【二重派遣が禁止されている理由】具体例や請負との違いなどについてもご紹介

二重派遣のように人間の又貸し状態が頻繁に行われていますが、二重派遣は法律で禁止されている行為であり、絶対にやってはいけない行為です。

労働者派遣の定義について

労働者派遣の定義は「一般的な企業と労働者が1対1で行う雇用関係ではなく、派遣元(派遣会社)、労働者、派遣先の3者で行う雇用関係を結んだ人」のことを指します。

二重派遣の定義について

二重派遣の定義は「派遣元から受け入れた労働派遣者を派遣先で業務に就かせるのではなく、さらに違う企業に派遣させる行為」のことを指します。

不動産から借りている家を、違う人に家を貸す等の又貸しと同じイメージになります。

二重派遣が横行する背景について

二重派遣が横行している理由は、深刻化する人材不足が原因といわれています。

ですが、二重派遣が横行している理由は、人材不足だけではありません。

取引先との力関係によっても、二重派遣を横行させる理由になっています。

基本的に労働基準法を厳守して、労働者と雇用者は仕事を行わないといけません。

ですが、法律を厳守することで、業務が不効率な結果が出る場合に、力関係が上の取引先からの求めに応じることで、人材を派遣してしまうという背景があります。

また、人材派遣会社自体も、人材不足による管理不足が原因で、現状を把握することが難しく、「二重派遣を阻止できない」といった状態が当たり前となっています。

二重派遣は、法律で禁止されている行為で、二重派遣が明るみに出た場合は厳しい罰則があります。

労働者側としては仕事がまったくない状態よりは、仕事があった方がマシと感じる方もいると思いますが、二重派遣によって、雇用関係が複雑になり労働者側にはメリットは何もありません。

この章では、二重派遣が禁止されている理由について紹介します。

二重派遣が禁止されている理由について

二重派遣が禁止されている理由は様々あります。

一般的に派遣社員は、派遣元・派遣先・労働者の3者で取り決めた労働契約によって業務を行います。

ですが、二重派遣の場合、派遣先と二重派遣先との契約を行うので、業務委託と労働派遣契約どちらなのか、線引きができない事も多いです。

また、万一、給料未払いや事故・怪我などのトラブルが発生した場合、「誰が責任を取るか」という責任問題の所在も曖昧になり、責任の擦り付け合いが始まります。

そのため、二重派遣のトラブルは、労働者が泣き寝入りをする事が多く、労働者に多くの不利益が生じる為に禁止されています。

二重派遣を行った際の罰則について

二重派遣の罰則は、「1年以下の罰則または、100万円以下の罰金」という罰則が課せられます。

罰則の対象は、二重派遣を行った企業が罰則の対象となり、労働者は罰則を課せられる事はありません。

二重派遣に該当する具体例を紹介します。

株式会社キャリアシップの二重派遣問題について

2018年に二重派遣を行ったとして、2018年3月~2018年5月まで、派遣事業の停止命令を受けました。

ですが、派遣業務停止命令を受けている期間中に、40社を超える企業に対して労働派遣を行ったとして、再度派遣業務停止命令を受けました。

IT業界における二重派遣問題の事例について

IT業界では、新しい働き方が取り入れられる事が多く、フリーランス(個人事業主)も増えています。

そのため、フリーランスの人を業務委託で受け入れた後に、違う企業に派遣するといった、二重派遣が横行しています。

特にIT業界では二重派遣が多いと言われているので、注意が必要です。

派遣・請負・出向は似ているようで、似ていません。

この章では、この3つの違いについて紹介します。

請負の定義について

仕事の完成を目的としています。注文者と請負者で契約を行い、注文者と労働者には、業務を命令する「指揮命令権」は存在しません。

出向の定義について

出向元と出向先に金銭のやり取りは発生しません。指揮命令権は出向先にあります。

また、以下の4つに該当する場合が出向になります。

• 労働者を退職にせずに、関係する会社に雇用機会を確保する

• 経営指導や技術指導の実施をする

• 職業能力開発をの一環として行う事

• 企業グループの交流の一環として行う事

派遣・請負・出向の違いについて

派遣・請負・出向の違いは、トラブルがあった場合に「誰が責任を負う事になるか」という事が明確になっています。

また、そのため「指揮命令権」も明確になっており、労働者が安心して働ける環境を確保する事ができます。

二重派遣を防止するためには、正しい労働契約を行う必要があります。

この章では、二重派遣を防止するための契約方法について紹介します。

法的に問題のない正しい労働契約の方法について

労働派遣者は、新しい派遣先が決まるごとに雇用契約を結ぶ一般派遣が多いです。

そのため、派遣元企業と派遣労働者の結びつきが弱く、二重派遣になりやすいという問題があります。

派遣元が常時雇用している労働者を派遣する「特定派遣」のほうを選択するのが、二重派遣を防止が規定できる方法です。

二重派遣を行う理由は企業によって様々ですが、根本的な問題は「取引先との力関係」と「深刻な人手不足」です。

人手不足を補う為に、外国人労働者の受け入れなど、対策をとっている企業も多数ありますが、人手不足を改善できるほどの成果をあげる事はできていません。

労働者が安心して働ける環境を整えるには、人手不足の解消が目下の課題だといえます。