
若者にメリットはあるのか?就職前に知っておきたい年功序列の仕組み
就職する際に気になるのが、その会社が年功序列なのか成果主義型なのかという点です。会社がどのような制度であるのかという点は、賃金やライフプランに大きな影響を与えるます。今回は、年功序列は若者にとってメリットがないのか、またどちらを選べば良いのかについて解説していきます。
年功序列とはどんなシステム?
社会人になるとどうしても気になる要素である給与体系ですが、現在の日本では多くの場合年功序列型の給与システムが採用されています。
ここで、この年功序列とはどのようなシステムなのでしょうか。今回の記事では、年功序列の詳しいシステムをはじめ、そのメリットデメリットなどについて詳細に解説していきたいと思います。
年功序列は勤続年数によって昇格・昇給する
年功序列とは、勤続年数や年齢によって貰える給与が上がったり、より上の立場に昇進するという、勤続年数や年齢に基づいた評価のシステムを指します。
世間ではデメリットばかり注目されることが多い年功序列のシステムですが、メリットも多くあります。
年功序列は典型的な日本型雇用システム
年功序列は、実は日本特有の給与体系です。
日本における終身雇用の習慣なども影響し、多くの社会人がひとつの会社に長く勤める傾向にある日本では、年功序列はその傾向をより安定的にするシステムであるといえます。このため、少なくとも今までの日本社会では安定した労働収入の確保や人生設計などに役立ってきました。
一方、働き方が多様化した今日では、難点が目立つことも多くなってきています。
年功序列の反対は成果主義
年功序列と対をなす給与体系は成果主義です。成果主義は主に営業職や個人事業に多く、読んで字のごとく社員が挙げた成果に応じて報酬が変化するシステムのことを指します。成果主義のメリットとしては社員のモチベーションアップや、会社全体の人件費の効率化などがあります。
一方で能力のない人材は淘汰されてしまい、経済面でも厳しくなってしまうという一面があり、ある意味で平等でないという声もあって意見が分かれるところです。
しかし、成果主義を採用している業種でも、部分的に年功序列のシステムを取り入れていることがほとんどで、調整することで従業員に納得のいく給与体系の形成を目指している会社が多いです。
年功序列のメリット
続いては、具体的な年功序列のメリットについて紹介しましょう。いずれのメリットも将来的に給与や昇進が約束されているという安定感からくるメリットが多いです。
将来の計画を立てやすい
ひとつ目のメリットは、将来の計画を立てやすいというものです。年功序列による給与アップが望めるがゆえに、結婚式や住宅、車の購入などの高額な買い物も確実性の高いプランをもってすることができます。
成果主義であると不確実要素が増すため、どうしても保守的になってしまう側面があり、高額な買い物をリスクが高いと捉えてしまう場合もありますので、やはり安定性は年功序列のメリットであるといえます。
長期的な視点で人材育成が可能
企業側から見ても年功序列のメリットは多いです。そのひとつとして、人材の教育において長期的な視点で育成が可能という点が挙げられます。
年功序列のシステムは同じ企業に長く勤めることによって多くのメリットが享受できるため、必然的にひとつの会社に長期的に勤続する人が増えます。
よって、教育中なのに人材が退職してしまい、人件費での無駄が多くなってしまったなどの問題も起きにくく、長期間での人材育成もやりやすくなります。
社員同士での連帯感が生まれる
年功序列の最後のメリットとして、社員同士で連帯感が生まれるというものがあります。勤続年数が長くなることによって社員同士の絆もはぐくまれることは、連帯感を高めることに貢献します。
また、成果主義のシステムを採用している会社では、社員同士が成果を競い合うライバルであるような認識が広まりやすく、社員同士の連帯感は生まれやすいとはいえません。
このように、社員同士の絆という面でも年功序列は会社の安定的な運営に一役買っているといえます。
年功序列のデメリット
ここまでは主に年功序列のシステムのメリットについて触れましたが、世間でもよくいわれているように年功序列にはデメリットも数多く存在します。
ここでは、年功序列の代表的なデメリットについて説明していきます。
人件費がかかる
