
【能力主義に基づく制度?】職能資格制度の意味や問題点などご紹介します
皆さん、「職能資格制度」についてご存知でしょうか?職能資格制度とは、人事制度の形態の一つで、能力主義に基づく制度のことです。社員をその職務遂行能力の発展段階に着目し、ランク付けし、応じた処遇を決定します。今回は、職能資格制度のメリットやデメリットなどについて、詳しくご紹介します。是非、ご参考にしてみてはいかがでしょうか?
職能資格制度とは
職能資格制度の意味とは
さて、職能資格制度とはどのようなものなのでしょうか。
職能資格制度とは、人事制度の形態の一つで、能力主義に基づく制度のことです。
社員を、その職務遂行能力の発展段階に着目してランク付けした上で、それに応じた処遇を決定します。
ランク付けしたものを職能等級または職能資格と呼び、それぞれのランクには1等級や2等級といった名称、主事や参事といった資格名称がつけられます。
また、資格等級の上昇を昇格、役職位の上昇を昇進と言います。
職能資格制度の歴史
人事制度は時代とともに大きく変化してきました。
それぞれの時代における人事制度とその背景をご紹介します。
1950~1960年代:高度経済成長期
急激な高度成長が始まり、慢性的な人材不足に陥った企業の間では採用競争が激化しました。
金の卵と呼ばれる中卒の若年労働者は地方から都市部へ集団就職するようになった一方で、大企業では新卒採用において大卒者を確保するために青田買いを進めるようになりました。
このような時代背景のもと、企業は採用力強化を見込んで特に以下に代表される3つの制度を導入し、これらは日本型経営システムの三種の神器として日本の経済成長を支えました。
終身雇用:安心して働くことのできる環境作り
年功序列制:勤続年数に比例して賃金が増額する
企業内組合:労働者が団結して権利を確保する
1970~1789年:安定成長期からバブル経済まで
年功序列制が根付いたものの、年功序列制は学歴、勤続年数、性別を基本的な骨格としており、勤続年数ごとに習熟度が上がるという仮定のもとの制度であったため、必ずしも公平な人事評価であるとは言えませんでした。
そこで、導入されたのが職能資格制度です。
先ほど説明した通り、職能資格制度とは社員が保有する能力を等級に分けて格付けし、昇給や昇格、給与などを決定するシステムです。
年功序列制を主としながらも、職能資格制度に基づいた賃金の差を反映させることで、社員のモチベーション向上に貢献しました。
1990~2004年:バブある崩壊から失われた10年
バブル経済の崩壊に伴って、企業は経営の効率化を求められるようになりました。
アメリカ型成果主義を導入する企業が相次いだり、リストラや早期退職制度、選抜人事など、高い業績をあげる人材に経営資源を集中させるような組織再編が多くおこなれるようになりました。
2004年~:長期化するデフレ不況
デフレが定着し、経済の低迷が続く一方でグローバル化や少子高齢化も加速しました。
1990年代に導入された成果主義は見直しが進み、単一の成果だけでなく、複数の評価を組み合わせる新成果主義へと移行する企業も増えました。
職能資格制度は優れているのか
職能資格制度のメリットとは
職能資格制度のメリットは
- ゼネラリストを育成しやすい
- 長期間での人材育成に最適である
-
人事異動や組織改編を行いやすい
などというものが挙げられます。
職能資格制度の能力判定においては、全ての職務に関連する能力が対象となり、特定の分野に関するものではないため、ゼネラリストの育成に繋がると考えられます。
それに関連して、人事異動や組織改編もしやすくなります。
職能資格制度のデメリットや問題点とは
一方デメリットとしては
- 能力を評価する基準が抽象的で曖昧である
- 人件費の高騰に繋がる
-
年功序列に陥りやすい
といったものがあります。
高度経済成長期には人件費が特に注目を浴びることはありませんでしたが、バブル崩壊後は人件費が企業業績を圧迫するようになりました。
派遣社員や契約社員、アウトソーシングも活用されるようになり、人件費の高騰に繋がる職能資格制度は時代にあった制度とは言えない状況になりました。
職能資格制度と職務等級制度の比較
職務等級制度とは
さて、職能資格制度と似た言葉の一つに職務等級制度というものがあります。
これは、従業員の担当している職務のレベルに応じて賃金を決定する制度のことです。
特に欧米で導入されており、職務レベルと市場賃金相場をベースに給料を決定します。
日本でも導入が進んでおり、管理職の7割以上、非管理職の5割以上は職務等級制度はそれに近い制度を導入していると言われています。
職能資格制度と職務等級制度の違い
職能資格制度では、社員をその職務遂行能力の発展段階に着目してランク付けします。
一方職務等級制度では、個別の職務ごとに仕事内容や難易度を明確に定義し、それに応じた給与を決定します。
すなわち、職能資格制度は「人」に注目しますが、職務等級制度は「職務」に着目する制度であることに大きな違いがあります。
人事制度の比較
成果主義とは
最後に、成果主義と職能資格制度について見ていきましょう。
成果主義とは、社員の各職域における成果に応じて給与や待遇を決定する人事制度のことです。
成果主義は欧米で一般的であった考え方で、日本にはバブル経済の崩壊やリーマンショックの影響を受けて企業業績の低迷が続いていた時期に導入されました。
職能資格制度と成果主義の違い
それでは職能資格制度と成果主義の人事制度について説明します。
どちらも能力主義であるように見えますので、混乱してしまう方も多くいらっしゃるかもしれません。
職能資格制度では、成果だけではなく行動や能力などの評価を行います。
それをもとに成果が上がるような指導、育成をし、全体の成果を上げていきます。
一方成果主義においては、どのような能力を持っているかよりも、その仕事でどのような成果を上げたかということに着目します。
多くの場合は目標管理という手法を用いて、一定期間における目標達成度を評価し、報酬に反映させます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
以上、職能資格制度とそれに関わる人事制度について説明しました。
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