【逆パワハラとは？】通常のパワハラとの違いや求められる対応

逆パワハラという言葉をご存じでしょうか。今マネジメント層の方々にとって頭を抱えるような問題となっています。

では、逆パワハラとはどのようなものか、どう対処すればいいのかを本編では説明をいたします。

ここでは、逆パワハラについて定義し、その実態をお伝えいたします。

パワハラとの違いは？

パワハラとは上の立場にいる人間がその権力を利用して下の立場の人間にに対行う嫌がらせのことを指します。

対して、逆パワハラとはパワハラとは逆のベクトルの構造です。つまり、下の立場の人間が上の立場の人間にに対して行う嫌がらせ等の行為を指します。

実際、この逆パワハラに関する裁判も起きており、社会的な問題になっているのです。

下の立場の違いを利用する

では、なぜこのような逆パワハラが成立するのかというと、その根底にはパワハラが前提にあるからです。

一般的に上の立場にある人間で良識があれば、自身の行為がパワハラにあたるのかを気にしますし、自分の振舞いに無頓着な人間であってもパワハラだと言われたら自分の地位を案じるのが普通です。

その状況を利用して下の立場の人間はパワハラをちらつかせ下の立場の人間は上の立場の人間に嫌がらせを行うことが可能となります。

以上のことから、逆パワハラは下の人間であるという立場を利用した一種の弱者権利を振りかざした行為であると言えます。

逆パワハラの例とは

具体的にどんな逆パワハラがあるのかという事例についてもお伝えします。

多くの逆パワハラの事例は以下の3点です。

・無視
・パワハラをちらつかせる
・パワハラの既成事実を作る

まず、一番簡単に行える逆パワハラは無視です。挨拶はもちろんのこと、日々の業務に関する指示までも無視するケースもあります。

また、上の立場の人間が何かしら言葉をかけた際にパワハラだと伝えたり、時に飲み会に参加した次の日に会社側へパワハラだと訴えられたなんて話もあります。

逆パワハラの方法は色々あるのです。

上述でも少しで触れましたが逆パワハラをされる際にどのような言われ方をするのかという点についてお伝えします。

実力主義で部下に劣る場合

部下の方が上司よりも知識、経験があり、仕事ができるような人材もいます。特にIT関連については部下の方が強いというケースも少なくなりません、

その結果、「なんでこんなことができないのですか？」や「上司なのに大丈夫ですか？」といった蔑みを受けるようなことを言われます。

部下に地位がある場合

一般的に地位が下であれば、発言力も無いというのが普通ですがブラック企業問題が横行して以降は立場が上の人がパワハラを非常に気にするようになりました。

結果立場が下の人が弱者権力を持つようになりました。

結果何か上司が何か注意、指導したら「パワハラじゃないですか？」や会社の人事に「パワハラされました」みたいなことを言ったりする傾向があります。

集団での言い方

逆パワハラは1対1とは限りません。1対複数もあります。そして、この構造が集団心理から、1対複数の逆パワハラ構造を生んでいます。

では、集団で面と向かって何かいうかと言うと特に何も言いません。無視や陰口が横行します。

「赤信号みんなで渡れば怖くない」ではありませんが、それがエスカレートし、「使えない上司」や「辞めればいいいのに」と言ったことを聞こえるように陰口で言われたりします。

また、逆パワハラは未だに増え続いています。なぜ増え続けているのかという背景についてお伝えいたします。

研修が逆効果

各企業は社内のパワハラ対策の一環として「ハラスメント研修」を充実させるようになりました。

結果、「パワハラ」という声を上げやすくなり、その挙げ句、労働者が権利ばかり主張し本来のパワハラではないことまで「パワハラ」と言える空気が出来上がってしまいました。

逆パワハラもその流れでできるようになったのです。

上司より部下のほうが人数が多い

上述でも触れましたが数の論理は集団心理を生み、権力を作り出してします。

結果、逆パワハラを産み出しやすい構図ができあがるのです。

業務を振る際の言い方のあげ足取り

こうして、「パワハラ」といえる空気感と集団心理をが相まって上位者に悪い意味でなんでも言える状況が出来上がります。

結果、マネージャーの仕事である業務の割り振りにも揚げ足取りが出来るような状況が出来上がりさらに逆パワハラの温床になっているのです。

では逆パワハラに対抗するためにどうすれば良いのかについてご紹介いたします。

部下と距離を考える

まず、部下との距離感を近づけないようにし、部下との立ち位置が違うということを明確にすることが必要です。

前提として逆パワハラが起きる背景はパワハラを盾にして上司と部下の立ち位置が変わっていることです。

しかし、裏を返せばパワハラの盾さえなければ上司と部下の力関係は戻ります。

そのため、部下のパワハラには極力反応しない、毅然とした態度を見せるという姿を見せる、部下に付け入る隙を与えないようにしましょう。

しっかり上司と部下の立場を明確にしようとする意識が大事です。

気を遣う必要性

逆パワハラをする部下は仕事が出来るかもしれませんが、所詮部下です。

マネジメントができる訳ではありません。そのため、部下が仕事ができようが自分が上司ということを自覚し、必要以上に気を遣わないようにしましょう。

更に上司にも相談を

どうしてもなんとも出来ないのなら上司に相談すべきです。相談することは恥ずかしいことではないし、相談することで打開策が見いだせます。

悩みをかかえないことも大事なことなのです。

苦痛を与えていればパワハラ

まず、大事なことは逆パワハラを受けているときはちゃんとその事実を認識しましょう。

では、どう逆パワハラを認識するのかというと、自身が苦痛を感じたらパワハラです。

厚生労働省は、パワハラを『同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為』と定義しています。

上司と部下との地位逆転を証明するのは難しいですが、少なくとも「業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」であるならばそれは自分のなかでは間違いなくパワハラだと解釈して差し支えありません。

一人で抱え込まない

逆パワハラを受けた、またそれを感じたら直属の上司などに相談しましょう。

間違いなく一人で抱えることは得策ではありません。そのことは肝に命じてください。

しっかり証拠を残す

逆パワハラに該当すると、法的に訴えることもできるケースもあります。

しかし、逆パワハラが認められるのは業務の範囲の行為の中のことでないと認められないですし、何より上述でもお伝えしたように「職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性」の証明も必要です。

ただし、裏を返せばどこで逆パワハラが証明できるかわからないので、とにかく証明をとりましょう。

裁判の証拠としては日時と出来事を記載しておけばメモも証拠としては採用されるケースもあります。

しっかり受けた逆パワハラの事象の記録をつけていきましょう。

逆パワハラはマネジメントをしている以上誰にでも起こり得ます。

そのことをまずは認識しましょう。その上で逆パワハラを受けたら毅然として振る舞う、どうしようもないなら周囲に相談するというのが大事です。

パワハラをしてはなりませんが、必要以上気にしない、いざとなったら、身を守るための方法を認識してマネージャーとして活躍していただきたいです。