まず第一のデメリットとして、人件費が多くかかる傾向にあるということが挙げられます。年功序列は成果にかかわらず勤続年数によって給与を決定するというコンセプトのシステムであるため、必然的に社員の挙げる成果と給与の相関性は低くなります。
社員としては、必死に働かなくてもある程度の昇給・昇進は約束されているため、あまり仕事に力を入れないという人も出てきてしまいます。
このように、成果主義に比べて年功序列はやや効率的には悪くなりがちです。
実力ある若手を積極的に起用できない
さらに、実力のある若手を積極的に起用できないという点も問題視されています。年功序列のシステムではあくまで勤続年数などの要素で給与が決定するため、実力があるから待遇をよくするといった措置がとりづらいというデメリットがあります。
このように、年功序列は安定的というメリットもあるのですが、その裏返しとして、どうしても保守的になってしまうというデメリットが目立ちます。
仕事のできる社員の意欲が低下してしまう
最後に、仕事ができる社員、すなわち多くの成果を挙げられる社員の意欲が低下してしまうというデメリットが挙げられます。
会社に対する貢献度が同僚と明らかに違うにもかかわらず、給与が低いとどうしても優秀な社員は意欲が低下してしまい、自分の能力をもっと評価してくれる会社に転職していってしまいます。
年功序列は平均的から低めの能力の社員にとってはメリットが多いのですが、優秀な社員にとっては弊害となるケースも多いです。
年功序列は変わらないのか?
JobQに投稿された、年功序列に対するQAをご紹介します。
老舗メーカー各社は年功序列が色濃く残っているんですか?
メーカー企業各社は年功序列が色濃く残っているイメージなのですが
みなさん、このことについてどのように思いますか?
更に、管理職含めて上層の役員が埋まっていて若い社員の活躍の場が少なくなってきていると思うのですが、
どうでしょう…実は変わってきているんでしょうか…?
老舗メーカーはそういう傾向はありますね。
親族経営かつパイオニアでもあり、いまだに先行者利得があるため、過酷な競争とは無縁な状況にある企業が、実はいまだにあります。つまり、環境を変える必要性がなく、緊急性も低いのです。社員の平均年齢も高いでしょうしね。
ただ、業界によってはそれも成り立たなくなってきているとは思いますが。元々、プレーヤーが少ない、参入障壁の高い業界は聖域化しています。
業界によって変わってきますが、老舗メーカーに年功序列が強く残っているのは確かなようです。
年功序列が根強い業界とは
最後に、業界によって年功序列の傾向に違いがあるのかを見ていきます。
冒頭で述べたように、営業職などの成果が業績に直結する分野の業種は成果主義の色が濃く、安定性や経験を重視する業界では年功序列が採用される傾向にあります。
教員
教員は特にノルマなどが設定されていないため、成果主義とは相性が悪い業種のひとつです。
そのため、年功序列のシステムが評価され、昔から教員の給与体系として年功序列が採用される傾向が強くなっています。
インフラ系
インフラ系企業の傾向として、上下関係を重視し、厳格な雰囲気という昔ながらの風土が残っている会社が多いです。
それゆえ、日本企業に多かった年功序列のシステムも評価されているため、インフラ系にも年功序列の会社が多くなっています。
化学系
化学系も年功序列のシステムを採用している会社が多い業種です。
理由としては業界として安定しており、そもそもの給与も高水準であるため、もともと長く勤める社員が多いためです。
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まとめ
世間では年功序列のデメリットばかりが注目される傾向にありますが、年功序列にもおおくのメリットがあります。しかし一方で、デメリットが存在するのも確かであり、業種の特色によって最適な給与体系は異なります。
社会人にとっては、自分の気質によって年功序列と成果主義のどちらがあっているかは変わってくるため、事前によく考えて就職する会社を決めるのが重要になります。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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