
【休業手当の条件とは】有給との違いやパートに対する支払い条件などをご紹介
休業とは労働者の申請で労働が免除される日のことです。会社の都合により休業となることもあります。休業の間は給料が支払われないため、生活に困ります。それを防ぐために存在しているのが休業手当です。今回の記事で詳しくご紹介していきます。ぜひ一度ご覧になってみてください。
休業手当について
休業手当とは
「使用者の責任」による休業に対して支払われる手当です。使用者とは、簡単に説明しますと労働者の対義語、つまり事業主や代表取締役などが該当します。広い意味では会社です。
使用者の責任による休業とは例を挙げると、会社の業績悪化による休業やストライキなどです。
ストライキは労働者により休業を余儀なくされていますが、使用者側が仕事を行えないと判断して事前に休業を命じるため、使用者の責任となります。
しかし、就業規則などにより賃金の支払いの規定がないかは必ず確認しておきましょう。基本的には就業規則や雇用契約が「それらが適正と認められる、労働者が適正と認めている」場合はそちらが優先されます。
注意点として、全ての休業に対して休業手当が支給されるわけではありません。
自然災害などで仕事が出来ず休業となることがありますが、この場合は休業手当は支給されません。自然災害は使用者の責任とは言えないためです。
ちなみに、休業補償とは異なります。休業補償は病気や怪我に対する手当です。
休業手当と有給の違い
大きな違いは支給される金額です。休業手当は賃金の60%以上ですが、有給(年次有給休暇)では賃金の100%が支給されます。しかし年次有給休暇には取得日数に制限があるため、常時利用することは難しいです。
会社にもよりますが、年間10日程度です。年次有給休暇の残りが少ないと、病気や怪我の際に賃金を得る手段に困ります。
また、有給と休業手当を同時にもらうことはできません。後述する支給額の上限を考慮して、有給にするか休業手当にするかを選択しましょう。
ちなみに、病気や怪我により休業を余儀なくされると、手当をもらうことができます。それについては後述します。
休業手当の支給条件
休業手当の支給条件はシンプルです。上記にもあるように使用者の責任による休業であれば、パートや派遣の労働者にも支給されます。
休業手当と労働基準法との関係
休業手当は労働基準法第26条に定められています。そのため、使用者が休業手当を支払わなければならない条件を満たしているにも関わらず休業手当を支給しないことは法律違反です。
支給条件を確認しておき、適正な運用がなされているかを確認しておきましょう。
もし時間があれば、労働基準法第26条を一度読むことをお勧めします。非常に短く記載されています。
労働基準法に違反すると罰則が下るため、追及を続ければ使用者も知らぬ存ぜぬを通すことはできません。
休業手当の支給金額
休業手当の支給額は、平均賃金の60%以上です。平均賃金とは、休業手当が支給される前の3ヶ月の平均賃金で計算します。
3ヶ月の平均賃金とは、3ヶ月の賃金の総額を3ヶ月の総日数で割ったものです。時間給を用いて計算する場合は少し異なります。
しかし、1日の一部を休業にした場合、休業手当が支給されないことがあります。その日に働いたことによる発生する賃金が、平均賃金の60%以上と休業手当が支給されません。その日の賃金が平均賃金未満であると「差額」が支給されます。
そのため、会社の指示で1~2時間程休業した場合には支給額の上限のために支給されないことがあります。
そして、休業手当は賃金と同じであるため課税対象です。また、支給されるタイミングは一定期間に1回となります。休業したその日に支給されるわけではありません。
パートの休業手当支払条件
正社員のようなフルタイムの労働者に対して、アルバイトやパートなどの労働者はパートタイムの労働者です。
この記事では、後者を全てまとめてパートとします。パートの人は、休業手当をもらえるのか、条件が異なるのかを説明していきます。
パートに休業手当支払わなければならないか
結論は、パートにも支給しなければなりません。
休業手当が労働基準法で定められていること、パートも労働者であることから支給しないことは法律違反です。
ただし、1日のうち2時間程度を休業と指定された場合は、休業手当の支給額の上限である「平均賃金の60%」のために支給されない可能性があります。正確には、支給額の上限に達したため、支給金額が0円になるということです。
社員とパートの休業手当支払条件の違い
基本的に支払い条件の違いはありません。労働基準法第26条を確認すると分かりますが、違いについて記載されていません。
休業手当は、使用者の責任による休業という条件を満たせば誰でも支給されます。アルバイトや派遣社員の人も例外ではありません。
病気や怪我で休んだ時の休業手当条件ほか
会社の責任の休業であれば、休業手当が支給されます。
では、業務外の怪我や病気など会社の責任と明確に言えないことによる休業では支給されないと不安になるかと思います。しかし、その場合は別の手当が存在します。
病気や怪我で休んだ時の休業手当条件
「休業補償給付」と「休業給付」について説明します。
休業補償給付は、業務上の事由で病気や怪我となり、その療養のために労働が出来ず、賃金が支払われていないことが条件です。支給額は平均賃金の60%です。
休業給付は、通勤が原因の場合に該当します。それ以外の条件と支給額は休業補償給付と変わらないです。
注意点として、4日以上休むことが必要です。最初の3日間は支給されません。この期間は待機期間と呼ばれています。
傷病手当とは
業務と関係ないことによる病気や怪我であっても、支給される手当があります。
それが傷病手当です。健康保険の被保険者が、「業務と通勤外」の病気や怪我で会社を休むことが条件です。
支給額は平均賃金の60%で、1年6ヶ月の範囲で支給されます。傷病手当にも待機期間があるため、最初の3日間は支給されません。
まとめ
会社の都合、怪我や病気で休業せざるを得ないことがあると思います。業務内の怪我や病気は当然ですが、業務外の病気や怪我でも支給される手当が存在します。
その期間、賃金は支払われませんが各種手当をもらうことができます。
労働基準法で定められていますので、条件を満たしている場合は必ず申請しましょう。平均賃金の60%以上は、決して少ない金額ではありません。
あらゆる疑問を匿名で質問できます
約90%の質問に回答が寄せられています。
あらゆる疑問を匿名で質問できます
約90%の質問に回答が寄せられています。