
【看護休暇とは?】公務員と民間企業での違いや不正取得事例をご紹介
皆さんは「看護休暇」というものをご存知ですか?子供が病気や怪我をしたときに使え、法律で取得が認められている休暇です。民間企業では有給扱いされない場合があるのに対し、公務員では原則有給扱いになります。この記事を読んで、ぜひ内容をしっかり把握してみてください。
公務員は有給!看護休暇の実態
看護休暇はあまり知られていないかもしれませんが、子どもがいる家庭にとって非常に有益な休暇です。
特に公務員の場合は原則有給扱いになるため、非常に利用しやすいでしょう。看護休暇とはどんなものなのか、公務員にとってなぜ有用なのか解説します。
看護休暇とは?
看護休暇とは、子どもの病気やケガ等が必要になった際に利用できる休暇のことです。育児・介護休業法にという法律に基づいて決められています。
似たような休暇としては介護休暇が挙げられます。しかし介護休暇は、要介護認定されている人を介護する人が対象です。
一方、看護休暇は子どものいる人が取得対象になります。取得できる子どもの年齢や日数に制限がある場合はありますが、介護休暇よりも取得のハードルは低いでしょう。
あくまでも子供の病気やケガを理由に取得できる休暇と認識してください。
取得できる日数
看護休暇の取得可能な日数は子ども一人につき1年間に5日間です。
対象年齢の子どもが2人以上いる場合の取得日数は、1年間で最大10日間となります。
3人以上子どもがいても取得できるのは10日が限度となり、それ以上の日数は取得できないという点は注意が必要です。
利用できる条件
看護休暇が利用できるのは、小学校へ上がる前の子どもがいる人です。父親でも母親でも関係なく取得できます。
ちなみに有給休暇は時季変更権というものがあります。これは、有給休暇を取得する際は、繁忙期を避けて欲しいと会社から依頼する権利があります。
しかし、看護休暇には緊急的に取得するという性質があるため時期変更権がありません。そのため会社から取得を拒まれることがありません。
ただし、入社から6ヶ月未満、1週間の労働日数が2日以下の人については、会社によっては取得できないことがあります。
参考:パート労働ナビゲーション|パート社員を雇う際のルールを知りたい|労働時間・休暇
公務員の休暇事情
では、公務員の休暇事情についてもご紹介をさせていただきます。
有給取得の実績
年にもよりますが、地方公務員の平均取得日数は11日程度です。また、国家公務員は14日ほどと言われています。
年間に付与される有給されるのが20日なので、地方公務員はその半分程度を、国家公務員は75%程度を平均的に取得している状況です。
一定の有給消化ができているということが読み取れます。
時間休制度
公務員の有給休暇には民間にはあまりない形の有給休暇があります。それは時間休というものです。
通常民間企業ででは半休といって半日休めるような有給はありますが、時間休は1時間単位で取得できる制度です。
一日の労働時間が8時間であれば、2時間の時間休を4日間取得できます。朝や夕方に少しだけ職場を抜けるような休み方が公務員の方にはできるというわけです。
子どもの送迎や通院で少しだけ抜けたいと考えている人に役立つ制度といえます。
休暇の種類
公務員で取得可能なの休暇は下記になります。
- 夏期休暇
- 年末、年始休暇
- 看護休暇
- ボランティア休暇
- 結婚休暇
- 忌引休暇
- 傷病休暇
- 介護休暇
- 産前、産後休暇
- 育児休暇
もちろん会社にもよるので一概には言えませんが、割と民間企業で取得できる休暇と大きくは変わらないと言えます。
ここでJobQで寄せられた、休暇に関連する質問を併せて見てみましょう。
在宅勤務をする社員でも有給休暇を取得することはできますか?
勤続6年で正社員ですが1週間のうち週2日は出勤し、残りの3日は在宅勤務です。
これまで一度も有給休暇を取っていないのですが(取れない雰囲気の会社だったため)退職する際に、取らなかった分の有給休暇まで取ることが可能でしょうか?
もし取れるのなら退職時に何日分を請求できるのでしょうか?
厚生労働省の在宅勤務ガイドラインに、在宅勤務でも労働基準法等は適用されると明記されています。
有給休暇は労働基準法で定められた労働者の権利なので取れます。
退職が決まってても取れます。まぁ、…続きを見る
看護休暇は有給か?
では、看護休暇は有給として取得できるのかという点について言及していきます。
民間企業は会社による
民間企業においては、看護休暇を有給で取得できるかどうかは会社によります。なぜなら、看護休暇を有給にしなければならないという法律がないからです。
実際、大半の民間企業の従業員は看護休暇を取得せず有給休暇で賄っているのが現状です。
看護休暇が一般的に浸透していないのは無給だからかもしれません。
公務員の看護休暇は有給
民間企業の看護休暇が有給か無給か会社によって異なるのに対し、公務員は有給として取得できます。
看護休暇の取得しやすさという点では、公務員の方が有利といえそうです。
公務員による看護休暇の不正取得
公務員は合看護休暇を有給として取得できますが、それゆえに不正取得が行われるケースもあるようです。
それでは、看護休暇の不正取得をした実例を紹介します。
千葉市職員のケース
30代の県職員が友人と遊ぶために複数回の看護休暇を取得しており、内部調査の結果、看護休暇中のTwitter投稿から看護休暇の不正取得が発覚したというものです。
この職員は3ヶ月の停職処分となりました。
参考:職員による特別休暇の不正取得等に関する懲戒処分について
看護休暇を不正取得するケースも多い
千葉県以外にも公務員が看護休暇を不正取得をしているという事例が報告されています。
看護休暇は自由に使える有給とは異なり、子どもの看護を目的に取得するものです。
全ての人が不正取得をしているのではないかと疑われないよう、条件を満たした休暇の使い方が求められます。
平成29年の改正による公務員の看護休暇
半日単位で取得が可能に
これまでの看護休暇は1日単位でしか取得ができませんでした。しかし、予防接種や軽度の症状に対する診察等であれば1日は必要ありません。
平成29年の法改正により半日取得が可能となったため、現在では子ども一人当たり最高10回の看護休暇を取得できます。
また、今までは就学前の子どもの看護が取得対象でしたが、小学校3年生修了まで取得を延長できるよう検討が進んでいます。
今後、ますます看護休暇の取得がしやすくなるでしょう。
参考:
子の看護休暇・介護休暇の時間単位取得について
子供の看護休暇「小3まで」に拡大へ 厚労省 - 産経ニュース
まとめ
看護休暇は民間企業ではかならずしも有給休暇となっていないため、民間企業では取得しにくい制度です。
しかし、公務員は有給扱いのため、非常に取得しやすい休暇といえます。
平成29年の法改正により、半日取得が可能となりさらに取得しやすい休暇となりました。
子育てをしやすい環境を実現するためにも、正しい看護休暇の使い方が求められます。
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