算されます。
年俸制でも基本はノーワークノーペイが原則である
年俸制を適用していない会社と変わらず、年俸制においても基本は、ノーワーク ノーペイが原則で、労務提供があるかどうかです。
例えば、4月から3月までの年度で年俸が支給され、年俸を毎月受け取っている場合、5月末で退職した場合には、6月から3月までの年俸分は支給されません。
賞与の支給に関しては契約内容によって変わる
但し、賞与の場合には就業規則によります。
先ほどの5月末退職で、賞与支給月が6月であれば、賞与支給日前に退職することになります。
しかし、就業規則で明確な規定が無いならば、賞与相当分を比例案分して受給でき、4月と5月の2ヶ月分が相当し、本来の賞与6ヶ月分の1/3を受け取ることができます。
年俸制で途中入社を考えている際に注意するべきポイントとは
年俸制で中途で入社する場合に、注意するべきポイントがあります。
残業代の精算や評価がおかしいブラック企業ではないかどうか
一番注意すべきことは、ブラック企業であるか、ないかの見極めです。
特に残業代がネックとなり、本来であるならば残業代は年俸とは別に発生するものですが、企業によっては「みなし残業」として、残業代を年俸に含めているところが多数あります。
実際には、極端に多くのサービス残業をさせられているブラック企業でないか、注意する必要があります。
年間を通してモチベーション高くその仕事はできそうかどうか
また、年間を通じて、モチベーションを維持して仕事をできるか、という点も重要なポイントです。
いかに大きな成果を出しても、反映されるのは翌年以降です。
年間を通してモチベーションを高く保ち続けられる仕事であるかどうか見極めるようにしましょう。
実際の労働時間に換算して損をしてないか考える
年俸が適切であるかを判断するためには、実際の労働時間で換算して年俸を評価してはどうでしょうか。
残業時間や休日出勤が多数あり労働時間が長時間である場合や、歩合の収入の方が高い場合など、換算して計算することが有効です。
まとめ
年俸制で途中入社した場合、評価や査定が入社時期により影響される場合があります。
また、ブラック企業である可能性もあり、入社を決める前に、その実態を把握し、納得の上、入社を決められることをお勧めします。
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