
【厚生年金への加入条件とは?】労働時間との関係についてなどご紹介
皆さん、「年金」についてどうお考えでしょうか?「働き方改革」が促進され、従来の雇用制度や労働法が大きく見直されつつあり、労働者を守る社会保険制度についても改正が進んでいる状態です。今回は社会保険のひとつである厚生年金に焦点を絞り、その加入要件や保険料ついてなど、詳しくご紹介します。
労働時間と厚生年金への加入条件の関係とは
「働き方改革」が促進され、従来の雇用制度や労働法が大きく見直されつつあります。
その背景もあり、労働者を守る社会保険制度についても改正が進んでいる状態です。
社会保険への加入によって、あらゆる保障を受けられるのは理解できていても、実際に毎月の給与から決して少なくはない額が差し引かれているのをみると、それが将来的にどのような形になるのかを把握せずにはいられないのではないでしょうか。
今回は、社会保険のひとつである「厚生年金」に焦点を絞り、その加入要件や保険料、将来の年金受給額について、まとめてご紹介していきます。
まずは、厚生年金への加入要件について確認しておきましょう。
社会保険の加入対象となる労働時間は週20時間
労働者を守る保障制度としてある社会保険には、健康保険と厚生年金があります。
この社会保険への加入は1週間あたりの労働時間によって義務付けられており、従来は週30時間以上だったものが、2016年10月から拡大され、週20時間以上の勤務をする人が対象となりました。
この変更は段階的で、まずは501人以上の従業員を有する大企業への導入からスタートしました。
加入対象者は将来さらに拡大される見込み
少子高齢化の影響もあり労働人口が大幅に減少していることから、短時間労働者への待遇見直しを法令化することで、多様な働き方を推奨する流れがあり、現在1年以上の雇用見込みがあれば、パートタイムやアルバイトで就業している人でも、社会保険に加入できるようになりました。
今後、さらなる労働力確保のため、この加入対象者をさらに拡大することが検討されており、引き続き注目が必要です。
厚生年金の加入対象になると損をしてしまう?
ここでは、厚生年金に加入することが想定されるマイナスポイントについて確認しておきましょう。
厚生年金に加入すると手取りの給与額は減少する
厚生年金に加入することで、第一のマイナスポイントと考えられるのが、毎月の手取りの給与額への影響です。
厚生年金に加入するからには、その保険料の納付が必要となり、それは毎月の給与から天引きする形で納付されます。
保険料は、定められた保険料率によって決定し、企業と被保険者である本人で折半して負担するという取り決めになっています。
厚生年金保険料率はどのくらいか
実際に毎月厚生年金の保険料としていくら納付しているかは、給与明細に記載されているので、まず確認してみることをおすすめします。
厚生年金の保険料率は、2017年9月まで段階的な引き上げが進められていましたが、現在では最終の18.3%で固定されています。
この18.3%を企業と折半することから、本人負担分は9.15%ということになります。
つまり、月給の約1割が保険料として天引きされているということです。
厚生年金加入で将来の年金額はどう変わる?
ここでは、厚生年金加入による、将来の年金額について確認しておきましょう。
夫婦共に厚生年金に加入していた場合の受給額目安
厚生年金の受給額の計算は非常に複雑で、所得額と加入期間、そして一定乗率によって受給額が変わります。
夫婦ともに厚生年金に加入していた場合で、平均的な給与水準と仮定すると、月収45万円の夫と月収30万円の妻がそれぞれ20歳から厚生年金へ加入しているケースで、月額の厚生年金受給額は合計して30万円程度と考えられます。
妻が夫の扶養範囲内で働いた場合の受給額目安
妻が扶養範囲内で働いている場合は、夫の配偶者として第3種被保険者に該当するという計算方法になります。
ただし、結婚前に1ヶ月以上の厚生年金加入の記録があればその分は受給対象となるため、結婚前分の厚生年金が支給され、もし妻に一切の厚生年金加入履歴がない場合は、当然ながら厚生年金支給はなく、国民年金のみの支給となります。
先述の20歳から勤務を続けた場合と比べ、例えば結婚前に10年間の加入歴があるのあれば、目安として月8万円弱の支給があると想定するとよいでしょう。
手取額だけでなく年金受給額も考慮する
ここでは、厚生年金に加入する上でも留意点について確認しておきましょう。
老後の生活費は年金だけでは足りないケースが多い
人生100年時代ともいわれ、今後老後の期間そのものが長くなることが予想されています。
そのような時代で、現行の年金制度だけで一定の生活水準を維持するのは難しいというケースも考えられます。
例えば、定年までに持ち家を所有せず、賃貸物件での生活を続けているのであれば、都内で2人暮らしを続けていくのは年金だけではかなり難しいということを理解する必要があります。
国民年金を満額で支給されたとして、6万円程度だと考えると、いかに厚生年金が老後の収入に大きく影響するかは一目瞭然と言えるでしょう。
年金額を増やすためには労働時間を増やすという選択も
将来の厚生年金受給額を増やすためには、所得を増やすこと、そして加入期間を少しでも長くするという方法があります。
現在は、70歳まで厚生年金に加入することが可能となっており、今後この制限も緩和されることが検討されています。
老後の生活を安心して過ごすためにも、現役時代そしてまだ働く意欲がある時期に、可能な限り労働時間を増やし、加入期間を延ばすことで、その分厚生年金として支給される額面を増やすこともひとつの方法として考えられるということです。
まとめ
厚生年金は、老後の年金受給額に大きく影響するものだということがわかりました。
所得と加入期間によって年金受給額が変動するということを把握することで、老後に目指すライフプランを実現させるためには、どのような働き方を「今」選択する必要があるのかを明確にすることができます。
先のことだからこそ、まずは現状の家計を見直し、そこから将来目指すライフスタイル、それに必要な資産をひとつずつ計画していくことは、あらゆる可能性を模索できる生産的な作業です。
今を充実させ、納得した働き方を選び取ることで、その積み重ねが将来の安定にも繋がるということをよく理解し、かつ年金制度や労働法などあらゆる社会の変化を意識し続けることで、人生100年時代を謳歌することができるのではないでしょうか。
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