
【年末調整の間違いについて】還付や追徴についても詳しく解説
ニュースや街中で「年末調整」という言葉をみたことがあると思います。納税の手続きはとてもややこしいですが、仕組みを知っておくと大変有利なこともあります。しかし、間違えた申告をしてしまった時はどうしたら良いのでしょうか。今回は「年末調整」で間違えてしまった場合の対応方法について解説していきます。
年末調整の間違いがあったらどうしたらいい?
毎年11月頃から1月末にかけて、会社では年末調整が行われます。給与所得者の所得税を正しい額で納付するためのものです。
従業員は「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」「配偶者特別控除申請書」「給与所得者の保険料控除申告書」を記入します。また、前職の源泉徴収票、生命保険料控除証明書などの書類も提出します。
しかし、もしもうっかりしていて間違ったことを記入してしまったり、記入もれがあったりした場合はどうすればよいでしょうか。
年末調整書類の修正方法
提出する前であれば、一般的な書類での修正方法と同じく、二重線を引いたあと上から訂正印を押します。
そして、上部に正しいものを記入すれば問題ありません。
年末調整完了後に間違いに気づいたら
書類を提出してしまったあとに間違いに気付いた場合でも、修正は可能です。年末調整の最終期限である1月31日までであれば、経理に直接相談し、修正を依頼します。
しかし、時間がない場合や経理のスケジュール上修正が不可能だといった場合には、個人で確定申告をして修正申告をします。
過年度の間違いも再年末調整できる
確定申告では、過去5年分の修正が可能です。これを還付申告といいます。
つまり、確定申告の期限に間に合わなくても修正できるということになります。そのため、例えば昨年度の間違いに気付いたという場合にも諦めなくてもよいのです。
還付申告は確定申告の期間に行わなければならないと勘違いしやすいですが、確定申告の期間に申告しなければならないという決まりではなく、申告した年から5年間に渡って受け付けています。
間違いに気付いた場合にはなるべく早い申告をしましょう。
年末調整のやり直しにより還付となる場合と、追加徴収になる場合
やり直したことで税額が変わった場合には、還付または追加徴収があります。
還付されたり、追徴されるのはどんな時?
還付されるのは「扶養親族の所得を多めに申告してしまった」「保険料を申告し忘れた」などして控除額が増える場合です。
また、追徴されるのは「扶養から外れた人を扶養親族として申告した」「扶養家族の所得を未申告だった」などして控除額が減る場合となっています。
年末調整で追加で徴収されるときの対応
年末調整のあとに控除額が減ることが判明すると、税務署が会社に連絡をして追加の徴収額の納付について通知を送付します。
会社は街頭の従業員から不足分を徴収し、税務署に納付するという仕組みですので、個人で直接払うということではありません。
間違いに気づいた時に確定申告で申請する方法
年末調整で間違ってしまった場合、1月31日までに間に合えば会社に修正をお願いできます。しかし、確定申告で個人的に修正をすることも可能です。
間違いに気付いたのが1月31日の期限直前ぎりぎりになってしまったなどで、経理から修正作業を断られる可能性もあります。
また、修正をお願いすることは可能かもしれないが、お願いすることに気が引けるという場合にも確定申告をする方を選択しても問題ありません。
所得税と住民税の計算
所得税、住民税は年末調整で申告された内容をもとに算出されます。そのため、年末調整を修正するとなると、所得税や住民税は再計算される必要があるのです。
額を少なく申告してしまった場合には「修正申告」、額を多く申告してしまった場合には「更生の請求」をすることになっています。
なお、住民税は市町村の方で計算しますので、確定申告で修正すればそれで修正作業は終了です。
配偶者控除・配偶者特別控除
平成30年度より配偶者控除、配偶者特別控除については変更点がありました。
これまでは「給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書」という書類で申告しなければなりませんでしたが、平成30年度からは「給与所得者の配偶者特別控除申告書」という書類名になっています。
そのため、それまでの方法で申告するのは間違いとなりますのでご注意ください。しかし、間違えたとしても確定申告で配偶者の所得を正しく申告すれば問題ありません。
扶養控除
扶養控除について間違えてしまうこともあります。特に「扶養親族を正確に把握していない」「扶養親族の所得を間違えた」などミスが起こりやすいと考えられます。
この場合も、確定申告で扶養控除の欄を正しく申請し直せば大丈夫です。
控除額については正しく申告しないと損になることが多いですので、間違いがないかより一層注意するようにしてください。
年末調整の間違い、会社と個人の責任の線引き
どれほど注意しても、間違いが起こってしまうことはありえます。
そのとき、会社、個人での責任のあり方はどうなっているでしょうか。
会社としての責任
会社として年末調整を間違えてしまうと、源泉所得税を納付しなかったということで会社には不納付加算税、延滞税という税金が課されてしまいます。
従業員が提出した書類が間違っていたことが原因の場合でも、会社にこれらの税金が課せられることもあります。会社としての責任は大きいと言えるでしょう。
個人として気をつけるべき点
経理がチェックしてくれるだろうという考えで、適当に申告するのはやめましょう。
先ほども述べたように、従業員の申告ミスによって年末調整を間違えたまま会社が提出してしまうとペナルティが課せられることもあります。軽く考えずに、個人として間違いがないかしっかり確認するようにしてください。
年末調整では、普段使わない用語が多々あるなどミスがしやすいと言えます。例えば、年収と所得です。所得と聞くと、給与額のことだと勘違いしやすいですが、1年間の収入から給与所得控除を引いた額を所得と言います。
また、扶養親族について「扶養に入っているのに入っていないとしてしまった」「扶養から外れているのに扶養に入っているとしてしまった」などということもあります。
このように、注意を払わないと間違えやすいのが年末調整です。正しく所得税を払うという目的を意識して、正しく申告しましょう。
まとめ
年末調整の書類を間違えてしまった場合について解説しました。
まず、ミスがないように気を付けることが前提ですが、それでもミスしてしまった場合には確定申告、還付申告をすることによって修正が可能です。
間違えてしまっても慌てずに、正しい税額を払うようにしてください。
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約90%の質問に回答が寄せられています。
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