
IT・ICT化に伴う教育の変化を知る
教育業界はこれまで、学習塾を運営していくことで利益を上げてきましたが、IT化の波を受けて新たなサービスがたくさん参入してきました。未だに業界シェアのトップ企業は、学習塾の経営をしていますが、今後ますますIT化が進み、その変化に対応出来る企業が生き残っていくと考えられています。
教育業界のIT化が注目される3つの理由
文部科学省では、今後の教育目標を以下のように定めています。
- 学びにおける時間・距離などの制約を取り払う ~遠隔・オンライン教育の実施~
- 個別に最適で効果的な学びや支援 ~個々の子供の状況を客観的・継続的に把握・共有~
- プロジェクト型学習を通じて創造性を育む ~文理分断の脱却とPBLによるSTEAM教育の実現~
- 校務の効率化 ~学校における事務を迅速かつ便利、効率的に~
- 学びの知見の共有や生成 ~教師の経験知と科学的視点のベストミックス(EBPMの促進)~
参考:文部科学省ホームページ「教育の情報化の推進」
これらの目標を実現するために、教育のIT化を国全体で進める動きが見られています。
これらを踏まえ、教育業界のIT化が注目される3つの理由を確認していきます。
1.技術の進化が進む時代において、必要な人材スキルも高くなっているから
技術の進化が進む時代において、日本が更なる進化を遂げるためには、その分の人材スキルも必要となります。
この技術を促進させるための人材育成、そして育成を手助けする教える人材の確保をしなければならなくなっています。
2.少子高齢化による、人材減少を補うことが出来るから
少子高齢化の加速により、生産年齢人口の減少や社会保障費の負担の増大などの問題が顕著になってきています。
その課題を解決するにあたり、総務省では以下の3点を掲げています。
1.すべての国民が、可能な限り長く健康を維持し、自立して暮らすことができ、病気になっても住み慣れた地域で、質の高い医療・介護サービスを享受できる社会の実現
2.健康な高齢者が、経験や知恵を活かし、現役世代と共生しながら社会参加ができる社会の実現
3.超高齢社会の日本が、解決方策となるICTシステム・サービスの日本モデルをいち早く確立し、新産業の創出とグローバル展開を実現
出典:総務省ホームページ(省略あり)
たとえば、地方においては児童数の減少、先生の不足などを背景にして、学校の統廃合が急ピッチで進んできました。
このために長時間かけて登校を強いられるような子どもたちも増えています。
学力に関する地域格差も問題で、一部地域では学歴低下が無視できない状況になっています。
これを解決するために、たとえば、東京の有名講師の授業をネットワークを介して、全国で受講できるようにならないか……など、さまざまな取り組みがはじまっています。
3.新型コロナの影響で、遠隔授業が受けられる環境が必要だから
昨今の新型コロナウイルスによる自粛期間中で、休校になったり、自宅学習が推進されたり、ということが起きました。
先生も生徒も、自宅学習や遠隔授業になれるまでに時間を要しましたが、これも今後の学習には必要となると考えられます。
教育業界に必要とされる分野と人材スキル
教育業界に必要な分野は「英語」と「プログラミング」
教育業界も新たな市場を開拓していく必要があります。
つい最近までは、小学校に英語が必修化された影響を受けて、どの企業も英語教育に力を入れてきました。
しかし、ついに今度はプログラミングが、授業に導入されていくという情報もあります。
教育業界は文系職と理系職の両方を採用するようになる
IT技術の進化に伴い、求められる人材スキルも変わっていきます。
そこで、文系の学生を採用し続けてきた教育業界は「理系の学生」も採用するようになると考えられます。
これまで、教員免許を持つ人材の採用経験はあるものの、プログラマーを雇用した経験はありません。
したがって、既存の教育業界企業は、プログラミングに詳しい、開発職を採用するようになるでしょう。
今はオンライン学習が主ですが、既に学習塾を持っている場合は、そこにプログラマーを派遣する形で対応することになるとも考えられます。
理系の学生にとっては、採用の窓口が広がるので良い情報かもしれません。
IT化で、教育業界はどう変わる?
