
【出向の目的とは】メリットや給与の扱いなどについても解説
会社で「出向」という言葉を耳にする事があると思います。しかし、わざわざ社員を出向させることにどのような目的があるのでしょうか。また、出向することにどのようなメリットがあるのでしょうか。この記事では「出向の目的」について、出向先の解説や給与の扱いについて解説していきます。
子会社に出向させる目的とは?
出向の意味とは?左遷や派遣との違い
出向自体は公務員や民間会社に限らず、どのほとんどの会社に存在する制度です。
国家公務員の場合は数千人もの公務員が出向しており、出向先も省庁間だけでなく、地方・民間と幅広くなります。
地方公務員の場合は国家公務員よりも少し小規模になり、出向先は省庁や各都道府県・市町村、民間などが多いでしょう。出向は目的がキャリアの形成などですから、左遷などとは違いネガティブな意味合いを含みません。
また、派遣と意味が混同されがちですが、これも大きく異なります。出向の場合は出向する人間に出向元が給料を支払いますし、仕事の指示も出向元が行うのです。
派遣の場合は派遣先が給料を支払い、仕事の指示もしますから、ここが出向と派遣の最大の違いと言えます。
出向する人はどんな人がいいの?
国家公務員や地方公務員、民間企業のどの場合にも言えることですが、出向させる人間は能力があり、仕事をばりばりこなせる人間が良いでしょう。
左遷や派遣のように単なる人員調整のためではなく、社員の能力を開発し、出向元と出向先の交流を深めることを目的に行います。
また、出向させた人間の能力が低ければ出向元の信用にも関わりますから、出向させる人材の選択は慎重に行うべきでしょう。
出向期間は3年がおすすめ
一般的に出向というと期間は1~2年ほどに設定される場合が多いようです。
しかしながら、新しい職場の雰囲気に馴染み、仕事に慣れるだけでも1,2年は平気でかかりますから、出向期間は3年ほどを目安にするべきでしょう。仕事内容が大きく異なる出向であれば、もっと長くても良いかもしれません。
ただし、あまりにも長すぎる出向は社員のモチベーションを下げることに繋がりかねませんし、最悪の場合退職という結果を招いてしまいます。
出向することによって会社と従業にもたらされるメリット・デメリット
出向することによって会社と従業にもたらされるメリット・デメリットについてみていきましょう。
若手が出向することによる会社のメリット・デメリット
20代から30代といった若手社員の出向は、人材育成の面で大変重要です。特に規模の大きい企業であれば、子会社や関連企業に出向させ、その会社の仕事内容や社風を知っておくのは良い勉強になりますし、将来企業を支える人材になり得るでしょう。
ほかにも、企業間の交流が深まるというメリットもあります。新規の子会社や取引先に出向させることで、取引やコミュニケーションを円滑にすることが狙いです。注意しなければならない点としては、出向を行うのであれば事前に就業規則を整備しておくべきでしょう。
裁判になり、出向命令権の行使が権利の乱用と判断された判例も存在しますから、社会保険労務士などの専門家への相談は必須です。
若手が出向することによる従業員のメリット・デメリット
これまで述べたように出向というとポジティブな面が多いようですが、社員は親会社から子会社に出向を命じられた場合などはショックを受けるかもしれません。
実際、年齢が若ければ出向元の仕事も完ぺきではないでしょうから、出向先で職場の雰囲気に慣れ、新たに仕事を覚え直すというのはかなりのストレスを伴うことでしょう。
出向先企業によっては引っ越しをしなければなりませんから、人によっては単身赴任になってしまったり、買ったばかりの家を手放さなければならなかったりするでしょう。
しかし、出向は元々、キャリアを形成し、人脈を築くという目的のもと行われるものです。出向元の会社でずっと働くよりも、より多くの経験を得られるでしょう。
出向先から帰ってくる時には役職をつけてもらえるかもしれません。
出向社員が使えない場合の対処法
出向してきた社員の能力が低い場合や、問題ばかり起こす場合、出向先企業の一存でその社員を解雇することは出来ません。ただし、ある程度業務を遂行する能力があり、適切に労務を提供できる社員を出向させるという契約が通常は出向元企業と出向先企業の間で取り決められているはずです。
万一出向社員の能力が低く、勤務態度も悪い場合、契約内容に違反しているということで出向契約を解除できるかもしれません。
そもそも社員を出向させたり、受け入れたりするほどの関係が築かれているのであれば、グループ関係、得意先関係であることが多いでしょうし、出向元会社の対応も誠実なものが期待できるでしょう。
研修目的で出向させることはできるのか?
研修目的で出向させることはできるのでしょうか?
給料を出向元が負担するは可能?
人材育成やキャリアアップを目的とする出向はよくありますし、研修目的の出向もこれに含まれます。
ただし、就業規則などに出向に関する記載があるかどうかは事前に確認するべきでしょう。もしも記載がなかった場合、就業規則を改定するか、出向させたい社員に同意を得る必要があります。
出向のほとんどは出向元の企業が出向社員の給料を支払いますから、この場合も給料の負担は出向元になるでしょう。
出向すると給料は上がる?
元の会社に籍が残る在籍出向であれば、給料をはじめとする社員の待遇はほとんど変わらないでしょう。労働条件や就業規則などは出向元の企業に従うからです。
ただし、出向期間が終わって出向元の会社に戻った際、役職がついたり、昇格したりすることも考えられます。この場合はもちろん給料も上がるでしょう。
厚生労働省の出向の要件
厚生労働省の出向の要件についてみていきましょう。
在籍型出向と労働者供給の違い
出向には在籍型出向と労働者供給の2種類がありますが、在籍型出向の場合、出向元の会社に社員の籍を残したまま、出向先の会社で働かせることになります。そのため、給料の支払いや仕事の指示などは出向元の会社が行うのです。
一方、労働者供給の場合は出向先会社が仕事の指示を行います。
在籍出向の給与の扱いはどうなる?
在籍出向であれば、出向社員の籍は出向元に残り続けることになります。つまり、労働条件や就業規則などは出向元企業のものに従うことになるのです。
そのため給料の支払いは出向元の会社からされますし、社会保険の加入も出向元会社のままというケースが一般的でしょう。
公務員の出向とは?公務員で出向させる目的
公務員の出向についてみていきましょう。
地方公務員の出向先はどこ?
国の省庁や都道府県および市町村、民間企業などが主な地方公務員の出向先です。人材の成長を促し、人脈や交流を作ることが目的としては強いため、出向の対象となるのは若手が多いでしょう。
職員全員のうち希望する職員を出向させる公募形式の場合もありますが、ほとんどは人事課から直接職員へ出向の打診があるようです。
民間から公務員に出向することはある?
民間から公務員に出向するというケースも珍しいことではなく、こうした出向により毎年5000人ほどの人材が受け入れられているようです。
この人数は年々増えているようですが、公務員の定員削減が続き、出向者の戦力に頼っている背景を考えると今後も増えていくと考えられるでしょう。
公務員で出世するタイプはどんな人?
公務員の出向先は国の省庁、都道府県や市町村、民間企業と様々ですが、どこに出向させるにしてもある程度仕事ができる人間でないと選ばれません。というのも、出向職員の働きぶりが出向元の信用に直結するからです。
裏を返せば、出向の打診があった人は日ごろの働きぶりを評価されていると考えてよいでしょうし、出世の可能性も高いでしょう。
まとめ
今回は公務員や民間企業の出向がどのような目的で行われるかを解説いたしました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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約90%の質問に回答が寄せられています。
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