【年功序列について】採用している会社や根強い業界などご紹介します

日本の会社の人事制度には年功序列と成果主義の2種類のものがあります。

この記事では、年功序列と成果主義の違いを明らかにしたうえで、年功序列制度を採用している会社とそこで働くメリット・デメリットについて解説します。

年功序列とは、勤続年数や年齢といった要素を重視して昇進や年収を決める人事制度のことです。

年功序列による人事制度を採用している会社では、勤続年数が長くなると管理職や役員に昇進し、年齢が高くなるほど年収も増加します。

年功序列は会社に貢献した年数が長くなるほど優遇されるため、20～30代前半の若手社員よりも、30代後半～50代以上のベテラン社員の方が優遇されます。

中途退社すると非常に不利ですので、年功序列を採用している会社は社員の定着率が高く、ベテランになるほど会社に対する忠誠心も高くなります。
 

成果主義との違い

成果主義とは、勤続年数や年齢に関係なく、社員が仕事で達成した成果を重視する人事制度です。

若手社員も成果をあげて会社に貢献すれば、ベテラン社員を追い抜いて昇進や年収アップを果たすことができます。

成果主義は合理的な人事制度であるといえますが、成果を公平に評価することが難しく、結果として社員に過酷なノルマが課されることが多いです。

そのため、成果主義を採用している会社は社員の定着率が悪く、会社に対する忠誠心も低下する傾向があります。
 

日本企業には終身雇用や年功序列が根強く残っているのでしょうか？

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たぶん大企業で年功序列が残ってる会社にいます。若い時…続きを見る

昭和時代の高度経済成長期では、日本の多くの会社は年功序列の人事制度を採用していましたが、現在の日本では年功序列が崩壊しつつあります。

ここでは、現在の日本で年功序列が崩壊し始めている背景について説明します。
 

日本経済の低迷

日本経済は平成時代に入ってから長きにわたって低迷を続けており、日本の会社の国際競争力は一貫して低下しています。

年功序列の人事制度は、会社の継続的な発展があってはじめて存続できる制度であるため、年功序列の人事制度を見直す動きが大企業にも広がっています。

年功序列の人事制度を維持するには膨大な人件費が必要になり、特に40代以上の社員に対する人件費が高額になることが年功序列を見直す会社が増えている理由です。

今後、日本経済が高度経済成長期のような経済成長をする見込みはほとんどないため、年功序列を維持できない会社は増えると予測されます。
 

少子高齢化

日本では少子高齢化により、15～64歳の生産年齢人口比率が低下しており、日本の会社では労働者の高齢化が進んでいます。

年功序列の人事制度だと、社員の高齢化が進むほど人件費の負担も増加するため、日本の会社は体力的に年功序列を維持することが難しくなっています。

内閣府の平成29年版高齢社会白書によると、2016年には7,656万人だった生産年齢人口は、2029年に6,951万人、2065年には4,529万人に減少すると予測されており、今後ますます生産年齢人口は減少します。

そのため、現状のままだと、年功序列の人事制度を今後も日本の会社が維持するのは困難であると考えられます。

日本では年功序列と終身雇用は崩壊しつつありますが、現在でも年功序列を採用している会社は数多くあります。

ここでは、年功序列制度が根強い業界と年功序列を採用している大企業、年功序列を廃止した企業を紹介します。
 

年功序列制度が根強い業界

法律の規制で外資などの参入が難しい規制産業の会社では、年功序列制度が残っていることが多いです。

主な業界として、テレビ局や新聞社などの大手メディア業界、電力会社やガス会社などのインフラ業界、鉄道会社や航空会社、メガバンク、自動車産業や重工業などの製造業界では、年功序列制度を採用している会社が多数を占めています。
 

主な大手企業

日本郵船株式会社や旭化成株式会社、三井不動産株式会社、帝人株式会社、トヨタ自動車株式会社、日本たばこ産業株式会社、味の素株式会社などは、年功序列の人事制度を採用しています。

これらは一部であり、年功序列の人事制度を採用している大企業は数多く存在します。

ただし、今後人材の流動化や人件費の抑制のため、年功上列制度を廃止する大手企業も出てくるかもしれません。
 

年功序列制度を廃止した企業

ソニーやパナソニック、日立などの日本を代表する大企業は年功序列制度を廃止しています。

ソニーやパナソニック、日立は成果主義を採用しており、独自で定めた評価基準に則って社員の働きを評価し、達成した成果に基づいて昇進や昇給が決まります。

年功序列には良い面と悪い面があります。

ここでは、年功序列の会社で働くメリットとデメリットについて説明します。
 

メリット

年功序列の人事制度を採用している会社では基本的には終身雇用であり、定年退職するまで働くことができます。

定年まで安心して働けることで社員の会社への帰属意識は高く、定着率も高くなります。

年功序列の会社は定着率が高いため、社員間の連帯感が強く、会社の発展のために全社員が一致結束して働くという企業風土が生まれやすくなります。

職場の雰囲気も良く、ブラック企業のような殺伐とした雰囲気にはなりにくいです。

年功序列の会社は勤続年数が増すほど賃金や役職が上がっていくというシンプルな人事制度です。

そのため、人事評価がしやすく、客観的な評価ができるため、社員は会社が下した人事評価に概ね納得します。
 

デメリット

年功序列の最大のデメリットは、膨大な人件費がかかることです。

中高年の社員の割合が高くなるほど人件費がかさみ、企業経営の大きな足かせになることがあります。

給料が高額な中高年の社員が給料に見合う内容の仕事をしていない場合は、労働生産性が低下します。

年功序列の会社では、実力のある若手社員よりも中高年の社員の方が優遇されるため、実力のある若手社員の労働意欲が低下することがあります。

また、年功序列の会社では安定志向や事なかれ主義が蔓延し、チャレンジ精神のある社員が育ちにくいです。

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年功序列とは、勤続年数や年齢という要素を重視する人事評価システムであり、若手社員よりもベテラン社員の方が優遇され、中高年になるほど会社への帰属意識が高まります。

日本では年功序列の会社が多いですが、年功序列を維持するには膨大な人件費がかかるため、ソニーやパナソニック、日立などの大企業は年功序列から成果主義に移行しています。