
【懲戒処分の通知書とは】形式や書き方、例文についてご紹介
皆さんは「懲戒処分」という言葉をご存知でしょうか?就業規則違反などを起こした社員に対して、会社が与える制裁罰のことを指します。この懲戒処分の際には、書類での通知が必要となってきます。今回の記事では、この懲戒処分通知書の書き方や例文、また始末書の書き方や例文について解説していきます。ぜひご一読ください。
懲戒処分には形式に則った手続きが求められる
懲戒処分とは、就業規則違反などを起こした社員に対して、会社が与える制裁罰です。
懲戒処分は厳格なルールに則り適用されるもので、ルールに違反した場合には、処分そのものが無効となってしまいます。
また懲戒処分は社員に重大な影響を及ぼす処分であるため、揉め事にならないように形式に則った手続きを行い、処分を決定する過程をはっきりさせる必要があります。
懲戒処分の旨を知らせる通知書
社員を懲戒処分とする際には、口頭で伝えるだけではなく、書類での通知も必要となります。
通知書には、処分を決定するに至った事実関係や理由、根拠などを明記します。
それらを明確にすることによって、処分を巡っての争いを避けることができます。
懲戒処分通知書の正しい書き方とは?
正しい通知書を書くにあたっては、まずは就業規則を確認する必要があります。
懲戒処分を行う際には、就業規則等のルールに則って行わなければならず、ルールとして明文化されていない処分に関しては、法的に無効と判断されてしまいます。
例えば、遅刻や無断欠勤を繰り返している社員を戒告処分にする場合には、就業規則として「遅刻や無断欠席を繰り返した場合、戒告処分とする」というように、戒告処分とすることを明確に定めている必要があるのです。
戒告(かいこく)や譴責(けんせき)を通知する際の例文
では実際に、戒告または譴責処分通知書の例文を紹介します。
ポイントとしては、以下の内容がすべて含まれていることです。
・従業員名
・社名 or 代表者名
・処分日
・処分の種類(戒告または譴責処分)
・処分の理由
・根拠となる就業規則の条文
・始末書や誓約書を提出するべき場合は、その旨と提出期限
繰り返しになりますが、処分を決定するに至った事実関係や理由、根拠については、特に明確に記述するようにしてください。
以下、通知書の例です。
令和xx年xx月xx日
懲戒太郎 殿
株式会社◯◯◯◯
代表取締役社長 △△△△
譴責書
貴殿に対し以下の通り、懲戒処分としますので通知します。
すみやかに改善し、業務に精励してください。
記
1.懲戒処分の種類
譴責処分
2.懲戒処分の事由
(1)貴殿はxxxx年xx月xx日、(事実関係)を行いました。
(2)貴殿の行為は、就業規則第n条n項n号の懲戒処分の事由「(就業規則上の該当理由)」に該当するため、貴殿を譴責処分とします。
3.始末書の提出
就業規則第n条n項n号に従い、本書受領後1週間以内に始末書を提出してください。
(譴責の処分内容として、始末書の提出が就業規則で定められている場合にのみ記入可能です。定められていない場合は、始末書に関する記述は不可能となります)
以上
誰が見ても事実確認可能な通知書が不可欠
懲戒処分は社員にとって、非常に大きな意味を持つ処分です。
そのため無用な争いを避けるためにも、誰が見ても事実が分かるような通知書を用意する必要があります。
仮に処分について裁判になってしまったとしても、処分の正当性を主張するために必要となりますので、合理性や妥当性などが判断できる、しっかりとした通知書を作成しましょう。
場合によっては、処分を行うに至った経緯を記入する必要もあります。
その際は経緯を含めることで事実確認が可能となるように、明確に記入してください。
なお通知書を本人に渡す際にはコピーを取った上で、確かに本人が受領したという証拠(内容証明郵便での送付など)を用意すべきです。
減給や出勤停止処分には始末書の提出が必須
懲戒処分の中には処分の一環として、始末書の提出が必須であるものがあります。
口頭注意のみの戒告(かいこく)と始末書が必須の譴責(けんせき)
懲戒処分には様々な種類がありますが、比較的軽いものとして戒告(かいこく)と譴責(けんせき)があります。
戒告と譴責は聞き慣れない言葉かもしれないので、まずは言葉の意味を確認しましょう。
戒告とは「過失・失態・非行などを強く戒めること」(「デジタル大辞泉」より)という意味で、譴責は「しかり責めること。不正や過失などを厳しくとがめること」(「デジタル大辞泉」より)という意味です。
戒告は「強く戒める」ため、口頭注意のみにとどまることが多く、譴責は「厳しくとがめる」ため、口頭注意の上で始末書の提出が求められます。
なお戒告が口頭注意のみである場合については、企業によっては戒告を懲戒処分には含めず、譴責を最も軽い処分とすることもあります。
始末書の形式と正しい書き方
懲戒処分として譴責などを受けてしまった場合、始末書を提出しなければならないことがあります。
形式については会社から雛形が渡されるなど、具体的に書き方を指示される場合があります。
その際は指示に従って書きましょう。
雛形や指示がない場合は、始末書を提出する根拠と、原因となる事実、反省を示す言葉を簡潔に記述すると共に、処分を受け入れることと、謝罪の言葉も盛り込みます。
なお、就業規則に従って始末書を提出することも明記する必要があります。
具体的に従う規則も(「第n条第n項」のように)明らかにしましょう。
以下は、始末書の例です。
令和xx年xx月xx日
株式会社◯◯◯◯
代表取締役社長 △△△△殿
◯◯部 ◯◯課 懲戒太郎
始末書
この度、私の不始末により当社に多大な損害を与えることとなり、誠に申し訳ありませんでした。
(事実関係)によって処分を受けたことについて、就業規則第n条n項n号に従い、本始末書を提出して反省すると共に、同第n条n項n号に基づく(処分内容)処分を謹んでお受け致します。
本件に関し社内の多くの皆様にご迷惑をおかけすることとなり、誠に申し訳ありません。
今後ともご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
以上
まとめ
以上、懲戒処分を行う際に必要となる通知書と、譴責処分の際に提出する必要がある始末書についてまとめました。
最近では戒告や譴責処分に関しても、無効を訴えて従業員が裁判で争うケースが増えています。
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