
【年功序列型賃金の基礎知識】メリットやデメリットなど紹介します
年功序列型賃金とは、年功序列制を導入している会社の賃金体系であり、勤続年数が長くなるほど有利になることが特徴です。この記事では、年功序列型賃金の基礎知識を解説し、年功序列型賃金が崩壊している背景を詳しくご紹介していきますので、是非参考にしてみてはいかがでしょうか?
年功序列型賃金の基礎知識
年功序列型賃金を理解するには、年功序列とは対極の成果主義の賃金体系について知っておくことが必要です。
ここでは、年功序列型賃金と成果主義賃金を比較し、両者の違いを明らかにします。また、理解を深めるために、海外の賃金体系についても紹介します。
年功序列型賃金とは?
年功序列型賃金とは、年功序列制の賃金体系のことであり、年功序列型賃金は勤続年数が長くなるほど高くなるのが特徴です。
年功序列型賃金は20代の若手社員の賃金よりも40代のベテラン社員の賃金の方が高く、勤続年数や年齢で賃金が決定します。
成果主義との違い
成果主義の賃金体系は、勤続年数や年齢に関係なく、実績や成果によって賃金が決定します。
何らかの成果を出せば、20代の若手社員でも高額な賃金が支給され、40代の社員の賃金よりも高額になることがあります。
年功序列型賃金では、20代の若手社員の賃金が40代のベテラン社員の賃金を上回ることはなく、この点が成果主義との違いになります。
海外の事情は?
年功序列型賃金は日本特有の賃金体系であり、海外で年功序列型賃金を採用している国はほとんどありません。海外では成果主義が主流であり、特にアメリカの会社は成果主義が徹底しています。
欧州や中国、韓国なども成果主義の賃金体系を採用しており、日本も成果主義の賃金体系に移行する企業が増えています。
年功序列型賃金のメリットとデメリット
年功序列型賃金は勤続年数に応じて賃金が決定しますが、年功序列型賃金にはメリットもあればデメリットもあります。
ここでは、年功序列型賃金のメリットとデメリットについて説明します。
メリット
年功序列型賃金のメリットは、実績や成果といった要素には関係なく、勤続年数が長くなると賃金も連動して高くなることです。
年功序列型賃金は入社して数年程度は低い状態が続きますが、子供の教育費やマイホームの購入などで最もお金が必要になる30代後半~40代になると賃金が高くなります。
これにより、社員は人生設計を立てやすくなり、結婚やマイホームの購入などのライフイベントに備えられます。
企業にとっては、年功序列型賃金を採用すると、優秀な人材を募集しやすくなり、じっくりと時間をかけて教育をすることができます。
社員は定年まで同じ会社で働くことができ、会社への忠誠心や愛社精神が高まります。
デメリット
年功序列型賃金のデメリットは、実績や成果よりも勤続年数や年齢などが人事評価の基準になるため、実力のある若手社員ほど会社の人事評価に不満を抱きます。
優秀な若手社員は働きに見合うだけの賃金を受け取れないため、人事評価に不満を抱いている若手社員は転職してしまうことがあります。
年功序列型賃金は優秀な社員を集めやすいですが、年功序列型賃金を維持するには膨大な人件費が必要であり、人件費の負担が大きくなると企業収益が圧迫され、財務状態が悪化します。
成果主義型賃金のメリットとデメリット
年功序列型賃金の対極にある成果主義型賃金には、どのようなメリットがあるのでしょうか。
ここでは、成果主義型賃金のメリットとデメリットについて解説します。
メリット
成果主義型賃金のメリットは、働きに応じた賃金が支給されるため、モチベーションが高まることがあげられます。
新しいことに挑戦するチャレンジ精神も旺盛になり、労働生産性が高い組織にすることができます。
無駄な人件費を削減できることも成果主義型賃金のメリットであり、職務遂行能力が低い社員の賃金を低く抑えることで、無駄な人件費を削減することができます。
人件費を削減することで、企業の財務基盤は強化されます。
デメリット
成果主義型賃金のデメリットは、社員は熾烈な競争にさらされることで、心と体を壊しやすくなり、職場の雰囲気も殺伐としたものになりやすいです。
上司は成果を出すために部下に対してパワハラ行為に及ぶなど、ブラック企業のような状態になってしまうことがあります。
成果主義型賃金は人事評価が難しく、特にバックヤードの事務職や研究職などは、成果をどのように判断すればよいのかがわかりにくいです。
年功序列型賃金崩壊の背景
年功序列型賃金は日本の高度経済成長を支えた賃金体系ですが、年功序列型賃金は崩壊の危機に直面しています。
ここでは、年功序列型賃金が崩壊し始めた背景について解説します。
日本経済の低迷
年功序列型賃金は日本経済が右肩上がりで成長していた時代には問題はありませんでしたが、年功序列型賃金を維持するには膨大な人件費が必要になるため、経済が低迷している現在では、年功序列型賃金を維持することが非常に難しくなっています。
日本経済が低迷しているのは構造的な問題があるからであり、低迷の状態から脱却するのは容易ではありません。
今後、日本経済が高度経済成長の時代のように急成長をすることは考えられず、年功序列型賃金を維持することは非常に困難です。
少子高齢化
日本では少子高齢化が急速に進行しており、今後ますます生産年齢人口が減少することは確実視されています。
年功序列型賃金を維持するには、若手社員とベテラン社員のバランスを保つことが必要になりますが、日本企業は若手社員が不足しており、優秀な若者を確保することは容易ではありません。
少子高齢化をすぐに是正することは困難ですので、今後は年功序列型賃金を見直して、成果主義型賃金に切り替える企業が増えると予測されます。
まとめ
年功序列型賃金は勤続年数が長くなるほど優遇される賃金体系であり、年功序列型賃金を維持するには、膨大な人件費が必要になってきます。
日本経済の低迷や少子高齢化などの影響で、年功序列型賃金を今後も維持することは極めて難しく、成果主義型賃金に移行する企業が増えてきています。
今後も成果主義型賃金を廃止し、成果主義型賃金を導入する企業が増えるのは間違いありません。
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