昨今は新型コロナウイルスの影響で、学習の仕方も変化していますが、IT化によって、教育業界がどう変わっていくと考えられているのでしょうか。
変化すると考えられている項目を3つほどご紹介します。
1.教科書がデジタル化され、どこでも受講可能になる
タブレット端末やパソコンが一つあれば、その中に教科書の内容を搭載、つまり教科書をデジタル化することが出来ます。
更に、学校や塾にも教科書を何冊も持っていく必要がなくなり、タブレット1つで、一日の授業が完了してしまうことになるのです。
考えられる授業例として以下のようなことが考えられます。
- 外国語の音声をタブレットから流し、発音を録音・確認することが出来るようになる
- 漢字練習では、書き順をしっかり覚えることが出来るようになる
- 図形の展開図をわかりやすく理解できるようになる
そして生徒たちは、通信環境が整備された場所ではいつでもどこでも授業を受けることが出来るようになります。
つまり、自宅学習も充実させることが出来るのです。
2.レベルにあった授業を受けることが出来る
都心の人口増加と地方の過疎化が進むことで、専門知識を有する教員を確保できない問題や、その結果、学力に差が出てしまう可能性があります。
また、不登校や身体の都合で休学する生徒もいます。
遠隔授業が可能となることで、過疎地における学力低下を食い止めることもできるでしょう。
更に、みんなが同じ先生から同じ内容を学ぶという従来のスタイルや、塾での人気講師の授業を人数制限のせいで受けることが出来ない、という状態も無くなるかもしれません。
必修の科目だけでなく、小中高せいでも、大学のように自分の興味・関心のある授業を選ぶことも可能となります。
3.先生の負担が減る
教員は、生徒の成績・出欠・体調等の情報を日々の校務で管理しています。
それらの作業は教員の負担になっています。
そこで、生徒の情報をICTを用いて一元管理することで校務を削減する取り組みがなされています。
例えば、テストもタブレットで回答することで、以下のようなメリットも生まれます。
- 先生はテストの作成時間(人数分の印刷・丸付け等)を削減できる
- 瞬時にクラスの何%が理解しているのかを把握できるようになる
デジタル教材は、紙の教科書・ノートをを必要としないため、省資源化の観点からも意義があると言われています。
生徒における情報も蓄積されて、指導がスムーズにいかない場合はその情報を見れば改善できるようになります。
それにより、教師側も、削減された時間を授業内容の研究に使うことが出来、授業の質も高めることが出来るでしょう。
オンライン学習サービスをご紹介
ITを利用した教育のベンチャー企業を、以下の記事でご紹介しておりますので、興味のある方はご覧ください。
紹介記事
▶【教育ベンチャー】Edtech(エドテック)の注目企業を徹底解説
子ども向けのプログラミング学習サービスは、今後のニーズが見込めるのため、既存の教育業界の企業は対応を迫られると考えられます。
既存の教育業界の企業が手を付けられていない間に、新興勢力である、オンラインでプログラミングを学べる、学習サービスを始める企業が出てきました。
新興勢力であるオンラインプログラミング学習サービスは、これまでなかったサービスです。
このサービスでは学習者はパソコンの前に座り、インターネットを利用してプログラミングを学びます。
講師もオンラインで常駐しており、いつでも質問出来ますし、チャットだけでなく、音声通話やビデオ通話で問題を解決してくれます。
まとめ
今やどこにいてもパソコンさえあれば、学習出来る環境になっています。
そして、少子化に伴い、市場は縮小傾向にあるため、教育業界には、新規事業による新規市場の開拓が必要です。
- 進学のための学習塾で利益を出してきた教育業界は、今後の「小学生の英語必修化」や、「プログラミング授業導入」などの多様化するニーズに応えていく必要があります
- これまで文系の教職を目指していた学生を採用していた学習塾は、様変わりするでしょう
例)英語が堪能な人材が採用されやすい・プログラマーも教鞭をとるということ - オンライン学習サービスが好調なことにも、目を光らせる必要があるでしょう
このように、教育業界にとってIT化のインパクトは大きいのです。
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約90%の質問に回答が寄せられています。
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