
【役職定年制のメリット・デメリット】年収や年齢との関係性は?
皆さん、「役職定年制」についてご存知でしょうか?役職定年制は、人事院が2008年に調査した「民間企業における役職定年制・役職任期制の実態」によると、役職定年制は1980年頃から導入され浸透し始めた、グローバル社会で会社を成長させるための一つの手段です。今回は役職定年制のメリット・デメリットや退職金についてなど、詳しくご紹介いたします。是非、ご参考にしてみてはいかがでしょうか?
役職定年制とは?
それでは最初に役職定年制について、制度が導入された背景や狙いなどの経緯についてご説明いたします。
役職についている社員に設けられる人事制度
会社の中は競争社会です。
一般職から始まり、選抜試験などで認められれば管理職に昇格します。
管理職の次が役員ですが、役職定年までに昇格しなと役員にはなれません。
役職定年を設けることで管理職に刺激を与えることができます。
刺激は部門を活性化させ、結果的に会社全体を成長させていきます。
役職定年制はグローバル社会で会社を成長させるための一つの手段です。
役職定年制の成り立ち
人事院が2008年に調査した「民間企業における役職定年制・役職任期制の実態」によると、役職定年制は1980年頃から導入が浸透し始めたようです。
導入のキッカケになったのは、
①55歳定年制から60歳定年制への移行する際に、組織の活性化の維持、人件費の増加の抑制のため。
②高齢化に伴うポスト不足の解消などのため。
の2点と紹介されております。
役職定年の年齢
それでは役職定年を導入している企業の定年年齢はどれぐらいなか、各企業の役職定年年齢を調べてみました。
55歳で役職定年が8割を超える
まず、日本企業の代表であるパナソニック社は55歳前後で役職定年のようです。
また国際的な企業の代表であるソニー社は事業部長以上が57歳、統括部長が55歳、担当部長や統括課長は53歳と日経新聞での紹介がありました。
IT企業においてもソフトバンク系のワイモバイル社は転職サイトの記事紹介で50歳が課長、55歳で部長が役職定年と記載されております。
これらから企業形態問わず大体55歳を役職定年年齢としているようです。
データは少し古いですが、先ほど紹介しました人事院「民間企業における役職定年制・役職任期制の実態」にも役職定年年齢は55歳を導入している企業の割合が最も高いと報告されております。
就業規則で年齢を規定している
役職定年制度は就業規則を改定し役職定年年齢を規定するのが基本です。
但し、役職定年制度だけを規定して年齢まで具体的に規定していない企業も見受けられます。
このような場合は、企業の業績状況や事業の集中と選択など、経営の判断により55歳より早く定年になる場合があります。
役職定年制のメリット・デメリット
それでは具体的に役職定年制の企業側と従業員側のメリット・デメリットについて説明いたします。
メリット
まず企業側のメリットは「役職定年制の成り立ち」で説明した①人件費の促成、組織の活性化②ホスト不足の解消、となります。
1986年~1991年のバブル期で賃金が高騰しバブル崩壊後に人件費が企業を圧迫しました。
やはり役職定年制は人件費の抑制が最大のメリットです。
次に従業員側のメリットですが、人生を明確に定めている役職者には早期退職制度を利用して新たな人生に進むことができるので、役職定年制はメリットになると思います。
役職定年制と早期退職制度をセットにしている会社は多くあります。
例えばパナソニック社の場合も役職定年対象者には再就職先を斡旋する制度が用意されてる記事が紹介されております。
管理職になれば、役職定年年齢になる数年前に自分が昇格できそうか定年になるか何となくわかります。
もし次の明確な人生を定めているならば、準備期間は十分にとることはできますし、初期費用も確保することができます。
デメリット
従業員が財産である企業側としては、やはり人員の流出が最大のデメリットです。
役職定年を機に何十年間もノウハウを蓄積したベテランが退職を決断し、去っていくのはは痛手です。
若手育成にはベテランの力が不可欠であるし、もし退職者が競合するような会社に入社されたら大きな痛手となります。
一方、従業員の最大のデメリットは年収の減額です。また役職定年になることで受ける精神的なダメージも大きなデメリットで、これらのデメリットについては次で詳しくご説明いたします。
役職定年制で年収はどうなるか?
役職定年になるということは身分が切り替わる、ということです。
身分が切り替わることで、物質面の変化は年収が減額されてしまうことです。
それでは役職定年による年収の変化についてご説明いたします。
役職定年後は年収がダウンする
給料は身分切り替えにより翌月から影響をうける場合があります。
少なくとも役職低当ては見直されますし、基本給や他諸手当の見直しの対象になるため、年収はダウンします。
平均して3割ダウンと言われている
先程の人事院の資料によりますと役職定年後の年収は定年前の約3割ダウンと報告されております。
定年前には1,000万円の方は定年後に700万円なります。
年収700万円でも十分生活できますが、元の1,000万円生活は維持できません。
年収減額を想定して最低でも一年前、できれば二年前から生活スタイルをゆっくり変化させておくことが必要です。
退職金はどうなるか
役職定年は管理職の職務が終わったということで会社生活が終わったわけではありません。
退職金の計算方法は就業規則で規定されていると思います。
役職定年で年収は下がりますが、通常退職金の算出方法には影響を及ぼさないと考えられます。
役職定年制による早期退職
先にも述べましたが、役職定年制と早期退職制度をセットにしている会社はあります。
早期退職についてご説明いたします。
役職定年による早期退職者が減少傾向の理由
日本社会全体が活性化している時代は、早期退職制度を活用して割増し退職金を得て、別の仕事を始める人もいました。
また蓄積した技術をアピールして転職活動を行い、今いる会社の年収の同等以上で転職していく人もいました。
しかし今の時代は技術の変化とスピードが早く、特別な資格、技術がない限り別の会社へ移ったとしても年収は下がります。
また、退職金が割増しされても、福利厚生や社内ネットワークを最初から作ることを考えると、今いる会社で仕事を継続したほうがトータルで考えるとメリットが多く、早期退職を希望する人は減少傾向になってきております。
モチベーションを保つ秘訣
役職定年になりラインから外れ一従業員になって仕事を開始しても、まわりの元部下とどのように接してよいか分からず、結果的に自分の身の置き場を作ることができずに悩まれる人がいると聞かれます。
この悩みを解決する一つの秘訣は役職者時代自分と決別することです。
決別する手段の一つに、周囲の人へ自分の新たな考えを宣言する方法があります。
具体的な例を紹介しますと、役職定年した場合に部門で慰労会が開かれることが多くあり、この慰労会の場で宣言する方法です。
慰労会の最後は通常、主賓の挨拶になりまうのでここで新たな自分を宣言します。
宣言する内容としては、今までの業務はリセットすることや今後取組む仕事内容や意気込みなどを全員の前で宣言するとよいと思います。
宣言した結果、自分も一緒に仕事をする若手もやりやすくなると思います。
宣言することで自分の立ち位置をはっきりさせて、目標を定めることができます。
目標を定めることで、今まで通りモチベーションを保つことができると思います。
まとめ
役職定年を単なる会社の制度ととらえず、一度自分を見つめ直す時期が来たと考えて、これからの自分の人生選択をどうすべきか考えてはいかがでしょうか。
もしご本人や親族、友人が近い将来に役職定年を迎えることで少し悩んでいるならば参考にしてみてください。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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