【年金受給者が連帯保証人の場合】審査ポイントなどご紹介します

「連帯保証人」という言葉は、誰でも一度は見聞きしたことがあるものだと思います。

重要な役割であることはわかるものの、その法律的な義務などについて確認する機会はあまりありません。

どのような場面で「連帯保証人」が必要になるのでしょうか。

今回は、「連帯保証人」という制度、どのようなケースで必要になるのか、また年金受給者が連帯保証人になるケースについて、それぞれご紹介していきます。

まずは、「連帯保証人」とは何か、その義務について確認しておきましょう。
 

連帯保証人は法律上どのような義務を負うのか

「連帯保証人」は、金銭の借用などの債務に対して、債務者本人と同等の責任を負うと理解して問題ありません。

つまり、債務者が債務の返済を行わない場合、債権者は連帯保証人に返済請求することが法律で認められており、その請求を拒否することができないと定められています。

このことからも、その責任の重さが理解できます。
 

保証人と連帯保証人の違いは何か

「保証人」と「連帯保証人」には大きな違いがあり、それは「催告の抗弁権」「検索の抗弁権」「分別の利益」の有無にあります。
 

「保証人」には、まず「催告の抗弁権」「検索の抗弁権」があり、「連帯保証人」にはありません。

この有無によって、例えば、債務者に返済請求をするように債権者に対して抗弁することができるかどうか、また債務者に弁済能力がある場合は債務者に返済請求するように求めることができるかどうか、が異なります。

つまり「連帯保証人」は債権者から弁済請求を受けたら、それに対して抗告する権利がないのです。

また、「分別の利益」がない「連帯保証人」は、他に連帯保証人が複数いたとしても、債務全額を弁済する義務があり、他の連帯保証人と分別することはできません。

ここでは、「連帯保証人」がどのようなケースで必要となるのか確認しておきましょう。
 

金銭の借用をはじめ入院や賃貸契約でも求められる

「連帯保証人」が求められるケースとして挙げられるのが、まずは金銭の借用です。

いうまでもなく、返済能力がなくなった場合の保証なしに金銭借用がされないことを自明です。

それ以外には、入院や賃貸契約など、ある一定以上の期間の滞在に関するものは、その滞在費（入院費や家賃）の支払いを保証するために、保証人もしくは連帯保証人を立てることが求められます。

ほとんどのケースでは、義務がより重い連帯保証人が必要になるようです。
 

もっとも身近なケースは物件の入居審査

もっとも身近で「連帯保証人」が必要となるのが、物件の入居審査です。

最近では、保証会社を代用することができるケースも増えてきましたが、原則として家賃の支払いを保障する連帯保証人を立てることが賃貸契約の入居審査の重要項目のひとつとなっています。

「連帯保証人」というのは、義務が重いものなので、親しい友人であっても、それが賃貸契約であっても、「連帯保証人」を頼まれた場合は熟慮するようにしましょう。

ここでは、年金受給者が入居審査の連帯保証人になれるかどうかについて確認しておきましょう。
 

公的年金は基本的に差し押さえができない

「連帯保証人」は、万一債務者が返済や支払いを放棄した場合、その債務を全て負うことになりますが、その際に「連帯保証人」が年金受給者で弁済ができない場合でも、公的年金を差し押さえすることは、法律で禁じられています。

ただし、公的年金を銀行口座に預金している場合、「預金」とみなされ、差し押さえ対象になる可能性があります。
 

年金は差し押さえできないため収入以外の条件が重要

公的年金が差し押さえ対象ではないことからも、年金受給者が連帯保証人になる場合は、収入以外に持ち家があるかといった資産状況が重要になります。

実際、定年がない自営業者であったり、持ち家がある場合は、収入が不安定であったり低い水準でも審査に通る可能性が高いと考えられます。

ここでは、年金受給者が連帯保証人になる場合の審査のポイントについて確認しておきましょう。
 

支払者と親族の関係であるかどうか

まず最も重視するのが、支払い者の親族であるかどうかです。

管理会社によっては、連帯保証人は親族のみと限定しているケースもあります。

法律的に非常に重い責務を負うものであるということからも、親族以外には負担が大きすぎるというのは理解できます。

また、親族であっても収入証明の提出を求める場合もあり、一定の収入がある親族というのが、審査上で最もポイントが高いといえるでしょう。
 

支払いをカバーする貯蓄額があるか

年金受給者の場合、その収入は差し押さえの対象にならないことから、貯蓄額が支払いを負担するだけのものかどうか、も判断の基準になると考えられます。

管理会社が審査上で何よりも重視しているのが、支払い者に何か問題があった場合でも確実に家賃の支払いを確保できるかどうかです。

年金受給者であっても、十分な貯蓄があることを証明できれば審査上問題ないでしょう。
 

土地や持ち家など安定した資産があるか

貯蓄以外であれば、土地や持ち家などの資産があるかどうかも、年金受給者が連帯保証人として機能する上で重要なポイントになります。

これは、いざとなればこのような資産は差し押さえ対象となるからです。

年金受給者が連帯保証人になる場合は、万一の場合に、弁済する能力があるか、またその債務分の差し押さえが可能な資産があるかどうかを審査されると考えるとよいでしょう。

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賃貸契約をするためには、連帯保証人が必ず必要になります。

両親が年金受給者の場合などは、その審査では収入以外の点が確認されることがわかりました。

また、連帯保証人は法律的に重い責務を負うものなので、どんなに親しい仲でも、家族であっても、決して簡単に引き受けず、万一の場合に弁済する覚悟があるのか、その人間関係にも影響する可能性があることを十分に理解した上で、その重責を負うことです。

どのような程度であれ、債務を負うということの責任の重さを常に意識することが重要です。