
【通勤手当にかかる消費税】知らなきゃ損?通勤手当の税金周りで課税対象を知る
通勤手当には所得税や消費税はかかるのでしょうか。この記事では、通勤手当の税金事情について解説し、通勤手当に所得税や消費税がかかるのかを明らかにします。通勤定期券と消費税の関係についても、合わせて言及します。しっかりと知っておきたい内容になるので、みなさまぜひご一読ください。
通勤手当の消費税について
通勤手当は賃金に含まれます。
「通勤手当は非課税」ということをよく聞く方もいるかと思います。
いったい何が非課税なのでしょうか?
一般的には、通勤手当は所得税の計算上では非課税、ということを意味します。
では、通勤手当における消費税の取り扱いはどうなるのでしょうか。
消費税は原則的に課税対象
通勤手当の性格は従業員が会社に通勤するのに必要な交通費の実質的な補填です。
交通機関の運賃には消費税が含まれます。
その実費を負担することになるので、消費税法上では課税になります。
そのため、経理処理を行う際には、通勤手当は全額課税仕入れに含めて処理するようにします。
通勤手当の支給のときに
- (借方)旅費交通費 (貸方)現金預金 3万円
という処理の場合は、旅費交通費3万円は消費税の課税対象として、「税込3万円」と考えます。
仮に、会社が税抜経理方式を採用している場合は、「旅費交通費3万円」というのは
- 「(借方)旅費交通費 27.273円」と「(借方)仮払消費税 2,727円」
に分かれることになります。
(消費税率10%として計算)
通勤手当が非課税限度額を超える場合も、全額課税仕入れに含めて処理を行います。
通勤手当の所得税について
所得税は原則的に非課税対象
通勤手当には、非課税限度額というものがあります。
この限度額を超えての支給は、その超える部分に対して所得税等がかかってきます。
本来、通勤手当は会社としても全額を損金化できますし、従業員個人としても所得税等がかからないお金になるので、得です。
そのため、課税対象となると会社としても無駄な支出が増えるし、個人としても年末調整の際に追加納付が発生します。
このような損を発生させないためにも、通勤手当における所得税の非課税限度額について、しっかり見ていきましょう。
電車・バス通勤の場合の通勤手当の上限は月10万円
電車通勤やバス通勤の場合は、通勤手当が1ヶ月あたり10万円以下の場合は非課税になり、所得税はかかりません。
月額10万円を超える分については所得税はかかります。
新幹線は対象外ですが、グリーン車の料金には所得税はかかります。
よって、グリーン車を利用せず、通勤手当が月額10万円以下であった場合は、所得税はかからず通勤手当の全額は非課税になります。
また、タクシーや運転手付きの通勤には通勤手当は認められません。
運転手を会社で雇っている場合は、そのものに対する給与等は経費(損金)になります。
マイカー通勤と自動車通勤の場合の手当について
マイカー通勤や自転車通勤の場合は、片道の距離によって非課税枠が決まり、通勤手当の支給額が非課税枠を超える場合は、非課税枠を超えた分のみ所得税がかかります。
金額をまとめました。
片道の通勤距離 | 1ヶ月あたりの非課税限度額 |
2km〜10km未満 | 4,100円 |
10km〜15km未満 | 6,500円 |
15km〜25km未満 | 11,300円 |
25km〜35km未満 | 16,100円 |
35km〜45km未満 | 20,900円 |
45km〜 | 24,500円 |
※国税庁より
なお、自宅から会社までの距離が2Km未満の場合は、通勤手当の全額が所得税の課税対象になります。
高速道路や有料道路を通行する場合、それが最も合理的な通勤経路であると判断される場合は、高速料金や有料道路の通行料金も通勤手当に含めることができます。
ガソリン代と高速料金や有料道路の通行料金を足した金額が非課税限度額を超えない場合は、所得税はかかりません。
通勤手当非課税限度額と超過
通勤手当の非課税限度額を超えた時は?
通勤手当が非課税限度額を超えた場合は、非課税限度額を超えている金額についてのみ、所得税がかかります。
例えば、月額11万円を通勤手当として支給されている場合だと10万円は非課税で、1万円については所得税がかかります。
通勤手当が非課税限度額を超えた場合の消費税については、非課税限度額を超えていない場合と同様に、通勤手当の全額を課税仕入として処理を行います。
通勤定期券と消費税3パターン
電車通勤やバス通勤をする場合は、定期券を購入するのが一般的ですが、通勤定期券と消費税の関係はどのようになっているのでしょうか。
ここでは、通勤定期券を自分で購入するときの消費税と、通勤定期券が会社から支給されるときの消費税について考えてみます。
通勤定期券を自分で購入するときの消費税
通勤手当が別途支給されず、通勤に必要な交通費が賃金に含まれている場合は、定期代の全額について所得税がかかります。
この場合、消費税は課税の対象にはならず、給与と同じ方法で経理処理を行います。
通勤定期券を支給されるときの消費税
通勤手当が支給されている場合は、会社から通勤定期券を支給されているのと同じであるため、通勤するのに必要な交通費の実質的な補てんになります。
この場合、消費税の取り扱いでは課税取引に該当するため、経理処理をする際には全額課税仕入れに含めて処理するようにします。
消費税値上げ前に購入した定期券の消費税
消費税が増税されると運賃も値上げになりますので、増税前に定期券を購入しておくことが望ましいです。
増税が行われる前の月の月末に6ヶ月定期を購入するのが最も有利であり、有効期限内であれば増税前の運賃で通勤することが可能になります。
ただし、増税直前の月末は駆け込み需要が殺到し、定期券販売を行っている窓口は大混雑しますので、なるべく早めに6ヶ月定期を購入するようにします。
通勤手当の消費税の処理方法は、増税前も増税後も同じであり、課税仕入として処理することになります。
まとめ
通勤手当は従業員が会社に通勤するのに必要な交通費の実質的な補てんであるため、消費税とは関係のない手当です。
よって、通勤手当は全額課税仕入れに含めて経理処理を行います。
所得税に関しては、通勤手当が非課税限度額を超えない場合は、所得税はかかりません。
非課税限度額を超えた金額については所得税がかかります。
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約90%の質問に回答が寄せられています。
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